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発言 NPT再検討会議第3回準備委員会にあたって――「核兵器のない世界」へのイニシアチブを歓迎し、全面禁止の合意をよびかける

 NPT・第3回準備委員会会合にご出席の政府代表、NGO代表に心からの敬意を表明し、会議の成功を希望します。
 2010年春のNPT再検討会議を1年後に控えたいま、人類は、核兵器のない世界を実現する大きな機会と向かい合っています。
 4月5日、オバマ大統領は、米国が「核兵器のない世界」を国家目標として追求することを宣言しました。また、4月20日にはロシアのメドベージェフ大統領が、当面する戦略核削減交渉の作業は「核兵器のない世界へのプロセスを加速するものとなりうる」「五大国、とりわけロシアと米国は特別の責任を持っている」と述べ、その目標を共有する態度を明確にしました。
 広島・長崎の悲劇からまもなく64年、「人類と核兵器は共存できない」との被爆者の叫びは世界の人びとの心を捉え続けてきました。
 核兵器をめぐる現状は、いまなお2万発余の核兵器が蓄積・配備され、他方で核兵器拡散の危険が現実のものになるなど、予断を許すものではありません。しかし、核兵器の拡散が垂直、水平ともにすすむ一方で、世界の圧倒的な数の国々は核軍備競争を拒否し、核兵器廃絶への道を選びました。そのことは、核兵器の廃絶を求める毎年の国連総会決議での圧倒的な賛成国の数、世界に広がる非核兵器地帯、そしてNPTに加わる190カ国のうち185の国々が「非核兵器国」としてみずからに条約上の義務を課し、「核の選択肢」を放棄している現実にも表れています。
 もし、その流れに世界の核兵器の95%を保有する米ロの2カ国が加わり、「核兵器のない世界」を共通の目標として追求するなら、その実現は決して遠い将来のことではありえません。さらに他の核保有国についても、英国政府が「核兵器のない世界」の追求で歩調をあわせている事実や中国が国連決議で毎年、核兵器の廃絶を求める決議に賛成票を投じている事実、さらには、インド政府の首脳が世界的な核兵器の廃絶に賛成する態度を示している事実も考慮すべきでしょう。
 我々は、これらの条件を活かし、NPTの締約国、非締約国を問わず、すべての国の政府がこれからの1年間、「核兵器のない世界」への合意を広げ、核兵器の全面禁止・廃絶へと国際政治を動かすために最大限の努力をおこなうようよびかけるものです。

以下の3点は、私たちが、そのために必要と考えている最小限の行動の提案です。

1、核兵器全面禁止の政治的合意の追求を

 その第一は、核兵器全面禁止・廃絶の政治的合意を追求することです。
 いま、多くの国の政府、NGOが、12月に期限の切れる米ロ戦略核削減条約に代わる新たな条約とさらに大幅な削減、CTBTの批准と発効、検証を伴うカットオフ条約の交渉開始などを求めています。これらは、過去のNPT再検討会議での一致した合意であり、中東非核兵器地帯など、他の合意と合わせ、当然すみやかに着手すべきものです。
 同時に、核兵器のない世界は、これまでの核軍備管理・軍縮交渉が示すように、部分措置の積み重ねだけで実現するものではありません。核兵器を廃絶するためには、廃絶すること自体で合意し、交渉し、拘束力ある禁止・廃棄のための協定の意識的な追求が必要です。
これまで、NPTのもとでの核兵器を「持てる国」と「持たざる国」との分裂と差別は、国際社会に大きな亀裂と不信をつくり出しました。それを超えて非核兵器国に「不拡散義務」の遵守を求めるには、核兵器国の側も「核兵器のない世界」の追求という、同じルールの上で行動する以外にありません。
 我々は、当面する米ロの新たな条約を含め、核兵器国の側が単独でも、二国間、多国間の合意でも「核兵器のない世界の追求」を明確に宣言することを提唱します。また、核兵器ゼロの世界は、それを構成するすべての主権国家が合意してこそ可能になります。そのためにも、2010年のNPT再検討会議に先立っておこなわれる今秋の国連総会で「核兵器全面禁止・廃絶」を決議し、そのための協議の開始をよびかけるよう提唱するものです。

2、「核抑止」、「核の傘」の克服

 第2は、「核兵器のない世界」は、核兵器に依存した「安全保障」から核兵器に拠らない「安全保障」への大胆な方向転換を必要とします。
 ヒロシマ・ナガサキから今日に至るまで、核兵器の開発はほとんどすべてが、自国の「安全保障」や「抑止」を理由に進められてきました。しかし、核兵器がつくり出したものは「安全」ではなく、逆に人類の絶滅に通じる深刻な脅威でした。「安全」「抑止」といった理由付けは、対立する相手の側にとってもまた、核兵器の開発・保有への強い動機を与え、実際には不拡散どころか、すべての拡散が、そこから進められてきました。
 その悪循環を断ち切るには、核兵器を持つ側や他国の核に依存する側が、「核抑止」や「核の傘」という概念そのものを放棄すべきです。そのためにも、我々は、核兵器の先制使用戦略の放棄、核兵器使用禁止などのイニシアチブを強く期待し、対話、交渉など国連憲章に基づく国際紛争の平和解決など、安全保障の手段を思い切って外交におくことを求めるものです。

3、被爆者の体験を世界に、次の世代に知らせる

 第3に私たちは、広島・長崎の被爆者の声を世界のすべての国で、人びと、とりわけ次の時代を担う若い人びとに伝え、核兵器を許さない強い意思を人類の中に培うことをよびかけます。
 核兵器は、人間がつくり出したものであり、人間が決意すれば無くすことができます。しかし、そうしてつくられた「核兵器のない世界」は、人類が核兵器をつくる知識や技術を手に入れてしまった後の世界であり、ヒロシマ・ナガサキ以前の世界と同じものではありません。そうであるだけに、我々は核兵器の持つ非人道性を次の世代に伝え、核兵器が「人類と共存し得ない敵である」という、「核兵器のない世界」を支える強い意思を創らなければなりません。
 核の「地獄」の現実を知り、それとたたかった被爆者の証言を伝えることは、そのために欠かすことのできないです活動です。広島・長崎の被爆者はすでに高齢化しており、あまり時間は残されていません。私たちは、これまで被爆者を招き、また、「原爆展」に取り組んだ多くの国の政府、自治体、NGOに感謝するとともに、とりわけ2010年の再検討会議に向けてひとつでも多くの政府が被爆者の体験を国民に紹介し、原爆展を開催するなどイニシアチブを発揮されるようよびかけるものです。



 
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