国連軍縮週間のつどい (2015年10月27日) パネル討論 核の傘と戦争法 被爆国日本の役割を問う NPT再検討会議後の焦点: 国連第一委員会の審議をみる 高草木博(日本原水協代表理事)
最初に、多忙な中をこのパネル討論会においでくださったパネリストと参加者のみなさんに感謝する。
変化する世界
10月21日、カナダの総選挙で勝利した自由党のジャスティン・トルドー次期首相が、イラクとシリアのIS(イスラム国)空爆作戦からカナダの戦闘機を撤退させることを、すでにオバマ大統領に伝えたと発表。
テロには絶対反対だが、軍事攻撃は解決にならない。空爆の多くが無辜の市民を犠牲にしている。2012年9月には、潘基文事務総長もテヘランの非同盟首脳会議で直接、いっさいの外部からの武力介入をやめ、政治解決をはかるよう訴えた。
もうひとつのニュース。9月13日、イギリス労働党の選挙でジェレミー・コービン氏が党首に選ばれた。コービン氏はさっそく、BBC放送のインタビューで「必要な場合、核のボタンを押すか?」との質問に、明確に「ノー」と答え、「核兵器の使用にも保持にも反対だ、核兵器のない世界を望んでおり、それは達成可能だ」と答えた(10月1日)。
先のNPT再検討会議で、カナダとイギリスはアメリカとともに、中東非核・非大量破壊兵器地帯会議の開催への異論を理由に最終合意を阻んだ国。イラク反戦の高まりにはじまった21世紀、世界は核兵器と戦争をめぐって大きく動いた。人々は、武力攻撃を選んだアメリカでもスペインでもイギリスでも、それを支持したイタリアでもこの日本でも、行動し、政治を変えた。そのプロセスはいまも、カナダでもイギリスでも沖縄でも、日本全土でも、ニューヨークの国連本部でも続いている。世界でただひとつ国民が被爆を体験し、戦争放棄を憲法原理とする日本は、その世界的努力の先頭に立つべき。
2015年NPT再検討会議後の国際審議の焦点
現在おこなわれている、国連第1委員会の審議だが、先のNPT再検討会議での決裂を経て、「核兵器のない世界を達成する」との2010年再検討会議の合意達成のための新たな論戦と結集が続いている。
焦点の第一は、核兵器の人道上の影響をめぐる議論の深まりと共感の広がり。周知のように、この議論は、人類の英知をもってしても対応できないと広島・長崎の原爆被害の教訓に立ち返り、核兵器の根絶を求めるもので、これまで国家の安全保障の枠で論じられてきた核兵器の問題を、人類全体の安全保障という新たな枠組に据え直す壮大なたたかい。
そのとりくみは、当初の16か国(2012年4月、NPT第1回準備委員会)から先日のNPT再検討会議での159か国の共同声明へと発展した。NPTの191締約国の中で調印国はすでに80%超。残りは5核兵器国、他に、オーストラリアが提案した核保有国との協調型人道声明に、26か国が同調(ほとんどが「核の傘」の下にある軍事同盟国で、内訳はNATO22か国、他の同盟国2か国など、日本は二股)。現在の第1委員会では、「共同声明」でなく決議案として出されている(実効部分の訳は、末尾参照)。
この流れは、スイス、ノルウェー、メキシコ、オーストリアなどにはじまり、新アジェンダ連合、非同盟運動の大部分なども協調しており、アメリカなども主要な論点を否定できなくなっている。
第二は、第一と関連するが、核兵器禁止条約を求める主張の広がり。むしろ、こちらの方が第一かもしれない。非同盟運動は、全面禁止条約を主張、ジュネーブの軍縮会議での多国間交渉、期限は、速やかに開始を主張(実行部分、末尾に添付)。「ハイレベル会合の後追い」と「国際司法裁判所の勧告的意見の後追い」があり、前回総会での採択結果は賛成139か国。核保有9か国中、中国、インド、パキスタン、北朝鮮も賛成票を投じていること。
今年の大きな特徴は、この流れに並行して、人道声明を主導する国が、核兵器禁止条約あるいはそれに準じる主張を鮮明にしていること。フラッグシップはオーストリア主導の「人道の誓約」決議で、「核兵器に悪の汚名を着せ、禁止し、廃絶する」ことを主張。南アフリカは、別に「核兵器のない世界のための倫理的義務」と題する決議案を提案し、「核兵器を禁止・廃絶する法的拘束力を持つ措置」を主張。
他に、旧ソ連圏からカザフスタンが「核兵器のない世界の達成のための普遍的宣言」を提唱し、禁止条約を主張している。これも新しい動き。
第三は、第6条「核軍備撤廃の効果的措置に関する交渉」義務と関連して、国際政治を起動させる動き。非同盟は上記の通り。人道声明グループの主張は、コンセンサス型で前に進めないNPTやジュネーブの軍縮会議(CD)とは別に、多数決型の国連総会の主導で「オープンエンデッド(期限、参加に枠をはめない)作業グループを作り、討論の進展いかんで交渉に入ることも妨げないとする動き。すでに2013年に一度、おこなっている。アメリカも、この動きを正面からブロックすることができなくなっているが、他方で、それを法的拘束力ある合意に発展させないという態度もあらわにしている(日本もアメリカに協調)。
核兵器禁止をめぐる具体的な方法では、さまざまなバリエーションが出されているが、大事なことは、核兵器を法的に禁止するという合意そのものを抗いがたい流れにまで広げること。これが「NPT後」の動きの最大の焦点であり、各国政府の動きをはかる尺度でもある。
どうする、この政府の態度!

吹き抜けの2階から俯瞰してみました。会場全体の一部です。
27日の原爆と人間展は、「上毛新聞」が第2社会面に紹介してくれたこともあり、大勢の市民らが来場。2日目は昨日の倍近い200人を超える来場者でした。
上毛新聞が2日目に掲載してくれました。3日目も「新聞を見た」という方が何人もいました。
被爆者団体群友会会長の須藤叔彦さん(86)も「私のDVD上映もあると報道されたので」とタクシーでかけつけました。
長崎の被爆体験を収録したDVDを見直す須藤さん(群友会会長=中央)
須藤さんは、この夏の原爆犠牲者慰霊式には体調が優れず参加できなかったため、お元気そうな姿に一同大喜び。モニター画面の前で約2時間、自ら語った長崎での被爆体験を確かめるように見入っていました。
須藤さんの隣で、「群馬大学の学生時代は後輩でいっしょだった」という吉田さんが「この方の記憶力は抜群だ」と話しかけて来ました。「須藤さんは、隣りにいるこの方ですよ」と紹介したら、びっくりされ、数十年ぶりの対面に拍手を交わした場面も。須藤さんには、帰り際「年末には被爆者連帯の募金を届けます」と伝えました。
群馬大学の学生時代の後輩という吉田さん(左)が来場し、須藤さんと再会。「須藤さんは医学の道に進むと思っていた」と吉田さん。須藤さんの父親は医者でした。須藤さんはDVDで長崎の被爆の中心地で、母親、妹、祖母を亡くし、父親と荼毘に付したことを語っています。
群馬県議の酒井宏明夫妻や、NPT行動の写真を提供してくれた角田行生さん(渋川市・県展:写真部門役員)、甘楽町町議の山田邦彦夫妻なども来場。
酒井宏明さんと奥さんのすみえさんも来場し、丁寧に見ていただきました。酒井県議は、2月の県議会で大沢正明知事にたいし、非核平和県宣言にふさわしい施策の充実を求めて質問しました。頼もしい県民の代表です。
山田さんからはちひろカレンダーの予約を50本いただきました!
ご夫婦でこの夏、広島大会へ参加した甘楽町議の山田邦彦さんはゲンTシャツで、奥さんと一緒に来場。「いわさきちひろのカレンダー」を50本予約してくれました。精力的な行動力の持ち主です。
加えて嬉しいことに、学校を終えてバスでかけつけてくれた藤岡あやめさんら3人の高校生が立ち寄ってくれました。
広島の原水爆禁止世界大会に参加した高校生もバスで来てくれました。右から2人目が藤岡あやめさん。
この夏、広島の世界大会へ「らぶぴーワゴン」で参加した仲間たちです。1人の高校生は「被爆者の描いた絵に描いてあったコメントが心にきました。やっぱり戦争は良くないと思いました。たくさんの人にもてほしいです」と感想を寄せてくれました。
広島世界大会へ持参した「らぶぴーワゴン」の横断幕も展示されています。「みんなで行っていろんなこと学んできたね」と話し合っていました。
会場内では、昨日に続き「被爆者連帯募金」「核兵器禁止アピール署名」への協力も。
滝沢代表理事(右の後ろ姿)に話しかける来場者の女性。
[…]

青森県原水協と青森市原水爆禁止の会は10月24日、26日、国連軍縮週間の宣伝行動をおこないました。
24日は、パサージュ広場でうたごえの仲間と歌いながら核兵器廃絶を訴えました。
26日は、さくら野デパート前で署名を呼びかけました。
27日もおこなうことにしています。

始まりました「原爆と人間」展。広島市からお借りした「市民が描いた原爆の絵」が見えます。
10月26日から群馬県庁内で始まった原爆と人間展。初日は、県庁に所用で立ち寄った若い人や中高年の人など、幅広い層の県民が来場しています。
花燃ゆの「ドラマ館」に立ち寄った女性グループなども足を運んでくれました。
時間をかけてじっくり見入る女性や、スマホに記録する男性もいて、「もう2度とこのような戦災がなく、平和な国でありますように。大変な目にあった人々にご供養申し上げます」(60代男性)「戦争は絶対反対です」(70代女性)などアンケートもよせられました。
アンケートに記入する女性。被爆者支援募金も、私たちの予想以上に寄せられています。
関心のある写真を、スマホに収める方もいます。
来場者には、はだしのゲンのイラスト入りの国際署名ハガキを差し上げて、核兵器のない世界への理解を求めました。
原爆展は、国連軍縮週間(10/24〜10/28)に呼応して群馬原水協が開催。26、27日は午前10時から午後5時まで、最終日の28日は午前10時から午後4時まで、県庁舎1階の県民ホール(南ホール)です。
群馬県庁舎。1階の県民ホールで開催中。右下のレトロ調の建物が昭和庁舎。
原爆写真約50点をメインに、市民が描いた原爆の絵30点が被爆の実相を伝え、平和の尊さと誓いを伝えています。
今年4月、NPT再検討会議に参加した写真家・角田行生さんのニューヨーク行動の写真約20点や、今年の平和行進や世界大会のミニコーナーも。
NPT再検討会議に呼応して行われたニューヨーク行動。群馬から参加した8人の代表の1人角田行生さん(元県庁職員)が作成したパネルも展示。
群馬民医連・群馬保健企画の代表が作成したNPT行動の報告パネル。元気にいって来た様子が伝わってきます。
群馬民医連・群馬保健企画の代表が作成したNPT行動の報告パネル。その②です。
高校生が広島の世界大会に持参した「らぶぴーワゴン」の横断幕や、山梨平和委員会が所蔵していた65年前の「ストックホルムアピール」のポスター(複製)も展示しています。
また、群馬県原爆被災者の会(群友会)の須藤叔彦会長の長崎での被爆体験DVDが上映されます。
県庁の昭和庁舎で開催中の「花燃ゆ」のドラマ館の展示も好調のようです。
[…]