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核兵器廃絶の扉ひらく運動すすめる最適の学習資料『国際情報資料34』発行

2011年第66回国連総会は、軍縮と安全にかかわる決議を相次いで採択し、まさに、核兵器全面禁止、廃絶の声は世界のゆるぎない流れとして発展していることを示しました。

国連第1委員会の議論では、核兵器禁止条約も含めて、2010年NPT(核不拡散条約)再検討会議の決定の実行が強調され、特に、多くの国が核兵器国による実行を求めました。核兵器禁止条約の交渉開始を求めるマレーシア案(核兵器使用・威嚇の違法性についての国際司法裁判所の勧告的意見の後追い)は、賛成130、NPTのこれまでの合意の実行を求めたニュージーランド、メキシコなどで構成する新アジェンダ連合の決議は賛成169と、いずれも昨年に続き圧倒的な支持で採択されました。

また、今回新たな注目すべき動きもありました。北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるノルウェーは、オーストリアやメキシコとともに、核兵器禁止条約の交渉開始も含め、国連の責任で作業グループを設置することなどを求めた提案を行いました。これら重要な決議のみならず、期限を切った核兵器廃絶を正面から迫った非同盟運動の発言やオーストリア、ノルウェー政府の発言も収録しています。

さらに、国連第1委員会の冒頭に、セルジオ・ドゥアルテ軍縮担当上級代表は、「アラブの春はいまや中東だけの問題ではない、世界に民主主義の波が押し寄せており、軍縮にもそれが達している」と述べ、核廃絶のために第1委員会がその役割を果たすよう強調しました。そして、その中で、民主主義の波の具体的な表れとして、世界平和市長会議の署名と日本原水協が2010年NPTに提出した700万の署名に触れました。潘基文国連事務総長の講演の中でも、数百万の署名に言及しています。

国連は核兵器廃絶を最優先課題として実現しようとしていること、今、それが実現できる時代であること、そして、核兵器廃絶の扉をひらくためには、署名など市民社会の役割が決定的に重要であることを、この両氏の発言から深くつかむことができます。

また、「21世紀はアジア・太平洋の世紀」として、米国は世界支配戦略の中心をアジア・太平洋に大きく転換しようとしています。この問題についての論評とクリントン米国務長官の講演を掲載。欧州での米国とNATOのミサイル防衛の展開について、ロシアの強硬な声明も掲載しました。

21世紀の世界は激動しています。世界の変化を代表する、アラブの春、「オキュパイ・ウォールストリート」行動について、理解を深める論評や資料を掲載し、盛りだくさんで読み応えのある内容になっています。

 

ぶんちゃんのココがおススメ

まず読んでほしいのは、第66回国連総会において新たな動きを見せた発言の数々。2012年を何もせずに終わらせてしまわないよう呼びかけるのは、NATO加盟国であるノルウェー。「原子力のいかなる利用も破壊的な被害をもたらすリスクがある」とオーストリア。メキシコとともに、この3カ国は核兵器廃絶を国連の責任で確実に進めていくことを強く提案。ほかにも非同盟運動の積極的な発言など、期限を切った核兵器の完全廃絶を迫る各国政府の言葉に、思わず拍手!

ところが、この流れをまたも逆行させる最大の核保有国。「米国の太平洋の世紀」と題した、ヒラリー・クリントン国務長官のフォーリン・ポリシー誌への寄稿文には、実にはっきりとアジアを米国の支配下に置くべく戦略が。加えて、マイケル・T・クレアの論評「オバマのチャイナ・シンドローム」に、経済危機と国内の怒りから逃れようとする米国の焦りと、日本政府が沖縄新基地・TPP加入・社会保障と税の一体改革を急ぐ理由もこれに見て取れます。

しかし、圧倒的多数の国が「核兵器のない世界の平和と安全の達成」を望んでいる事実は消せません。700万人に及ぶ人たちの署名を直に受け取った驚きと喜びと、草の根の運動が大きな力を持っていることを示すセルジオ・ドゥアルテ国連軍縮問題担当上級代表の発言。世界の変化を代表する「アラブの目覚め」「エジプト緊急レポート」、オキュパイ・ウォールストリートから「世界で一番大事なこと」、そして「パン・ギムン国連事務総長の東西研究所核軍縮会議での講演」は、私たち一人ひとりの粘り強い行動に共感と、大きな期待を寄せています。

眉唾の民主主義と、核の安全神話はもういらない。現実にある核兵器廃絶の後押しをするためにも、この一冊は欠かせません。(大越文)

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