原水爆禁止2002年世界大会

国際会議

マフムド・ムバラク大使

エジプト外務次官(多国間関係担当)

みなさん、

 原水爆禁止世界大会実行委員会のご努力と、核兵器のない世界という気高い事業へのみなさんの誠実な貢献に深く敬意を表明します。

 私たちはきょう、大量殺りく兵器の破壊的影響を世界に教えてきた偉大な都市広島に集まっています。私たちは広島・長崎から、これらの兵器がいかに恐ろしく残酷であるかを学びました。これらの兵器が、何十万もの罪のない市民の無差別殺りくに使われただけでなく、放射線が何世代にもわたり致命的な影響を及ぼしているからです。

 広島・長崎の原爆が原始的なおもちゃに思えるほど強力な核兵器が今日使えるようになっていることはじつにショッキングなことです。

みなさん、

 ダーバンからシアトルまで、国際関係では、市民社会の影響が増大しています。私たちは、世界諸国民の重要課題である核軍縮で、国際的なNGOの役割がさらに発展することを期待しています。原水爆禁止世界大会のような国際会議がこの方向をしめしています。

 核軍縮に真剣に取り組むエジプト国民は、核不拡散条約(NPT)締結をいち早く支持し、条約を世界に広げることを要求してきました。私たちはまた、包括的核実験禁止条約(CTBT)を厳格に順守することを約束しています。

 この点で最近、戦略的力の均衡を変える否定的な事態が起こり、不安を増大させています。弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの米国の脱退とミサイル防衛の盾を構築する試み、ごく最近のロシア連邦の第二次戦略核兵器削減条約(START�U)からの脱退、新世代核兵器、すなわち先制攻撃用の戦術核兵器開発などがそれです。

 戦略的防衛で核兵器が中心になっていることとあわせて、この分野での偏狭かつ一方的な国家安全保障上の関心が支配的となり、世界の平和と安全をかつてなく脅かしています。新たな軍備競争が、世界の安全と安定を危険に陥れています。「9月11日以後の時代」の新たな安全保障環境は、明らかに世界中を不確実で危険なものにしています。

 この流れのこれ以上の拡大をくい止めるために共同しあうべきです。核保有国が自らの核軍縮の国際的約束をまもろうとしないために、別の二つの国に核兵器の開発を促したのです。イスラエルも1960年代、すでに核兵器開発計画を開始していたのです。

みなさん、

 エジプトは、核軍縮の分野で地域的にも国際的にも重要な役割を負ってきました。

 中東地域は激動のなかで抗争と紛争が続いています。そのためにエジプトは中東地域の非核兵器地帯設置を対外政策の基本のひとつとし、多国間協議など、さまざまなところでこの目標を追求してきました。

 この努力が実を結んで1995年の第5回NPT再検討会議で、条約の無期限延長にかんする包括的措置の一部として、中東決議が採択されました。ロシア、イギリス、米国のNPT条約受託三カ国の共同提案によるこの決議は、NPT条約がすべての国によって早期に厳守されるっようになることの重要性を確認し、NPT未加盟の中東のすべての国に対して、速やかに条約に加盟し、自国の核施設を国際原子力機関(IAEA)の全面的な安全保証措置のもとにおくことを求めています。これは、2000年のNPT再検討会議でも、また、先の4月、ニューヨークで開かれた2005年NPT再検討会議のための第一回準備委員会でも再確認されました。

 核軍縮分野でのエジプトの努力は、1968年NPTに調印し、1981年に批准したときにすでに始まっていました。

 モハメド・ホスニ・ムバラク大統領は1991年に、中東に大量殺りく兵器と運搬体系のない地帯を確立する提案をおこないました。この提案は1998年、全世界からの大量殺りく兵器、とりわけ核兵器の一掃を検討する第二次提案へと発展しました。

 私たちの地域的努力は中東からアフリカ大陸にも及び、1996年にはアフリカ非核兵器地帯を設置するペリンダバ条約がエジプトで調印されました。

 核軍縮における国際的役割では、エジプトは新アジェンダ連合(NAC)の他の諸国と緊密に協力して活動しています。

 新アジェンダ参加国は長い間、核保有国に対して核兵器完全廃絶への措置に着手するよう呼びかけてきました。

 私たちは、包括的核実験禁止条約(CTBT)発効までのあいだの核爆発実験など核爆発に関するモラトリアムを維持するとともに、戦略核、非戦略核の両方で大幅な規模かつ不可逆的な削減を実行すべきだと考ええます。

 国連では、エジプトは1974年以来、中東非核兵器地帯創設に関する決議を提出しています。この決議は1978年に採択されて以降、毎年提案され、1980年以来コンセンサスで採択されています。私たちは今年も、「中東の核拡散の危険に関する決議」の採択に成功しました。

みなさん、

 最後に、この世界大会を組織されたみなさんに感謝を申し上げ、これから世代のために、わが国が地球的な平和と安全を維持することの重要性を直視し、核軍縮の分野で引き続き積極的役割を果たしていくことをお約束します。ご清聴に感謝します。