原水爆禁止2002年世界大会-広島 決議

広島からのよびかけ

57年前の今日、アメリカが投下した原爆のキノコ雲の下に、人びとは地獄を見た。襲いかかった熱線と爆風と放射線は、その年のうちに14万人を殺し、その後も、幾万という人びとのいのちを奪いつづけてきた。かろうじて生き残った被爆者たちは、核地獄の生き証人として「核兵器をなくせ」と声をかぎりにうったえてきた。その声は世界にこだまし、大きな反核のうねりとなって、核保有国にも核兵器廃絶の「明確な約束」を合意させるにいたった。

いま、ブッシュ米政権は、「テロ」と「大量破壊兵器拡散」を口実に、一方的な戦争と先制的な核兵器使用をくわだてている。小泉政権は、アメリカの新しい核政策を容認し、戦争への道をひらこうとしている。また、核保有国となったインド・パキスタン両国の軍事的対立もつづいており、平和的解決が切実にもとめられている。

核戦争をふせぎ、核兵器の廃絶を実現することは、ますます緊急の課題となっている。世論と運動のいっそうの発展のために、世界大会が築いてきた非核国政府との協力や、世界の人びととの連帯をひろげよう。「非核三原則」見直し発言へのきびしい批判や有事法制反対運動でしめされた、国民の反核・平和のねがいを力にさらに前進しよう。

原水爆禁止2002年世界大会につどった私たちは、「国際会議宣言」をふまえ、つぎの行動にとりくむよう、人類最初の被爆地・広島からよびかける。

◇ ブッシュ政権による戦争と核兵器使用のたくらみをやめさせよう。先制核攻撃政策や、新型核兵器開発、地下核実験の再開、ミサイル防衛計画を中止させよう。これらの実行を要求する署名や共同アピールなどの行動をいますぐ内外で開始しよう。

核使用の危険を阻止する最大の保証である核兵器廃絶を実行するようもとめよう。核兵器全面禁止条約の締結にむけた行動をただちに開始するよう、核保有国をはじめ各国政府と国連に要求しよう。

◇ 日本政府がアメリカの先制核攻撃政策を容認していることをきびしく批判し、被爆国として核兵器廃絶のために行動するよう強くもとめよう。「非核三原則」の厳守・法制化を要求し、自治体決議などの運動に全国各地でとりくもう。世界に誇る「非核神戸方式」を日米両政府の干渉から守り、拡大しよう。

◇ アメリカの戦争に日本をくみこみ、海外での自衛隊の武力行使に道をひらく有事法制の危険性をひろく知らせ、制定のたくらみをうちくだこう。「憲法9条を守れ」の運動をさらにつよめよう。沖縄での巨大な米軍新基地建設をゆるさず、基地の縮小・撤去をもとめよう。日米軍事同盟の解消をもとめる声をひろげよう。

◇ ヒロシマ・ナガサキの被爆の実相と被爆者のねがいを世界に、そして若い世代につたえよう。原爆展や証言活動、原爆遺跡の保存など、核戦争の惨禍をつたえ、被爆の実相を解明・普及する多様な運動をすすめよう。「原爆症認定」をもとめる被爆者の集団申請・訴訟のとりくみを支援しよう。世界の核兵器被害者との連帯を大きく発展させよう。

 地球上のいずれの地にもヒロシマ・ナガサキをくりかえしてはならない。連帯と共同の力で、核兵器のない平和で希望ある世界を実現しよう。

2002年8月6日

原水爆禁止2002年世界大会-広島