ENGLISH 旧サイトへ
原水協(原水爆禁止日本協議会)
被爆者との連帯 ビキニデー 平和行進 世界大会

被爆者との連帯【カザフスタン】

Share|

フェアト・イズマイロフ(1999年国際会議)

カザフスタン

原水爆止1999年世界大会・国際会議

フェアト・イズマイロフ


  私の名前はフェアト・イズマイロフです。カザフスタンから来ました。私は、セミパラチンスク州のアヤグスで生まれ育ち、セミパラチンスク州に30年近く住んでいました。そこでは、必要な情報が与えられず、完全な秘密主義がしかれていたため、住民たちは核実験による放射性降下物が人間に及ぼす害や環境の汚染について何も知りませんでした。

  いまでもはっきり覚えているのですが、あの地域に住んでいたころ、私はよく友達と郊外へピクニックに出かけ、森で野イチゴを集めたり川で泳いだりしました。丘にはたくさんのイチゴが実っていました。あまりの実の多さに目を見張ったこともあります。いま考えると、きっと放射能の影響だったのでしょう。しかしその頃は何の情報もなかったので、そんなことはまったく分かりませんでした。子どものころ、核実験を目撃した人たちからいろいろな話を聞いてはいたのですが。

  隣に住んでいた男性は、実験場の警備部隊として兵役についていたため、核実験に直接いあわせました。彼は当時、大分前のことですが、核実験の影響について何も知らないまま、きのこ曇の「美しさ」や、昼が一転して夜になってしまうほどの閃光の強さについて、感嘆をこめて近所の子どもたちに語っていたものでした。この人は、わずか45歳で亡くなっています。

  私の親族、兄弟、姉妹たちはみな、胃や肝臓や膵臓にさまざまな内臓疾患を抱えています。これも核実験の影響でしょう。セミパラチンスク州に住んでいたころ、私はしょっちゅう頭痛に悩まされました。また、1989年には潰瘍の診断が下されました。これも核実験のためだと思います。セミパラチンスク市で実験の爆風で何度も窓が割れたことや、地下核実験後には地面がゆれるのを感じたことを覚えています。

  実験場の周辺地域に住む人々の健康が、核実験の放射能の影響によってひどく損われてきたことは明らかです。放射能に直接さらされた人々だけでなく、その子孫までもが、精神障害や知恵遅れ、種々の奇形、腫瘍の疾患、未熟児など、これまでには見られなかった疾患にかかっています。

  当時、地域住民を放射能から守る手だては何も取られませんでしたし、医学的な調査も行われませんでした。軍部は住民に実験の予定を知らせませんでした。医師たちは、疾患を放射線の影響と結び付けた正しい診断を下すことが許されませんでした。

  私の家族は、末娘のレナータが産まれたとき、この問題に直面しました。レナータは1982年5月9日にセミパラチンスク州のアヤグスで産まれたのですが、非常に小さくて、四肢に先天性の障害のあることが産まれてすぐに判明しました。手足が短くて、曲がっていたのです。その後、身体が成長し発達するにつれて、胸部の側湾症も進行しはじめました。レナータはいま17歳ですが、身長はわずか82センチ、体重は14キロしかありません。ですが、知力は正常に発達しています。レナータは自宅で学習して、高校の課程を優秀な成績で修了しました。また、詩を書いていて、地元や全国レベルの若い詩人向けのコンテストに参加しています。最近は絵にも興味を持っています。ここに、レナータの絵を何枚か持ってきました。彼女に、広島の美術館に寄贈してほしいと頼まれたものです。

  17年間、私たちは娘を産まれたての赤ん坊のように腕にかかえてきました。このような悲しい出来事が誰の身にも振りかからないことを願っています。この大会にはレナータも招待していただいたのですが、長旅はよくないと医師に止められたため、ここに来てみなさんとお話することができませんでした。

  ですが、レナータは、いつかきっとみなさんにお会いしたいと望んでいます。私たちの国では現在、政府から支援を受けていない核実験被害者が何千人もいます。「核実験被害者の社会復帰」に関する法律は採択されましたが、経済状況が悪いため、まだ有効に機能していません。核兵器の近代化とその実験における科学技術の発達のために、環境が汚染され、何百万という人々が多大な苦しみを味わわせられました。核実験とその使用は、必ず禁止しなければならない課題となっています。

  第三の千年紀を目前にして、人類は科学技術における功績を見つめなおし、人間や自然に害を及ぼすものはすべて廃棄する必要があります。環境保護を、人類の第一の緊急課題として位置づけなければなりません。私たちの家族は、カザフスタンだけでなく、全世界から核兵器をなくすためにたたかうことを固く決意しています。そのために、この大会の理念を広く伝えていくつもりです。

  ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ!



原水爆禁止1999年世界大会・国際会議
レナータのメッセージ

  親愛なる世界大会参加者のみなさん!

  核実験とその被害の問題はたいへん現実的なテーマです。良識に反していくつかの国は核実験を続け、そのことによって次の世代から健康で幸せにいきる可能性を遠ざけているのです。

  私は今でも、行われた核実験のあまりの規模に驚いています。私たちの住む星全部が実験場にされていたのです。

  兵器の製造、実験と拡散は、人類に対する犯罪であるだけではなく、自然と、創造主と、この世の命のルールに対する犯罪なのです。私たちは、軍拡競争を世界中でするために作られたのではありません!

  私たちが生きているのは、人類と自然の間の、調和と相互理解にみちあふれた人生を生きるためだと、私たち全員が理解し認識しなければなりません。そしてまた、どんな兵器でも、特に核兵器は、今までもそしてこれからも、使用後によい影響を残すことは決してないということを理解しなければなりません。核兵器を積極的に使えば、その後には核の冬が訪れます。そうなったら、地球上のすべての生きとし生けるもの、そしておそらく地球そのものも、死んで永遠に消え去ってしまうのです!

  もし次の世代が存在するためのふつうの条件を与えられないのなら、彼らの繁栄について語る意味はありません。

  新たに核実験を行うごとに、人類は二歩ずつ後退しているのです。一歩目は人間の健康状態の悪化と生命の危機、そして二歩目は地球そのものへの一歩なのです!

  私たちはもう後ろに向かって進んではいけないのです。私たちは核兵器を忘却のかなたに追いやらなければなりません。私たちの星が、自分の子どもたちの無分別を耐えていてくれる間に、愚かなことはやめなければいけません!

  私は生きること、そして人間が大好きです!そしてみんなに、私たちの回りに、毎日の生活の中に、わたしたちを取り囲む自然の中にあるのだという簡単なことをわかってほしいのです。昇る朝日を迎える喜び、草のみずみずしさ、澄みきった空の青さの素晴らしさをわかってほしいのです。

  これらすべてのものを一緒に守っていきましょう!





 
PDFWEB署名