原水爆禁止2003年世界大会
長崎・開会総会(8月7日)

政府代表の発言


駐日エジプト大使
マハムード・カレム


ご参加のみなさん、

  はじめに、原水爆禁止2003年世界大会実行委員会に対し、この8月の行事に招待してくださり、話す機会を与えてくださったことに、心から感謝を申し上げます。核兵器のない世界を求めるこの重要な集まりに参加できることは、光栄であり名誉なことです。

  私たちは、核兵器の恐怖にひどくさいなまされた長崎に集い、核兵器の犠牲になった罪もない人々を哀悼し、核兵器の廃絶という正当な大儀にむけて努力する決意を新たにしています。

  この点で、わが国の政府は、日本原水協のようなNGOs(非政府組織)が軍縮分野で国際的決定プロセスにおいて、きわめて重要な役割を果たしていることに、強い確信をもち評価しています。そのことを、この機会に申し上げたいと思います。エジプトは、国際市民社会は、全体として、人類と地球の将来を決定するうえで、かつてないほど大きな役割を果たすだろうと考えています。

  エジプトは、たえず、核軍縮と軍備管理を達成するために、その努力の先頭にたっています。この基礎にある確信は、核兵器が存在することだけでも、それは全体として、人類への脅威となるということです。どのような口実や議論があろうと、核兵器は永久に禁止されるべきだと確信します。1978年、第一回国連軍縮特別総会は、核軍縮は最優先課題でいあると宣言しました。

  この目的を達成するために、エジプトは、率先して、1968年のNPT(核不拡散条約)の交渉と締結のための努力を行い、調印国による原則と規定の厳密な順守を促進し、以来、条約の普遍性を達成するために努力してきました。

  私たちは、CTBT(包括的実験禁止条約)の規定と条項を厳密に順守することを約束しています。さらに、エジプトの外交政策は、国際軍縮会議などに反映されているように、核軍縮と一般完全軍縮にむけて、国際的な努力の強化を追求してきました。ジュネーブの軍縮会議、ニューヨークの国連軍縮委員会やウィーンのIAEA(国際原子力機関)へのエジプト代表団は、これらのすばらしい目的をたゆみなく追求し、核不拡散体制の確立に貢献してきました。

  地域レベルでは、エジプトは核軍縮を求める世界の多数の意思を実践する先頭にたってきました。この点で、中東に関して、そこは残念ながら、長引く紛争に苦しんでいますが、エジプトは、1974年以来、中東での非核兵器地帯の設置をよびかけています。これに関連する決議は、1974年にはじめて採択され、以来、ずっと採択されています。1980年から、この決議は、総意で採択されています。

  さらに、モハメド・ホスニ・ムバラク大統領は、1990年4月に大量破壊兵器のない地帯を設置するイニシアティブを発揮しました。98年、このイニシアティブは、大量破壊兵器、特に、核兵器の惨害のない世界を実現する道を考える国際会議を開催するというよびかけで、さらに発展しました。

ご参加のみなさん、

  エジプトの地域レベルでの努力は、決して中東に限定されるものではありません。1996年には、アフリカ大陸に非核地帯を設置したペリンダバ条約の調印式はエジプトでおこなわれました。

  NPTと核不拡散体制は、普遍性のある体制ではないため、今日、大きな試練を受けています。中東地域で、NPTに加盟していないのはイスラエルだけで、IAEAの査察を受けない膨大な核施設があります。核兵器の存在をあいまいにするイスラエルの政策は、不確実性を増大させ、安全保障を脅かし、それが地域における軍拡競争をさらに助長しているのです。私たちはイスラエルにたいし、NPTに加盟し、IAEAによる核施設査察を全面的に受入れるように求めています。

  核軍縮と軍備管理を追求するエジプトは、新アジェンダ連合(NAC)の加盟国とともに、NPT条約に定められ、再検討会議で再確認された、核兵器廃絶の義務を果たす、という約束を、核保有国からとりつけるために努力しました。

  私たちは、地球上から核兵器を全てなくすという大きな目標は、各国政府の責任で実現すべきであると考えます。グローバル化した世界において、市民社会は人民の意志を反映させるという重要な役割を果たしています。この精神にもとづいて、私たちはみなさんのような立派なNGOを含め市民社会が、この大きな目標の実現にむけて政府の政策や行動を補完し、強化していることを歓迎するものです。

  終わりに、この世界大会でお話しする機会を与えてくださったことを感謝いたします。この大会に幅広い階層の方々が参加していることは、私たちの当面の課題の重要性を証明するものです。実際、原水爆禁止世界大会のかかげる崇高な大義は、全ての平和を愛する国々から強く支持されています。私たちは皆さんに敬意を表するとともに、みなさんの目標達成のための活動のご成功を願っています。

ありがとうございました。


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