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反核平和運動・反核平和運動

核兵器のない世界、北東アジア平和・協力と
日本の原水爆禁止運動の活動

北東アジア平和と発展フォーラム
2011年9月24日
中国・大連

原水爆禁止日本協議会
事務局長 安井正和

友人のみなさん、

最初に、「2011年国際平和の日記念大会」並びに本日の「北東アジアの平和と安定、多国間協力と共同発展」のフォーラムにお招きいただき、発言の機会をいただいたことに感謝します。

また、この機会をお借りして、ことし3月11日に東日本を襲った巨大地震と津波、さらにいまも続く福島第一原発事故の深刻な被害に際し、中国のみなさんが被災地に暖かい救援とお見舞いを寄せられたことにも心からの感謝を表明いたします。

◆ ◆ ◆

私たち、原水爆禁止日本協議会は、1954年3月1日、アメリカが中部太平洋ビキニ環礁で行なった水爆実験の被害に抗議する国民的な世論と運動の高まりの中で、翌1955年、8月の第一回原水爆禁止世界大会の開催を経て、9月19日に結成されました。当時全国で集められ3200万筆を超える核兵器禁止署名は、唯一、核の攻撃を体験した国としての日本国民の強い反核平和の願いを示すものでした。それ以来日本原水協は核戦争阻止、核兵器全面禁止・廃絶、被爆者援護・連帯の三つを基本目標とし、毎年8月の原水爆禁止世界大会の開催、日常的な原水爆禁止の国民的署名運動、被爆者と協力した被爆の実相の普及など、草の根を基礎に多彩な行動を発展させています。

中国の平和運動のみなさんは、既に1955年の第一回原水爆禁止世界大会に当たって、まだ日中間の国交がない中で代表団を結成して大会を支援し、また、中国人民平和軍縮協会のみなさんは1999年以来、毎年、大会に代表団を送り、今年も陳都明副秘書長を団長に遼寧省のみなさんを含む7人の代表が参加されました。みなさんの大会への貢献に心から感謝するものです。

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広島・長崎への原爆投下から66年、いま私たちの前には、核兵器のない平和で公正な世界へと前進する新たな機会が現れています。昨年5月、核不拡散条約再検討会議開会の直前、潘基文国連事務総長はニューヨークに集まった世界の平和運動の代表を前に、「いま、地平線の上には核兵器のない世界が現れている」と言い、平和運動がそれぞれの行動を続けるよう励ましました。

実際、2010年NPT再検討会議は、「核兵器のない世界の平和と安全を達成する」ことを「目標」とし、その実現のために核兵器国が、「自国の核兵器の完全廃絶」の約束を実行すること、すべての国の政府がその「枠組み」を確立する「特別の努力」を行うこと、その実現のために核兵器禁止条約の交渉を含む潘基文国連事務総長の提案に留意することなどを、行動計画として合意しました。

私たちはまた、昨年12月、国連総会が行なった核軍縮関連諸決議の採択結果にも注目しています。NPT再検討会議の合意の実行を呼びかける新アジェンダ連合提案は賛成173、反対5の大差で採択されました。さらに私たちが注目したのは、核兵器禁止条約にいたる交渉の開始を求めるマレーシアなどの提案の採択結果です。この提案に、米英仏ロの4カ国は反対票を投じました。しかし、核兵器国の中でも中国は賛成票を投じました。また、NPTの枠外で核開発を行なったインド、パキスタン、さらには北朝鮮も賛成票を投じています。このことは、NPTの締約国の中でも184の国々が「非核兵器国」として、自らに核兵器を開発も取得もしないという第2条の義務を課していることと合わせてみれば、核兵器全面禁止に向かって具体的な協議へと足を踏み出すことは、ほんの一部の核保有国が決断すればすぐにも可能であることを示しています。

日本原水協は今年2月15日、潘基文事務総長も含む内外の広範な方々の賛同を得て、核兵器全面禁止のアピールを出し、これを支持する新たな署名運動を開始しました。国際政治での核兵器廃絶の真剣な努力を支え、世論を動員するこの取り組みにみなさんも賛同し、参加されることを提唱するものです。

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核兵器のない世界、北東アジアの平和を推進する上で、日本政府には、核の惨禍を体験した唯一の被爆国の政府として、また、アジア諸国に対する過去の侵略戦争の反省から国際紛争の平和解決と武力の行使および交戦権の放棄を憲法上の原則とする国として、特別の果たすべき役割があります。

2009年9月、核軍縮・不拡散をテーマとする国連安保理事会の特別会合で当時の鳩山首相は、広島・長崎の犠牲を想起しながら、核兵器を持たず、つくらず、持ち込まさずの「非核三原則」を守る誓約を新たにし、日本が「核兵器廃絶の先頭に立つ」と宣言しました。

にもかかわらず、日本政府は自民党・公明党政権から民主党主導の現政権に変わって以後も、核兵器禁止条約交渉には消極的態度をとり、米国の核積載艦船の日本寄港を認めた過去の密約についても破棄することを拒否し続けています。その根底にあるものは、日本の安全をアメリカとの軍事同盟、とりわけアメリカの「核の傘」に求める対米従属の姿勢です。

しかし21世紀はもはや、武力や軍事同盟、ましてや核による威嚇に安全の保障を求める時代であってはなりません。この間、政治、経済など様々な分野でアジアの比重の高まりと関連して、日米同盟の強化でこの発展に対応するという議論が日米双方でなされています。しかし、こうした主張は、まさに時代の変化への逆行にほかなりません。逆に、アジアの比重が高まっているからこそ、このアジアでの平和と協力と相互理解、紛争問題の話し合い解決の努力が一段と重要になっているのです。

他方で、東アジアでは、東南アジア非核兵器地帯の発展やASEAN地域フォーラム(ARF)を舞台とした活発な外交の展開に見られるように、地域諸国のイニシアチブで対話と協力を発展させ、紛争の予防・話し合い解決を促進する努力が発展しています。私たちは、アジアと世界の非核化と平和を求めるすべての積極的イニシアチブと連帯しつつ、日本政府がこの流れにより積極的に加わるとともに、唯一、被爆を体験した国として、核兵器を等しく禁止する条約を実現するためにイニシアチブを発揮すること、そしてその誠意の証として、米国と結んだ核密約を破棄し、「核の傘」から離脱し、非核日本の宣言を行うことを求めています。

また、私たちは、北朝鮮に核兵器開発の放棄を求めるとともに、朝鮮半島の非核化を六カ国協議の枠組で解決すべきことをすべての当事国に求めています。日本政府は、この間も朝鮮の核・ミサイル開発を直接の理由にミサイル防衛網の強化、日米共同作戦体制や在日米軍基地の強化に協力してきました。しかし、日本は、過去の歴史でとりわけ東アジア諸国への侵略を重ね、不幸をつくりだしてきた事実に照らしても、いま、アジア諸国との協力と話し合いをめざし、問題の話し合い解決に力を注ぐべきなのです。

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最後に、今年3月11日、巨大地震、津波とともに起こった福島第一原発の事故を経て、私たちは、広島・長崎の悲劇から立ち上がった運動として、これ以上、人類への放射線被害を許さない立場から、原発からの撤退と自然エネルギーへの転換をめざす日本と世界の運動への連帯を発展させる決意を新たにしています。いまも続くフクシマの悲劇が示すように、原発の事故はひとたび起これば、人類は、国境を越えた放射性物質の飛散と汚染の拡大を防ぐすべを持ちません。この問題でも、核兵器の廃絶、平和、人々の命と暮らしを守るNGOの、北東アジアでの協力が広がることを願って、発言を終わります。

 

 

 

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