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原水協通信

毎月発行している日本原水協の機関誌です。国内外の反核平和運動についての情報が満載です。 日本原水協のウェブサイト→ http://www.antiatom.org/

「核兵器の全面禁止を!」

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フランス・レンヌ平和運動主催の国際婦人デー集会に参加して

日本原水協全国担当常任理事・朝戸理恵子さんから寄せられたリポートです。

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2012年国際婦人デー(3月8日)にちなんで、3月2日から10日まで、レンヌ平和運動(フランス平和運動レンヌ委員会)は、「平和構築における女性の役割」に焦点をあてた連続集会をブルターニュ地方の各地で企画しました。

▲ブルターニュ地方

レンヌ平和運動の中心メンバーで、フランス平和運動全国調整委員でもあるロラン・ニベ氏は、1990年の初めと2010年の2度、原水爆禁止世界大会に参加した人です。そのロランから日本原水協に「核兵器廃絶運動での女性の努力と国際的連帯について話してほしい」と代表派遣の要請があり、ロンドンから私が3月2日から4日の間、レンヌ、フージェール、サン・マロの3箇所で開かれた集会に参加しました。他に、レンヌ平和運動と交流のあるアルジェリア、セネガル、クロアチア、コロンビアの女性平和団体の代表が招待されていました。

フランス・ブルターニュ地方の中心都市であるレンヌ市(人口約20万人)は、世界遺産であるモン・サン=ミシェル観光の起点としても有名な町です。仙台市の姉妹都市であるレンヌ市は、東日本大震災で大きな被害を受けた仙台への救援募金にも取り組みました。

3月2日夜の公民館での集会は、レンヌ平和運動、レンヌ市、レンヌ平和教育協会との共催で企画され、副市長(女性)と市長室職員を含む約80人の市民が参加しました。正面には2011年にノーベル平和賞を受賞したリベリアとイエメンの3人の女性の写真入りの横断幕が掲げられ、平和構築への女性の大きな貢献が強調されていました。

限られた時間の発言でしたが、私はまず、昨年の大震災と原発事故の被災者へフランスの人々から寄せられた連帯、募金などの支援に感謝を述べました。福島の原発事故の後、特にこどもたちを放射線被害から守ろうとする若いお母さんたちや青年など、これまでどんな運動にも参加したことのない人々が全国各地で立ち上がり、原発の全廃を求めて運動を起こしていることや、放射線被害を知る中で核兵器の問題、広島・長崎の被害も学び、核兵器廃絶の運動に新たに加わっていること、そして、1954年のビキニ実験被災後に原水爆禁止の署名運動を始めたのも東京・杉並の女性たちで、それが全国に広がって3400万もの署名が集められ、翌年の第1回原水爆禁止世界大会開催と原水協の誕生、1956年の被団協結成につながったことを紹介しました。

そして現在、2010年NPT(核不拡散条約)再検討会議での『核兵器のない世界の枠組みを作るために特別の努力を行う』との決定を受けて、「原水協は、今年4月の準備委員会から始まる2015年NPTに向けた再検討サイクルが、真に核兵器禁止条約をかちとるものとなるよう、全力をあげて『核兵器禁止のアピール』署名に取り組んでいます。4月の準備委員会が開かれるウィーンでは原爆展の開催を計画しているので、フランスをはじめ、ヨーロッパ各地の反核平和運動の参加と協力をよびかけます」と訴えました。

昨年から取り組んでいる『アピール』署名をすでに昨年秋の国連総会に100万人分以上提出したことを述べると、大きな拍手を受けました。持参したフランス語版の署名用紙には、参加した人々が次々と快く署名してくれました。英仏海峡に面したサン・マロでの集会には約30人が参加。主催者である地元のサン・マロ世界女性連帯協会代表のスーゼルさんは、昨年来、交流のある日本の女性グループに救援物資を送る活動にとりくんできたと話していました。参加者から原発について質問が出され、私が「原発は全廃して、再生可能エネルギーに転換することをめざしています。日本の多くの女性が、震災後の国民に冷たくアメリカべったりの日本政府の態度に怒り、核兵器や米軍基地や原発にではなく、国民の命を守る政策への国の政治の転換を求めて運動しています」と発言すると、大歓迎され、「勇気ある発言をありがとう」とお礼を言ってきた女性がいました。フランスは原発が発電量の約7割を占めるという原発大国。「国内にある多くの原発で頻繁に事故が起こっているが、政府もメディアも決してそれを発表しない。3月11日には原発全廃を求める人間の鎖全国行動を計画しています」と語ってくれました。

▲人間の鎖を行う人々

アルジェリア、クロアチアの代表は、宗教対立によって人々が分断され、女性への暴力や多くの抑圧があるなかで、女性の権利を守り、教育する活動をしています。セネガルの代表は、南部の分離独立を求める反政府勢力との衝突に男性が駆り出され、女性が家族とコミュニティを守る役割を負わされている状況について語りました。コロンビアの代表は、「麻薬戦争」とアメリカの介入によりさまざまな暴力の犠牲になっている女性への支援活動について発言していました。植民地主義の遺産とのたたかいや、外国からの干渉がもたらす困難とのたたかいなど、日本とは異なるたいへんな状況の中で、たくましく明るく活動している彼女たちの力強さに大きな感銘を受けました。ただ残念だったのは、通訳体制が十分でなく、討論の詳細な内容が正確にわからなかったことです。フランス語ができたら・・・と心残りでした。

4月末に大統領選挙を控え、フランス平和運動は、各候補者に核兵器廃絶についてのアンケートを行い、各地で候補者の討論会をよびかけるなど、核兵器廃絶を重要な争点にするために各地で活動しています。左翼戦線の候補者は「核兵器は廃絶すべき」と回答しているとのことでした。ロランは、青年たちをぜひ今年の世界大会に派遣して、広島・長崎のことを学ばせたいと意欲を語ってくれました。

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