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原水協通信

毎月発行している日本原水協の機関誌です。国内外の反核平和運動についての情報が満載です。 日本原水協のウェブサイト→ http://www.antiatom.org/

「核兵器の全面禁止を!」

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「南フランスのオバーニュ市に招かれて」日本原水協代表理事・沢田昭二

オバーニュ市はマルセイユの東約15 km、人口4万3千人の都市である。1985年の平和市長会議発足時から広島市と交流を続け、原爆展、美帆シボさんの「つるにのって」のアニメを見せるなどの活動を続けてきた。ダニエル・フォンテーヌ市長はフランス平和市長会議会長を務めている。オバーニュ市は毎年ユニセフなどと連携して独創的な取組みを実施してきた。今年2011年は「現在と明日の世界と出逢う年」として「平和の午後」を企画して、英語が話せる被爆者として美帆シボさんの紹介で私を招待した。

ダニエル・フォンテーヌ オバーニュ市長と市長室で

 

サダコの空間で被爆体験

5月25日の午前は、市の学校リクリエーション・センターのロビーでカナダのケベック州サント・ジュリー市から招待された小学生も交えた小学校上級生の前で被爆体験と原爆の影響について話した。サント・ジュリー市とオバーニュ市は大西洋を挟んで子どもの権利の促進活動を提携して取組む協定を1週間前に結んだ。これを反映して、この日の取り組みは「子どもと平和」と位置づけられていた。センターのロビーは「サダコの空間」と呼ばれ、一角に佐々木貞子さんが折り鶴を掲げた空中を飛んでいる像がある。市長が私を紹介し、私が話した後、小学生が「どうやって生き延びたのですか」、「爆発の後、どこへ行ったのですか」、「原子力と原爆の関係は」と、次々と質問を浴びせた。私が最後に「世界中の都市がオバーニュ市のような活動をすれば、世界から核兵器がなくなって平和になるでしょう」と述べたことを、地方紙がそのまま報じた。当初英語で小学生向けに語るのは難しいと思っていたが、長年フランスに住む児玉しおりさんをパリから呼んで下さったので、じっくり日本語で語りかけることができた。

25日の午後、「平和の午後」のイベントの一環として小学校校庭において、広島原爆資料館の絵画コンクールの1等賞入賞者を含む受賞者に賞状を渡した。受賞の子どもと写ったカラー写真とともに地元新聞の翌日の記事になった。

▲絵画コンクール受賞の子どもたちと(後ろ中央がオバーニュ市長)

 

小学生と一般市民に(5月26日)

翌26日の午後はアンチド・ボワイエ小学校で子どもたちの質問を受けた。「核兵器をなくさなければなりません。また原子力発電の技術は住民の安全を保障できるほど完全ではありません。核廃棄物の蓄積をもたらしているのですから」と答えた。

夕刻、市議会会館のホールで一般市民の前で、パリから来たフランスの物理学者とともに核兵器廃絶と原発問題について話し、質問を受けた。司会は市長自ら行い、私の被爆体験はフランス語に訳され、市の広報に掲載されていたので、参加者はすでに読んでいた。原発問題に質問が集中した。

 

ベルコデーヌの小学生の歴史教育(5月27日午前)

オバーニュ市の北に隣接するベルコデーヌという町のホールで小学校高学年を対象にした歴史の授業がおこなわれた。オバーニュ市長もベルコデーヌ町長も参加して、初めに美帆シボさんの「つるにのって」のアニメを見、それをオバーニュ市長夫人で「平和アピール百人委員会」のメンバーのジョゼットさんが解説した。広島を5度訪れた市長は原爆の破壊力の凄まじさを子どもたちに説明し、その後に私が被爆体験を話した。ここでも子どもたちから質問が相次いだ。

▲ベルコデーヌの小学生たちと

午後は、青い空と青い海の地中海に向ってそそり立つ崖が入り組む海岸を船で案内してもらった。また、最後の日の夜は、平和活動組織の会長さん夫妻が招待して下さった。

こうして、核兵器を持つフランスでも、核兵器のない世界をめざして、未来を担う子どもたちに市長が先頭に立って独創的な取り組みをしている都市を目の当たりにした。多くを学ぶ有意義な旅であった。

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