WWW search Gensuikyo search

 
 

 

 

反核平和運動・原水協の声明と決議

原水爆禁止日本協議会(日本原水協)は日本政府に対し、下記の申し入れを行いましたので、お知らせします。申し入れには、高草木博(日本原水協事務局長)、小田川義和(全国労働組合総連合事務局長)、高田公子(新日本婦人の会会長)、長瀬文雄(全日本民主医療機関連合会事務局長)、千坂 純(日本平和委員会事務局長)が参加しました。


日本政府への申し入れ:
核兵器禁止条約の交渉開始の提唱、日米核密約の破棄、
非核三原則の厳守・実行を

2010 年4 月14 日
原水爆禁止日本協議会

きたる5 月3 日から28 日まで、ニューヨークの国連本部で核不拡散条約(NPT)再検討会議が開催されようとしています。

会議を前にして、昨年4 月にはオバマ米大統領が「核兵器のない世界の平和と安全を追求する」ことを誓い、5 月には再検討会議第3 回準備委員会が、2000 年の再検討会議で核保有5 カ国が受け入れた「自国の核兵器の完全廃絶」の「明確な約束」を含めて議題を決定するなど、核兵器廃絶への機運が大きく高まっています。

他方で、広島・長崎の被爆からまもなく65 年になるいまも世界には、23,000 発の核兵器が貯蔵・配備され、北朝鮮の核開発に見られるように核拡散の危険も強く懸念されています。核兵器廃絶を達成する努力をこれ以上遅らせるべきでないことは明らかです。

昨年9 月、史上初めて開催された核軍縮・不拡散を議題とする国連安保理事会の首脳会合で鳩山首相は、日本が唯一の被爆国として「核軍拡の連鎖を断ち切る道」を選んだとのべ、「日本が非核三原則を堅持する」こと、「核兵器廃絶に向けて先頭に立つ」ことを誓約しました。

私たちは、目前に迫った5 月のNPT再検討会議で、この誓いを実行し、人類史上唯一、核攻撃の惨禍を体験した国民を代表する政府として、核兵器廃絶を実現するためのイニシアチブを発揮されるよう、以下、申し入れるものです。

1、核兵器全面禁止・廃絶条約の交渉開始を提唱すること

昨年来、「核兵器のない世界」の実現は、もはやコンセンサスともいえる国際社会の目標となっています。同時に、核兵器のない世界は、国際社会が一致して核兵器を禁止し、拘束力ある条約として遵守、履行しない限り実現できません。

昨年の国連総会では、核兵器禁止条約の交渉開始を求めた決議に対し、すでに全加盟国のほとんど3 分の2 にあたる124 カ国が賛成票を投じました。そこには核兵器国の中国とともに、NPT外にあるインド、パキスタン、北朝鮮も含まれています。このことは、核保有国が決断をすれば、核兵器全面禁止の協議は、ただちに開始可能であることを示しています。

残念なことに、日本政府はこれまで、一般的に「核兵器の廃絶」を口にしつつも、実際にそれを禁止し、廃絶するための協議に関しては「時期尚早」として、多数の国の努力に水を差す態度をとり続けました。昨年、政権が変わり、新政権には新たな態度が期待されていますが、先にオーストラリア政府とともに発表した「2010 年NPT運用再検討会議にむけた実践的核軍縮および不拡散措置の新しいパッケージ」でも、核兵器禁止条約やそのための交渉開始はひき続き欠落しています。

2008 年8 月6 日、私たちは原水爆禁止世界大会に集まった海外代表とともに、NPT再検討会議にむけて、「核保有国をはじめすべての国の政府がすみやかに核兵器禁止・廃絶条約の交渉を開始し、締結することに合意する」よう求める署名運動を開始しました。集められた署名は、本日(4 月14 日正午)の時点で783 自治体首長、542 自治体議会議長・副議長を含め、621 万3098 人分に達しています。

日本政府が、従来の政府の過ちを惰性的に引きずることなく、こうした被爆国国民の意思を誠実に受け止め、NPT再検討会議に対し、核兵器全面禁止廃絶条約のすみやかな交渉開始を提唱するよう、強く求めるものです。

2、日米核密約を破棄し、非核三原則を厳守・実行すること

日本政府にはまた、日米核密約を破棄し、非核三原則を厳守・実行することが差し迫って、求められています。たとえ日本政府が外に向かって、「唯一の被爆国」であることを強調し、「核兵器の廃絶」や「核放棄」を求めても、自らの安全を他国の核による威嚇や核使用の政策に委ねているなら、説得力を欠くことは明らかです。
この間の日米核密約をめぐる調査や国会での質疑を通じて、日本政府が「非核三原則」を唱えながら、実際には米国との間に密約を結び、日本の領土、領海への核兵器の持ち込みを事実上野放しにしてきたことは、国際的にも知れ渡っています。

この状態は、基本的に、いまも変わっていません。米国は確かに1991 年、水上艦船および攻撃型潜水艦から非戦略核兵器を撤去することを発表しました。しかし、同時に米国は、「潜水艦への核巡航ミサイル配備能力は維持する」(94 年NPRニューズリリース)ことを明確にし、「必要に応じて」配備することを宣言しています(95 年国防報告)。核兵器の積載の有無を明らかにしない「肯定も否定もせず」という政策もそのままです。

問われているのは、アメリカの政策ではなく、密約まで結んで国民の信頼を裏切った過去にどう決着をつけ、非核三原則を、主体的にどう守っていくかです。私たちは、鳩山首相が、9 月におこなった「非核三原則を堅持する」との宣言を言葉から行動に移し、核兵器の持ち込みを許す根拠となった密約を破棄し、アメリカをはじめ、すべての核保有国に対し、一時的なもの、恒常的なものを問わず日本が核兵器の持ち込みを一切許さないことを原則とする国であることを通告するよう求めます。

65 年前の広島、長崎から起こった「人類は核兵器と共存できない」との被爆者の声に耳を傾け、いま世界の圧倒的多くの人びとが、速やかな核兵器の廃絶を求め、多くの国の政府が、それを条約として核兵器のない世界を実現するために誠実な努力をおこなっています。唯一、国民が被爆の惨禍を体験した国の政府として、日本政府が今回のNPT再検討会議に先立ち、あるいは期間中、以上の誠実かつ見識ある選択をおこなうよう、心から要請するものです。

 

 

このページの最初へもどる あるいは GensuikyoのTop Pageへもどる

 

Copyright (C) 1996-2011 Gensuikyo. All Rights Reserved.
日本原水協 〒113-8464 東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター6階
Tel:03-5842-6031 Fax:03-5842-6033 
お問い合わせフォーム