
小泉進次郎防衛相が10月28日、防衛省で開いた記者会見を受けた日本原水協の高草木博代表理事のコメントを紹介します。
小泉進次郎防衛相は、国防省を「戦争省」と改名するドナルド・トランプ氏の大統領令を受けて日本政府も呼び名を改めたことを記者に突かれ、同大統領令を「力による平和の決意」を感じる、などと持ち上げてみせました。また、平和と安定を守り抜くには「確固とした抑止力、対応力が必要」とトランプ政権を持ち上げ、相手方のピート・ヘグセス国防長官も、「戦争長官」と呼ばせていただくとへつらいました。まだ、改名に必要な議会の承認も得られていない段階です。
戦争省の名はアメリカでは新しいものではなく、1789年の独立戦争の後すでに議会で決められていました。第二次世界大戦でも、日本では陸軍省と呼び、その長は陸軍長官と呼ばれていましたが、当のアメリカでは戦争省、戦争長官でした。
しかし、1945年6月、国連憲章の成立を経て事情は大きく変わりました。世界の代表が、「戦争の惨害から将来の世代を救う」ことを決意し、武力の行使と威嚇を国際紛争解決の手段とすることを禁止したからです。
いま、国際政治の舞台では、パレスチナ・ガザやウクライナにみられるような国連憲章をふみにじる武力による侵害や核の威嚇をグローバルガバナンス(世界の統治)から排除することが討論の核心となっており、2024年には安全保障理事会も含め国連機構の大幅な改変の方向も合意されています。
本来、日本は、過去の侵略戦争の反省、広島・長崎の原爆被害と国民の苦しみ、その上に生まれた日本国憲法の原則に照らしても、その努力をリードすべき国です。
世界の現状からみれば、ガザ住民に対するイスラエルのジェノサイドも、レバノン、シリア、イラン、イエメン、カタールなど周辺諸国への武力攻撃も、米トランプ政権の支援なしには起こりませんでした。
皇統の男系維持を「日本の宝」と言い、首相になるや米原子力空母で米兵に戦争準備の大軍拡を誓う高市早苗氏、「戦争省」「戦争長官」の名に陶然とする小泉氏。国連憲章は現行の憲章であり、日本国憲法は現行の日本政治の原則なのです。国民の判断が求められています。
(日本原水協代表理事・高草木 博)

