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反核平和運動・原水協の声明と決議

ブッシュ大統領への公開状:
核軍縮への逆行をやめ、核兵器廃絶への誠実な努力を

2002年2月17日
原水爆禁止日本協議会

アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュ殿

 「20世紀の過ちを21世紀にくり返すな」(2000年5月、「国連NGOミレニアム・フォーラムの宣言」)—— 人類の核兵器廃絶の願いとともに21世紀の扉が開かれてから一年余りが経ちました。いま、国際政治には、2000年5月、核不拡散条約(NPT)再検討会議で187カ国の政府が合意した「核兵器完全廃絶」の「明確な約束」を実行する重要な課題が課せられています。この目標を実現する上で、核保有国とりわけ20世紀後半の核軍備競争を主導し、世界に抜きん出た核戦力を持つアメリカ合衆国が重要な責任を持っていつことは明らかです。

 しかし、「合意」成立以来すでに20カ月余りになり、ことし4月には次回のNPT再検討会議のための第一回準備委員会が開催されようとしているにもかかわらず、貴国政府はいまなお約束実行の意思と計画とを示そうとしません。そればかりか、あなたは大統領就任早々、米国政府自身が促進し、世界160余りの国が調印している包括的核実験禁止条約(CTBT)を死文化させることを言明、5月には「攻撃力、防衛力の両方にわたる抑止力の強化」として「ミサイル防衛」計画促進と「弾道弾迎撃ミサイル制限(ABM)条約」からの離脱を打ち上げ、最近では、「脅威立脚型」から「能力立脚型」への転換と称して、核兵器の使用をも前提とした全面的な軍事力強化を打ち出しています。それだけではありません。あなた方は、CTBT調印後も未臨界核実験を継続し、さきの「核態勢見直し」では爆発実験の再開さえ伝えられています。こうした政策が、米国政府も加わって「明確」に「約束」したはずの「自国の核兵器の完全廃絶」に逆行するものであることは明らかです。
 
 昨年9月11日のテロ事件を含め、人命を無差別に犠牲にするテロが根絶されるべきであることは言うまでもありません。しかし、そのことは、あれこれの特定国が勝手に他国に「悪の枢軸」、「ならず者の国家」といったレッテルをはり、核兵器や大量殺りく兵器拡散の「疑惑」の名で武力攻撃することを許すものではありません。そもそも、米国など特定の国は核兵器を保有する特権をもっているが、その他の国はもってはならず、核保有の疑惑があれば軍事攻撃や、場合によっては核兵器を使って攻撃する事も許されるという主張くらい国際社会の道理に反するものはありません。まさにこの論理こそが核拡散の危険も増大させてきたのです。膨大な核兵器を保有し続け、その力を背景に国際社会や各国の主権の上にみずからを置き、自国の利益を国際的秩序やルールよりも優先させることはもはや、許されないことです。

 昨年5月1日あなたが述べたように、米国が真に「冷戦」の「相互確証破壊」の危険からの脱却をめざすのであれば、まず第一にもとめられることは、核保有国が、すでに国際的に合意した「自国の核兵器の完全な廃絶を達成する」ことを、みずからの国政上の方針として宣言し、そのための国際交渉の開始をただちに提唱すべきです。人類史上最初に核兵器が使用された日本をあなたが訪問されたこの機会に、私たちはこのことの実行を強く求めるものです。

 20世紀の歴史のなかで米国は、国連憲章と国連の創立にあたり、各国の主権と平等、内政不干渉、戦争の禁止と平和的手段による紛争問題解決などの諸原則を確立する上でも、積極的役割を果たしました。私たちは、あなたのもとで米国政府が決断し、国連憲章と国際法に基づく平和で対等な国際関係の強化に方向を転じ、そのもっとも基本的で重要な一歩として、核兵器廃絶の決断をおこなうよう、強く要請するものです。

反核平和運動・原水協の声明と決議

 

 

 

 

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