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原水協(原水爆禁止日本協議会)
被爆者との連帯 ビキニデー 平和行進 世界大会

ビキニデー

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同じ目標に向かって―みんなで力をあわせよう
ゲディミナス・リムデイカ(医師/リトアニア緑の党)

2019年3・1ビキニデー日本原水協全国集会・国際交流会議(2月27日)

広島、長崎、ビキニ環礁、チェルノブイリ、福島―人類にとって危険な放射線の教訓は、あと何回私たちを待ち受けているのでしょうか。リトアニアは2009年までは原子力国のリストに含まれていましたが、その年、イグナリナ原発が26年間の稼働を経たのち閉鎖されました。イグナリナ原発の閉鎖は、2004年リトアニアがNATO(北大西洋条約機構)と欧州連合に加盟したからでした。リトアニア政府の変化に伴い国民の原発に対する姿勢も変わっていき、ついに2012年の国民投票で、リトアニア国民は「核エネルギーにNO」を宣言しました。62.68%もの国民が新規の原発建設に反対したため、日本の日立との間で結ばれていた、より安全性の高い第三世代の改良型沸騰水型原子炉(ABWR)の仮契約は取り消されました。

リトアニアはエネルギー資源での自立を目指して別の道を選びました。2014年2月、Independence FSRU【浮体式のLNG貯蔵と再液化設備を備えた受入基地】がクライペダ港に到着しました。現在、エネルギー消費量の36%は石油とその関連製品に、30%は天然ガス、19%は再生エネルギー資源、15%はその他に由来しています。

チェルノブイリ原発事故後、汚染除去作業に7212人の若者が動員された経験をもつリトアニアの国民は、1945年の広島、長崎の、そして1954年のビキニ環礁での悲劇を忘れることはありません。

原水協から寄贈された30枚の写真・絵画のパネル展示は、再び、日本の人々が経験させられた恐怖を私たちに思い起こさせる機会を与えてくれました。ビリニュス医科大学図書館とエレクトレナイ市立図書館で開かれた原爆展は大きな反響を呼びました。原爆展は駐リトアニア日本大使も臨席して開幕しました。ビリニュスのレントバリス中等学校で開かれた原爆展では、生徒たちは貴重な歴史の教訓を学びました。核兵器の破壊的な特徴や原子力発電所の「原子力の平和利用」の危険な力についても討論しました。また原爆展は、リトアニア消防局の消防士訓練計画にも含まれました。

「百聞は一見に如かず」ということわざがあります。原爆展を開催するまで私は学校などで、自分が広島と長崎の原爆資料館で見たこと、日本の人々がどれほどの苦しみを受けたかについて何度も何度も話をしてきました。言葉で説明するのはとても難しいことでした。しかし、写真や絵は人々に非常に大きな印象を与えます。学校では同じ質問を何人もの生徒から受けました。「核兵器を禁止するにはどうすればいいのですか?」「同じような悲劇を起こさせないためには何をすればいいのでしょうか?」と。昨年の政府庁舎の原爆展は、リトアニア首相の日本訪問【2018年10月】に合わせて協力し開催されました。これは、原爆投下という悲劇に対するリトアニア政府の姿勢を示すものでした。このようにして私たちはこの問題をできる限り幅広く訴えるようにしてきました。リトアニア国民の大多数が悪影響を受けたチェルノブイリ事故の記憶は人々の中にまだ残っているため、このことはもっと大きな意味を持っています。チェルノブイリ事故の起こった4月26日には毎年、リトアニアの青年たちが平和行進を組織して、原発事故の影響だけでなく日本への原爆投下と放射線被ばくの犯罪について訴えています。

リトアニア国会と政府施設内で開かれた原爆展は、国会議員、政府職員、外国からの訪問者に、核兵器が引き起こす影響を、理論だけでなく実際にその目で見て知る機会を与えてくれました。リトアニア政府は原水協のみなさんが行ってこられた活動を高く評価し、原爆展示物の寄贈に対して感謝状を送りました。私たちは、恐ろしい歴史の教訓を目に見える形で知らせてくださった原水協のみなさんに深く感謝を申し上げます。将来に向けて行なわれるすべての活動が大きな成功をおさめられるよう望みます。

つい最近、リトアニアの大手テレビ局であるLNK/自由独立チャンネルが、リトアニア国境から20キロの地点に建設された、ベラルーシのアストラベツ原発についての番組を放映しました。私はこの番組に出演して、目に見える資料として原爆展の写真を示しながら発言しました。リトアニアの全国民にとっ、てこれらすべてをテレビの画面で見る機会となりました。

チェルノブイリ原発はリトアニアから600キロ離れていましたが、アストラベツ原発はベラルーシとの国境からわずか20キロ、そしてリトアニアの首都ビリニュスから50キロのところに建設されています。これはリトアニア全体にとって時限爆弾のようなものです。この原発で事故が起これば、ビリニュス郊外の住民も避難区域に含まれることになります。この原発には1200メガワットの原子炉が2基設置されることになっていますが、これに融資し建設しているのはロシアのロスアトムという企業です。すでに火災や事故が何度か発生していますが、建設現場で何が起こっているかについて、リトアニアにはまともな情報が知らされていません。2017年に、国連オーフス条約(環境に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参画、司法へのアクセス条約。2001年発効)の会議で、アストラベツ原発建設が住民の同意を得ることなく建設されたことが確認されました。この原発の地震・地質学的調査、ストレステストその他セキュリティ関連の情報について、ベラルーシからリトアニアには未だに回答が届いていません。ベラルーシはIAEA(国際原子力機関)、専門家によるSEED(立地評価・安全設計レビュー)ミッションに協力して、正確に客観的に環境安全基準を評価すべきです。

数日前、ジュネーブで開かれたエスポー条約(国連越境環境影響評価条約)会議は、加盟36カ国中30カ国の賛成票で、アストラベツ原発(ベラルーシ)に関するリトアニアの申立てについてのエスポー報告を承認しました。この報告は、ベラルーシが次の3点にわたって条約に違反していることを認めています。1)建設場所を不当に選定した、2)環境影響を調査している当事者と協議を行わなかった、3)環境影響文書の作成を不適切に行った。これは最終的で変更できない決定であり、リトアニアはこの計画が不合理であり国際的要件に適合しないことを証明したのです。しかし非常に残念なことに、このプロジェクトは今や修正も停止もできません。この申立てを行ってから数年が過ぎ、手遅れなのです。その結果、ヨーロッパと世界は危険にさらされ、ベラルーシとプロジェクトに関わった企業は国際的に評判を落とすことになりました。

条約締約国の大多数が承認した報告は以下のリンクから読むことができます。

https://www.unece.org/fileadmin/DAM/env/documents/2019/ece/IC/Ostrovets/1819568E.pdf

私たちはみなさんの活動から学び、世界中の全ての勢力と力を合わせて、核兵器の完全禁止を達成するつもりです。


*越境環境影響評価条約(通称「エスポー条約」)は、国連欧州経済委員会が策定した条約で、1991年フィンランドのエスポーで調印され、1997年に発効した。この条約は、条約に拘束されることに合意した締約国に対し、特定の活動については計画の初期段階に環境影響評価を実施することを義務付けている。また、国境を越えて環境に深刻な悪影響を及ぼす可能性のある、検討中のあらゆる大規模プロジェクトに関して、相互に通知し協議することを締約国の通常の義務と定めている。



 
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