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原水協(原水爆禁止日本協議会)
被爆者との連帯 ビキニデー 平和行進 世界大会

ビキニデー

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アバッカ・アンジャイン・マディソン
元上院議員/ロンゲラップ島民女性クラブ「イジュ・イン・エアン」代表、マーシャル諸島共和国

ヤッコエ、こんにちは

初めに、この重要な集会に招待して下さった原水協に心からの感謝を申し上げます。参加することができて光栄です。今回来日することは簡単ではありませんでした。ロンゲラップの女性たち、特に、もうわずかしか生存していない核実験の被害者からの、心からのご挨拶を申し上げます。

私の国では本日、核被害者追悼集会が開催されました。核実験の被害を受けた4つの環礁(ビキニ、エニウェトク、ロンゲラップ、ウトリック)の代表や、NGO、マーシャル大学の学生達が参加する調整委員会が政府と協力し、公式行事や核兵器に関するシンポジウム、平和行進を組織しています。また、今年は、マーシャル諸島の24すべての環礁と島から青年が集い、核実験の遺産を歌にしたコンサートが初めて開催されました。

さらに今日は、世界中の女性が祈りを捧げる日として重要です。女性のための祈り国際デーの今年のテーマは「集まろう、準備は整った」です。いろいろと解釈できますが、皆さんと共に今日ここに集い、成し遂げようとしている目的に合致する意味を持っていると私は受け止めています。

ビキニデーとは、私達にとって多くの感情が湧き上がる日です。この日、世界は大きく変わりました。65年前の今日起きた出来事によって、何千もの人々が亡くなり、生きながらえてもモルモットとして扱われた被害者たち、苦しみながら移住を余儀なくされた家族や友人たち、平和と安全が危うくされたことを、私達は決して忘れてはなりません。

亡くなった私のいとこレメヨ・アボンは、3月1日のブラボー実験について証言を残しています。全てはロンゲラップ環礁で彼女が14歳の時に起こりました。その朝、レメヨは、雷鳴のような爆音に驚き飛び起きました。それは、ロンゲラップから94マイルしか離れていないビキニ環礁で行われた13メガトンの水爆実験によるものでした。いったい何が起こっているのか、彼女も他の島民も全く分かりませんでした。この水爆は、広島と長崎に落とされた原爆の千倍もの威力を持っていました。

レメヨの子供時代は幸せでした。まわりの友達といつも遊んだり、年長者として友達を率いて、食べ物を集めてくる仕事をゲームのように楽しんでいました。まさに、その日も、彼らが食べ物を取りに行っている時に、白い粉が空から降ってきたのです。それは雪のようだったので、彼らはそれを口に入れたりしました。その後、口の中はやけどをし、焼けるように熱く痛くなりました。しかし、依然として、何が起きたのか全く分かりませんでした。

核の毒が土地をむさぼり、人々の生活は一変しました。すべての子供たちは体の変調に泣き叫んでいました。当時島にいた85人の子どもと大人たちは下痢、嘔吐、体のかゆみと痛みに苦しみました。レメヨの人生が永遠に変わってしまったこの日から、彼女は二度と人生を謳歌することができなくなりました。彼女の健康、身体、尊厳はずたずたにされ、アメリカの軍人が言う「全人類の幸福」のためのモルモットとして扱われたのです。

レメヨの人生は年を重ねても決して良くはなりませんでした。甲状腺を切除する手術を行い、流産を何度も経験し、昨年2月19日に亡くなるまで、薬を飲み続けなければなりませんでした。米国エネルギー省は彼女を研究対象として扱い続けたのです。レメヨは3月1日マジュロに埋葬されました。彼女は人権擁護の真の提唱者であり、平和と命を守る闘士でしたが、とても謙虚な人でした。彼女の願いは核兵器の完全廃絶でした。

マーシャル諸島政府は核兵器禁止条約にまだ署名も批准もしていませんが、最近設置された政府の核問題委員会(NNC)によれば、これは意見の相違によるものではありません。保留の決定は単に、ふさわしい時期を待つという政治的な理由によるものです。

マーシャル国民は、アメリカと結んだ自由連合協定に基づき、同国への自由入国、よりよい医療、教育、福祉の機会を得ることができるなど、多くの利益を得ています。連邦政府の資金提供、教育・医療・インフラ支援など、自由連合協定による経済支援が2023年に期限が切れるまであと4年あります。マーシャル諸島政府はアメリカに対し新たな協定を結ぶ提案を検討しており、その中に、核の問題も含めようと考えています。

核問題委員会の役割は、マーシャル諸島の核の遺産を監督することです。正義を追求するための国家戦略と行動計画づくり、データや報告、ジャーナルと研究文書、過去、現在、未来の核兵器プログラムに関する裁判の判決などの保存、大統領への進言などの活動を行います。

人権と正義を追求するための行動と努力をさらに発展させるため、マーシャル諸島政府は、国連人権理事会へ加盟するため、その支持を求めて昨年新たな国際キャンペーンを立ち上げました。この夏ジュネーブにマーシャル諸島共和国の大使館が公式にオープンします。私たちのような小国がジュネーブでの存在を確立しようと勇気ある行動を起こしています。これは、世界平和のために私たちが引き続き努力をする決意の表れです。決してあきらめません!

私は世界で最も広い礁湖をもつクワジェレン環礁のイバイで仕事をし、生活しています。そこは、米軍基地であるロナルド・レーガンミサイル実験場から4マイル離れたところにあります。定期的にミサイルはカリフォルニアのバンデンバーグ基地から発射され、クワジェレンの礁湖に着弾しています。実験の後いつも、クワジェレンの島民は、気分が悪くなったと訴えています。

クワジェレン環礁の礁湖は、雨水排水路から流される、PCVや鉛、高濃度の化学物質で汚染されています。魚と海洋生物は汚染されていますが、イバイの人々はそれらを食べ、特に子供や弱い人々の健康や生活が危険にさらされています。魚介類は、たんぱく質を取る主な食材ですが、人々は輸入食料に頼らざるを得ず、それによって、糖尿病や心臓病、他の成人病が増加しています。

米国エネルギー省は、今年、クワジェレン環礁の礁湖に存在するプルトニウムを再評価する予定です。最初の調査は、1960年代に、核被害補償裁判所の補償申請担当者、今は亡きビル・グレアム氏らが中心になって行なわれ、とても高い値のプルトニウム汚染があることが明らかになりました。マーシャル諸島政府は、この再評価の結果を知りたいと思っています。

クワジェレン環礁のクワジェレン島の対極にロンゲラップ島民が避難しているメジャット島があります。島民は引き続き苦難と孤立の中で暮らしています。メジャットで取れる魚はほんのわずかです。今週、マーシャル政府は、海水を水に変える浄化装置を取り付けようとしています。というのも、メジャットに干ばつの被害が生じているからです。

今年11月、マーシャルでは国政選挙が行われます。ロンゲラップ、そしてマーシャル諸島全体の将来が決定されます。ロンゲラップの再定住計画、特に、ロンゲラップ島に帰島する島民の住宅建設は、現在、中止となっています。いろいろ理由がありますが、信託基金がアメリカによって大幅に削減されたこと、そして、最近の会計監査報告によると、その資金の乱用があったことが明らかになっています。ロンゲラップや被害者に対するアメリカの援助や補償は、全く新たな進展はありません。

今年のビキニデーのテーマは、とても将来を見据えた、私たちを力づけるものです。実行委員会に対し、このテーマ設定に称賛を送ります。私たちの運動を持続させ、より強力なものにするためには、青年を関わらせることが重要です。というのも、マーシャルでは、インターネットやゲームに比べると、核兵器問題への関心は低いですが、それでも私は最近変化を感じています。青年が被爆地域出身でなくても、この問題に関わろうとする傾向があるからです。

マーシャルには、「青年は私たちの国の未来だ」ということわざがあります。青年を育てれば、私たちの目標もいつか近い将来達成することができるでしょう。その頃、核兵器は重要な問題ではなくなっていることを期待します。

私がマジュロの空港に向かっている時、ロンゲラップの最も年長者であり、ブラボー実験の被害者である、ネルジェ・ジョゼフと話をする機会がありました。彼女はみなさんに、心からのヤッコエと愛を伝えてほしいと言いました。そして、皆さん方のマーシャルに対する友情と活動に感謝していると言っていました。原水協に対して、感謝の言葉を申し上げて、私の発言を終わります。



 
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