【東京】「日本政府が核兵器禁止条約に署名・批准することを求めるつどい 西東京市議会でも政府に意見書を!」開催

 西東京原水協は5月10日、市内で「日本政府が核兵器禁止条約に署名・批准することを求めるつどい 西東京市議会でも政府に意見書を!」を開催し、26人が参加しました。

 はじめに西東京原水協の西田昭司理事長が挨拶。「2010年にニューヨークでおこなわれたNPT(核不拡散条約)再検討会議に参加した。藩基文(パン・ギムン)国連事務総長(当時)が、『地平線の彼方に、核兵器のない世界への明かりが見えてきた』と述べた。そのとき司会をしていたのが高草木さん。旧田無市の初代市長の指田吾一さんが広島の被爆者で『原爆の日記』を表した。アメリカは原爆投下に先立って日本に46発の模擬原爆を投下、そのうちの1発が旧保谷市に投下され、3人が死亡した。西東京市は非核平和宣言都市である。意見書を採択するべき市」と述べました。

日本原水協代表理事・高草木博さんの講演
地方自治体の議会で意見書を上げることは重要

 旧保谷市の革新市長であった都丸哲也さんは、東京原水協の代表理事として原水爆禁止と平和のために市民と力を合わせ続けました。議会で意見書を採択した地方自治体が全国で40%に達しましたが、まだこれからです。西東京市議会でも上げることが重要です。

世界の大勢は核兵器廃絶へ

 国連加盟国193カ国中、条約に署名した国が94カ国(約50%)、批准した国が73カ国(約40%)に達しています。非核兵器地帯は、南北アメリカ・カリブ海35カ国中33カ国(米・加を除く)、ベトナムなど東南アジア10カ国、カザフスタンなどの5カ国、モンゴル1カ国、南アフリカなどアフリカ54カ国すべて、エジプトなど中東の22カ国(イスラエルを除く)に広がっています。
 アメリカの議会では昨年11月、33人の議員が連名で、アメリカの安全保障政策の核心に核兵器を置くのではなく、核兵器廃絶を置くよう主張し決議案を提出しました(マクガバーン議員)。
 2018年にはアメリカの核戦争政策を担ってきたシュルツ元国務長官、ペリー元国防長官、キッシンジャー元国務長官、ナン元上院軍事委員会議長が連名で「核兵器のない世界をめざして」とする声明を発表しています。
 ヨーロッパでは2022年2月のロシアのウクライナへの軍事侵攻を受け、スウェーデンとフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に入りました。しかし、スウェーデンの17の米軍基地周辺では沖縄のように住民の不安や怒りが高まっています。平和運動の集会にはスウェーデン軍の兵士が参加するほどです。世界の大勢は核兵器廃絶へ向かっています。

唯一の戦争被爆国の運動として核兵器廃絶を求めるグローバルなネットワークを前進させる

 日本原水協には2つの課題があります。1つは唯一の戦争被爆国の運動として核兵器廃絶を求める世界諸国民のグローバルな(地球規模の)ネットワークを進め前進させること。国連総会でも核不拡散条約の会議でも、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)とともに発言すること、原水爆禁止世界大会に各国の政府代表や国連代表を迎えて交流を重ねること、核保有国や核依存国の市民社会や平和運動との共同行動を強めることです。核兵器禁止条約や日本被団協のノーベル平和賞受賞も後押ししています。

日本で核兵器禁止条約への署名・批准を実現し、核兵器廃絶の世界的努力の先頭に立たせる

 日本原水協が課題としているもう1つは、日本で核兵器禁止条約への署名・批准を実現し、核兵器廃絶の世界的努力の先頭に立たせることです。日本政府は「核の傘」への依存政策をとっていますが、憲法の平和原則に反しています。政府は「日本を取り巻く安全保障環境が悪いから」と他国のせいにし、外からの脅威を煽ります。しかし「核抑止」や「拡大抑止」などの名目で核の軍事ブロックをつくり、アメリカ主導の大軍拡に走ることを決して正当化するものではありません。ヘグセス米国防長官は、「アメリカ最優先だ。アメリカは持続的で強固で即応力があり信頼できる抑止力を、台湾海峡を含めインド太平洋で維持する。日本は西太平洋が直面するいかなる緊急事態でも最前線に立つことになる」と表明しました。日本政府がそれを唯々諾々と飲み込んでいる危険な実態があります。

世論調査では核兵器禁止条約に日本は「加盟する方が良い」は73%

 4月27日、「朝日新聞」がおこなった世論調査では、核兵器禁止条約に日本は「加盟する方が良い」は73%、「しない方が良い」は22%でした。アメリカの「核の傘」が「必要だ」が38%で、「そうは思わない」が55%でした。対米従属については「もっと自主的な外交」を求めたのは68%に達しました。

国民の意思を世論から現実の政治に変える大きなチャンス
6月には東京都議選と7月には参議院選挙

 この国民の意思を世論から現実の政治に変える大きなチャンスが迫っています。6月には全国の動きをリードする東京都議選、7月には参議院選挙があります。この選挙で安全と平和と日本の自主性を求める国民の意思を形にし、その大きな高まりの中で原水爆禁止2025年世界大会では、核兵器のない世界は可能であり、現実的な展望であることを世界に示したいと思います。

80年前のあの惨劇を繰り返してはならない

 今年は広島・長崎の被爆から80年になります。被爆者手帳を持つ被爆者は10万8,000人です。平均年齢は85歳を超えました。「あの日」の記憶を持つ最後の世代の方々の記憶を呼び起こし、若い世代に、そして世界に知らせ「人類と核兵器は共存できない」という被爆者の警告を核兵器の全面禁止・廃絶へと結実させるために私たちは全力を挙げています。
 あの日、8月6日、広島では朝7時から、空襲の火災から延焼を防ぐための「建物疎開」と呼ばれる作業に当たっていました。その主力は中学校や高等女学校の1年生、12歳、13歳の8,000人の生徒たちで、女子生徒の方が多かったのです。
 朝8時15分、B29爆撃機の爆音に顔を上げ、漂う落下傘を目で追う生徒たちを、太陽の表面温度さえ上回るような熱線が襲い、見上げた目、顔を溶かし、体を焼き、その日、翌日、翌週のうちに6,000人の命を奪いました。教師たちは全身を焼かれながらなお命ある生徒を背負い、生徒たちは手をつなぎ、肩を貸し、その手や肩の皮膚も肉も剥がれ落ちていった・・・そんな記録が残っています。生徒たちの親、兄弟、家族もまた、自らも負傷しながら、子どもたちを助けようと燃える街に入り、多くの人々が生涯苦しむような体と心の傷を負いました。原爆が襲ったのは、戦争を始めた者でもない、戦闘員でもなく、その圧倒的多数は子どもや生徒たちや家族、女性、一般の市民でした。もし核兵器が使われれば、これからもそうなります。

80年後のいま、攻撃は互いに最初から相手に壊滅的打撃を与える

 80年後のいまはどうでしょうか。一方の攻撃は相手側の反撃を呼びます。それを許さないために、攻撃は互いに最初から相手に壊滅的打撃を与えようとします。それがいま世界に12,121発もの核兵器が存在する理由です。

8月には原水爆禁止世界大会の成功と世界的な核廃絶の高まりを

 私たちは、世界の平和運動と力を合わせて広島・長崎の実相を伝え、被爆80年を核兵器のない平和で公正な世界へと進路を変える転機にしようと呼びかけています。政府に核兵器禁止条約への参加を求めるみなさんのとりくみを成功させ、6月にはそれが東京の、7月には日本国民全体の非核・平和の選択となるよう、そして8月には原水爆禁止世界大会の成功と世界的な核兵器廃絶の高まりを創り出せるよう、奮闘しましょう。

講演する日本原水協・高草木代表理事

質疑応答・意見交換

続いて質疑応答・意見交換では、

◎「若い人たちの間に、戦争への恐怖が広がっている。人があって国がある。子どもに権利を教えることが大事。マイナンバーは徴兵に結びつく。生活が大変なので経済に走ってしまう。核兵器の脅威を身近に感じてもらうことが大切」

◎「貴重な会。いまだからこそ地域からの発信で、こういう会を草の根的につくっていくことは大事だと思う。講師の方の真摯で謙虚なお人柄も感じた。最後の文の訴えたいことが伝わってきた。やるべきことの示唆につながると思った。ノーベル賞の受賞がなぜ被団協だったのか、まさに核使用が現実的であるからと強調された。田中煕巳さんの訴えと重なった。学術会議の問題は戦前への回帰、絶対防ごう」

◎「高草木さんのお話を聞いて、717自治体に続いて西東京市も意見書の採択を是非とも実現させたいと思った。核保有国の中でも国民のレベルでは核兵器廃絶の流れが大きくなりつつあると聞いている。『核抑止』論は平和への道を開くものではない。アメリカの『核の傘』に守られていると言うが、一触即発。地球滅亡さえしかねない核兵器に頼ることは極めて危険。戦争被爆国であり、平和憲法を持つ日本が先頭を切って核の廃絶を訴えてほしいと思う。非核平和宣言都市を掲げているのだから、市議会もそれに見合う行動をとっていただきたい。今年こそ(意見書)の実現を迫っていきたいと思う」

◎「数年前に西東京市議会は、自民党などが時期尚早として意見書を求める請願を不採択にした。しかしいま、核兵器禁止条約に署名した国が94カ国、批准した国が73カ国まで進んだ。昨年は日本被団協がノーベル平和賞を受賞した。今年は広島・長崎の被爆から80年、核兵器禁止・廃絶の機運が高まっている。こうした情勢を受け、意見書を採択する自治体が増え、1,788自治体中717自治体に広がっている。西東京市議会でもぜひ採択させたい。『会』の発足を提案する」

などの発言がありました。

「会」の発足、世話人の選出、「会」の申し合わせ事項、市議会議員への要請文を確認

 その後、「会」の発足を拍手で確認し、安齋、緒方、西田、西川、福井、星出、村田のみなさんを世話人として確認し、世話人代表に福井、副代表に西田、村田、事務局長に安齋のみなさんを確認し、「会」の申し合わせ事項と市議会議員への要請文を確認しました。

高草木さんとみなさんの発言に勇気を貰った

 村田副代表が「高草木さん、そしてみなさんの発言に勇気をもらいました。一人になるとあれができない、これができないと悩むことが多いが、そう考えるより、私はこれならできる、あれならやれるかも知れないとポジティブに考えて行動していきましょう」と閉会の挨拶をし、6月議会で採択できるよう頑張る決意を固め合いました。

市議会議員が4人参加

 なお、立憲民主党の森進一議員、日本共産党の大竹あつ子議員、同やまき明美議員、無所属の田村ひろゆき議員が参加してくれました。

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