WWW search Gensuikyo search
 

 

 

資料保管庫

総会第一委員会への発言:
2005年10月3日  国連本部軍縮担当事務次官  安部信康

 ・・・
 私たちは、軍縮と不拡散にとってとりわけ困難で難題が立ちはだかる時、世界規模で大量破壊兵器とりわけ核兵器に対する不安が高まっている時に集まっている。私は、私たちには、通常の場合以上に、核兵器の脅威を減らしまたは無くす様々な多国間努力を進め、強化するためにこの会議を活用する責任を負っていると信ずる。

 この課題に取り組むにあたり、私たちが全体として大きくつまづいていることは、この場にいるものすべてが認めている。この度開かれた世界サミットでは、今後の軍縮、不拡散、原子力平和利用の方法について諸国が合意できないことが明らかになった。

 この問題の性質そしてこの問題がより広範な状況から見て位置する場所について、国連事務総長の発言はその両方を完全に要約していると思う。首脳会議において事務総長は次のように述べている。

 「今年、NPT再検討会議とこのサミットの二度にわたり、私たちは、立場を優先し成果を阻止してきた。これは許しがたいことである。大量破壊兵器は私たちすべてに深刻な危険をもたらしており、特に世界規模の野望を秘め何者にも抑制されないテロリストが脅す世界ではそうである。私たちは、この死活的問題で協議を再開するために事態を収拾しなくてはならない・・・」

 もうひとつ、ヤン・エリアソン総会議長が9月30日すべての代表団に向けた発言からも引用させていただきたい。「(サミット)文書は、私たちの大志を制限すべきではない。そうではなく文書を、私たち自身がそこから前に進む出発点とすべきである。私たちは、文書には、多くが希望した問題全部は盛りいれられないことを認めるべきである。文書には、当然ながら、この第60回総会において進展を見たいと多くが願いながら詳細に明記されな分野もある。こうした分野のひとつが軍縮と不拡散であり、新たな創造的思考を適切な協議すべての場でおこうよう激励したい分野である。」

 かなりの部分において、事態を収拾し、新たな方向づけをおこなう任務を開始するのはこの委員会である。ここでは、待望されている分裂製物質カットオフ条約の軍縮会議(CD)における協議の方法について指針をあたえることが期待されており、消極的安全保障や宇宙空間の問題、完全核軍縮という根本問題についても同様である。

 NPTの引き続く健全性と強さを保証するために取りうる実践的措置について検討することにもなるかもしれない。これは、何もせずにおくにはあまりにも重要な問題である。差し迫った拡散の危険に対する切実な国際的懸念は消えていない。核弾頭はいまだ数千を数えるのである。

 したがって、オーストラリア、チリ、インドネシア、ノルウェー、ルーマニア、南アフリカ、イギリスの外相が世界サミットに向け、核軍縮と拡散分野での合意をめざすイニシアチブを取ったことを指摘するが、これは大きな励みであった。例えば、ノルウェーなどいくつかの加盟国が、状況の重要性に対する懸念から、新たな合意を目指す努力を続ける意志を表明したことなどにも勇気づけられている。

 この点と関連して、ニューヨークでの世界サミットの直後、CTBTの発効を決意し、世界の軍縮と不拡散の重要性を強調する会議が開かれたことに触れておきたい。

 昨年の委員会でなされた合意を実行するにあたり、第一委員会は、実質問題での分野別議論に多くの専門家を招いている。国際条約機構ならびに国連軍縮諸機構の議長も、委員会の双方向議論の促進を目的に参加する。これは初めてのこころみで、事務局はさらなる提案を歓迎するものである。例えばミドル・パワーズ・イニシアチブや平和市長会議といった市民社会の代表も、第一委員会の代表団との討論に参加したい意向を表明している。こうした機会を通し、外の考えに接し、視野を広めることになるかもしれない。

 生物・化学兵器も大きな議題として残っている。これらの兵器は大規模かつ無差別の影響を与えうるからだ。2005年は、生物・化学両方の兵器の禁止を目指した1925年ジュネーブ議定書ならびに、1975年の生物兵器禁止条約発効を記念する重要な年であった。すでに多くの人が2006年の第六回生物兵器条約再検討会議に向け準備をはじめており、その会議で前進のための計画がつくられるよう期待している。まだ残っている本当の仕事は、これらの条約を普遍に近づけ、全面的で効果的な順守を確実にすることである。

 テロリストの大量破壊兵器獲得という脅威に懸念が高まるなか軍縮問題局は情勢を傍観していない。同局は、安保理1540決議により創設された委員会を支援している。専門グループの助けを得て、この委員会は現在、国連加盟国が提出する国家報告を検討している。非国家関係者への大量破壊兵器拡散に関する活動を犯罪とするための国内法や規制を整え、輸出・国境検査の体制作りと強化をするためには、まだ多くの措置が必要である。さらに、同委員会は、有志加盟国との協力で、活動拡大や援助を積極的に進めている。

 大量破壊兵器の脅威への焦点を優先させることで、通常兵器や通常軍の規制や削減に関する問題への注意を怠るべきではない。不法小軽火器問題の取り組みで、国際社会によりかなりの進展がつくられてきたが、こうした兵器の拡散は依然、世界のあまりにも多くの地域の平和と安全に深刻な脅威をもたらしている。通常兵器が毎年数千万を殺し続けていることが、あまりにも簡単に見過ごされている。これは、たいていの場合報告されずに終わる日常の悲劇であるが、その後に苦痛と悲しみを残すのである。国がタイムリーかつ確実な方法で不法小軽火器を特定し追跡できるようにする国際条約案の早期かつ効果的な実行にむけ行動をとり、今後の作業の方向性を示すよう第一委員会に期待したい。

 国連の強化に関する世界サミット最終文書の次の部分に注目していただきたい。「我々は、国連憲章の目的と原則に従って、国連の権威と効率性ならびにこの時代のあらゆる種類の難題に効果的に取り組む能力を高めることを目的に、国連を強化するという我らの約束を再確認する。我々は、国連の政府間機関を再び活性化させ、これらの機関を21世紀の必要性に適応させる決意を固めた。」これはまさに第一委員会が努力してきた点である。昨年、この委員会の作業の効率性をどう高めるかをめぐり熱い議論がなされたことを覚えている。世界サミットは、こうした努力を改めて強調している。したがって、委員会がこの目標にむけ努力を続けるよう期待したい。

 総会決議に沿って事務局が準備した報告を経済化し効果的に利用するという問題について議論したことを覚えている。後日委員会の議論の際、この点について報告をする機会があると思う。軍縮問題局は、加盟国にとってより役立つ組織作りのために、ラテンアメリカおよびカリブ海地域、アフリカ地域、アジア太平洋地域の3つの地域センターでの活動にも検討を加えている。これからの数週間多くの代表団と協議をしていくことになる。

 午前中のセッションの間、すべての代表団は、代表部とこの場で2004年国連軍縮年次報告を受け取るはずである。1976年以降29回目を迎える報告であるこの年次報告は、同局の情報プログラムの中心で、軍事分野における国連の年次活動について凝縮された基礎情報が入っている。

 昨年、総会決議59/103において、軍縮局による情報配布の電子化を進める要請がなされたため、これに従い、軍縮局はまもなく同局のウェブサイトで2004年報告英語版をはじめて掲載する。2002年、2003年の英語版報告もアーカイブで見ることができる。サイトの準備が出来次第報告したい。

確かに第一委員会の任務はときに困難である。しかし、私たち全員の問題である根本問題に適切に取り組むために、いま最大の関心事となっている問題を超えた取り組みをおこなうため、視野と希望を集団的に高める努力をすることができることを願っている。私は委員会が、何よりも、この場所にはいない、最終的に国連が導き、道を照らしてくれることを期待している何億もの人びとに義務を負っていると信ずるものである。

 この会議が効果的で、成功と実りあるものとなることを期待したい。

 

table

このページの最初へもどる あるいは GensuikyoのTop Pageへもどる

Copyright (C) 1996-2011 Gensuikyo. All Rights Reserved.
日本原水協 〒113-8464 東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター6階
Tel:03-5842-6031 Fax:03-5842-6033 
お問い合わせフォーム