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原水協通信

毎月発行している日本原水協の機関誌です。国内外の反核平和運動についての情報が満載です。 日本原水協のウェブサイト→ http://www.antiatom.org/

「核兵器の全面禁止を!」

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【ニューヨークNOW】ケイン軍縮問題担当上級代表がシェイクスピアの文句を引用して発言を締めくくる

「核兵器廃絶2013年国連要請代表団」に参加している日本原水協個人理事の川田忠明さんの感想を紹介します。

国連総会第一委員会の討論スタート

国連第一委員会議場

国連第一委員会議場

There is a tide in the affairs of men [and all people!].

Which, taken at the flood, leads on to fortune . . .

およそ人の行ないには潮時というものがある、

うまく満潮に乗りさえすれば運はひらける…

『ジュリアス・シーザー』(四幕三場)

国連総会第一委員会の討論が今日(10/7 10:00~現地時間)からはじまりました。

アンゲラ・ケイン上級代表(軍縮担当)は昨年、軍縮交渉が停滞していることへのフラストレーションを強く押しだした発言をしました。しかし、今年は、情勢の変化をかなり積極的にとらえています。核兵器の「非人道性」の告発や史上初の核軍縮についてのハイレベル会合(9/26)、さらにはシリアの化学兵器を条約にもとづいて廃棄する動きなど、重要な変化があります。

ケイン上級代表は、国連本部のあるイーストリバーが潮の流れで前にも後ろにも進むことを、軍縮交渉の前進と逆流の例えとして話をはじめました。

そして、冒頭のシェイクスピアの文句を引用して発言を締めくくったのです。なかなか味のある情勢論です。

国連第一委員会二日目 ジャブの応酬からいよいよ打ち合いがはじまる

アイルランドは、化学兵器の残虐性を言うなら、核兵器はどうなんだと、その廃絶を強く主張。アメリカなんかの痛いところをついてます。

マレーシアは、抵抗勢力に強烈なパンチ。「ハイレベル会合に、核保有国はローレベルの代表が参加」「拡散の危険を言うが、危険なのはそっちの核兵器」そして、今年も核兵器禁止条約を求める決議を提出すると宣言。

一方、ロシアが猛反発。核兵器の非人道性の議論は重要だが、それは「大衆外交」だ。外交は世界の現実をみてやらないといけない。そんなことを議論してる時じゃない・・・痛いところを突かれて、相当カチンときてる感じです。

午後はニュージーランドとマレーシアの国連常駐代表部を訪れて要請と懇談。相手は政府代表ですが、同じ志をもつもの同士だからでしょうか。気持ちの通じ合うひと時でした。

ニュージーランド代表部に要請する左から安井、古田、川田、中村の各氏

ニュージーランド代表部に要請する左から安井、古田、川田、中村の各氏

ジム・マクレイ国連常駐代表と記念撮影する日本原水協代表団

ジム・マクレイ国連常駐代表と記念撮影する日本原水協代表団

 

マレーシア代表部と懇談する日本原水協代表団

マレーシア代表部と懇談する日本原水協代表団

フセイン・ハニフ国連常駐代表(手前左から3人目)とリヤーズ・アブデュル・ラザク二等書記官(奥右端)と日本原水協代表団

フセイン・ハニフ国連常駐代表(手前左から3人目)とリヤーズ・アブデュル・ラザク二等書記官(奥右端)と日本原水協代表団

 

国連第一委員会三日目 見えてきた三つの流れ

A)ハイレベル会合を最高リーダー(元首や閣僚など)による核兵器廃絶への意思表示として評価し、それをうけた流れを作ろうとするもの。その中心は、非同盟諸国の提案(包括的に核兵器を禁止する条約の交渉開始など三つの内容からなる)とそれを支持する勢力。核兵器禁止条約(NWC)の言葉を使わず、アイディアで一致すればOK(?)。どこまで支持が広がるかが注目されます。

B)核兵器の使用がもたらす破滅的な結果(非人道性)に焦点を当てて、議論を活性化し、停滞する核軍縮を促進しようというもの。これを核軍縮議論の「中心に据えよう」と言った主張も出ています(エジプト)。西側諸国も含めて支持は広がりそう。非人道的な兵器として使用を禁止すべき。その保障が核兵器廃絶という論建てです。ただ具体的にどう廃絶の枠組みを作るのかは不鮮明。

C)「段階的前進」が現実的で(廃絶は当面の目標にしない)、核兵器廃絶には戦略的な安定が必要だと主張する(今はその条件がない)勢力。核保有国と同盟国の多くです。今日発言した米国は、昨日のロシアよりも「大人の対応」。すぐには無理だが、粘り強く段階的に、一緒にやりましょう、というもの。中国がここにきて、段階論を強調。

AがどれだけBを取り込めるかがカギだと思うのですが(重なる部分もありますが)、状況は複雑です。本来なら、その役割を被爆国日本が果たすべきところですが・・・存在感ゼロ。

さて今日は、アンゲラ・ケイン上級代表、イブラヒム・ダッバシ第一委員会議長(リビア)と会見、署名提出をおこないました。

ケインさん、日本語の名刺!。今年の原水爆禁止世界大会用に作ったのでしょうか。シリア問題の緊急対応で世界大会には来られませんでしたが、来年は是非、これを持って来日を。

アンゲラ・ケインさん日本語名刺

アンゲラ・ケインさん日本語名刺

他にスイス常駐代表部で軍縮大使と、ブラジル常駐代表部で公使参事官と懇談・要請しました。

(川田忠明)

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