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被爆者援護連帯】【資料保管庫

新アジェンダ連合を代表して
南アフリカ共和国政府
グローデン・ムシャリ大使  ジュネーブ軍縮会議常駐代表
2005年10月3日

 今年の第一委員会は、国連創設60周年にあたる。さらに広島と長崎への原爆投下から60年である。人類の歴史において核兵器の恐ろしさをこのように悲惨にはっきりと示したできごとは他にない。今日、広島と長崎への原爆投下は、地球から核兵器とすべての大量破壊兵器を廃絶するための国際社会の集団的な努力に真の意味を与えつづけている。

 国際平和と安全保障は、核兵器の開発、保有と実際に使用される危険に脅かされつづけている。これまでの国際社会の最善の努力にもかかわらず、核拡散の危険は依然として現実のものである。この危険は、紛争や保障措置の不充分なところで悪化する。核不拡散条約(NPT)に加盟している国が、条約から脱退しようとしていることに困惑する。さらに、別の加盟国がNPT非加盟国と核協力の協定を結んだことにも困惑している。

このような脅威となる展開を考慮し、新アジェンダ連合は、核兵器の拡散を阻止する努力は、核兵器廃絶のためになされている同様の努力なしに維持できないと確信する。それゆえ今日、核軍縮はこれまでと同じくまたそれ以上に重要である。

1998年、新アジェンダ連合(NAC)の外相は、とりわけ、新アジェンダ連合参加国は「共同して核兵器のない世界という目標を達成することを決意した」と表明した。まず初めに、核軍縮の目標の誓約をさらに果たしていくために、新アジェンダ連合の決意が今も変わらず固いことを明らかにしたい。

現在、核軍縮および核不拡散体制は重大な難問に直面している。実質的な成果を何も達成できなかった2005年核不拡散条約(NPT)再検討会議の失敗が、これを裏付けている。さらに、少数の例をあげると、作業計画に関して合意に達するための軍縮会議(CD)の継続的な失敗がさらにこの事実を強調するものであり、いまだに包括的核実験禁止条約も発効されていない。

新アジェンダ連合は、NPT条約が核軍縮のために不可欠な基盤であることを引き続き確信し、その普遍性を再度訴える。この条約は、本質的に核兵器を保有しないものにそのような兵器を取得しないことを求め、一方、保有するものに軍備の縮小を求めている。同時に、奪うことのできない権利として、すべての条約締約国が平和目的の原子力の開発、研究、製造および使用を差別なしに条約に従って認めている。

条約の再検討のプロセスは、実行を強化するために取り組まれてきた。1995年の核不拡散条約再検討延長会議の成果は、合意された決定と中東に関する決議の採択を含み、さらに2000年の再検討会議の最終文書では、加盟国に条約の目的の達成を保障する具体的な義務を確立し、残念ながら現在30000発もあるが、核保有国が自国の核兵器を廃絶するという明確な約束を含むものであった。当然ながら、これらの約束はいまも有効である。

2005年のNPT再検討会議が、2000年の会議より少しでも核兵器の廃絶に向かっていると国際社会に確信させられなかったことはほとんど疑う余地はないが、これまでに合意された約束の状況に影響は与えていない。われわれは、一部の加盟国が離脱を試み、あるいはNPTの傘のもとでなされた合意から抜けようとする試みを憂慮している。このような行動は条約を損ない、すでに合意された協定を再調整しようとする企てを助長する。さらに、まさに多国間主義の本質と矛盾する。

新アジェンダ連合は現在の拡散の危険について深く憂慮している。核軍縮に向けた活動を通して、新アジェンダ連合の目的はすべての国の安全保障を改善することである。この状況で、核軍縮における前向きな進展が、拡散に関する世界の安全保障をさらに改善すると確信している。これらの問題が絡み合ってつながっていることは必然のことである。

したがって、核軍縮と核不拡散の進展が、核兵器のない世界という目標に到達するために求められる。新しい概念ではないが、一部の国はこれらの条件の一つあるいはもう一方に主な重点をおいている。NPT加盟国は、核軍縮であれ核不拡散や平和利用であれ、条約の具体的な一つの条件ですべてよしとする、あるいは一つの条件が他のものより重要である、と主張すべきではない。進展を望むのであれば、NPTのすべての条件が厳格に実行され強化されるべきであることは明らかである。NPTの各条項は、すべての加盟国をいついかなる状況においても拘束し続ける。また、すべての加盟国は、条約のもとで義務を厳格に遵守するための全面的な説明責任を回避することはできない。

新アジェンダ連合は、核兵器の使用や威嚇に対する唯一の真の保障は完全廃絶と再び製造されることのない保証であると常に主張してきた。建設的な措置として、核兵器が存在する限り、核保有国は、NPT締約国のすべての非核保有国の安全を保障するという法的に拘束される多国間の協定が締結されるまでは、安全保障に関して現存する約束を全面的に再確認し尊重する必要がある。

核兵器が存在しつづけることは、核保有国の最善の防御努力にもかかわらず、非国家関係者の手に入る危険を増大させることでもあるのは明白である。この点で、核保有国が核兵器を際限なく保有することが、核不拡散体制の信頼性と持続性に矛盾し、国際平和と安全保障を維持するためのさらに広範な目標と相容れないことを明らかにすべきである。

上記に加えて、新アジェンダ連合は、核軍縮と核不拡散の義務の実行がすすみ、NPTの普遍性を達成することを求める。

われわれはしたがって:
・核兵器を保有する選択肢を持ち続け、NPTに加盟していないインド、イスラエルおよびパキスタンが、速やかに無条件で非核国として加盟し、すべての核施設を国際原子力機関(IAEA)の包括的な保障措置のもとに置くよう求める。

・すべての加盟国、とくに核保有国に2000年のNPT再検討会議の核軍縮に関する具体的な措置の履行を強く求める

・軍縮会議(CD)、とくに核保有国に対して、核軍縮と核不拡散の目的を考慮に入れ、1995年の特別調整官の声明とそれに含まれる指示に従い、作業計画に同意し、差別なしに多国間で国際的かつ有効に検証可能な核兵器と核爆発装置用の分裂物質の製造禁止条約に関する交渉を再開するよう求める。

・包括的核実験禁止条約の早期発効を達成するために必要な署名と批准の重要性と緊急性を再確認する。

・不可逆性、透明性、検証可能の原則は、核軍縮のプロセスにおいて欠かせない要件であることを想起する。

・新型核兵器開発の可能性と使用の合理性を含む安全保障政策の一環として核兵器に与えられた継続的な役割の転換を求める。

・1995年の NPT再検討延長会議の重要な成果の一つである中東に関する決議を想起し、核兵器と大量破壊兵器のない中東地帯を創設することをあらためて支持する。

承知のように、先日終了した国連総会首脳会合は核軍縮と核不拡散に関する問題で合意しなかった。新アジェンダ連合はこの機会を失ったことをたいへん残念に思う。このことは核軍縮と核不拡散体制に対する難問をさらに際立たせる。しかし、これらと他の難問は、核兵器のない世界を達成するために1998年6月9日の外相の共同声明の中で述べられた目標を追求する新アジェンダ連合の決意と約束を強めるものである。

 

 

 

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