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2005年11月12,13,14日に開催されたフランス平和運動大会の方針報告案

テーマ:“世界を変えよう、平和を育もう!”

I.前文

 今世紀最初の5年間、激動に揺り動かされた世界では、二つの流れの対立がおこった。アメリカを筆頭とする “歴史的”超大国の武力を含め、あらゆる手段を使ってその特権と支配を維持しようとする流れと、平和、正義、民主主義、人権尊重、環境保全などの要求の高まりによって明らかになった新しい勢力やこれまでになかった連合体の流れである。

 新自由主義的な経済のグローバル化は、各国の社会においても、国家間においても貧富の格差を少なくすることができなかった。それどころか、2000年に各国元首が「国連ミレニアム開発目標(MDG)」として世界の貧困を半減させると誓約したにもかかわらず、世界の多くの地域では逆に貧困が増大している。

 世界の4分の1以上の地域が極端な貧困に陥っている現在の状況は、暴力と武力紛争の主な要因となっている。紛争地図は最貧困地域の地図とあまりにも重なる部分が多い。市場開放は発展と繁栄を自動的に生み出すという幻想が消え、経済機能を圧倒的大多数を占める人民のニーズに適したものに変えようとする意志が大きくなっている。

 人権尊重と基本的ニーズの充足を意味する「人間の安全保障」の概念は、人類すべてが分かつことのできる持続可能で、自国の資源に依拠した内発的発展を支持する人々の共通の目標となっている。基本的ニーズの第一は、人類すべてが、確定して認められた国境内で、平和で安全に暮らす権利の尊重である。しかし、世界では20以上もの武力紛争がおきていて、多くの地域でこの権利が脅かされている。

 アメリカ政府の圧力の下で、国際関係を再び軍事化しようとする意図が明らかになっている。世界の軍事費は今年、1兆ドルを超えた。核保有国は2005年のNPT条約再検討会議で、核保有国は核軍縮を前進させる機会を逃してしまった。しかし、その一方で、あらゆる分野での軍縮(核兵器、宇宙の軍事化、小型兵器、武器貿易、対人地雷、劣化ウラン兵器)を求める運動が広がっている。

 アメリカの率いる連合国が2003年3月20日に開始したイラク戦争は、イラクを混乱に陥れ、この戦争に反対していた人々が懸念していたように、テロリズムを刺激し、中東地域を不安定化させてしまった。しかしこの戦争にたいする大きな抵抗運動が、世論・国連・政府の新しい共同の発端となり、一時的とはいえ超大国アメリカの行動を阻止し、その力を証明した。2003年2月15日のデモは“二番目の超大国”を台頭させた。それは戦争反対、国際法尊重で結集した世界の世論である。

 近年にみられる深刻な緊張関係は、いずれも法と武力、複数主義の民主主義と一方的支配、公共財産と私益など、二つの異なる世界観の対立を中心に起きている。

 フランス平和運動は、このような対立は、「古い戦争の文化」と「平和の文化」の対立が形を変えたものであると考える。「古い戦争の文化」とは、許容されたあるいは押し付けられた支配と反啓蒙主義という過去の遺産であり、「平和の文化」とは、暴力を拒絶し、紛争の根本的な原因にメスを入れて紛争を防止し、個人や集団のあいだ、そして国家のあいだの対話や交渉による問題解決を望む態度や姿勢全体を意味する。

 より公正で平和な世界のために行動するわれわれは、このような前進は各国の社会の包括的な努力によって実現し、人類全体に飛躍的な質的な進歩をもたらすことを認識し、それを促進するつもりである。

 今回のフランス平和運動大会は、国連の国際「世界の子供たちのための平和の文化と非暴力のための10年」(2001−2010年)の半ばに開催された。われわれはこのテーマについての検討に、2000年の国連総会で決定された8つの活動分野(A/53/243)のうち、1つあるいは複数の分野において、個人または集団で活動しているすべての人が参加することを期待している。この8つの分野は、今日そして将来の世界の平和に関わるものであり、またそれぞれが今後も開拓されねばならない分野である。だからこそフランス平和運動は、平和と非暴力の文化を推進するための力を結集したいのである。フランス平和運動は、この国連が定めた「国際10年」を広めるためのさまざまな活動、特にフランスのユネスコ委員会が中心となって構成される協議会における活動に参加していく。

 フランス平和運動の目的は、平和の文化のための全国的、世界的な運動を強化することにある。

II.平和を育み世界を変えるための8つの活動分野

A.平和と国際安全保障の促進

「平和と国際安全保障は、全面完全軍縮の推進、紛争の防止や解決、紛争後の状況にける平和の文化の推進への女性の参加を拡大すること、紛争状況での取り組み、また紛争を平和的に解決する交渉のための信頼の醸成措置や努力などの行動によって促進される。」

 平和や安全保障のための行動は、創設以来のフランス平和運動の活動の中心であり、第一義的責任である。

 フランス平和運動は、次の3つの行動目的を追求する。

・新兵器の製造0
・軍事費の50%削減
・100%国連による紛争の平和的解決

1) 核軍縮のための行動

 核兵器の拡散は、人類にたいする危険を増大させている。われわれは、核軍縮のための行動と核拡散阻止のたたかいを発展させることよびかけ、そのためにフランス平和運動として以下を提起する。

・ 世論喚起の運動を継続する(署名、討論会、展示、デモ、市民による監視など)
・ 2006年春の核軍縮デーに大規模な取り組みを準備する
・ さまざまな軍縮会議に代表団を派遣し、軍縮についての大衆教育の一環として毎年、広島と長崎に代表団を派遣する。
・ 各国レベル、欧州レベル、世界レベルでのネットワーク、特に「廃絶2000」のネットワークをつうじた活動をすすめる。

2)武器移転の管理

 フランス平和運動は、全ての大量破壊兵器、対人地雷、小型武器、劣化ウラン兵器を禁止する運動に参加する。フランス平和運動は、武器移転の全面禁止を目指し、武器移転の制限と厳格な管理を推進する。また、さまざまな武器見本市、特に2年ごとにパリ地方で行われる「ユーロサトリー」に反対する。

3)軍事費の削減

 毎年、世界で1兆ドル以上が軍事費にあてられている(2004年は1兆350億ドル)。このような巨額の軍事費は、武力による紛争解決や、武力行使を助長している。これによって発展のために使われるべき莫大な資金と人的資源が浪費されているのだ。今後10年間で軍事費を半減することを目指さなければならない。

 フランスでは、2006年には470億ユーロが軍事費に使われる見込みであり、その半分は新兵器にあてられる予定である。フランス平和運動は、特に軍需用原子力開発に割当てられる予算を直ちに凍結すること、ミサイルM51の製造を完全に放棄することを要求し、軍事費削減のための運動を続ける。

4)戦争を止めさせる

 武力紛争防止と、紛争の平和的解決のために行動するフランス平和運動は、世界を引き裂く紛争を終わらせるため、平和勢力を支持し、各国政府および国際機関に圧力をかける。また、フランス平和運動は、中央アフリカ、ヨーロッパそしてアジアの民族を引き裂く紛争の平和的解決のために情報を提供し、行動するための活動を発展させる。以下が現在すすめられている運動である。

・ 自由で民主的イラクのための運動

 フランス平和運動は、平和ですべての人権が尊重されるイラクを実現するために行動する勢力と連帯するとともに、アメリカやイギリスをはじめ、世界中のイラク戦争反対で行動する人々と連帯する。

 フランス平和運動は、軍事行動の即時停止、占領軍の撤退日を宣言するとともに撤退にいたる日程を明らかにすること、NGOや市民社会も参加する国際会議を招集し、イラク再建計画を策定・実施し、イラク人による完全な管理のもとで公共サービスと経済活動を再スタートさせることを要求する。

・ 近東の平和のための運動

 フランス平和運動は、イスラエル・パレスチナ間の和平実現のための取組みが促進されるよう努力する。「ジュネーブ・イニシアチブ」や「人民の声」などのような取組みは、エルサレムをパレスチナ及びイスラエルの首都とする「1967年国境」に基づいた2つの国家の将来の平和を築くことにつながる。フランス平和運動はフランス社会においてこのような和平支援の取り組みを広げることに努め、アーティストの サラ・アレクサンダーの文化的イニシアチブを中心にして、地中海の平和のために”キャンペーンをスタートさせる。

 フランス平和運動は、イスラエルが国際刑事裁判所の決議に従って、パレスチナに建設中の「分離壁」建設を停止し、解体することを求める。

・児童兵士の動員解除のための運動

 フランス平和運動は児童兵士の即時動員解除、および彼らの社会復帰プログラムや、子供たちを徴兵した犯罪者にたいする刑の宣告を要求する。また、劇「アラーにいわれはない」の公演ツアーや署名などをつうじて、児童兵士問題についての議論を発展させていく。

5) 平和な欧州のための運動

 フランス平和運動は、ヨーロッパ大陸に、そして世界に広がる、国境のない、民主的で平和な空間を構築することを重視し、ヨーロッパの平和運動と連携しながら活動している。フランス平和運動は、現在検討されている欧州憲法の第1条として、戦争放棄と紛争の平和的解決に努めるヨーロッパとなることをめざすことを明記するよう要求している。われわれの要求する欧州憲法の第1条は次のようなものである。「ヨーロッパは、国際紛争の解決手段としての戦争を放棄し、平和をえる権利が基本的権利であることを認める。ヨーロッパは、平和的・民主的な世界秩序の創出を促進し、国連の強化と民主化、国際協力の発展を支持する。」フランス平和運動は、これにたいする支持署名を集める。

6)国連と国際法の強化と民主化のための運動

フランス平和運動は、紛争の平和的解決のための国連の中心的役割を促進することに努める。国連は、国際法を遵守させ、前進させるための政治的、実務的手段をもたなければならない。国連がより効果的、民主的に機能するための改革は、重要な課題である。フランス平和運動は、国連強化のために、各国および国際的な運動の強化に努力する。

7) 9月21日の「世界平和デー」

 フランス平和運動は、2005年9月21日に世界規模で行われる「世界平和デー」を広める。「国際平和デー」は、平和の活動をするために誰でもが利用できる毎年の行事である。各地で多くの地域委員会が、広範なパートナーと共同して、さまざまな活動おこなう。

8)テロリズム反対での結集をめざす運動

 近年、マドリッドやロンドンで見られたように、ヨーロッパにまでテロ行為が広がっている。イギリスの平和活動家はいみじくも次のように言っている。「戦争と暴力は問題を解決することは決してない。それどころか、問題の1つになるだけである。暴力と犯罪は、それをおこなったのが集団であれ、国家であれ、世界で起きている問題を解決できない。戦争、暴力、犯罪は、罪のない人々に苦しみをもたらすだけである。われわれは、平和と正義の道を歩むために団結するよう、すべての民族によびかける。」フランス平和運動は、彼らと同じく、テロリズムに対するたたかいは、テロを助長する者や操作する者に対して立ち向かい、いわゆる「文明の衝突」論に組することを拒否し、原理主義が広がっている国々の民主勢力を断固として支持することでもあると考える。

B.教育による平和文化の強化

 「平和の文化に固有の価値観、態度、行動を広めるためには、全員、特に少女の教育を奨励し、教育プログラムを見直し、紛争の防止や解決、対話、コンセンサスの追求、積極的な非暴力などを推し進める・・・」すべての人に開かれ、生涯をつうじて受けられる教育は、個人の開花と社会の発展のための重要なかぎである。しかし、現在、発展途上国の10億人以上の就学年齢の子供は、学校に通っていない。われわれが次世代に伝える価値観、行動、文化は、将来にとって決定的に重要である。ユネスコ憲章の前文が定めているように、「戦争とは人間の心の中で生まれるものであり、だからこそ人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」のである。フランス平和運動は、学校教育プログラムにおいて、また学校以外でおこなわれる教育において、平和の文化と非暴力の教育が促進されることを望む。われわれは、教育者、保護者、労働組合活動家、議員らとともに、平和と教育を結びつけ得る実り多い対話をすすめていきたいと考える。平和教育は、すべての市民が当事者として、主体的に関わるべき課題である。特に9月21日の「国際平和デー」のような国際デー、国際連帯週間、学校における新聞週間、人種差別反対デー、死刑反対デーなどは、市民参加のための重要な機会である。

C.経済発展と持続可能な社会の促進

 「経済発展と持続可能な社会は、貧困撲滅を目的とし、特に子供と女性の要求に応えることで促進される。また環境の持続性の向上に努め、不平等をなくすための国家的・国際的な協力関係を築くことによってもすすめられる。」

 現在、25億人が未だ一日2ドルで暮らしており、貧困撲滅運動は1990年代に入って減速してしまった。しかし衛生環境の改善とワクチン投与で、毎年1千万の子供の死亡を防ぐことができる。また10億人以上が未だ安全な飲料水を飲むことができず、26億人が上下水設備をもたないという現実もある。

 国際食料農業機構(FAO)の最近の報告は、紛争が飢餓と栄養失調の主な要因であるとしている。

 貧困撲滅を掲げた「国連ミレニアム開発目標(MDG)」の途中の段階での中間総括は、はかばかしいものではないが、多くの国際および各国の運動がさまざまな措置を提案している。発展途上国の債務帳消し、資本移動や武器貿易にたいする課税、軍事予算の削減などがその主な例である。とりわけ大陸レベル、世界レベルで、新しい公共サービスを発展させることによる経済の規制の必要性にたいする要求は高まるばかりである。開発と民主主義、平和の間の相互作用は、多くの協力者との共同の基盤を形成している。フランス平和運動は、「開発にかんする情報・資源センター(CRID)」の会員である。このセンターの会員には、とりわけ国際連帯週間に参加するような、大部分の開発組織が名を連ねている。

 社会的フォーラムや開発をめざす世界的な運動への参加をとおして、フランス平和運動は平和・開発・民主主義の関連性を訴える。

D.人権尊重の促進

「人権と平和の文化は相補的なものである。戦争と暴力が優勢になれば、人権を擁護することは不可能である。同じように、どのような形であれ、人権がなければ平和の文化は存在しえない。」

 人権侵害は、多くの紛争を生み出す暴力である。

 家がない、仕事がない、帰る土地がない、身分証明書がない、資源がない、権利がないという「もたざる人々」は、社会的暴力の被害者である。反対に、人権という普遍的遺産の尊重は、平和を生み出すためのロードマップとなりえる。また、「人間の安全保障」は、人権尊重が前提であり、人間が平和に生きる権利は、基本的人権として認められなければならない。経済封鎖は決して満足のいく解決ではない。

 

E. 男女平等を保証する

 経済、社会、政治などにかかわる決定への女性の完全な参加、女性にたいするあらゆる形態の差別や暴力の一掃、戦争や他の形態の暴力に関連して危機に陥っている女性への支持や支援などによって・・・」

 世界に8500万人いる非識字者のうち、3分の2近くは女性である。女性が被害者の暴力や差別は、人間や社会のこれまでの経験において、家庭と社会におけるあらゆる強制の母体であり「正当化」であることがあまりにおおかった。男女間の権利と地位の平等を実現することは、あらゆる社会に人間性の開花への道を開くことである。

 紛争の最大の犠牲者である女性は、しばしば戦争に反対して真っ先に行動をおこし、また国の再建や融和のための努力の先頭に立ってきた。われわれは、フランス平和運動として、世界女性行進その他のネットワークの女性たちと共同を発展させ、男女平等、女性の権利の尊重、あらゆる差別と原理主義の拡大に反対して行動することを望んでいる。

F.民主的参加を促進する

「平和と安全保障の実現と維持に不可欠な土台として、民主的な原則、実践そして社会のあらゆる分野への民主的参加、透明な政府と行政などがある。同時に責任ある市民を育て、民主的な原則と実践を促進するための行動を強化しなければならない」

 民主主義、すなわち社会生活のあらゆる側面にかんする決定に市民全員が全面的に参加することは、調和のとれた平和的な社会発展のかなめである。そのためには、あらゆる場所で経験や、公的空間におけるニーズの発現の対比を促進し、人々の苦しみや不満にたいする解決策を集団的につくりださなければならない。

 どうしたら社会に、世界に、そしてわれわれの生活の場やフランス平和運動の組織内にまで民主主義を浸透させることができるのか。

 既存制度を改革して、全員の参加を保証するにためには、どのような提案や行動をすべきなのか。

G.理解、寛容、連帯を発展させる

「戦争や暴力的な紛争をなくすためには、文明間の対話や弱者、移民、難民などの集団のための行動を促進することで、全ての人民や全ての文化のあいだの理解、寛容、連帯をつうじて敵のイメージを克服する必要がある・・・対話や情報の交換によってわれわれのあいだに存在するあらゆるちがいを理解することは、われわれを豊かにしてくれるプロセスである・・・」

 「戦争の文化」は無知、群集操作、敵のイメージの創出などに依拠している。人種差別、反ユダヤ主義、外国人嫌いをはじめあらゆる形態の個人にたいする差別は、人々の良心を蝕みさせ、人工的な分裂や危機のはけ口をつくりだす。

 ホワイトハウスが主張し、原理主義者集団によって助長された「対テロ戦争」は、いわゆる「文明の衝突」論に基づいている。われわれは恐ろしい暴力の種を蒔くこのような後進的な見方を拒否する。「キリスト教徒」と「イスラム教徒」とのあいだの衝突などない。彼らは数世紀も前から仲良く暮らしてきた。ヨーロッパの国民の利益は、アラブ世界の国民の利益と同じで、それぞれの権利を互いに尊重し、平和に暮らすことである。

 平和を育てることは、無知とたたかい、非宗教的で連帯した、共和主義の空間で様々な共同体の接近のために働くことである。そのような空間においてこそ、宗教的、文化的な多様性の協調的な出会いが実現できる。

H. 参加型コミュニケーションと情報・知識の自由な移動の支持

「平和の文化には情報・通信の自由や情報と知識の共有が不可欠である。独立系のメディアを支援し、マスメディアを正しく活用するために行動しなければならない。情報・通信の新技術などを利用したものを含め、メディアによる暴力の増長を阻止する措置がとられなければならない」

 人類の歴史のるつぼから生まれた科学の成果は、人類の財産であり、人類全体で共有されなければならない。

 おなじように生物は人類の共同財産であり、遺伝子の操作や商業目的での特許化は、バランスを破壊し、内発的な発展を損なうものである。

 知識と情報への自由なアクセスは市民権と集団的および個人的な開花にとって決定的に重要である。知識や情報は公的財産であり、市場原理だけによって独占することは許されない。情報の権利は人権である。フランス平和運動はアルジェリアのような国家やイラクのテロ集団などに捉えられている記者の解放を要求する。

III. 平和を育てるための新たな流れ

 平和と軍縮を求めて大規模な行動がおこなわれたにもかかわらず、軍事費増大への圧力は大きく、核兵器を含む新しい兵器が毎日生産されている。これにたいして権威ある声が警告を発している。IAEA(国際原子力機関)事務局長で2005年のノーベル平和賞受賞者のモハメッド・エルバラダイ氏は、各国指導者にたいし「核軍縮のための強い取り組みがされなければ、世界は破滅に向かう」と公言している。

 この新たな状況のなかで、世論にたいし軍事費増大の政策の無責任性を指摘するとともに、その政策を終わらせる可能性があることも知らせなければならない。平和のための力強い流れをつくることは、不可欠な急務である。大きな可能性が存在している。

平和の文化のための全国フォーラム

 われわれは平和構築に貢献する担い手や行動の多様性をアピールし、それを活用したいと考えている。そのため平和の担い手全国フォーラムの開催を準備している。このフォーラムの目的は、暴力や戦争の原因の分析やそれを予防する手段について、協力者たちとの意見の一致点をあきらかにすることにある。われわれは、地域レベルおよび全国レベルで、広範な平和のパートナーたちと会談や協議をすすめながらこの全国フォーラムを準備するつもりである。

フランス平和運動の強化

 平和のための行動は自然発生的におこるものではない。フランス平和運動は、全国各地で人間主義の価値を広めるために活動する広範な市民を結集する努力をおこなっている。しかし、われわれの目標にふさわしい力をもつためには、様々な分野や考えの男女や青年を組織に迎え入れることで、われわれの運動の創造力を発達させることが必要である。

 いまや全国各地に定着した地方委員会は、フランス平和運動の活動の基礎である。地方委員会の影響力や行動手段をさらに強化し、フランス社会により深く浸透した組織にしなければならない。

 「平和のための百人アピール」との接近は、世界を変えるためのわれわれの提案により影響力をもたせるための努力の一環である。フランス平和運動の内部および外部向けの情宣ツールである月刊誌「平和の惑星」(プラネット・ペ)もこれに貢献する。

 平和のために行動すること、それは多くの国の政治やわれわれの行動様式に浸透し、支配を永久化する宿命論を助長している戦争の文化を凌駕する多数派を結集する条件をつくることである。

 平和の文化の促進は世界を変革し、共同で正義と平和の地球をつくるための新たな結集を数多く生み出す豊かな流れである。

 

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