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原水協通信

毎月発行している日本原水協の機関誌です。国内外の反核平和運動についての情報が満載です。 日本原水協のウェブサイト→ http://www.antiatom.org/

「核兵器の全面禁止を!」

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【2016年3・1ビキニデー日本原水協全国集会・国際交流会議】土田弥生さん(日本原水協事務局次長)のスピーチ

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土田弥生氏


被爆70年を経て 核兵器廃絶へ新たな国民運動を

土田弥生/日本原水協事務局次長

昨年、被爆70年を核兵器廃絶の転換点にと私たちは奮闘しました。2012年NPT準備委員会からスタートした、核兵器爆発が起これば世界中が壊滅的で長期的な被害を受ける、その核兵器の非人道性から核兵器を禁止するとの流れが大きく成長しました。

2015年NPT再検討会議では、2012年には16カ国の賛同でスタートした「核兵器の人道上の帰結」共同声明に159の国が賛同するに至りました。その流れは昨年の国連総会でも前進し、「核兵器の人道上の帰結」決議144の賛成、「核兵器禁止・廃絶のための人道の誓約」決議139、核兵器のない世界のための倫理的義務132、など国連加盟国の約70%の国が、核兵器の禁止・廃絶に賛成しています。このように、核兵器のない世界の実現は、世界の圧倒的多数の声になっています。

私たちは、2015年NPT再検討会議に向け、広島・長崎の実相普及や署名活動を繰り広げました。また、ここにおられる海外代表の皆さんとともに、ニューヨークで国際行動を行い、核兵器全面禁止の630万余りの署名をNPTに提出しました。NPTで最終文書はまとまらなかったものの、これらの活動は、核兵器の禁止の流れを大きく後押しするものとなったと確信します。

この流れは、核保有国や核の傘に依存する国々に攻勢的に迫りました。日本も当初は人道的帰結の共同声明に賛同していませんでしたが、国民の世論に押されて賛同しました。アメリカやイギリスも世論に押され、2014年ウィーンで開かれた人道的帰結の国際会議に参加をせざるを得ませんでした。保有国も、核兵器の非人道性は認めざるを得ないのです。

さらに、今年、国連の下でオープンエンド作業部会が開かれ、核兵器を禁止する法的措置を議論することが決まっており、議論の行方の期待が高まっています。

しかし、その反面、保有国はこの流れに強く抵抗し、核兵器は国家安全保障にとって有益であると主張し、核抑止力を手放していません。禁止には進まないという態度です。アメリカの「核の傘」の下にあるNATO加盟国や日本政府も、核兵器の非人道性は認識していると言いながら、核抑止力が必要であるとして、禁止を拒否、保有国の立場を支えています。

これが核兵器をめぐる現在の状況です。さらに前進するための私たちの課題は明白です。潘基文国連事務総長は「真の国家安全保障は、核脅迫の影の外で、そこから離れたところでのみ達成できる。この影は現在と未来のために取り除かれるべきである」と言っています。(2015年NPT再検討会議へのメッセージ)

実際、保有国の主張とは裏腹に、核抑止力の維持がどれだけ世界を危険にしているか示す多くの事例があります。ウクライナやシリアの紛争をめぐって、介入している核保有国間の対立や緊張が激化しています。記憶に新しいのが、ウクライナ問題をめぐり、プーチン大統領が核兵器使用の準備をしていたことがあり、それに対抗するNATOも核兵器使用も視野に入れた演習をくり返していることです。シリアやイスラム国への爆撃に大国が介入し激化していることも、核兵器の拡散や使用の危険を高めています。

アジアでも北朝鮮の水爆実験とそれへの米日韓による軍事的対応、領土問題をめぐる軍事的対応の応酬など、軍事衝突の危険が高まっています。

日本の安倍政権が進めている戦争法、集団的自衛権の行使、明文改憲への道は、日本と世界をさらに危険にする道です。日本がアメリカとともに、このような国際紛争にも関与し戦争する国になれば、テロリズムや戦争にまきこまれ、日本人が殺し殺される事態が起きることは、他国の事例が証明しています。

さらに日本がアメリカの核の傘にいることによって、アメリカの核戦略に組み込まれています。沖縄に核兵器が配備されていたことが明らかになりました。現在、焦点の辺野古の基地建設は、核密約があり、核兵器が持ち込まれる基地になると言われています。

核抑止力の維持によって、戦争や国際紛争と核兵器の使用の危険は表裏一体のものとなっています。紛争は平和的に解決されなければなりません、そして、核兵器廃絶は緊急な課題です。意図的であれ事故であれ、核兵器の使用を繰り返してはなりません。

そのために、これまでの到達に立って、被爆者の「生きている間に核兵器の廃絶を」の願いを実現するため、私たちはビキニデーから新たなスタートを切る決意です。

第一の合言葉は、「核兵器の非人道性から禁止を」ということです。日本の原水爆禁止運動は、広島・長崎の実相を広め、核兵器禁止の世論を高めてきました。今や国際社会が広島・長崎の原点に立ち戻り、国連の事務総長が「核兵器廃絶の緊急性を疑う者は、被爆者の声を聞け」というまでになりました。しかし、核保有国や依存国の抑止力論を打ち破るためにはまだまだ足りません。被爆国の運動の責任として、この活動を日本と世界の隅々でくり広げましょう。

もうひとつの合言葉は、「被爆者とともに国民運動を」ということです。イギリスのCNDに先を越されました。27日の集会に本当に幅広い人たちを結集してトライデント反対の集会を組織されたことに敬意を表します。私たちも、明日の原水協集会で、被爆者からアピールと署名が提起されるということで、大いに期待しています。これはすばらしいイニシアチブだと思います。被爆者のアピールはこれまでの垣根を超えて、幅広い支持を集めることまちがいありません。

私たちは戦争法や憲法改悪に反対する広範な国民の立ち上がりと共同の広がりにも背中を押されています。12万人の国会包囲は近年未曾有の出来事でした。オール沖縄も粘り強くたたかっています。国民の声に動かされ、来る参議院選挙で戦争法廃止を実現するため、選挙協力に野党が合意したことは、日本の政治に新風を吹き込むものです。この朗報を受けて、市民の側も一丸になろうとの意気が高まっています。

私たちは、戦争法廃止2000万署名にも全力を挙げ、この重要な課題で勝利に貢献する決意です。安倍政権の悪政のもと、平和だけではなく貧困や福祉切り捨て、福島の被害の切り捨て、原発再稼働反対、立憲主義回復など広範な運動や人々と日本を変えるために協力し、核兵器廃絶の世論を築いていきたいと思います。

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