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原水協通信

毎月発行している日本原水協の機関誌です。国内外の反核平和運動についての情報が満載です。 日本原水協のウェブサイト→ http://www.antiatom.org/

「核兵器の全面禁止を!」

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【被災60年】2014年3・1ビキニデー福島県原水協・石堂祐子事務局長の発言

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2011年3月11日の東日本大震災そして東京電力福島第1原発の爆発事故からもうすぐ3年が経とうとしています。いまだに放射性物質は放出され続け、何億ベクレルという汚染水が地下水や海に流れ出ています。安倍総理は「汚染水はコントロールされている」などと言っていますが、まったくのでたらめです。事故は収束などしていません。メルトダウンした燃料棒がどんな状態になっているのかさえわからないのに、収束宣言を出した政府に憤りを覚えます。事故の処理を東電に任せきりにせず、国の責任において本気で世界の英知を集め、この難局を一日も早く乗り切って欲しい。まだ15万人がふるさとに帰れず、たまに様子を見に帰る我が家は、ネズミやイノシシなどに荒らされとても住めない状態になり、苛立ちと絶望を持ち帰る日々が続いています。小さな子どもを持つ親は子どもが成人しても放射能の影響を心配し続けねばなりません。また補償金をもらっても避難を余儀なくされ、仕事もなく生活の見通しが立たずに暮らしている人たちへの冷たい視線もあります。このことは、広島、長崎、ビキニ事件の被害者と全く同じです。放射能は、心やからだの健康だけでなく、地域のコミュニティを壊し、家族がバラバラにされ、人々が大切にしてきた日常のささやかな幸せを奪うものなのです。核と人間は共存できないことを私たち福島県民は身を持って証明いたします。

さて2月25日、原子力関係閣僚会議が「エネルギー基本計画」の政府案を決定しました。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけて原発推進の方向をますます明確にしました。ここには福島原発事故への反省はまったく見られません。福島県復興共同センターは2月25日に政府と交渉をしました。政府から「これまでの『ベース電源』という表現から『ベースロード電源』に変えた」との回答に、出席者からは「そんな言葉遊びは要求していない」「原発はいらないと言っているんだ」と怒りの声が上がりました。いったい私たちが受けた苦しみはなんだったのでしょうか。住民を犠牲にしてもなお原発にしがみつきたいのでしょうか。

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また先日おこなわれた東京都知事選挙。原発が争点の一つにもなったこの選挙の行方は福島でも関心をもって受け止められていました。立候補者の一人の田母神俊雄氏は「福島の原発事故で死んだ人はいない」と演説しました。彼は福島県出身です。この発言には福島の多くの人が唖然とし、悲しい気持ちになりました。実際には原発事故の関連死は1600人を超え、津波で亡くなった人の数を上回っています。何より原発の復旧作業に当たっている労働者は、高いレベルの放射線を浴びる作業を強いられています。下請け労働者は危険手当をピンはねされるなど、ひどい状況です。この事実を田母神氏が知らないはずはありません。彼が都知事にならなかったことをせめて喜びたいと思います。

この集会にお集まりの皆さん、新聞に「フクシマ」という文字を見つけたら読んでみてください。テレビで「フクシマ」のニュースがあったらちょっとの間でもいいので聞いてください。この先何年、何十年放射能と向き合っていくフクシマを忘れないでください。

さて、この3年間、福島はただ打ちひしがれてばかりいたわけではありません。福島県議会は事故のあった2011年10月に福島原発10基廃炉の決議を全会一致で可決しました。これは新日本婦人の会福島県本部が提出した請願です。さらに、昨年9月には「原発事故に関連する情報が秘密にされる恐れがある」との危機感から、国に対しこの法案に慎重に審議するようにとの意見書を提出し、全会一致で採択されました。11月25日には福島市で公聴会が開かれましたが、なんとこの公聴会は一般参加の募集はおこなわれず、住民を締め出す形でおこなわれました。7人の意見陳述者全員がこの法案に反対したにも関わらず、翌日国会での強行採決。こんな仕打ちがあるでしょうか。

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続いて昨年の12月議会、福島県原水協が提出した請願「核兵器全面禁止のための決断と行動を求める意見書の提出」が県議会総務委員会において全会一致で採択されました。これら3つの請願はいずれも全国に先駆けての採択です。未曽有の放射能被害を被った県民世論が議会を大きく後押ししたことは間違いありません。福島ではかつてなかったこの一連の変化を何とか希望に繋げていきたいと思っています。

福島県原水協は、「原発も核兵器もいらない」「これ以上放射能による被害者を作らない」との願いをこめて、福島県版の「核兵器全面禁止のアピール」署名用紙を作成しました。2012年の原水爆禁止世界大会にも参加された、福島県浪江町の馬場町長さんが呼びかけ人のお一人になっていただいたことは、これまでの運動にはない出来事であり、私たちにとって大きな励みとなりました。福島県原水協は来年のNPT再検討会議までにこの署名活動に賛同する自治体の首長さんをたくさん募り、全自治体での原爆写真展を開催し首長さんと懇談し、署名を広げていく計画です。また、福島県内の「非核平和都市宣言文集」を現在作成中です。まだ「非核平和都市宣言」をしていない自治体にはこの「宣言文集」を配布し、県内全部の自治体が非核平和都市となるよう働きかけていく予定です。

福島県原水協署名用紙

福島県内では今もう一つ、「原発即時ゼロ 子ども・いのち・くらし守る署名」にもとりくんでいます。街頭では「核兵器全面禁止」の署名と合わせてとりくんでいます。福島県内外あわせて100万筆をめざしています。お集まりの皆さんのご協力よろしくお願いいたします。

核兵器も原発も人類とは共存できません。誰かの犠牲の上に成り立つ国益などあり得ません。皆さん、核兵器も原発もない世界を目指し、ともにがんばりましょう。

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