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2006年12月22日

【鳥取県原水協】被爆者援護法改正及び原爆症認定制度の抜本的改善を求める意見書

 1945年8月6日に広島、同年8月9日に長崎に投下された比類なき2発の原子爆弾は、多くの尊い生命を奪った。奇跡的に一命をとりとめた被爆者も、被爆から61年経った現在でも後遺症や悪性新生物などの肉体的苦痛、周囲からの偏見や差別による精神的苦痛など、被爆に起因する不安な生活が依然として続いている。

 1994年に制定された『原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(通称:被爆者援護法)』は、原子爆弾の放射能に起因する健康被害に苦しむ被爆者の健康の保持及び増進並びに医療・福祉などについての保障を想定したものだが、その認定審査に用いられる『DS86』(1986年に日米の専門家が共同作成した原爆線量評価検討委員会の報告書の略称)に基づく基準は、直接被爆以外の残留放射線に夜外部被爆・内部被爆の影響を不当に低く見積もるものであり、その結果、投下直後の入市被爆者や遠距離被爆者などを保障の対象から除外するものとなっている。

 こうした原爆症認定基準の不備については、先頃大阪地裁及び広島地裁の原爆症認定訴訟の判決において厳しく指摘されている。特に、広島地裁判決においては、判決理由の中で、原爆症についてはなお未解明の部分が多いことを前提として、国の認定基準に「残留放射線による外部被爆及び内部被爆を十分には検討していないといった様々な限界や弱点がある」ことを指摘し、「審査の方針を機械的に運用すべきではなく、あくまでこれを放射線起因性の一つの傾向を示す、過去の一時点における一応の参考資料として評価するにとどめて、全体的、総合的に検討することが必要である」とし、原告全員を原爆症と認定した。さらに被爆者援護の立場に立ち、入市被爆者、遠距離被爆者についても広く認定の対象とすることなど、現在の原爆症認定制度を根底から批判し、被爆の実態を見据えた新しい認定のあり方を示した。

 また、この被爆者援護法は日本国内に在住する被爆者のみに適用され、在外被爆者に対しては法が適用されない現実がある。戦前の日本軍国主義による強制連行などによって広島・長崎で被爆した当時の在日外国人の多くが、戦後に母国に帰国するなどして今なお何らの手当てを受けることができず被爆の苦しみに耐え続けている現状を見ると、日本政府により在外被爆者に対して国内と同等の実効的な救済施策が講じられる必要があると考える。

 また、直接被爆ではないにしても、被爆2世・3世などは被爆に起因する遺伝的な疾病や障害を起こす可能性があるという報告や実際に原爆小頭症や悪性新生物などに苦しむ人々が存在するという事実がある。被爆2世・3世などは常にそのような不安に駆られ、被爆を理由に周囲から差別を受けるという事象も後を絶たない。

 厚生労働省は被爆者救済の視点に立ち、現行審査基準や現行法制によって救済の対象から外れている高齢化する被爆者、在外被爆者、被爆2世・3世などに対する国の責任を明確にした上で、以下に挙げるような適切な施策を講じることを強く求める。

(1)在外被爆者や被爆2世・3世など現行制度で救済の対象から外れている人たちを含めた包括的な救済を可能とする被爆者援護法の改正を求める。

(2)現行の所謂「DS86」に基づく原爆症認定基準を改め、間接被爆(黒い雨、黒い塵などもふくめた残留放射能の影響を受けている入市被爆者、遠距離被爆者など)も考慮に入れた認定基準の確立を求める。

(3)被爆者の高齢化を鑑み、原爆症患者の救済を最優先する観点から、原爆症認定集団訴訟に対する控訴の取り下げを求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年12月21日

鳥取県八頭郡八頭町議会

内閣総理大臣 安 倍 晋 三 様
厚生労働大臣 柳 澤 伯 夫 様
衆議院議長  河 野 洋 平 様
参議院議長  扇    千 景 様

2006年12月21日

【鳥取県】八頭郡八頭町議会が首相、厚労相、衆参議長に対し「被爆者援護法改正及び原爆症認定制度の抜本的改善を求める意見書」採択

被爆者援護法改正及び原爆症認定制度の抜本的改善を求める意見書

1945年8月6日に広島、同年8月9日に長崎に投下された比類なき二発の原子爆弾は、多くの尊い生命を奪った。奇跡的に一命をとりとめた被爆者も、被爆から61年経った現在でも後遺症や悪性新生物などの肉体的苦痛、周囲からの偏見や差別による精神的苦痛など、被爆に起因する不安な生活が依然として続いている。

1994年に制定された『原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(通称:被爆者援護法)』は、原子爆弾の放射能に起因する健康被害に苦しむ被爆者が、その認定審査に用いられる『DS86』(1986年に日米の専門家が共同作成した原爆線量再評価検討委員会の報告書の略称)に基づく基準は、直接被爆以外の残留放射線による外部被爆・内部被曝の影響を不当に低く見積もるものであり、その結果、投下直後の入市被爆者や遠距離被爆者などを保障の対象から除外するものとなっている。

こうした原爆症認定基準の不備については、先頃大阪地裁及び広島地裁の原爆症認定訴訟の判決において厳しく指摘されている。特に、広島地裁判決においては、判決理由の中で、原爆症についてはな未解明の部分が多いことを前提として、国の認定基準に「残留放射線による外部被爆及び内部被曝を十分には検討していないといった様々な限界や弱点がある」ことを指摘し、「審査の方針を機械的に運用すべきではなく、あくまでこれを放射線起因性の一つの傾向を示す、過去の一時点における一応の参考資料として評価するにとどめて、全体的、総合的に検討することが必要である」とし、原告全員を原爆症と認定した。さらに被爆者援護の立場に立ち、入市被爆者、遠距離被爆者についても広く認定の対象とすることなど、現在の原爆症認定制度を根底から批判し、被爆の実態を見据えた新しい認定のあり方を示した。

また、この被爆者援護法は日本国内に在住する被爆者のみに適用され、在外被爆者に対しては法が適用されない現実がある。戦前の日本軍国主義による強制連行などによって広島・長崎で被爆した当時の在日外国人の多くが、戦後に母国に帰国するなどして今なお何らの手当を受けることができず被爆の苦しみに耐え続けている現状を見ると、日本政府により在外被爆者に対して国内と同等の実効的な救済施策が講じられる必要があると考える。

また、直接被爆ではないにしても、被爆二世・三世などは被爆に起因する遺伝的な疾病や障害を起こす可能性があるという報告や実際に原爆小頭症や悪性新生物などに苦しむ人々が存在するという事実がある。被爆二世・三世などは常にそのような不安に駆られ、被爆を理由に周囲から差別を受けるという事象も跡を絶たない。

厚生労働省は被爆者救済の視点に立ち、現行審査基準や現行法制によって救済の対象から外れている高齢化する被爆者、在外被爆者、被爆二世・三世などに対する国の責任を明確にした上で、以下に挙げるような適切な施策を講じることを強く求める。

(1)在外被爆者や被爆二世・三世など現行制度で救済の対象から外れている人たちを含めた包括的な救済を可能とする被爆者援護法の改正を求める。

(2)現行の所謂「DS86」に基づく原爆症認定基準を改め、間接被爆(黒い雨、黒い塵などもふくめた残留放射能の影響を受けている入市被爆者、遠距離被爆者など)も考慮に入れた認定基準の確立を求める。

(3)被爆者の高齢化を鑑み、原爆症患者の救済を最優先する観点から、原爆症認定集団訴訟に対する控訴の取り下げを求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年12月21日
鳥取県八頭郡八頭町議会

内閣総理大臣 安 倍 晋 三 様
厚生労働大臣 柳 澤 伯 夫 様
衆議院議長  河 野 洋 平 様
参議院議長  扇    千 景 様

浅間神社で被爆者支援・元旦募金行動を計画

原水爆禁止静岡市協議会では、1月1日正午より1時間、浅間神社・赤鳥居前で被爆者支援・元旦募金行動を計画しています。

以下、呼びかけです。

静岡地裁に原爆症認定第二次提訴
 核兵器廃絶と国家補償にもとづく被爆者援護を求めてたたかいつづけてきた全国の被爆者は、いま「原爆症認定集団訴訟」に立ち上がり、今年、大阪と広島で全面勝訴を勝ち取るなど、奮闘をつづけています。
 静岡県でも新たにお二人の被爆者が提訴に立ち上がり運動が広がっています。みなさん!被爆者支援の元旦行動に参加しましょう!

被爆国で“9条”もつ国にふさわしい外交を
 自民党の中川昭一政調会長や麻生太郎外務大臣は、日本の核兵器保有について「議論は大いにしないと」などと発言し、安倍晋三首相もこれを容認する発言を繰返しています。
 日本政府は「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を見直すことはないという一方で、必要最小限の核保有は憲法違反ではないという姿勢をとっています。
 日本は、世界でただ一つ核兵器の被害を受けた国であり、二度と戦争はしないと誓った国です。核兵器廃絶と平和のために力を尽くすこと、ここに本来の役割があります。日本が平和憲法と非核三原則にもとづく外交をすすめるよう、政府に要求しましょう。

2006年12月20日

新春行動のよびかけ

今年もあと10日となりました。

「朝鮮半島非核化」のための6カ国協議が再開されるなか、アジアの非核・平和、非核三原則と憲法9条の輝く日本をめざして、全国各地の原水協が多彩な新春行動を計画しています。

北海道の小樽、函館両原水協は41回目(1967年以来)となる元旦行動を計画。愛知、石川、徳島、長崎、大分の各県も元旦・初詣宣伝をおこないます。

新春6・9行動も全国で計画され、富山県ではJR富山駅地下道の両側に原爆写真パネル50枚を並べて、チラシ配布や署名をおこないます。また、群馬県では前橋原水協が20年連続の成人式宣伝を計画しているのをはじめ、各地で新日本婦人の会と共同で新成人への宣伝が計画されています。

日本原水協は、新春行動を全国の都道府県・地域にひろげるために、新春行動の「よびかけ」を発表しました。北朝鮮問題の部分は、そのまま街頭スピーチに使えるように工夫しています。

よびかけ

2007年新春、非核と憲法9条を輝かす行動のとき
すべての都道府県・地域で2007年の元旦行動、6・9行動を成功させましょう

2006年12月20日 原水爆禁止日本協議会

 北朝鮮の核実験、「日本も核保有の議論を」と叫ぶ中川自民党政調会長や麻生外相の発言など、国民の関心が核問題に集まるなかで新しい年が明けようとしています。

 日本の進路を方向付けるために、国民の皆さんへの日本原水協や各地の原水協からのよびかけが大変重要になっています。すでに、全国で元旦行動、6・9行動が計画されています。さらに広く、全国すべての都道府県・地域で行動に立ち上がりましょう。

 世界世論の圧力で「朝鮮半島非核化」のための6カ国協議が再開されました。北朝鮮が強行した核実験は、「自衛」とか「国防」などという名目では絶対に正当化できない危険な行為です。アジアや世界の人々と声を合わせて、ただちに核開発をやめさせましょう。

 同時に、北朝鮮が核を持つなら「日本も核保有の議論を」という自民党・中川政調会長や麻生外相の発言はとんでもない暴論です。「相手が持つなら自分も持つ」というのでは北朝鮮とまったく同じ論理です。それでは相手を批判することはできません。

 いま、日本がなすべきことは、原爆の惨禍を体験した唯一の国、アジアの国として、北朝鮮に核開発の停止を求め、同時に、戦争放棄の憲法を持つ国として、問題の平和解決のために全力を挙げることです。アメリカとの軍事同盟や「核の傘」への依存を強めるのでなく、平和主義の憲法9条を外交に生かすべきです。

 いま、世界は大きく、反核平和の方向に動いています。12月の国連総会では、圧倒的多数の政府が核兵器廃絶の決議に賛成票を投じ、核実験の禁止に反対した国は、わずかにアメリカと北朝鮮の2カ国にすぎませんでした。イラク戦争をめぐっても、先の中間選挙でブッシュ共和党が上下両院で大敗したように、平和の声が世界の大勢を占めています。人類の生存にかかわる核兵器廃絶をさらに力強く前進させましょう。

 いま、原水協が行動するときです。反核平和の流れを大きく加速させるために、すべての都道府県・地域原水協に以下の行動を呼びかけます。

1、 元旦行動、6・9行動、成人式行動などを計画し、アジアの非核平和、非核三原則と憲法9条の輝く日本、すみやかな核兵器の廃絶を呼びかけましょう。

2、 広島・長崎被爆展示組写真や「原爆と人間展」パネルを活用し、「すみやか」署名と原爆症認定訴訟支援の二つの署名行動を大きく発展させましょう。

3、 3・1ビキニデー集会、原水協集会、3・1ビキニデー青年フォーラムなどの成功のために、参加と代表派遣の取り組みをただちに開始しましょう。

2006年12月06日

思わず足を止め署名―北海道原水協

原水爆禁止北海道協議会は、核兵器廃絶と被爆者連帯を訴える6・9宣伝行動を、6日札幌市中央区パルコ前で行いました。

師走の寒い風が吹く中の宣伝行動でしたが、被爆の実相を示すパネルに思わず足を止め署名する高校生、10月の国連総会にこの署名を提出したんだよと話すと連れ立って署名する高校生もいました。中央区原水協、国民救援会札幌支部、北海道平和委員会から参加し、『核保有なんてとんでもない 憲法と非核三原則でアジアと日本の平和を』のビラを配りました。

北広島原水協の浜田種樹さんは、「61年前、瞬時に爆風と熱線、その中をかろうじて生き残った被爆者は世界に向かって『核兵器なくせ』と声をあげてきました。核兵器と人類は共存できません。私たちがしなければならないのは、核兵器を世界中から全部なくすることではないでしょうか」「今年の国連総会では、2000年核兵器廃絶の合意をすみやかに実行せよとの決議が、圧倒的多数で採択されています。核兵器廃絶は国際的世論です。被爆国日本政府は国連では不十分ながら核廃絶の決議を提起する一方、国内では日本の核保有議論、非核三原則の見直し発言を行っています。61年たった今、被爆者がなぜ提訴しなければならないのか」と訴えました。

北海道民医連の宮原昌男さんは、「61年前の8月6日広島に原爆が落とされた6日は、全国で6・9の宣伝行動が行われています。この間、何回かの原爆使用の危機がありましたが、署名・世論の力で使わせませんでした。若い人たちが被爆者の話を聞いたり、署名に協力する姿が目につきます。皆さんの思いを書名に託して下さい」と署名に協力を呼びかけました。

(北海道原水協 しまだ)

政府閣僚による核武装議論に怒り広がる―日本原水協

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日本原水協は6日、東京原水協、台東原水協、上野東照宮に広島長崎の火を永遠に灯す会などと一緒に、上野公園口で「6・9行動」を行いました。

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「原爆と人間展」パネルを並べ、核兵器のない平和で公正な世界のために「すみやかな核兵器の廃絶」を求める署名を呼びかけると、パネルを見るために足を止めた人が次々に署名。

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神奈川から来た若い女性は、「核武装議論についてはあまり詳しく知らないけれど、核はこの世からすべてなくなってほしい」、二人連れの女性は、「核廃絶は被爆国日本の唯一の武器なのにとんでもない」と言いながらサインしました。

また、自転車で通りがかったブラジル人女性や秋田県潟上市から修学旅行で来たという中学生の集団もそろって署名し、アメリカのアーカンソー州で日本語を教えているという日系の女性は、「先月の米中間選挙結果に励まされた。日本のほうが心配」と話しました。

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プロボクシング元日本ウエルター級チャンピオン小林秀一さんは「被爆者と会って話を聞くにつれ、原爆は許せないとの思いが高まっていった。北朝鮮の核実験に断固抗議すると同時に、これを機に核兵器を持とうとする自民党にも抗議したい。世界は核兵器廃絶の方向に向いているのに、逆行するのは許せない。何としてもあきらめさせたい」と訴えました。この1時間の行動で「すみやか」署名が119筆集まりました。