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原水協(原水爆禁止日本協議会)
被爆者との連帯 ビキニデー 平和行進 世界大会

被爆者との連帯【アメリカ合衆国】

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アメリカ
放射線被害者支援教育の会/ユタ州ネバダ核実験場風下地区住民
デニース・ネルソン(2001年国際会議)

原水爆禁止2001年世界大会
国際会議

参考資料

アメリカ
放射線被害者支援教育の会/ユタ州ネバダ核実験場風下地区住民
デニース・ネルソン


  1990年放射線被爆者補償法案は、医療費をカバーするものではありませんでした。一度だけの5万ドルの支払いは生命にかかわる入院、診察、治療を負担しません。被爆者が健康診断あるいは診察を受けられる特別なプログラムはありません。被害者自身、あるいはたいてい彼らの雇用者が提供している保険会社がすべての医療費を負担しています。しかし、この保険の補償範囲は雇用期間以後までは続くことはめったにありません。そのため、おおくの負傷者が独力でやりくりし、保険医療援助を受けられないままになっています。おおくの場合、病気の人は働けなくなると仕事も健康保険も失います。この状況は惨たんたるものです。おおくの風下住民は、病気だとわかっても医療を受けようとさえしません。自分で支払えないからです。したがって、彼らは治療援助を受けた人よりもずっと早く死亡します。被爆に関係した生活費補助あるいは医療手当はありません。

  補償という言葉それ自体が正しくありません。「補償」される命などはないのですから。なされるべきことを考えれば、「報い」という名の方が適していますが、5万ドルを報いとまじめに呼ぶこともできません。

  また、制度化された医療制度が存在しない国では、被害者が、病気にかかるすべての経済的費用を負担する、ということを理解するのも非常に重要です。したがって、汚染者である米国政府に、国民が被った被害の費用を支払う義務はありません。国民に経済的・肉体的負担を100%転嫁するような状況のもとでは、政府は、国民を危害から保護する意思をもちません。

  それゆえに、この補償法は、政府が「われわれはこの問題に対応した。したがって、それはもう決着した」と言えることをねらった完全に政治的な動きなのです。補償法の弱点や不公平さを指摘するたびに、政府は「その問題は決着した」という言葉を使います。政府は、人がこの補償法を簡単に調べられるようにはしません。補償を申請できるはずである人のおおくが、この補償法の存在すら知りません。これが、長年にわたりおおくの弁護士がやってきたように、夫のデニスと私が、被害者が経済的負担をすることなしに訴えをおこなうためにSERV(放射線被害者支援教育の会)を発足させたおもな理由のひとつです。20万人以上の被爆兵士、少なくとも2万人の風下住民、数千人のウラン鉱山労働者、そのほかおおくのネバダ実験場労働者がいます。SERVと風下住民の会は、補償についての情報を何千人という被害者に知らせてきました。残念ながら、これまで補償を受けたのはわずか数千人だけで、おおくの人は申請しても却下されています。

  実際、補償法の文言には謝罪が含まれています。そこでは基本的に、影響を受けた者は国家安全保障のために被爆した、米国政府は核実験計画で被害を受けた者に謝罪すると述べられています。しかし、被害者が補償を受けるのには、米国政府の責任と、今後司法手続きには訴えないとする書類に署名しなければなりません。ですから、おおくの被害者は、補償金を「血で汚れた金」と呼んで、補償の申請を拒否しています。政府が、被害をあたえた者を訴える権利を被害者から奪うのは正当ではないと考えるからです。また、自尊心や愛国心も、金銭のために申請をおこなうのことの妨げとなっています。被爆が原因のガンで若くして死にかけていても、政府は国民を傷つけるようなことはしない、といまだにおおくの人が信じています。ガンの原因と軍や原子力委員会との関連を明確に認めたり結びつけたりしないために、補償法はあいまいな言い回しを使っています。真の容疑者や冷戦の犯罪者、これに関連する医学実験が言及されていないため、補償法は、身体への影響を秘密にし、真実を覆い隠し続け、政府の残酷な行為が永久に暴露されないようにするまた別の努力のように見えます。

  ある被害者が亡くなった場合、その補償金は、生き残った配偶者か子ども、孫、親のいずれかに支払われます。例えば、私の義理の妹は未婚で死亡しました。彼女の両親は放射性降下物によって死亡しており、祖父母はずっと前に亡くなっています。したがって、彼女の家族で補償を申請できる人は誰もいないのです。まだ生存しているガン患者は自分たちで申請できますが、3年にもおよぶ申請が、認可された時には死亡していることがおおいのです。

  米国政府が、一発の兵器の実験に一月10億ドル以上も費やす計画をし、新たな被害者を生み出すネバダ実験場での核実験を再開する可能性を探っていることを考えるなら、「補償」金の額が無礼なまでに少ないということがはっきりとします。明らかに、彼らにとって、人的被害は重要問題ではないのです。

  補償法は、縮められた命や一生のうちに得たであろう所得、医療費、家族の苦悩、片親で子を育てることからくるすべての費用がどれだけのものかを考慮していません。補償法は、被害を受けた者の要求を封じ、政治家を思いやりがある人のように見せるためにつくられました。残念ながら、この法律はまったく非現実的で、公平にもとづかないものです。それは放射性降下物をまるである国の国境で停止したかのようにあつかっています。被害者を使い捨て可能で、取り替えられる物としてあつかっています。そして、住民に非現実的な要求をしています。高い放射性降下物にさらされた町や補償の対象となる国に永住していない住民を排除しています。第2世代への影響を完全に無視し、ガン以外の被ばくによる疾病は含まれていません。この補償法を全国に知らせる計画が不十分なのは、アメリカ政府がいまだにアメリカ人被ばく者を隠しているということを示しています。放射線は無害である、核兵器は必要だ、という政府当局者の供述は、政府が、ネバダ風下住民、被ばく兵士、ウラン鉱山労働者、何百万人もの被ばく者のことをいまだに聞き入れていないということをはっきりと示しています。彼らの声は沈黙させられるべきではありません。死んでもなお真実は聞き入れられるべきです。

  長崎、広島の良心的な人々すべてにあいさつを送ります。アメリカの被ばく者を受け入れてくださる原水協に心からのお礼をのべたいと思います。まさに真実の探求が私たちを結束させてきました。いつの日かお会いできることを願っています。




 
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