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核兵器禁止条約交渉「国連会議」ハイレベル会合におけるアレクサンダー・マーシックオーストリア大使・政治担当副大臣の演説全文<仮訳>

核兵器禁止条約を交渉する国連会議(第1会期)初日の3月27日、ハイレベル会合におけるアレクサンダー・マーシックオーストリア大使・政治担当副大臣の演説全文を紹介します。(仮訳:日本原水協国際部)

<仮訳> オーストリア アレクサンダー・マーシック大使・政治担当副大臣の発言

2017年3月27日

議長、代表、友人のみなさん、

この何十年の間に国際社会は、不必要な苦痛を引き起こす、化学・生物兵器、地雷、クラスター爆弾などの兵器を違法化してきた。これらの兵器は、その帰結が倫理的に非人道的であると考えられたために禁止されたのだ。

われわれは、核兵器が引き起こす結末を知っている。

われわれは、広島、長崎の写真を見て、被爆者の話を聞いた。

なぜ化学・生物兵器の禁止、地雷やクラスター爆弾に適用された論理が、それらよりはるかに有害で、この世の命あるものすべてを一掃してしまう兵器である核兵器に適用されないのだろうか。

2014年、オーストリアは、この問題の回答を追求するためにウィーンで会議を開催した。核兵器の危険要素と危険そのものを、入手しうる最新の情報に基づいて検討し、討論するために専門家を招いた。

何人かは今朝この場にもおられるが、ほとんどの出席者にとって、会議は、今日、核兵器に関わる現実の危険について、目を覚まさせる警鐘であった。

・ われわれは、核兵器爆発の短期的・中期的・長期的影響が、これまで理解されていたよりもずっと重大であることを知った。

・ 爆発後に汚染地域となる可能性のある地理的範囲が、以前に予想されていたよりもはるかに広いことを知った。

・ われわれは、コンピューターの誤作動やミス、貯蔵施設での事故によって、核事故に至りかねない事件が数えきれないほどあったことを知った。

・ 危険性を算定する数学者からは、核戦争の結末の重大さのゆえに、統計的にはわれわれの子どもたちが車の事故で死亡する以上に、核爆発の結果死亡する可能性のほうが高いことを学んだ。

・ 要するにわれわれは、核兵器に関わる危険性について非常に大きな過小評価をしているということを学んだのだ。

2014年のウィーン会議は、核兵器が、それらのいわゆる利益なるものとは到底引き合うものでない危険性を持っていることを、驚くほど明白に示したのである。われわれは、それらの危険性を減らさなければならないこと、そしてそれを減らす唯一の道は、そのような兵器を法的拘束力を持つ文書によって禁止することであることを確信して会議を終えた。

こうして、われわれの多くは、今日この場に集う旅へと導かれたのである。

そして本当にたくさんの、かくも多くの国々が今朝、この会場に集まっているのを目の当たりにし、誇らしく感じるとともに、身の引き締まる思いがする。

核兵器の禁止への広範で世界的な支持があることがここに示されている。

議長、

かくも多くの国が今日、ここに集まっていることを喜ぶ一方で、なおいくつかの国が欠席していることは残念なことである。まだ、すべての国がわれわれのイニシアチブに確信を持っているわけではない。いくつかの重要なパートナー、とりわけ核兵器国は懸念を持っている。

われわれはこれらの懸念を真摯に受け止め、積極的にそれらにとりくまなければならない。なぜなら、われわれは、パートナーたちに、われわれが正しいことを納得させる、説得力のある議論を持っているからである。そしてもし成功を望み、核兵器の危険性をゼロにしようとするのであれば、すべての国々がこのイニシアチブに加わることが必要であるからだ。

だから、ごく手短に、これらの懸念のうちのいくつかに答えたい。

1) 核兵器はすでに存在するのであり、核兵器を発明以前に戻すことは不可能だと言う人々がいる。だが、核兵器を発明以前に戻す必要はないのだ。禁止すれば十分なのだ。われわれは他の兵器禁止条約から、厳格な検証管理の条約体制を創ることができることを知っている。核の分野では、NPT(核不拡散条約)体制と包括的共同作業計画(JCPOA)とが、土台となり拡大することのできる複合的な検証メカニズムを確立した。独立した専門家たちは、高度に精緻な包括的安全保証措置の青写真を作り上げている。

そして、禁止条約はたんに一つの要素であって、核兵器の完全廃絶を達成するために追加的な一連の包括的な追加的措置によって補完されねばならないが、最初の必要なステップだということを忘れてはならない。

われわれは、それには時間がかかることを知っている。だが、それはわれわれを止めるものであってはならない。そのプロセスの目標、つまり核兵器の法的禁止を明確に示すことによって、最初の一歩を踏み出すべきなのだ。

2) もう一つの懸念は、核兵器の禁止は安全保障を低減させる、というものだ。

はっきり言いたい。この会場にいるものは誰一人として、核兵器国であれ非核兵器国であれ、どの国にたいしてもどの個人に対しても、安全の度合いを引き下げることなど望んでいない。

実際、核兵器を持つ国がなくなれば、すべての核兵器国、すべての「核の傘」の国を含め、どの国もどの国の国民も、より安全になる。これは重要な議論だ。なぜなら、核兵器のない世界というわれわれの最終目標は、核兵器国が参加してのみ達成できるものだからだ。核武装の解除ができるのは彼らだけだ。われわれにはできないのだ。

そして核兵器国は、自分たちがさらに安全の保障を得られると感じたときのみ、そうするであろう。だからわれわれは、このイニシアチブに参加することによってさらに多くの安全を得ることが可能になるということを、はっきりと示して見せなければならない。

どの核兵器国も一方的に武装解除するよう求められているのでないということを説明しなければならない。われわれが求めているのは、全般的な法的禁止であって、ひとたびそれが得られれば、われわれは核兵器国と一緒に、核兵器廃絶のシステムを構築するのである。

この文脈でもう一点あげたい。核兵器は安全保障に欠かせないという議論は、NPTの文脈でなされた多くの誓約に逆行する。もし核兵器が本当に安全の保障を提供する上で欠かせないのなら、どうしてすべての国家がこの利点から利益を得てはならないのか? 核兵器は世界をより安全にするという議論に従えば、より多くの国々がより多くの核兵器を持ったほうがよいということを意味することにならないだろうか? われわれはそういう議論を信じない。

明らかに、核兵器が少ない方が、そして核兵器がない方が、われわれはより安全になるのだ。それのみが、誰をもより安全にするのである。

3) もう一つの懸念は、禁止条約とNPTとの関連である。

2015年、われわれはまたまたNPT体制の屈辱的な失敗を目の当たりにした。にもかかわらず、NPTはわれわれが持っている核の安全についての最善のシステムとして、また国際核不拡散・軍縮体制の土台として維持されている。

だからわれわれはNPTを守り、強化しなければならない。

それこそが、われわれの禁止条約がおこなおうとしていることである。それはNPTと完全に両立するだけでなく、第6条の上につくられ、その履行に貢献する。

したがって、それはNPTを弱めるのでなく、全くその逆で、強めることになる。

4) 最後に、われわれはしばしば、今はそのようなイニシアチブにとって適切な時期でないということを耳にする。われわれは1997年以来、核軍縮の前進を待ち望んできた。この20年間、軍縮会議(CD)は作業プログラムに合意できないできた。2010年のNPT再検討会議で核兵器国を含めすべての締約国が合意した核軍縮の行動計画も、いまだ履行を待っている状態だ。

尋ねるたびにわれわれは、いまは核軍縮に適した時期ではないと言われた。時期が適している場合には、その必要はないと言われた。また別の時には、選挙があるとか金融危機だとか、地政学的緊張があるとかで難しいというのである。

率直に言って、適切な時などは、決して訪れないようだ。

[…]

【新潟】いかに否定すべき状況下にあっても「核兵器も戦争もない平和な世界」の実現に、決して、諦めることも、怯むこともない ー 被爆2世としての思い

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渋谷ハチ公前でスピーチする西山さん (2016年4月27日)

私の父は、「暁部隊」の一員として広島に居たため被爆しました。

その父は、原爆について何も語らぬまま57歳で「がん」に侵され亡くなりました。

父が被爆者と知ったのは高校生の時でした。母親に尋ねると、あっさり認め、父が広島から帰りすぐに授かった子が、生まれてすぐに死んでしまったことを話してくれました。

そして、「‘ヒロシマの毒’は、その子が全部持って行ってくれたから、お前は心配しなくていい」と言われました。母の言葉から「ヒロシマの毒(被爆)」への言い知れない恐怖や不安のようなものが心の底に澱のように残りました。

そんな私に突然の転機が訪れました。

進行がんが見つかったのです。

やはり、「原爆放射線の遺伝的影響」なのかと、心中は激しく動揺しました。

手術が成功し、体調が回復してくると、死んだ父や、原爆で犠牲になった方々の無念が心に迫ってきて、「親父や被爆者のために何か自分にできることはないか」との思いに駆られました。

退院の翌年、広島に向かいました。平和公園の原爆ドームが目に入った瞬間、込み上げるものがあり、原爆慰霊碑の前に立つと、こらえ切れず声を上げて泣いていました。「原爆に向き合おう」と決意した瞬間でした。

「あの日」の死者と、「あの日」以後、苦しみぬいたあげくに亡くなった多くの方々の悲惨さに想像力を持つこと、心と体に苦しみを抱えながらも今を生きている人たちが、無理やりのみ込んでいる核への「恨み・怒り・恐怖」にしっかり触れることが私のやるべきことだと思っています。

したがって、いかに否定すべき状況下にあっても「核兵器も戦争もない平和な世界」の実現に、決して、諦めることも、怯むこともありません。

西山謙介(被爆2世・新潟県原爆被害者の会理事)

「国際情報資料43号」が発行されました!

国際情報資料43

「国際情報資料43号」が発行されました!

第70回国連総会で採択された決議にもとづき設置された「多国間核軍備撤廃交渉の前進に関するオープンエンド作業部会」の会合が、今年2月と5月にスイスのジュネーブで開かれました。今号ではこの会合から主要な発言と作業文書を収録しています。

圧倒的多数の国々は、核兵器の人道的影響に基づき、核兵器を緊急かつ法的に禁止・廃絶するべきことを強調し、禁止条約も含めその目標への道筋について議論しました。中でも、非核兵器地帯グループによる「2017年に交渉開始」のよびかけが注目されています。

一方で、日本やNATO(北大西洋条約機構)加盟国などアメリカの核兵器に安全保障をゆだねる「核の傘」の下にいる国ぐには、作業部会をボイコットした核保有国の代理人であるかのように、禁止条約の交渉開始を究極のかなたに追いやる「漸進的アプローチ」を提起しました。核抑止力論を冷静に鋭く論破するオーストリアの文書、条約に含まれるべき要素を提起したメキシコの文書など、議論の一端がわかる重要な作業文書を収録しました。カナダ在住の広島被爆者セツコ・サーローさん、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)事務局次長の和田征子さんも発言し、重要な貢献をおこないました。これらの文書は、秋の国連総会にむけて国際政治の動きを展望できる内容となっています。

オバマ米大統領が5月27日、現職大統領として史上初めて広島を訪問したことは、大きな論議を呼びました。この歴史的な訪問について出された要請書や声明、解説記事を掲載しています。日本のメディアはオバマ氏の広島での「所感」を高く評価しましたが、「核兵器を使用したただ一つの核保有国として、行動する道義的な責任を持っている」と述べたプラハ演説からは程遠い内容でした。「手ぶらで広島を訪問するな」とキャンペーンしたアメリカの平和運動や著名人たちのオバマ大統領あての書簡は必読です。

さらに今年5月、日本原水協リトアニア・ラトビア訪問団が参加した「チェルノブイリ原発事故30周年国際会議」での発言を収録しました。事故直後に現地での作業に動員された被ばく者救援の「唯一の望み」となった日本との繋がりについて語るリトアニアの医師の発言のほか、ラトビアの被害者の組織化と社会的救済の状況についての発言などを収録しました。

4月に発表された「ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャが訴える核兵器廃絶国際署名」は、核兵器を禁止・廃絶する条約の締結を求める、被爆者運動の集大成とも言える国際署名です。国内外で歓迎され、広島、長崎をはじめ全国各地で署名運動が始まっています。核兵器禁止条約締結を求める世界の運動を推進する大きな武器として、数億の規模で国際的に広げていきましょう。

国際情報資料(43)内容紹介

多国間核軍備撤廃交渉の前進に関する国連オープンエンド作業部会での発言・作業文書より/オバマ米大統領の広島訪問をめぐって/日本原水協リトアニア・ラトビア訪問:チェルノブイリ事故30周年国際会議より/ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名

国際情報資料43 2016年7月発行 B5版 全82ページ  頒価800円(送料実費)

御注文・お問い合わせは、日本原水協事務局まで。

Tel: 03-5842-6031/FAX: 03-5842-6033/Email: antiatom@topaz.plala.or.jp

吉井英勝元衆議院議員に聞くー核兵器と原発 私たちのくらし

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吉井英勝元衆議院議員

核兵器と原発、私たちのくらしについて、吉井英勝元衆議院議員に聞きました。

 

Q1:「原発は廃炉にし、自然エネルギーへ転換を」と主張すると「採算が合わないのでは」という反論も聞かれます。実際のところはどうなのでしょうか。

A1: 政府はかつて原発の発電コストが1キロワット時当たり5.9円で、石炭火力の同6.5円より安いとしてきましたが、電力会社でさえ「現実的でない」としてきました。実際に、関西電力の「原子力発電の原価」は、2013年から既に8.9円/kw時と表示しています。東京電力福島第一原発事故の賠償費用等が10兆円になると9.3円/kw時、20兆円になると10.2/kw時とし、すでに火力発電コストより高くなっています。

経産省が吉井英勝元衆議院議員に提出した資料(2011年7月27日)で原発発電コストを試算すると、これまで発電に直接要したコスト(建設費、燃料費、運転維持管理費等)は、原発建設費、核燃料費、運転維持管理コストを合わせて、公租公課や寄付金等を除いても約32兆4400億円になります。これに、バックエンド費用の使用済み燃料再処理費用、放射性廃棄物処理・処分費用MOX燃料加工費は、再処理工場解体など今後発生する費用を別にしても約19兆円が見込まれます。

 原発には、これまで国から一般会計や特別会計を合わせて14兆4161億円が研究・開発・地元対策費に使われてきました。これからの「再稼働のための安全対策費」や「社会的費用」を別にしても、これまで原発に使ったお金は約66兆円に上ります。

これを1966年に電気を送りだしてから3・11福島事故前〈報告では2009年度まで〉の間に生み出した原発の総発電電力量は、7兆1195億kw時ですから、66兆円÷7兆1195億kw時=約9円/kw時を超えるものとなり、火力発電と較べて安くはないのが事実です。

原発と自然エネルギー発電を較べると、建設時のコストに開きがあっても、太陽のエネルギーを起源とする自然エネルギーには燃料費がいりません。二酸化炭素排出や放射能汚染の心配もありません。数年単位でのコスト比較より、人類社会の持続可能な将来の道筋を考えることが重要です。

Q2:電力会社や日本政府はどうして原発再稼働や輸出にこだわるのでしょうか。

A2:何故、原発再稼働に走るのでしょうか。理由は、電力、原発メーカー、ゼネコン、鉄鋼など素材メーカー、メガバンクなど日本財界の中枢部が構成している「原発利益共同体」(原子力産業協会)が、原発1基輸出で5000億円、送電網や変電設備などインフラ整備含めて数兆円の巨大ビジネスを狙っていることにあります。この原発輸出が安倍内閣の「成長戦略」の大きな柱になっています。

この原発輸出は、自動車などの輸出と違って、輸出先で原発を建設している間に、その国の若者を日本に招いて、国内の原発で実際に稼働する実習や定期点検の時にどの箇所をどのように点検するか、その時の検査機器をどのように扱うかなどを学び取る多数の技術者養成が必要です。つまり原発再稼働と原発輸出は一体不可分の関係にあります。もちろん、日本国内で稼働が認められない原発を海外に売り込むことは困難になりますから、再稼働にむけて「新規制基準」に適合していると「審査書」が認められたということを表に出して強行を図ってくると思われます。

Q3:核兵器と原発は「コインの表と裏」の関係と言われますが、どういうことでしょうか。

A3:1939年にハンス・ベーテが「恒星におけるエネルギー生成」という研究で、水素からヘリウムへの核融合反応が起こり得る可能性を分析して、太陽のエネルギー源は核融合反応であることを発見しました。これに先立って、1938年にオットー・ハーンとシュトラスマン、マイトナー女史らが天然ウランに低速中性子を照射して、反応生成物にバリウムの同位体を見出し、核分裂反応であることを発見しました。

これらの価値ある発見であった「核分裂」「核融合」の物理現象を、第二次世界大戦の時期で、ナチスが原爆開発にとりくみ始めているという情報をもとに、核兵器開発へ進んでしまい、最初に原爆を開発したアメリカはナチス・ドイツが崩壊した後なのに、ウランを使って広島で14万人、プルトニウムを使って長崎で7万人を超える人々を原爆で殺害しました。

核兵器という立場からは放射性廃棄物まで有用な兵器の一部になります。この核兵器技術を転用して開発した商業用原発でしたから、通常の商品開発のように、商品化後の廃棄物処理・処分まで見通した「製品アセスメント」の発想はなく、原発は「トイレなきマンション」とよばれながら増設され続けました。

 地球上で核分裂を制御することが極めて難しいということが、東京電力福島第一原発事故でも、これに先立つスリーマイル島原発事故やチェルノブイリ原発事故など世界で多数の核事故によって明らかになっています。

 核融合反応でつくられた太陽の光や熱は、いろいろの形で自然エネルギーを人類に送り続けています。しかし、地球上でウランの核分裂で、あるいはウランとプルトニウムを循環させて利用する「軽水炉」と呼ばれる「原発」では、使用済み核燃料の処理・処分の技術はなく、放射能汚染の脅威から人類を守ることはできません。

木村氏の逝去を悼む(長崎県原水協・片山明吉)

長崎県原水協・片山明吉さん

9月17日、前福岡県原水協事務局長の木村勇氏が逝去されました。今年の原水爆禁止世界大会−長崎で会えるものと思い私も会場に向かいましたがお会いできませんでした。まさか病気療養中とは予想もしていなかったので、突然の訃報に驚愕しています。重責を退任され、これから自分自身の人生を、そして一心同体で活動を支えてこられた奥様との時間を過ごしながら、原水爆禁止運動の行方を見定めたかったに違いありません。

私は1994年6月、何もわからないまま被爆地長崎の原水協事務局長に就任しました。木村さんは私より先に、そして私より後まで福岡県の事務局長を務め、その傍ら九州ブロックの全国担当常任理事として九州の運動をリードしてこられました。私も被爆地選出の全国担当として木村さんと共に活動してきましたが、私が大過なく任務を遂行することができたのも、地元の諸先輩とともに木村さんの影響が大きかったと感謝しています。

木村さんは私と同年代で、かつ1960年の安保・三池闘争の最中に青年運動に加わり活動をスタート、その後半は原水爆禁止運動にともに参加することになったのも何かの縁だったのかもしれません。

原水協運動では数々の思い出がありますが、中でも九州ブロック原水協学校を各県持ち回りで沖縄を含むすべての県で開催してきたこと、重要課題推進にあたっては九州各県原水協事務局長会議を開くなどして各県の運動強化と交流に役立てるなどがあります。このように木村さんは福岡県が九州最大の県として、世界大会−長崎がメインの時も広島も長崎も責任を果たす立場で奮闘されてきたし、九州の運動発展にも心を砕いてこられました。もちろん署名をはじめ各種のとりくみでも福岡県が先陣を切り私たちを励ましてきました。

木村さんは私が病に倒れた一昨年春、入院先の病院まで奥様とともに見舞いに駆けつけてくれました。検査室を出てエレベーターまでの数メートルで顔を見合わせただけで木村さんは帰られました。私の病状を察して言葉をかわすことを遠慮されたのだと思います。そしてその後、九州各県に連絡され、各県からのお見舞いを送っていただきました。すでに第一線を退いた私に、これほどの思いやりをいただき、木村さんの人柄をうかがい知ることができました。私はこうした原水協活動を通じて育まれた友情が今を生きる力となっていることを実感しています。

90年代後半、「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」署名の国民過半数達成を目指して各県が県民過半数達成を競い合った時代が懐かしく思い出されます。今日本原水協は事務局のメンバーも若返り、各県の当時のリーダーたちの多くが後継者と交代する世代交代の時期に入っています。個人の人士に限りがあっても、その時々に果たした役割は新しい後継者に受け継がれ新たな発展が始まります。「核兵器廃絶」の国際的な流れは誰も止めることができないでしょう。安保法制化反対運動の新しい発展は、私たちに限りない希望を与えてくれています。私たちの過去の活動が、喜びと懐かしい思い出に変わるひとときに思いを巡らしながら、木村さんへの感謝の言葉とします。

(長崎県原水協・片山明吉)

【日本原水協】被爆70年を核兵器廃絶の転機に『原水爆禁止2015年世界大会の記録』発刊

原水爆禁止2015年世界大会の記録

被爆70年を迎えた8月、2日から9日まで広島と長崎で開催された原水爆禁止2015年世界大会には海外から21か147人をはじめ、12,000人の代表が参加し、核兵器のない世界を実現する決意を新たにしました。

内外の参加者に感銘を与えたのは被爆者の方々がみずからの被爆体験を語り、核兵器廃絶の実現と戦争反対を訴える姿でした。

今年のノーベル平和賞受賞者に推薦されているカナダ在住の広島被爆者、セツコ・サーローさんと長崎被爆者、谷口稜曄(すみてる)さんのスピーチをはじめ、被爆70年スペシャル企画「被爆地広島・長崎から世界へ」のコーナーは読み応え抜群です。

また、インドネシアをはじめとする政府代表や主要反核平和団体代表の発言はもちろん、「戦争法案」に反対する全国の運動の盛り上がりの中でとりくまれてきた多彩な草の根運動の発言からは今後の運動の方向性をつかむことができます。

世界大会の報告会や学習会など被爆70年を核兵器廃絶の転機にするために、ぜひご活用ください。

原水爆禁止2015年世界大会の記録 B5版222ページ、頒価1500円(送料込)

ご注文は都道府県原水協または日本原水協お問い合わせフォームまで。

【高知】30年の活動で製作したDVD、本、冊子などの資料購入とカンパで被災船員救済にご協力ください。

第二幸成丸船員

3月16日の高知県主催の「ビキニ健康相談会」は、高知県・室戸市職員、被災者と遺族、高知生協病院、室戸の支援の会準備会メンバー、核被災支援センター、第五福竜丸平和協会学芸員、全日本民医連広報部などから約40人と15人ほどの報道関係者が、科学的で説得力ある先生方の報告に注目し、感銘をうけていました。高知県は、全国的にも大きな1歩であったと思います。NHKが朝のニュースで全国報道し、新聞各社も取り上げて報道しました。県健康対策課長(医師)も引き続き西部での開催を意思表示されています。2回目はさらに参加者を広げ、地元の自治体の支援を呼びかける予定です。

ビキニ調査から30年で、政府の公文書が開示され、その分析が期待され、追跡調査も全国的に展開され始めていますが、昨年全国的な行動が重なり、活動を支える財政が底をつき、動きが止まっています。幸い30年の活動で製作したDVD、本、冊子などがありますので、その普及とカンパに可能な範囲でぜひご協力ください。領収書が必要な方は、事前に振込みいただければ、同封してお送りします(送料はすべて¥500)。

▲第二幸成丸船員

 

『「ビキニ事件」の立証-60年ぶりに開示された政府公文書を解くー』 ¥500

【目次 1、「ビキニ事件」の立証と「原発被災」のこれから 2、被災船リスト (開示公文書より) 3、「外務省」公文書まとめ(厚労省) 4、「厚労 省」交渉、ヒアリング記録 5、高知県「被災船員の会」関連と行政の対応年表 資料、被災船員健康記録、高知県主催「ビキニ健康相談会」要項など】

太平洋核被災支援センター

DVD「ビキニの海は忘れない」 ¥1500

―ビキニ事件を追跡する高校生たち―

森康行監督、ナレーション吉永小百合、キネマ旬報記録映画ベストテン、国際映画祭参加 62分

DVD「渡り川」 ¥1500

―強制連行を追跡し、国境を越えた交流を進める高校生たち―

森康行監督、キネマ旬報記録映画ベストテン1位、国際映画祭参加 90分

冊子「震災・核被災に向きあう青年の集い」 ¥500

ヒロシマ・ビキニ・セミパラティンスクそしてフクシマを結ぶ P68

冊子『東北大震災に学ぶ旅』 ¥500

―津波・原発被災にむきあって―

高校生たちの宮城・福島調査記録 P39

冊子「ビキニ・死の灰世界各地へ」 ¥500

―米「キャッスル作戦」放射性降下物記録、第五海福丸乗組員の日記」 P45

本「もうひとつのビキニ事件」 特別価格 ¥1500

―延1000隻の被災船を追う―ビキニ被災50周年 被災船員・沖縄・韓国調査 平和文化 P157

本「核の海の証言」 ¥1800

―ビキニ事件は終わらない―

ビキニ被災60周年 日米両政府の政治決着 米国の公文書解明 ビキニとフクシマ 新日本出版社 P245

 

*送料他・・部数にかかわらず共通 ¥500

*資料購入・カンパは下記までお願いいたします。

郵便振込 口座記号・01620-2 口座番号・129465 幡多地域文化ゼミナール館

銀行振込 ・郵便貯金 記号・16410 普通 口座番号 11784781 山下正寿

・四国労銀中村支店 普通 口座番号・2197232 ヤマシタ マサトシ

〒788-9785 高知県宿毛市山奈町芳奈2779-2

TEL/FAX  0880-66-1763

メール: masatosi.sky@orange.zero.jp

(太平洋核被災支援センター/幡多ゼミナール・山下正寿)

[…]

『【ビキニ水爆被災61年】2015年3・1ビキニデー集会の記録』のご案内

2015年3・1ビキニデーの記録表紙

今年のビキニデー集会は、被爆70年を核兵器のない世界への転換点にするために最初の全国的集会として開かれました。記録集には、核保有9か国を国際司法裁判所に提訴しているマーシャル諸島共和国から、ロンゲラップ島民の代表として参加したピーター・アンジャインさんのスピーチや「ビキニ被災事件と(焼津)市民のたたかい」と題するミニ座談会、NPT・ニューヨーク行動に参加する代表のリレートークなどを収録しています。さらに、元第五福竜丸乗組員の大石又七さんの「見えない放射能に思う」という訴えや、高知・太平洋核被災支援センター事務局長の山下正寿さんの「『ビキニ被災』の立証―60年ぶりの政府公文書開示―」も全文掲載するなど充実した内容となっています。

また、日本原水協全国集会・国際交流会議でのジョゼフ・ガーソンさん、イ・ミヒョンさん、ピーター・アンジャインさん、土田弥生さんの発言と、日本原水協全国集会・全体集会での安井正和事務局長の基調報告の全文を掲載しています。

日本政府に被爆国としての役割を果たさせるため、またNPT・ニューヨーク行動から原水爆禁止国民平和大行進、8月の被爆70年原水爆禁止世界大会の成功へ向けて草の根で署名を広げ、世論をつくるためにも是非ご活用ください。

●4月3日発行 B5版 92ページ ●頒価:700円(送料実費) ●発行:原水爆禁止世界大会実行委員会/3・1ビキニデー静岡県実行委員会

お申し込みは、申込書にご記入の上、FAX:03-5842-6033まで。

【問合せ】〒113-8464 東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター6階

原水爆禁止世界大会実行委員会 電話:03-5842-6035/FAX:03-5842-6033

日本政府がオーストリアの働きかけを拒否!? 世論で包囲しよう! 日本政府に核兵器全面禁止の決断と行動を求め 3月議会に自治体意見書要請を

『国際情報資料40』

報道によれば、オーストリア政府が4月のNPT再検討会議に向けて、核兵器禁止、廃絶の効果的措置を求めた文書(「オーストリアの誓い」)への賛同を全国連加盟国に求めたことに対して、日本政府は見送る方針を固めました。背景には、米国政府が「核の傘」への影響を理由に日本を含む同盟国に不賛同するよう働き掛けていたことが明らかになりました。

「世界で唯一の被爆国の日本が核兵器禁止の呼び掛けに賛同しない姿勢は許しがたい」「『核の傘』という核兵器に頼りながら核兵器廃絶を叫ぶ二枚舌外交をやめるべき」(3月14日付、「琉球新報」社説)との厳しい批判の声が上がっています。

被爆70年の今年、日本政府が被爆国としての役割を果たそうとするならば、一方で「核兵器廃絶」を口にしながら、実際には核兵器全面禁止に背を向ける矛盾した態度を直ちに改めるべきです。

日本政府に次回NPT再検討会議で核兵器全面禁止を提唱する流れの先頭に立たせるために、「核兵器全面禁止のアピール」署名を大きくひろげ、「日本政府の核兵器全面禁止の決断と行動を求める」自治体意見書を3月議会に緊急に要請しましょう。

自治体意見書・例文(2015年2月)

2015自治体要請文案

自治体意見書は3月17日現在、24都道府県で128自治体です。日本原水協は4月はじめに、日本政府への申入れをおこないます。

「オーストリアの誓い」(『国際情報資料No.40』参照) 核兵器の人道的影響に関する第3回国際会議

 オーストリアはNPTの全締約国に対し、第6条の下で存在する義務を緊急に完全に履行するという自らの決意を新たにするよう呼びかけ、そのために、核兵器の禁止と廃絶に向けて法的なギャップを埋めるために効果的な措置を特定し追求するよう呼びかける。オーストリアはこの目標を達成するために全ての利害関係者と協力することを誓う。(一部抜粋)

※国際情報資料№40を活用しましょう。頒価800円(送料実費)

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広島・長崎原爆の非人道性の物理学的根源 沢田昭二

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広島・長崎原爆の非人道性の物理学的根源 沢田昭二

名古屋大学名誉教授・物理学・被爆者

原水爆禁止日本協議会代表理事

核兵器禁止条約の早期交渉開始に向けて核兵器の非人道性に焦点を当て広島と長崎の原爆投下の真相を知る必要があります。この報告において原爆使用の非人道性の物理学的根源を説明したいと思います。

 

1.初期放射線

広島・長崎の原爆は爆発した100万分の1秒内に、核分裂の連鎖反応によって大量のガンマ線と中性子線を放出しました。このガンマ線と中性子線のほとんどは原爆の爆弾容器の壁に吸収されました。容器の壁に吸収されないで通り抜けたガンマ線と中性子線は大気中の原子核による散乱、吸収、再放出を繰り返しながら地上に達し、人々に瞬間的な外部被曝をもたらしました。

原爆が爆発した1分以内に放出された放射線を「初期放射線」と呼びます。爆心地から1 km以内で被爆した人は、この初期放射線によって4 シーベルト(Sv)を超える外部被曝をしました。4 Svの被曝は被曝した半数の人が60日以内に死亡するので「半致死線量」あるいは「50%致死線量LD50」と呼ばれます。爆心地から1 kmで被爆した人は、初期放射線被曝に加え、後に説明する残留放射線でも被曝して、さまざまな急性放射線症状に苦しみもだえながら死んでいきました。

原爆が投下された8月6日、広島第一中学校2年生の広島市外から汽車で通学していた生徒が動員されていた兵器工場は金属材料不足のため休業になり、広島市内から通学していた生徒は爆心地から西南西約14 kmの地御前の兵器工場に動員されていました。そのため、私のように病気などで休んで市内にいた2年生の内3人が原爆で死亡しました。学徒動員されなかった1年生(年齢12〜13歳の少年)約320人の内150人余が広島第一中学校南側の爆心地から約1,000 m離れた屋外で建物疎開の跡片付けの作業中に被爆したため火傷と遮蔽効果なしの初期放射線被曝をしました。彼らは水を求めて学校のプールに逃れてきましたが、翌年4月、2年生になるまでに、火傷と放射線による急性症状に苦しみながら全員死亡しました。1年生の残り150人余は爆心地から約870 mの1階建て木造校舎で予習をしていて被爆し、倒壊した校舎から脱出できたのは80人余でした。脱出できた者も全員が火傷は免れたものの放射線障害によって生死の境で苦しみ、翌年4月に復学できたのは19人(そのうち出席できたのは13人)でした。その後、生き残った者も16歳、22歳、35歳、41歳、44歳、59歳の時に白血病で死亡し、60歳を過ぎると次々と多重がんになって死亡しました。82歳の今、生き残っているのは2人だけで、その1人の児玉光雄さんは19回のがん手術と闘いながら、核兵器廃絶をめざして被爆体験の証言を続け、爆心地から1 km以内で大量被曝した少年たちの全貌の記録をこのほど出版しました(文献1)。原爆は初期放射線だけでもこのような苦しみを与える非人道兵器です。

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被爆70年、2015年NPTにむけ活用を!『原水爆禁止2014年世界大会の記録』発刊

2014表紙

今年の原水爆禁止世界大会は、2015年の次回NPT(核不拡散条約)再検討会議を来年にひかえ、2010年NPT再検討会議の「核兵器のない世界の平和と安全」を実現するとの合意の実行が問われる重要な局面で開催されました。最大の焦点は、核兵器禁止条約のすみやかな交渉開始を実現することです。

いま、圧倒的多数の政府が交渉開始を支持し、核兵器使用の非人道性を告発してその廃絶を訴える流れを強めるなど、次回再検討会議への動きを強めています。

国連上級代表、オーストリア、インドネシア政府代表の発言は必読

こうした世界の核兵器廃絶運動の到達点と課題を、国際会議、広島・長崎の各大会での決議、基調報告、海外の政府代表やNGO、全国各地のとりくみ報告などからつぶさに知ることができます。とりわけ、「この崇高な大義へのみなさんの貢献を称え、核兵器のない世界の実現をめざす私たちの共通のたたかいで、みなさんが多くの成功を収められることを期待します」との潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が寄せた大会へのメッセージ(P.72)、アンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表の講演(広島、P.130-132)、インドネシア(広島、P.84-86)、オーストリア(長崎、P.154-157)、マーシャル諸島共和国(P.140-142)など各国政府代表の発言は必読です。

また、運動の中心的課題となっている「核兵器全面禁止のアピール」署名と原爆写真展のすぐれた経験、被災地福島の現況と現在のとりくみと訴え、沖縄・辺野古の米軍基地建設反対のたたかいなど、魅力満載です。世界大会の報告会や学習会など被爆70年、2015年NPT再検討会議にむけたとりくみの飛躍へ、ぜひご活用ください。

●原水爆禁止2014年世界大会の記録(B5版/約200ページ)

頒価1500円(送料込)

ご注文は都道府県原水協まで。

政府広報のひどい過ち(沢田昭二)

さる8月17日、復興庁、内閣官房、外務省と環境省は、全国紙各紙と福島の県紙に「放射線についての正しい知識を」という政府広報の全面広告を掲載しました。福島県から避難されている人たちを対象にした講演からの抜粋です。

20ミリシーベルトの被曝基準を追認

広告の1面左半分は国際原子力機関(IAEA)保健部長の「国際機関により設定された科学的な基準に基づく行動をとってほしい」という表題です。

放射線関連の仕事に関わらない一般人の年間被曝線量限度は東京電力福島第1原発事故までは法律で1ミリシーベルトでした。原発事故以来その20倍も甘い基準に変え、3年半以上を経た今もそのままです。IAEA保健部長は「原子力事故が発生した地域で住み続ける人の被ばく限度は、基準値である年間20ミリシーベルトです」と述べて日本政府の基準を追認しています。チェルノブイリ原発事故後のウクライナとベラルーシの法律は年間5ミリシーベルト以上の地域は移住強制地域、年間1ミリシーベルト以上5ミリシーベルトの地域は移住権利地域で本人の判断で移住しても国が費用を負担する仕組みになっています。

原爆被爆者に遺伝的影響はなかった

1面右半分の東大医学部放射線科准教授中川恵一氏の講演抜粋はさらに問題です。

まず「全身に2000ミリシーベルトの放射線を浴びた方も多かった広島や長崎でさえ遺伝的影響はなかったと考えられています」と述べ、福島県内の中学の女子生徒が遺伝的影響を心配しているのはメディアの報道に問題があったのではないかとしています。放射線被曝による遺伝的影響は生物実験から明らかになっていることを中学生も知っており、心配は当然です。

韓国で広島の被爆者が多くいる陜川(ハプチョン)の調査では被爆者の子女23%が先天性奇形または遺伝的疾患を持つと報じられています。放射線影響研究所は広島・長崎の原爆被爆者について「疾患発生に及ぼす親の原爆放射線被曝の影響に関して結論を導くためには、今後さらに長期間の追跡調査が必要」としており、中川氏のように遺伝的影響を否定しているわけではありません。被爆者の流産や死産の場合に奇形や遺伝的疾患が多いことが確認されています。

外部被曝と内部被曝の違いと鼻血問題

漫画「美味しんぼ」の中で福島に行ったら鼻血が出たという描写があります。これについて論争が起き、安倍首相は根拠のない風評には全力で対応すると述べていました。中川氏の「鼻血が出るということにも疑問があります」の発言はその対応のひとつでしょう。中川氏は上咽頭がんの放射線治療を30年間してきたが、鼻血が出た方を1人も見たことがないと言います。

放射線治療を専門にしてきた西尾正道北海道がんセンター名誉院長は、鼻血の9割は血管の枝が密集しているキーゼルバッハ部位からの出血で、1ミクロンの大きさでも何億個もの放射性セシウム137の原子核を含む可能性のある放射性微粒子がこの部位近くに付着して集中的にベータ線を浴びせる内部被曝で鼻血を起こす可能性があると説明しています。上咽頭がん治療で鼻のこの部位に放射線を当てることはなく、中川氏は素人を誤魔化していると批判しています。

誤った知識で放射線防護の責任放棄

政府広報の下部には放射線と発がんの相対リスクの表が掲げられていますが、いずれも内部被曝の影響を無視して、被曝線量に対して過小評価の数値になっています。さらに100ミリシーベルト以下はリスクの検出が困難であるとしています。しかし、現在では10ミリシーベルト以下でも固形がんのリスクが増加することを示した多数の論文が発表されています。

放射性降下物による内部被曝の研究を

原爆被爆者の放射線影響の研究において、放射性降下物による被曝影響を無視・軽視してきたことが、国際放射線防護委員会やIAEAによる放射線の外部被曝と内部被曝のメカニズムの違いの無視につながり、放射性微粒子による内部被曝の無理解をさらけ出した政府広報につながりました。

これでは放射線防護はできません。放射線についての「正しい知識を」と言いながら、東電福島原発事故による放射線被曝から国民を守る姿勢に欠けた政府に都合の良い、しかし間違った知識を広めることになります。高額の税金を使った政府の責任は重大です。

(さわだ・しょうじ)

2015年NPT再検討会議ニューヨーク行動参加者の準備に役立つ内容満載 NPT第3回準備委員会(2014年4月)要請代表団報告集が完成!

報告集注文書

日本原水協は4月27日から5月7日まで、ニューヨークへ2015年NPT(核不拡散条約)再検討会議第3回準備委員会要請代表団を派遣しました。

代表団は、準備委員会に約370万筆の「核兵器全面禁止のアピール」署名を提出。核保有国など13か国の政府代表に要請をおこない、「被爆者の証言を聞く会」やNGO行事にスピーカーとして参加するなど、旺盛な活動を展開しました。

2015年再検討会議に向けて最後となった今回の準備委員会では、核兵器禁止条約を正面から求める非核国の平和運動とも協力して突破口を開こうとするさまざまな努力が示されました。

この報告集には要請団の活動のほか、このような各国政府の動きやNPTについての解説も収録されており、2015年NPT再検討会議に向けた学習活動、特に来年のニューヨーク行動に参加を予定されているみなさんの準備に役立つ内容となっています。近づく原水爆禁止2014年世界大会の成功のためにもぜひ広くご活用ください。

内容:B5版・42ページ 頒価500円(送料別) ☆トピックス☆ ・370万余筆の署名を準備委員会議長に提出 ・被爆者の証言を聞く会 ・核抑止の悪循環を断ち全面禁止へ:日本代表部へ要請 ・各国政府への要請:廃絶の約束の実行を ・ニューヨーク国際共同行動決まる:2015年再検討会議の焦点

その他、署名提出時の日本原水協の声明、日本政府への申し入れ、参加団員の感想なども収録されています。

注文先:日本原水協 Fax: 03-5842-6033

Email: antiatom55@hotmail.com

【神奈川】核持ち込み・核基地化61年と核兵器廃絶(神奈川県原水協代表委員・永沢丈夫)

米空母オリスカニが核兵器を積んで初めて米海軍横須賀基地に入港したのが1953年、いま横須賀が核基地化されて61年目を迎えています。

米原子力潜水艦スヌークが初めて横須賀に入港したのが1966年、それ以来、米原子力艦船の入港は通算883回に及びます。

原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀母港化を強行したのが2008年。米国が海外で唯一の原子力空母の母港にしているのが横須賀です。

そして今度はジョージ・ワシントンの老朽化を理由に、来年の2015年に最新鋭の原子力空母ロナルド・レーガンを交代配備させるといいます。

これは横須賀の恒久核基地化ではないでしょうか。

沖縄・辺野古の座り込みは、10年目を迎えています。辺野古への米軍新基地建設のために、あの辺野古の海に1200隻余の船を集積させるといいます(4月26日衆議院外務委員会、笠井亮議員)。あの美しい海を「基地建設船」で埋め尽くそうというのでしょうか。

その根拠は日米安全保障条約です。

近年、太平洋戦争放棄条約、北東アジア平和協力構想が語られています。

そして来年2015年はNPT(核不拡散条約)再検討会議、まさに核兵器禁止条約がテーブルに乗る、乗せなければならない年です。

その最大のネックとなるのが横須賀ではないでしょうか。沖縄ではないでしょうか。そして、日米安全保障条約ではないでしょうか。

もちろん横須賀があるからといって、沖縄があるからといって、日米安全保障条約があるからといって、日本で非核の政府が無理だなどと言うのではありません。横須賀があるからこそ、沖縄、安保があるからこそ政府に非核宣言をさせる重要性は増しているのは言うまでもありません。

問題はその論点、角度、切り口です。

核兵器廃絶と横須賀、沖縄は、核持ち込み、核基地化と表裏一体の問題です。決して切り離してはならないものです。最近、横須賀、沖縄が、核基地化が、少し脇に置かれすぎではないかと思います。

神奈川県原水協は横須賀を抱えているので、文字通り表裏一体です。沖縄もそうでしょう。当然のことです。

ひとつ紹介しておきたいことがあります。神奈川県原水協は「6・9行動」とともに「25日行動」を横須賀で毎月実施しています。2008年9月25日に原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀基地母港化を強行しました。それを忘れないと「25日行動」を設定し、ずっと続けているのです。この行動に新日本婦人の会神奈川県本部は県下全支部の月ごとの参加分担を決め、実行しています。毎月10人余の新婦人会員のみなさんが全県の支部から参加し、25日行動を支えています。これは優れた行動であるとともに、新婦人にとって宝物のような行動になっていると思います。もちろん核兵器廃絶署名、空母母港化撤回署名をともに集めています。

安倍政権下の目にあまる悪政のもとで、各団体・個人が目の前の課題と真剣に向き合うのは当然のことです。と同時に、全人類の運命的課題である核兵器廃絶と核基地機能強化反対についても全力をあげなければいけません。

原水協の運動はいつ、いかなる事態のもとでも、この点について表裏一体で警鐘を乱打し続けなければならないと思います。

東海第2原子力発電所が再稼働申請をした時、メディアはもし放射能事故が起きたら茨城を中心に100万の人口をどう避難させるのかと報じました。同じことは横須賀にも言えます。首都圏3300万人が暮らす超過密地帯、東京湾周辺、その入口である横須賀に原子力空母の軍事用原子炉2基が浮かんでいるのです。原子力潜水艦が入港すれば、3基、4基となります。しかも使用している核燃料は、原発はウラン濃縮度5%、原子力艦船は95%です。それは原子爆弾に匹敵します。その事故比は最新の資料で福島の20倍余といいます(5月12日、参議院決算委員会、田村智子議員)。

こんな危険と日本国民、首都圏住民が同居していることを世界の、アメリカの、どれだけの人が知っているでしょうか。

核兵器廃絶の日本の運動が知らせなければならないでしょう。来年のNPT再検討会議はその絶好の場でもあります。

最近のホットニュースでマーシャル諸島共和国政府が核保有9か国に対して「NPT第6条を履行せよ」と国際司法裁判所に提訴したといいます。政府が、です。マーシャルがここまできたかと涙が出ました。

私たちは被爆国日本の政府をまだ、ここまでは追い込んでいません。表裏一体の運動、私たちの運動の論理、角度、切り口を一層工夫・強化しなければならない所以です。

このごろつくづくと考えさせられることです。

『【ビキニ水爆被災60年】 2014年3・1ビキニデー集会の記録』発行

14.3.1記録申込書

▲クリック(PDF)

今年のビキニデー集会はビキニ水爆被災60年にふさわしく、その歴史と教訓を確かめ合う記念すべきものでした。マーシャル諸島・ロンゲラップ島を訪問中の元第五福竜丸乗組員の大石又七さんをはじめとする日本原水協代表団からの現地報告や、初めてビキニデー集会に参加した池田正穂さんのお話と、見崎進さんご夫妻のビデオメッセージ、安斎育郎さんの基調講演「ビキニ被災60年の検証とこれからの原水爆禁止運動」など充実した内容です。

また、2月27日におこなった日本原水協全国集会・国際交流会議でのジョゼフ・ガーソンさん、マラヤ・ファブロスさん、美帆シボさん、高草木博さんの発言と、28日の日本原水協全国集会・全体集会での安井正和事務局長の基調報告、さらにやんばる統一連代表の吉田務さんによる名護市長選挙をたたかった報告も全文掲載しています。

南太平洋ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験に抗議して広がった原水爆禁止の署名運動は、核兵器全面禁止の声を世論の大勢とし、平和と民主主義への逆行、憲法改悪の手を抑え、国際的にも核兵器の使用を断念させた壮大なたたかいでした。

いま安倍内閣が憲法改悪、海外で戦争できる国づくりをすすめる中で、私たちの運動のあり方を考える上でも大変役に立つ内容です。

8月の原水爆禁止世界大会の成功から来年のニューヨーク行動へ、地域で署名を広げ、世論をつくるため、是非ご活用ください。

●B5版、92ページ。 ●頒価:700円(送料実費) ●発行:原水爆禁止世界大会実行委員会.3・1ビキニデー静岡県実行委員会 お申し込みは、FAX:03-5842-6031、またはEメールでお寄せください。 E-mail: antiatom55★hotmail.com ★を@に変えてください。