« 2007年05月 | メイン | 2007年07月 »

2007年06月04日

募金帳付きチラシ完成

原水爆禁止2007年世界大会実行委員会は世界大会の全日程・分科会のテーマと魅力を掲載したカラーちらし(裏面1色刷り)を発行しました。

表デザイン

世界大会国民募金帳つきチラシ表_t.jpg

裏デザイン

世界大会国民募金帳つきチラシ裏_t.jpg

草の根から世界大会への代表派遣、核兵器廃絶、被爆者援護・連帯をすすめるための国民募金帳つきです。

お問い合わせは〒113-8464 東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター6階 原水爆禁止世界大会実行委員会(Tel:03-5842-6035、Fax:03-5842-6033)まで

2007年06月01日

第1分科会「東アジア・非核平和の連帯」での発言―土田弥生

5月27日に行われた分科会1「東アジア・非核平和の連帯」における日本原水協事務局次長・土田弥生さんの発言を紹介します。

私たちは、核兵器廃絶、核戦争阻止、被爆者援護連帯の3つの目的の実現のために、1955年以来活動をしてきた団体です。1945年の広島、長崎の被爆に続き、1954年の米国によるビキニ水爆実験の被害を受け、日本で原水爆を禁止する運動が大きく発展しました。以来、この運動は、冷戦の真っ只中の時でさえ核兵器全面禁止・廃絶を世界に呼びかけ、原水爆の被害の実相を広げ、核保有国による核兵器の使用の手を縛ってきました。この運動は、また、戦後62年、安倍内閣が日本を戦争をする国にするためにもくろんでいる憲法9条改悪を阻止する上で、大きな役割を果たしてきました。

1946年の「原子兵器の各国の軍備からの廃絶」を誓った国連第一号決議から61年、核保有国も含めて核兵器廃絶を行うとの2000年の核不拡散条約(NPT)再検討会議の合意からも7年が経ちますが、人類に対するこの約束は実行されず、地球上には今だ27000発の核兵器が存在し、私たちの生存を脅かしています。

さらに人類を震撼させる出来事が昨年10月アジアで起こりました。北朝鮮の核実験です。この核実験は、世界の人々、特にアジアの人々に自分たちが核兵器による絶滅の恐怖と隣り合わせに生きていることを実感させました。核兵器が存在する限り、人類の平和、安全というものはありえません。

私たちは長年、核兵器廃絶のために運動を発展させてきましたが、北朝鮮の核実験以降、特に、朝鮮半島の非核化、非核で平和な東アジアをつくる課題に力を入れて取り組んでいます。核問題でアジアの運動との協同を発展させることは重要であり、特に、これまで戦争の加害・被害の歴史をもち、冷戦下でも分断されてきた日本と韓国の運動と国民が、こうして集まり、共通の目的のために議論し、協同する場をもつことができてうれしく思います。

最初に、北朝鮮の核実験は、どのような状況のもとであろうと、どんな口実をもってしても正当化することはできず、自国が国際社会に行ったこれまでの約束を守り、核兵器を廃棄するべきです。

同時に、北朝鮮の核実験は、まさに、核兵器を持つものと持たざるものの二重基準の矛盾の現れであると考えています。アメリカを中心に核保有国は、みずからの核は「安全の保障」と強弁し、「聖域」におき、気に入った国の核保有も容認しながら、他の国には「危険」とみなせば核脅迫・軍事脅迫を加えるやり方を行っています。このような核保有国のやり方は、拡散を止めるどころか、事態を悪化させるだけです。

アメリカのブッシュ政権は、「冷戦」後の世界にアメリカの一極支配をつくりだすために、冷戦時代に米国を縛ったさまざまな条約や約束を反故にし、核の圧倒的優位をつくりだそうとしています。核戦力と通常戦力の敷居を取り払い、必要なとき、必要な場所でいつでも核兵器を使えるようにすることもそのひとつです。この計画は、2001年9・11のテロ事件を契機に同政権が打ち出した、先制攻撃戦略と結びついて、いっそう危険なものとなっています。2003年3月、世界の反対を押し切って強行したイラク戦争は、まさにこの戦略の危険性と無法、そしてそれが引き起こす悲劇を世界中に示しています。

さらに、アメリカは、軍事力や核による威嚇でアジアの平和な発展をゆがめようとしています。今年、2月に出されたアーミテージ報告は「日米軍事同盟:2020年にむかってアジアを正す」というタイトルのもと、人口から見ても経済発展から見ても将来大きな可能性を秘めるアジアを、米国の利益のために、韓国、日本を中心に、特に日米軍事同盟を核にこの方向を進もうとしています。

しかし、このような既存の核保有国による脅迫がどのように不当なものであれ、それにたいしてみずからも核で対抗することはそれ自体、人類の生存を人質にした核軍備競争に加わることであり、絶対に正当化されるものではありません。核保有国が、真に核の拡散を「脅威」とするなら、核兵器そのものを禁止すべきです。今こそ、核兵器をめぐる病根である二重基準を取り除き、すべての国が核兵器を禁止することが求められています。核保有国も含む世界の圧倒的世論と大多数の政府が核兵器廃絶を求めているいま、私たちも、このアジアで核兵器廃絶を推進する共同の運動をつくり、促進することを呼びかけます。

北朝鮮の核実験やアジアの平和の問題で、非常に悪い役割を果たしているのは日本政府です。北朝鮮の核実験の際には、国際社会が一致してこの問題の平和的解決のために動いているにもかかわらず、日本政府が取った態度は、日本の核保有論議を容認する一方で、ブッシュ政権とともにあらためてアメリカの「核の傘」への依存を確認し、念願の「ミサイル防衛」を促進するとともに、現行憲法の下でもアメリカ本土防衛のために日本をミサイル防衛の基地とする「集団的自衛権」の検討を約束し、同時に、公然と憲法改悪の道を踏み出すというものでした。

自分は他国の核の傘に依存しながら、北朝鮮に核放棄を迫っても説得力はありません。朝鮮半島の併合とアジア諸国への侵略の歴史を持つ日本に対していま世界の人々が一番強く求めているものは、過去の反省にたって戦争放棄を誓った日本国憲法と被爆の体験から国是と宣言した核兵器を「つくらず、持たず、持ち込まさず」の非核三原則にたって、平和と核兵器廃絶のために努力することです。

私たちは今年4月、広範な人々ともに「非核日本宣言」運動を始めました。日本政府が「核兵器廃絶の提唱」と「非核三原則の厳守」を内容とする「非核日本宣言」を行い、国連と192の加盟国政府に対して通告するよう求める国民的な運動です。これに、保守、革新の垣根を越えて、多くの自治体首長が大きな賛同を寄せています。憲法をめぐっても、どの世論調査をみても回答者の圧倒的多数が9条を守るべきと答えています。この傾向はこの3年間強まっています。このたたかいにも多くの韓国の友人の賛同と連帯をお願いします。

東アジアでの反核平和の共同とのとりくみは、日本国民に対しても、日本がアメリカの核の傘や軍事同盟ではなく、アジアの一員としてアジアの非核化と平和のために努力すること、そのためには、憲法9条と非核三原則を日本の進路とすることが確かな道であることを示すことになります。

反核平和大会は、全体的に前進のなかで開かれていると考えます。韓国のみなさんや先輩方が命をかけて実現した韓国の民主化は非核、平和の東アジアという点で、大きな可能性をひらきました。北朝鮮の核実験とその後の六カ国協議の再開などの進展に見られるようにアジアの平和、非核の世論は成長しています。ブッシュ政権のすすめてきたイラク戦争の大破綻、反戦運動の高まり、昨年の米議会での共和党の敗北など来年の大統領選挙に希望をつなぐアメリカの変化があります。5月初めにオーストリアのウィーンで開かれたNPT再検討会議準備委員会では、頑強な核保有国の核兵器廃絶への態度に変化が見え始めています。

私たちは今年3月、ビキニの水爆実験被災を偲ぶ3・1ビキニデーで、韓国や中国の代表を招いて「平和なアジアへ、いま被爆国日本の役割を問う」と題する国際フォーラムを開き、連帯を発展させました。以来、この反核平和大会のために私たちも協力をすすめてきました。さらに、次は8月3-9日、広島、長崎で開かれる原水爆禁止世界大会です。現在、世界大会に広島、長崎にむけて日本中で平和行進が行われています。韓国の多くの皆さんの参加をよびかけます。みなさんの参加で、東アジアの反核、平和の共同をさらに前進させましょう。

基地・日米軍事同盟強化反対のたたかい

セッション2 東アジアの軍事主義拡大と反戦平和運動での日本平和委員会代表・田中優行さんお発言を紹介します。

基地・日米軍事同盟強化反対のたたかい
2007・5・26 日本平和委員会 田中優行

はじめに、沖縄県名護市辺野古への新米軍基地建設反対の運動の先頭にたってきた地元の住民組織「命を守る会」代表金城祐治さんが、先日19日に亡くなられました。戦争でなく、平和な世界を求める皆さんとご冥福を祈りたいと思います。

いま日本では、「アジアと世界のための日米同盟」の名のもとで、日米軍事同盟を世界規模で侵略的に強化する道をおしすすめています。それは、無法な戦争をすすめ世界から孤立するブッシュ政権と「価値観」や「戦略目標」を「共有」し、世界的な規模でアメリカの戦争に加担する“血の同盟”をつくろうとする、時代錯誤の道です。このために、在日米軍基地を世界規模の出撃・司令基地としていっそう強化し、同時に、自衛隊が世界規模でアメリカの戦争に参加できる体制をつくろうとしています。これが、いますすめられている「米軍再編」=「日米同盟の変革と再編」です。

しかし、米軍基地再編強化に反対する自治体・住民ぐるみのたたかいでも、日米政府の総がかりの圧力のもとで一部の自治体が容認に転ずるなどの複雑な事態が生まれていますが、住民の反対世論と運動の中で、ひきつづき22自治体(政府統計)が反対の立場を崩していないことは重要です。

■ 沖縄・名護市辺野古沿岸域への新米軍基地建設をめぐっては、政府は容認派の知事や市長と合意をつくって早期に着工することをめざし、「事前調査」を強行しています。しかし、◇「県外移設」を求める多数の県民世論、◇最新鋭侵攻機オスプレイ配備計画など、実際には「負担軽減」どころか増強以外の何ものでもないこと、◇日本自然保護協会も世界自然保護基金日本委員会も反対していることに示されるように、深刻な自然破壊の計画であること、◇「現計画には反対」「普天間基地の3年以内の閉鎖」という知事公約との矛盾など、問題は山積し、市民・県民のたたかいが続けられています。

■ 岩国基地への空母艦載機移転計画に対しては、昨年3月の住民投票で岩国市民の過半数が反対の意思を示し、市長もこの上に立って反対を貫いています。これに対し政府は市庁舎への補助金35億円を打ち切る暴挙を行い、市議会で受け入れを求める決議が賛成多数で可決されるなど、自治体・住民への激しい攻撃がかけられています。しかし市長は市民と共に反対の立場を貫いています。広島西部の自治体も引き続き反対しています。

■ 横須賀基地に08年8月に原子力空母を配備する日米政府の計画を横須賀市長が受け入れたのに対し、7・9横須賀集会に3万人を結集し、市民は有権者の1割を超す住民投票条例請求署名を集めました。市議会の多数派はこれを却下しましたが、NPOの調査でも配備反対が65%、住民投票は必要が74%という世論結果が示され、市民の共同した運動がひろがっています。

■ 座間市・相模原市への米陸軍第1軍団司令部の移転に先立ち、米軍は先遣部隊を6月にも配備すると表明しています。しかし、両市とも引き続き反対しています。
北朝鮮核開発をめぐる「6者協議」や「東アジア共同体」めざす動きに見られるように、軍事同盟ではなく平和の地域関係をつくることこそ、平和を実現する道であることは明らかです。日本と、韓国、東アジアの平和運動の交流と連帯を訴え、発言とします。