ビキニデー
【2014年3・1ビキニデー国際交流会議】
マラヤ・ファブロス(非核フィリピン連合)
みなさん、こんにちは!私はマラヤ・ファブロスです。フィリピンから来ました。
非核フィリピンから、太陽の輝きと心からの挨拶をお届けします。昨年は、日本原水協から、2013年ビキニデーにビデオメッセージを送り、平和行進への参加を呼びかけてほしいとの要請を受けました。ビデオメッセージという形でこのような重要な会議に参加できたことは、とても特別なことでした。そして今日、この場に参加できることをとても嬉しく思います。みなさんに直接お話しできて光栄です。みなさんの献身さに学び刺激を受け、平和、正義、核兵器のない世界への連帯という夢を共有したいと思います。みなさんは、本当に長い道のりを歩んでこられました。私たちの運動が2015年とそれ以降に続く勝利の道を進むことを願っています。
しかし、私たちの夢の実現は、今年私たちみなが何をするかにかかっています。広島と長崎から70年です。私たちが愛する被爆者のみなさんは遂に、核兵器の完全廃絶のプロセスが開始されるのを見ることができるのでしょうか?2015年のNPT再検討会議は、最後の再検討会議になるでしょうか?私は、非核フィリピン連合代表をしてみなさんと連帯し、今年のビキニデーを、核兵器のない平和な世界という夢の実現への大きな一歩にしたいと思っています。
ここで、昨年超大型の台風30号「ハイヤン」がフィリピン中部を直撃した際、支援の手を差し伸べてくださったすべての方々に、お礼を申し上げます。私たちフィリピン人が、いかに年間20個以上の台風襲来に慣れていても、またどれだけ自分たちの生まれ持った強さや回復力に誇りを持っていても、今回の台風ハイヤンには本当に心を打ち砕かれました。この災害は、建設施工、都市計画、安全基準、防災対策、脆弱性、政府の透明性、説明責任、調整機能など私たちの社会のさまざまな側面について問い直し、何よりも、公正な気候変動対策と経済的不平等の問題を突きつけました。国がすでに起こったことへの対応に努力を続けている中、新たな問題がたくさん発生しています。ひとつ確かなことは、さらなる超大型台風がやってくる前に、一刻も早く社会を以前よりも良いものに立て直すことが切実に求められており、しかも、誰一人取り残される人がないようにやらねばならない、ということです。
みなさんの溢れるほどの支援や祈りに感謝しています。心の底からそう思っています。みなさん、どうもありがとうございました!
私はみなさんと連帯して、1954年3月1日のビキニ環礁での水爆実験をともに思い起こします。第五福竜丸に乗っていた罪のない漁師の方々の人生を変えてしまった日です。核実験への警鐘を鳴らし、その禁止を求める声が強まるきっかけとなった事件でもあります。私はみなさんと心ひとつに、あり得ない時間に昇る日の出を目撃し、やがて放射能の悪影響に直面した人々を偲びます。私はみなさんとともに、愛する広島・長崎の被爆者と同じように自らの体験を伝えてくれる、ビキニの被災者たちの勇気と無私の心に感謝します。私は、ビキニ事件が、日本だけでなく世界の反核・反戦運動にさらなる火をつけたことを学びました。
今日は、3つのことをお話したいと思います。フィリピンの近況、国際的な反核・反基地運動の一環として私たちが計画していること、そして平和行進のことです。
フィリピンについてです。先ほども言ったように、フィリピンは昨年大きな困難を経験しました。中国との地域的緊張が高まるもとで起こった困難でした。現在、フィリピンとアメリカ両国政府は、ローテーションによる駐留拡大(IRP)に関する協定の交渉を行っています。この提案されているIRPには、一時的な軍の駐留にとどまらない、むしろフィリピンの上院が22年前に拒否した条約と同じような内容が含まれています。フィリピン政府とフィリピン南部のモロ民族の間での和平プロセスも進められています。
2014年1月11日、私たちは「命と平和のための核兵器のない世界会議」を開催しました。若い学生や平和活動家、専門家、教師、保護者はじめ一般の人々も参加してくれました。広島と長崎の写真パネルと福島の最新状況の展示もありました。ロータリークラブ、住宅管理組合、芸術家、都市部の貧困層の人たち、子どもたちに開発・平和教育を提供するアバガダ・カユマンギ地域発展基金(AKCDF)の親子たちなど、これまで戦争反対や軍事基地反対の運動に参加してこなかったグループとの協力で行ったものです。これは、より多くの若者を、彼らが今暮らしている社会の実情に即して教育し運動に巻き込んでいく試みです。この会議を毎年開催し、フィリピン内外からより多くの友人を招待することが決定されました。次の会議は、2015年1月10日(土)です。その後数日間のマルチメディアを使ったイベントなどさまざまな活動とあわせて、ぜひみなさん参加してください。あらゆる文化と人々を結ぶ教育、文化、政治の交流と連帯の場となることを期待しています。
昨年末、私たちは、自分たちが平和と正義の活動に若者の参加を重視していることを示すために、年間を通じたキャンパス・ツアーを立ち上げました。若者の想像力と心をつかむため、さまざまな活動が企画されています。テンポの速いマルチメディアを使ったアプローチや、今の社会で顕著になっている、虚しさや無視されているという共通の感覚に立ち向かうのは大変です。しかし私たちは、学生や若者の積極的な反応に励まされています。彼らは、広島・長崎の展示パネル、署名運動、映像やドキュメンタリー、フォーラムや講義、折り紙やサダコの物語、個人として連帯と希望を表現する場となるキャンドルライティングや灯篭流しなどを通じて、歴史や世界各地のたたかいを知ることに、価値を見出しています。
被爆者とともに、日本の平和活動家の代表団が参加してくだされることを期待しています。フィリピンの人々がみなさんの感動的なお話を直接聞くことができます。私たちの中に視覚芸術家のグループがあるのですが、被爆者と一緒に、肖像画を描く企画をもちたいと考えています。彼らも、顔に線を描いたり色を塗ったりなど視覚に訴える表現を通じて、自分たち自身の体験を語ります。キャンパス・ツアーの各企画に、もっとも重要な発言者として被爆者を招待したいと考えています。忙しいですが、わくわくする年になると思います。
次に国際的な運動についてです。今日人類の生存に対する二大脅威は、核兵器と気候変動と言われています。気候変動は徐々に起こります。前兆があり、発射ボタンによってわずか数秒のうちに引き起こされるものではありません。一方、核兵器の脅威は、一瞬のうちに起こるものです。前触れもなく、地球上のどこからでも、遠隔操作によって引き起こすことさえ可能です。
自然の力を止めることはできませんが、気候変動が引き起こす災害の影響を和らげ小さくすることは可能です。市民を被害からできるだけ守り、自立する力をつけることによって、どんな災害の後でも普通の生活に戻れるようにするのです。一回の核爆発が引き起こす破壊は、地球上に広島・長崎以上の地獄をもたらします。放射線の影響を考えれば、核のホロコーストの後始末は、巨大台風の後始末より、はるかに複雑で長期にわたるものになります。
この二大脅威に立ち向かう上で、2015年はとても重要で大きな意味を持つ年です。2015年4月、ニューヨークでNPT再検討会議があり、12月にはパリで、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP20)が開かれます。どちらの会議にも、私たちが批判的に、警戒を怠らずに関わることが求められます。どちらの会議も、私たちの生存と、将来の世代の命にとって重要なのです。
平和行進についてです。昨年歩いた経験から、平和行進によって日本の平和運動を理解できたと思います。みなさんの平和と正義の活動への献身的なとりくみや、日本の食べ物、音楽、笑い、ユーモア、景色などたくさんのことを学びました。世界大会を通じて、また平和行進のブログでたくさんのことを共有しましたが、そのどれよりも平和行進から学んだことがあります。それは、「人はひとりでは生きていけない。すべてが相互に結びついているのだ」ということです。このことに気付いたからこそ、私は今、進んで自分の人生に社会的な側面をとり入れています。
運動への入り口はたくさんありますが、平和行進はその中で最大のものです。平和行進は、草の根運動、一般市民、そして自治体の共同の強固で健全な基盤です。また、平和行進は、若者が運動とそれが呼びかけるものを学ぶのにとてもいい機会です。何より、平和行進は、一般の人々の核兵器のない世界への願いの力強い象徴です。すべての人に開かれており、誰でも参加できます。平和行進の歴史や詳細を共有することで、この長きにわたる願いがいっそう揺るぎないものになります。2015年NPT再検討会議に向けて、今年をさらに活気ある年にして、それぞれの地域でも国際的にも注目を集めることが、極めて重要です。european food market
国際的と言えば、今年の平和行進に私自身を含めて海外からの行進者や代表によるリレー行進をとり入れるというのが、私の願いであり、提案です。そうすれば、たくさんの国から平和行進を見守ったり、参加したりすることができます。行進参加者は、体験を書いたりもできます。2015年のニューヨークでも平和行進ができたらいいですね。
私たちが、社会のさまざまな側面から運動への支持を高めようと思うなら、できるだけ多くの若者を巻き込むことが大切です。今年、さらに多くの若者が参加してくれることを願っています。今日ここにいる私と同年代のみなさん、一緒に歩きましょう。この大切な平和行進を一緒に楽しみましょう!長い距離を歩くのは大変です。土砂降りの雨が降ったりもします。でも、このとりくみを引き継ぐのは私たちです。やることはたくさんありますが、私たちの人生の中で最高の時になるでしょう。
最後に、2015年のNPTに向けて大きなうねりをつくる努力をやり尽くしましょう。雨の日も晴れの日も、私たちは歩き、必要ならば走るのです。できるなら、踊りましょう。平和のために心から歌いましょう。運動のことがわかる写真をあちこちに掲載しましょう。フェイスブックやツイッターなどアクセスできるあらゆるソーシャルメディアを活用して運動を知らせましょう。大統領に手紙を書きましょう。Tシャツ、タオル、風船にピースマークをプリントしましょう!“ノー・ニュークス”をテーマにした写真ブースやプリクラをつくりましょう。ピースマークをつけたマスクを作りましょう。市長、友達、みんなと語りましょう!行く先々で署名をとりましょう。胸元、腕、額にキャンペーンマークを着けましょう。超大型台風ハイヤンや猛吹雪よりも強くなりましょう!できることすべてをやりましょう。持てるすべての力を注ぎましょう。そして何よりも、これらのことすべてを一緒にやりましょう!!
一緒に頑張りましょう!!
どうもありがとうございます!