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原水協(原水爆禁止日本協議会)
被爆者との連帯 ビキニデー 平和行進 世界大会

ビキニデー

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2017年3・1ビキニデー日本原水協集会 国際交流会議
トランプ政権への挑戦:人種主義、ファシズム、機能不全と核戦略への影響
ジョゼフ・ガーソン(アメリカフレンズ奉仕委員会)

 「プロパガンダの国では…、自分の頭で考えつづける人はどんな男であれ、(女であれ)、子どもであれ、公共の秩序を危うくする。何トンもの印刷物が政府のスローガンをくり返し、何千もの拡声器、何十万の宣言やリーフレット、広場や十字路に立つ多くの弁士、何千という聖職者たちが、集団的に麻酔にかかるほどうんざりするまでこのスローガンをくり返している。だが、だれか一人が「ノー」と口に出して言い、隣の人の耳に「ノー」とつぶやいたり、夜、壁に「ノー」と落書きしたりすればそれで十分だ。それで公共の秩序は危機に陥ってしまうのだ」イグナツィオ・シローネ 「パンと葡萄酒」

友人のみなさん、

 1954年のビキニ水爆実験と原水爆禁止世界大会の始まりを記念するこの機会に、独裁と権力主義的な政権、軍事的植民地主義に対抗し、核兵器のない世界のためにたたかう勇気あるみなさんとともに活動できることは、私にとって名誉なことです。11月9日、コミーFBI(連邦捜査局)長官とクレムリンに影響された選挙の後、何百万人もの私たち米国市民もまた自分たちが、ファシストで、白人至上主義者で、不誠実で、軍国主義者で、女性蔑視で、腐敗した、無知で、十字軍的で、大金持ちや軍人やその擁護者たちなどの政治音痴の支配に抵抗しなければならないことを理解したのです。私たちの危機は、ウォーターゲートよりもはるかにひどいものです。それでも1970年代と違って、真実と法の支配、民主主義を守るために勇気ある態度をとる覚悟のある共和党議員は、ほとんど議会にいないのです。

 ヒラリー・クリントンは、軍事的経済的な「アジアへの旋回」主張、破局的なリビア政府転覆での失敗、ロシアとの対立的アプローチ、ウォールストリートの企業から1時間24万ドル(約2,640万円)の講演料を受け取り、米国の核軍備および運搬体系の強化を含む膨大な軍事支出を支持するなど、とても理想の候補とは程遠いものでした。しかし、彼女の立候補は、立憲的政治形態や、われわれが何世代にもわたって当然のものとして受け入れてきた市民的権利や人権を脅かすものではありませんでした。

民主主義と憲法の危機

 アメリカでの政治闘争は、三つの対立する勢力を中心に動いています。第一は、正当性のないトランプ政権であり、それは大量のウソと、トランプのこれまでの性的蛮行をめぐって高まる怒りを逸らすFBI長官の土壇場での介入、そしてわが国の選挙プロセスへのロシアの干渉の上に権力にのし上がりました。ポール・クルーグマンが書いたように、議会共和党は、「わが国がモスクワから指図されている者たちに統治されているという、実際に行われている転覆活動と現実の可能性とに関心を払っていない」のです。(ii)

 次に、国家内国家〔deep state〕すなわち「国家安全保障」機関があります。彼らは、ロシアによるヒラリー・クリントンと民主党のコンピューターへの侵入を確認しました。最近では、トランプの国家安全保障問題担当補佐官が選挙前にロシア大使と交わした違法な会話についてウソをついていたというだけでなく、何人ものトランプの選挙参謀たちが運動期間中にロシアの諜報関係者と秘密裏に話をしていたとの報告もリークしました。

 そして最後は、私たち人民の、民主的で反ファシズムの勢力です。1月21日、全米400の市町村でおこなわれた女性行進には、男女・子どもを問わず500万人の人々が加わり、米国史上最大の抗議行動となりました。トランプが強制送還を始めた何百万もの正規の滞在許可証を持たない移民のために避難所を設けているのも私たちです。私たちはまた、主にイスラム教徒の7つの国からの難民や旅行者の入国を禁じたトランプの違憲な大統領令を差し止めた活動家、検事、判事でもあります。私たちが、ウソと真実の破壊が全体主義の土台であることを理解し、トランプ政権のウソに挑戦し、日々の恥知らずの行動を報じているメディアなのであり、ロシアゲートの捜査を要求し、トランプの弾劾を要求している人民であり、議員でもあります。ペンスが大統領になったほうがいいというわけでは全くないのですが。

 私たちは、憲法と民主主義と隣人と私たち自身を守り、国際的な破局を防ぐために戦っています。バノン〔首席戦略官〕は、私たちが何と戦っているのかについて、彼とジェフ・セッションズ〔司法長官〕こそが「トランプの汎アメリカ運動=新しい政治秩序の誕生の中心」だ、と語っています。私たちの憲法が危険にさらされています。ii  私たちは、独裁的な権力を強化するために、大規模なテロ攻撃や、北朝鮮やイランに対する先制攻撃の戦争が仕掛けられることも心配しなければなりません。たとえ危機がなくともトランプ一派は、滞在許可のない移民を逮捕し、強制送還するために、10万人にのぼる国境警備隊の動員を計画しました。(iii)

 トランプの就任以来、私たちは毎日のように新たな危機とスキャンダルとに見舞われています。初日から、トランプは、明確な写真での証拠があるにもかかわらず、オバマの時よりも多くの人が就任式に集まったと言い張りました。トランプは人種主義的で憲法違反の移民・難民の入国禁止を行いました。移民への強制捜査と国外追放が行われ、数百万人に対する捜査に向けて入国管理警官を15000人増員するよりも前に、ICE〔移民税関捜査局〕の係員は国内線で空港に到着する人々の書類を調べるために待ち構えていました。トランプは報道機関を攻撃し、そして彼の官僚たちはウソを「もう一つの事実(alternative facts)」と言い換え、個々の判事と法の支配に対して挑戦しています。

彼は、メキシコに侵攻すると脅し、イランや北朝鮮に越えてはならない一線を越えた威嚇を行い、「一つの中国」政策を侵食し、そして何の弁明もないまま自分の言ったことを覆しました。トランプはオーストラリアや多くの西側諸国政府を離反させました。ファシストでイスラム教徒を憎むフリン将軍、スティーブ・バノン、スティーブン・ミラーなどを上級補佐官に任じました。バノンは、国防総省の統合参謀本部を国家安全保障会議から排除する一方で、自分自身を会議メンバーに任命させるという前代未聞のクーデターを行いました。そして、テレビのコメディー番組では、トランプと安倍と核のフットボール〔核攻撃指令を出すブリーフケース〕を持つ高官を含むトランプの補佐官たちが、マララゴ〔トランプの別荘〕のレストランの食卓で、リゾートの他のゲストたちが見守る中で、最近の北朝鮮のミサイル実験にいかに効果的に対応するかを討議するという一幕が放映されるかもしれません。加えてもちろん、プーチンに対するトランプの不可解な賞賛も続きました。

 まだあります。環境問題での規制緩和と攻撃、2008年から2009年にかけての大不況の再来を防ぐために制定された規則の解除、350隻の海軍と一千億ドルにのぼる軍事費を使ってのアジアへの軍事的旋回というトランプの「倍返し」などです。教育の民営化、選挙投票者への抑圧強化、マーチン・ルーサー・キング牧師未亡人の言葉の議場での朗読を「犯罪」としてウォーレン上院議員を黙らせた共和党議員たち、そしてメキシコ国境への「トランプの壁」の建設などです。

 トランプの無秩序で機能不全の、無知で混とんとした国家安全保障「チーム」の混乱ぶりは、ますます多くの共和党員を含めて体制派の批評家たちを驚かせています。相矛盾する諸計画の追求に加え、トランプの国家安全保障担当補佐官たちは毎朝、トランプが宵越しのツイッターでつくりだした危機を封じ込めたり、対策を講じたり、それを元に対応したりと、必死に追いつかなければなりません。

 国家安全保障機関に代わって今存在するのは、競合する課題であり、権力の真空です。その結果中国との緊張は高まり、イランとの核合意を危うくし、ロシアに混乱したメッセージを送り、北朝鮮をめぐる混乱を引き起こしています。ただ、フリンに代わってマクマスター陸軍中将が新たに国家安全保障担当補佐官に就任したことで、軍事優先主義ではあっても、トランプの外交・軍事政策にこれまでよりも自制した一貫性が生まれるかもしれません。

 ニューヨークタイムズの共和党系のコラムニストであるデービッド・ブルックスは、こう言っています:

 「共和党のファウストたちが行った決定は擁護できないものだ。彼らが悪魔と行った取引はあまりに高くついている。たとえトランプのイデオロギーが有害なものでないとしても、彼の無能さは彼の周囲にいるすべての人にとって脅威だ」…「偏狭さの臭いが全ての運営に染みついて」おり、政権は、「残忍さに汚され」ており、「それはさらにひどくなるだろう」。(iv)

 これらの政策の代価はすでに支払われています。ヨーロッパでは、独立したヨーロッパという軍事大国を作り出す強い圧力が生まれています。強制送還に直面している移民たちの間には強い恐怖があります。モスクが焼かれ、イスラム教徒や移民、有色人種の人たちは日常生活の中で襲われたり、卑しめられたりしています。ユダヤ人の施設にも何十もの爆弾脅迫が行われています。米国内の大学や企業から外国人学生、教授、専門家が失われつつあります。意気地のない共和党議員の共謀によって私たちの民主的文化や制度がさらに衰退しつつあります。

核政策

 核兵器問題についても、その他の問題と同じく、ホワイトハウスは無能ぶりを示しています。

 核発射ボタンの暗号をこともあろうにドナルド・トランプに委ねても大丈夫なのかと多くの人々が疑問に思っています。現在、アメリカの核のボタンに指をかけている唯一の人物であるトランプに対し、議会では立法措置で対抗しようとする動きがあります。また、ホワイトハウスに精神科医の常駐を義務づける法案も出ています。予備選の最中、トランプは「核の三本柱」が何かも知らなかったし、日本と韓国が核兵器を保有すれば今より安全になるとも言いました。その後彼は何度も側近に、「なぜ核兵器を使えないのか?」とたずね、「テロリスト」を標的に核を使うと脅迫し、「あらゆる選択肢を維持する」(v)と述べました。

 就任式のあとも事態は良くなってはいません。彼は「アメリカはあらゆる状況で敵を打ち破り、生き残る」と述べて核軍拡競争をあおりました。マティス国防長官に核政策見直しを指示し、「アメリカの核抑止力が、近代的で、活力があり、柔軟で、いつでも使えて、21世紀の脅威を抑止できるよう適切に調整して」同盟国を安心させるようにせよとも命じました。 (vi) 彼はまた、弾道ミサイル防衛の見直しも命じました。ウラジミール・プーチン大統領との初会談の中で、新START条約はオバマ政権が交渉した「悪い取り決め」の一つだと言う前に、彼はこの条約がどういうものであるのかを補佐官に聞かなければなりませんでした。(vii)

 さらに悪いことに、新世代のICBM、核爆撃機・潜水艦に費やされる1兆ドルに加えて、ペンタゴンの国防科学評議委員会は、いわゆる小型(広島原爆の2/3の爆発力)核兵器の増産と配備を求めており、これらが「限定核戦争」で使用される可能性が高まっています。右翼のシンクタンクは、米国が新START条約とINF条約から脱退し、先制攻撃兵器を開発して核兵器実験を再開するよう求めています。(viii) そして冷戦時代の緊張状態を継続するため、議会はおそらくモスクワに対する制裁の延長を立法化するでしょう。議会ではまた、最近報道されたロシアの地上発射巡航ミサイルの配備に対抗して、欧州で米核戦力の増強を求める声が上がっています。(ix) 

 しかし、貿易制裁措置の緩和と引き換えに米ロ双方の核兵器の削減を、というトランプの的外れな提案に見られるように、彼は、自分が模範としている権威主義的なウラジミール・プーチンとの軍事的緊張をなんとか緩和したいと願っています。

 「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」誌が、〔人類による地球破壊までの残り時間を比喩的に示す〕「終末時計」の針を午前0時まで残り2分30秒にまで進めたのは、トランプ自身への不安と彼が核兵器で何をしでかそうとしているのかへの懸念を理由としたものです。1953年以来、人類は最も破局に近づいていることになります。 一方、新たな核軍拡競争の呼びかけなど、トランプがツイッターでつぶやく内容はあいまいで、プーチン大統領が「ロシアの核ミサイルはいかなる防衛も打ち破れる」と述べたあとになされたものです。よって彼のつぶやきは、国内にも外国に向けても自分を強い人間と印象づける、あるいは自分とプーチンとの、そして彼を取り巻く腐敗した資本家たちとの関係から、世間の関心を逸らそうとするために虚勢を張っているだけとも言えます。また、彼のツイートは政権トップの軍人たちとの会合の後であり、米国核兵器と運搬手段の近代化、そしてそれに伴う企業利益を計るための1兆ドルの支出を支持することを再確認して、軍産議会複合体を安心させることを目的としていたのかもしれません。

 もちろん、トランプがツイッターで言った通りのことをやろうとしている可能性もあります。その場合、核の増強はロシアに対してというよりも、(彼が根深く人種主義的とも言える敵意を抱いている)中国を標的としたものかもしれません。

 われわれはまた、トランプが中国とイラン、北朝鮮との間にレッドライン〔越えてはならない一線。平和的解決から軍事的解決へと移るその一線〕を引いた危険な状況に直面しています。上院の承認公聴会で、新国務長官は、「中国に対して、まず島の造成を中止せよ、第二にこれらの島へのアクセスは許さない、という明確なシグナルを送らねばならない」と証言しました。これに対して中国政府は、そのような行動は戦争を意味する、と返答したのです。(x)

 トランプが、イランとのP5プラス1核合意を破棄するとした公約から後退していると報じられてはいますが、フリン将軍がイランに「警告」を発し、イランへの新たな制裁を呼びかけ、イラク革命防衛隊をテロリストと認定すると脅していることは、トランプ政権が、イラン政府を挑発して合意からの脱退を促しているとも受け取れます。実際、1月にイランが行ったミサイル実験が、条約で禁止された核搭載可能ミサイルだったという証拠はありません。そして、イエメン反体制派のフーシ派がサウジアラビアの戦艦を攻撃したのは、米海軍に対する攻撃の失敗だったのだというトランプ体制の主張は、それがあれほどに危険でなければ、笑い飛ばせるような話です。(xi)

 そしてトランプは、北朝鮮がアメリカ本土に到達できるICBM〔大陸間弾道ミサイル〕を開発することは「許さない」(xii)と警告しました。これがピョンヤンとの将来の交渉に備えたトランプの典型的な虚言なのか、本気で先制攻撃を脅迫しているのかはわかりません。

 もちろん、核の危険の源はトランプとアメリカだけではありません。ロシアは新世代核搭載ミサイルを、ポーランドとリトアニアの間にあるカリニングラード地方に現在配備しようとしています。中国はMIRV〔多弾頭ミサイル〕化したミサイルを実験中であり、増大するアメリカの脅威に応じて自国の核ドクトリンを見直すかもしれません。そしてNATOへのコミットメントが揺らいでいるトランプを見て、ポーランドとドイツの支配層は、EUが核「大国」となってロシアに立ち向かえるほどの兵器を保有すべきだと主張しています。(xiii) また、東アジアの核軍拡競争も続いています。

国連核兵器禁止条約交渉に向けた運動と動員

 しかし、危機の中にはチャンスがあるものです。トランプ弾劾を求める声が、それが全ての問題を解決することはないでしょうが、主流メディアでも起こりつつあります。トランプ体制に反対する私たちは多数派です。アメリカ社会の幅広い階層の人々が立ち上がっています。1月に全米400の都市で行われた女性行進には数百万人が参加しました。移民たちは先月「移民のいない日」ゼネストを敢行し、国際女性デーには「女性のいない日」ストが行われる予定です。4月22日の科学者行進には80万人が参加すると答え、その1週間後の「人民の気候〔変動阻止〕行進」にも数十万人が参加するでしょう。全米の都市が、州が、大学が、図書館が、職場が、拘束と強制送還から罪のない難民を守ると誓っています。ブロードウェーの俳優や「サタデー・ナイト・ライブ」などテレビの人気番組が、私たちの持つ多様性の尊重と民主主義の擁護を訴え、トランプ体制の無知と無能さをユーモアと嘲笑であしらいながら、意気高く運動を続けようと呼びかけています。これらの歴史的なデモや集会のほとんど全てに、平和・軍縮の活動家たちが参加しています。私たちが直面する課題は、人類が全滅してしまえば正義も憲法も必要なくなってしまうということを、人々が理解できるようにすることです。

 立憲民主政体を維持するために私たちが根源的たたかいを繰り広げる一方で、世界の核大国のほとんどが核戦力と運搬システムの近代化に膨大な資金をつぎ込んでおり、私たちの道のりはまだまだ続きます。しかし、市民社会と非核兵器国の大多数は、将来への道筋を準備するために、国際的討論の条件を決めようとしています。

 SIPRI〔ストックホルム平和研究所〕のタリヤ・クロンベルグは、国連が核兵器禁止条約交渉を開始するに至った最も説得力ある分析の一つを書いた人です。NPTの中身の実施に「不均衡」があり、NPT第6条が求める誠意ある交渉が行われる「兆候が見られない」ことに気づいたクロンベルグは、核保有国の抵抗に対する非核兵器国の対応を称賛しました。TS sexii trina videos 核兵器の人道的影響に関する3回の国際会議は再び人々の意識を呼び起こしました。特に若い外交官たちの間に、核兵器の終末的影響についての意識を高めたのです。これを土台にして、国連に核兵器禁止条約交渉を開始させるという勝利が得られたのです。

 核保有国のほとんどは3月と6月の交渉会議をボイコットするでしょう。しかし禁止条約を求める外交努力は、NPTの完全実施への圧力を強めることになります。そして禁止を求める多くの国々は、核保有国がNPTの条約義務実施を拒否していることに当然ながらうんざりしているので、クロンベルグは、禁止プロセスが「決してNPTと矛盾するものではなく、…NPT実施に向けた一歩となる。核兵器国に核軍備撤廃を義務付けた第6条への機運を高めることになるからだ。権力はまだ核兵器国の側にあるだろうが、非核兵器国は交渉力を手にすることができたのだ」と指摘しています。彼女は、禁止条約の次のステップは「核軍備撤廃の明確なスケジュールを定めた検証可能な核兵器〔廃絶〕条約でなければならない。それはNPT第6条の軍備撤廃条項を実際に運用するものとなるだろう」と述べています。(xiv)

 しかし、世界の核帝王たちの指が核発射ボタンにかかっている今は、時間との競争です。私たちは、被爆者の「人類と核兵器は共存できない」との証言と警告に、そして「生きているうちに核の脅威をなくそう」という、燃えるような願いに応えて立ち上がらなければなりません。

 政府の力だけでは、核兵器のない世界という約束の地に到達することはできません。それには幅広く意識的な圧力をかけ続けることが必要です。私たちの手には、核兵器廃絶を求める被爆者国際署名キャンペーンがあります。幅広い支持が得られれば、これは核兵器完全廃絶を求める世界の人々の意志を示すことができ、核武装化を夢見る東京の連中の手を抑えることができるでしょう。

 アメリカでの私たちのたたかいの要点は3つです。まず民主主義、人権、公民権を守る運動を構築すること。そして核戦争・その他の戦争の勃発を阻止すること、NPTの誓約を果たす誠実な交渉の開始に必要な良心と政治的な力を構築することです。

 私が最初にお話しした抵抗運動に加え、アメリカの市民社会に国際的な圧力が重なって、トランプの最悪の公約の実施が一部阻止されています。マティスたちはイランとの核合意を守ると言明しました。トランプは平壌の最近の挑発的なミサイル実験に対し「驚くべき自制」で対応しています。一方で米国議会議員とメディアがトランプの指が核のボタンにかかっていることに警告を発したことで、トランプは核のホロコーストの危険について口にするようになりました。

 私たちは6月の核兵器禁止条約交渉会議に向けて運動を構築しつつあります。遊説、集会、軍事費削減グローバル行動デーなどあらゆる方法を通じて、6月の交渉に向けて動員を強めなければなりません。政府代表の外交官をつかまえて核兵器禁止・廃絶を要請する行動に加えて、女性行進―おそらくは女性の平和の波―が現在計画されています。そしていずれにせよ、ヒバクシャ国際署名やその他の大衆的行動が、私たちの行動の焦点となるでしょう。

 友人のみなさん、私たちは夜明け前が最も暗い時だということを知っています。そしてホーチミンの「悲しみの後には喜びがやってくる」という言葉に希望を見出しています。専制政治を克服し、戦争を終わらせ、人道に対する犯罪を認めた国々の運動の歴史を見ると、活気があって強力な民主的な文化と平和への深いコミットメントが台頭していたことに気づきます。私がアメリカに望んでいるのはこれです。

どうもありがとうございました。

2017年2月23日

i    Paul Krugman. “The Silence of the Hacks”, New York Times, February 17, 2017
ii   Evan McMullin. “the Constitution in Danger”, New York Times, December 5, 2016
iii  Sam Stein, Paige Lavender, White House Considered Mobilizing National Guard To Round Up Unauthorized Immigrants: Report, Huffington Post, February 17, 2017
iv   David Brooks. “The Republican Fausts”, New York Times, January 31, 2017
v   Editorial. “The Finger on the Nuclear Button”, New York Times, February 6, 2017
vi  Aaron Mehta. “Trump’s nuclear options: Upcoming review casts a wide net”, Nuclear News, February 9, 2017
vii  Presidential Memorandum on Rebuilding the U.S. Armed Forces, The White House, January 27, 2016, Presidential Memorandum on Rebuilding the U.S. Armed Forces; Reuters. “In call with Putin, Trump denounced Obama-era nuclear arms treaty”, February 9, 2017
viii  John M. Donnelly. “Pentagon Panel Urges Trump Team to Expand Nuclear Options”, Roll Call, February 2, 2017,  Michaela Dodge, “The Trump Administration’s Nuclear Weapons Policies: First Steps”, The Heritage Foundation, November 30, 2016
ix   “More madness ? Cotton: ‘US should build up its nuclear forces in Europe’, Washington Examiner, February 14, 2017
x   'No access': Rex Tillerson sets collision course with Beijing in South China Sea, The Guardian, January 12, 2017
xi   Phyllis Bennis. “The Trump Administration is Recklessly Escalating Tensions with Iran”, The Nation, February 3, 2017
xii   Nicole Gaouette and Barbara Starr, “Facing growing North Korea nuke threat, Trump vows: ‘It won’t happen!!” CNN
xiii   The Guardian. “Poland Wants Nuclear Weapons for Europe”, February 7, 2016xiv   Tarja Cronberg. “The Challenges to the Ban Treaty”, The European Leadership Network, January 10, 2017



 
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