第54回国連総会:核軍縮関連決議より
核兵器のない世界へ:新たな課題の必要
文書番号:A/C.1/54/L.18
共同提案国:アンゴラ、ベニン、ボリビア、ボツワナ、ブラジル、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、チリ、コロンビア、コスタリカ、コートジボアール、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、フィジー、ガーナ、グレナダ、グアテマラ、ハイチ、ガイアナ、ホンジュラス、インドネシア、アイルランド、ジャマイカ、ケニア、レソト、リベリア、マダガスカル、マレーシア、マリ、メキシコ、モンゴル、モザンビーク、ニュージーランド、ニカラグア、ニジェール、ナイジェリア、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、サモア、サンマリノ、サウジアラビア、シエラレオーネ、ソロモン諸島、南アフリカ、スワジランド、スウェーデン、タイ、トーゴ、ウガンダ、ウルグアイ、ベネズエラ、ベトナム、ザンビア、ジンバブエ
国連総会は、
核兵器の存在が人類の生存にたいする脅威であることを確信し、
核兵器は使用されることなしに永久に維持できるという主張は人類の経験の歴史からみて根拠がないと考え、核兵器が無期限に保有されるという見通しを憂慮し、唯一の完全な防護策は核兵器の廃絶とそれらがふたたび製造されないとの確証であると確信し、
核保有能力を持ちながら核兵器の不拡散にかんする条約(NPT)に加盟していない三カ国が核兵器保有の選択肢を引き続き維持していることもまた憂慮し、またこれらの国がその選択肢を放棄していないことを憂慮し、
核兵器の削減にかんする交渉が現在行き詰まっていることをさらに憂慮し、
圧倒的多数の諸国が、核兵器あるいはその他の核爆発装置を受け取らず、製造せず、あるいは取得しないという法的拘束力をもつ誓約をおこなったことに留意し、また、これらの誓約は、これら誓約に対応するものとして核保有国が核軍縮追求にむけた法的拘束力をもつ誓約をおこなったこととの関連においてなされたことを想起し、
国際司法裁判所が1996年の勧告的意見において出した、厳格で効果的な国際管理のもと、すべての面において核軍縮につながる交渉を誠意をもっておこない結実させる責務があるという全員一致の結論を想起し、
国際社会は新しい千年期を、核兵器の保有を無期限の将来にわたって合法だとみなすという見通しをもって迎えてはならないことを強調し、また、決意を持って核兵器の永久禁止および根絶へと前進することの緊急性を確信し、
核兵器の全面廃絶には、まず最大の核兵器備蓄をもつ核保有諸国が措置を講じることが必要であると認識し、また近い将来、これら核保有諸国に、備蓄のより少ない核保有国が、間断ない核廃絶のプロセスを通じて合流しなければならないことを強調し、
戦略兵器削減交渉(START)プロセスのこれまでの成果と今後の見通しを歓迎し、この交渉が、核兵器廃絶をめざす実際の核兵器解体と廃棄のための、すべての核兵器保有国をふくむ多極的機構として発展しうる可能性を示していることを歓迎し、
核計画から分裂性物質を取り除き、それが決して逆戻りされないことを保証するためのアメリカ合衆国、ロシア連邦、国際原子力機関(IAEA)による三者間イニシアチブをもまた歓迎し、
実際に核兵器の削減がはじまり、必須の検証制度ができる前に、核保有国がただちに講じることができかつ講じるべきである実際的な措置が多数あることを確信し、これに関連して、最近いくつかの一方的その他の措置が講じられたことに留意し、
弾道弾迎撃ミサイル制限条約は、いまなお戦略的安定性にとってのかなめ石であることを強調し、
NPTの各条項は、いついかなる情況においても、それぞれの締約国を法的に拘束することを強調し、
軍縮会議(CD)の特別コーディネーター報告とその中にふくまれている責務にもとづいて、また、核兵器もしくはその他の核爆発装置用の分裂性物質の製造を禁止する無差別・多国間・国際的かつ効果的に検証可能な条約にかんして、「核軍拡競争の中止と核軍縮」と第する同会議第一議題のもとに設置された小委員会による軍縮会議での交渉を追求する重要性を強調し、そのような条約が、核兵器の全面廃絶への過程をさらに補強しなければならないことを考慮し、
核兵器の全面廃絶が達成されるためには、核兵器の拡散を防ぐ効果的な国際協力がきわめて重要であり、とりわけ核兵器もしくはその他の核爆発装置用のすべての分裂性物質の国際管理の拡大を通じて、この国際協力が強化されなければならないことを強調し、
既存の非核地帯条約とそれら条約の関連議定書への早期調印と批准の重要性を強調し、
1998年6月9日の外相共同宣言と、二国間、数カ国間、多国間による一連の相互強化措置を並行して追求することを通じて核兵器のない世界を達成するための新しい国際的課題を求めた同宣言のよびかけに留意し、
1998年12月4日の国連総会決議53/77Yの実行にかんする1999年9月21日の事務総長の報告を承認し、
核兵器のない世界を維持するために必要となる検証の取り決めについての国際原子力機関の調査にかんして出された同機関事務局長の最初の報告に留意し、
1.核保有国にたいし、自国核兵器の速やかなかつ全面的な廃絶を達成し、加速された交渉のプロセスに遅滞なく参加するという明確な誓約をおこない、そうすることによりNPT第6条のもとでこれらの国が責任を負っている核軍縮を成し遂げるよう呼びかける。
2.アメリカ合衆国とロシア連邦にたいし、第二次戦略兵器削減交渉(START II)をこれ以上の遅滞なく発効させ、第三次戦略兵器削減交渉の早期締結をめざした交渉を開始するよう呼びかける。
3.核保有国にたいし、核兵器の全面廃絶へむかう過程にすべての核保有5カ国が間断なく参加するために必要な措置をとるよう呼びかける。
4.安全保障政策における核兵器の役割を減らす手段を検討すること、それによって戦略的安定性を強化し、核兵器の廃絶の流れを促進し、国際的な信頼と安全に寄与するよう呼びかける。
5.これに関連して、核保有国に次の手段を早期に講ずるよう呼びかける。
-核兵器削減の不可分な一部として戦術核兵器を廃絶するために、戦術核兵器を削減すること。
-警戒態勢の解除および核弾頭の運搬手段からの除去の可能性と、その開始の可能性を検討すること。
-核兵器政策と核兵器態勢にさらなる検討を加えること。
-自国の貯蔵核兵器と貯蔵分裂性物質にかんする透明性を証明すること。
-軍事上の必要分を超えると申告されているすべての核兵器用分裂性物質を、実施されている自主的な保障措置とりきめの枠組みのなかで、国際原子力機関の保障措置の管理下におくこと。
6.核兵器保有能力を持ちながら未だ核兵器の不拡散にかんする条約に加盟していない三カ国にたいし、明確かつ緊急にすべての核兵器開発あるいは配備の追求をやめ、地域と国際の平和と安全および核拡散の阻止と核軍縮にむけた国際社会のとりくみを足元から崩しかねないようなあらゆる行為を自制するよう呼びかける。
7.非核保有国として、核兵器の不拡散にかんする条約に無条件かつ遅滞なく加盟し、この条約への加盟から生じるすべての必要な措置をとることを、まだそうしていない国に呼びかける。
8.また、国際原子力機関とのあいだに全面的な保障措置協定を締結し、1997年5月15日の国際原子力機関理事会により承認されたモデル議定書にもとづいて、これらの保障措置協定の追加議定書を締結することを、まだそうしていない国に呼びかける。
9.さらに、包括的核実験条約に無条件かつ遅滞なく調印し批准するよう、そしてこの条約が発効するまで核実験の一時停止を遵守するよう、まだそうしていない国に呼びかける。
10.核物質の物理的保護にかんする条約に加盟し、同条約のさらなる強化にむけてとりくむよう、まだそうしていない国に呼びかける。
11.アメリカ合衆国、ロシア連邦、国際原子力機関の三者間イニシアチブの進展を強く求め、それ以外の核保有国によりこれと同様のとり決めがつくられることを強く求める。
12.軍縮会議(CD)にたいし、同会議第一議題のもとに「核軍拡競争の中止と核軍縮」と題する小委員会を再建し、特別コーディネーター報告とその中にふくまれる責務にもとづいて、核兵器もしくはその他の核爆発装置用分裂性物質の製造を禁止する無差別で、多国間による、国際的で効果的に検証可能な条約の交渉を、核不拡散および核軍縮の目的を考慮に入れて、この交渉を遅滞なく追求し終結させることを呼びかけ、また、すべての国にたいし、この条約発効までの間、核兵器もしくはその他の核爆発装置用の分裂性物質製造の一時停止を遵守するよう強く要求する。
13.また、軍縮会議にたいし、核軍縮問題をあつかう適切な補助的機関を設置することを呼びかけ、そのために、優先課題として、遅滞なくそのような決定に達するための適切な方式と取り組み方にかんする集中的協議を追求することを呼びかける。
14.他の状況のもとでおこなわれている取り組みを効果的に補足するような、核軍縮と核不拡散にかんする国際会議が、核兵器のない世界への新たな課題の強化を促進すると考える。
15.これと関連して、2000年のミレニアム・サミットでは、平和、安全保障、軍縮問題が討議されることに注目する。
16. 核兵器の不拡散にかんする条約の締約国による1995年再検討延長会議の決定と決議を全面的に実施することの重要性を強調し、これに関連して、2000年4月/5月に開かれるNPTの締約国による再検討会議の重要性を強調する。
17.検証とりきめの発展が核兵器のない世界の維持のために必要となることを確認し、国際原子力機関とその他のあらゆる関連国際機構と組識にたいして、そのような検証体制の構成要素の研究を続けるよう要請する。
18.核兵器の不拡散にかんする条約の非核保有締約国が核兵器の使用もしくは使用の威嚇を受けないことを効果的に保証する、国際的に法的拘束力を持つ協定の締結を呼びかける。
19.自主的に達成された協定にもとづく非核地帯の追求、拡大、設置は、とりわけ中東や南アジアなどの緊張地域において、核兵器のない世界という目標への重大な貢献を意味することを強調する。
20.核兵器のない世界は、普遍的で、多国間で交渉された法的拘束力を持つ協定もしくは相互に強化し合う一連の協定を包含する枠組を究極的に必要とすることを確認する。
21.事務総長にたいし、既存の資料の範囲内で、本決議の実行にかんする報告を作成することを要請する。
22.「核兵器のない世界へ:新たなる課題の必要」と題された議題を国連第55回総会の暫定議題にふくめ、本決議の実行を再検討することを決定する。
賛成 111カ国 アルジェリア、アンゴラ、アンティグア・バーブーダ、オーストリア、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、バルバドス、ベラルーシ、ベリーズ、ベニン、ボリビア、ボツワナ、ブラジル、ブルネイ、ブルキナファソ、カンボジア、カメルーン、カーボベルデ、チャド、チリ、コロンビア、コンゴ共和国、コスタリカ、コートジボワール、クロアチア、キューバ、キプロス、ジブチ、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、フィジー、ガーナ、グレナダ、グアテマラ、ギニア、ギニアビサウ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、インドネシア、イラン、アイルランド、ジャマイカ、ヨルダン、ケニア、クウェート、ラオス、レバノン、リビア、リヒテンシュタイン、マダガスカル、マレーシア、モルディヴ、マリ、マルタ、マーシャル諸島共和国、メキシコ、モンゴル、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、ネパール、ニュージーランド、ニカラグア、ナイジェリア、オマーン、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、カタール、セントクリストファー・ネビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、サモア、サンマリノ、サウジアラビア、セネガル、セイシェル、シエラレオーネ、シンガポール、ソロモン諸島、南アフリカ、スリランカ、スーダン、スリナム、スワジランド、スウェーデン、シリア、タジキスタン、タイ、トーゴ、トリニダードトバゴ、チュニジア、ウガンダ、アラブ首長国連邦、タンザニア、ウルグアイ、ベネズエラ、ベトナム、イエメン、ザンビア、ジンバブエ
反対 13カ国 ブルガリア、エストニア、フランス、ハンガリー、インド、イスラエル、モナコ、パキスタン、ポーランド、ルーマニア、ロシア連邦、イギリス、アメリカ合衆国
棄権 39カ国 アルバニア、アンドラ、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、アゼルバイジャン、ベルギー、ブータン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カナダ、中国、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、グルジア、ドイツ、ギリシャ、アイスランド、イタリア、日本、カザフスタン、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、モーリシャス、ミクロネシア連邦、ミャンマー、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、韓国、モルドバ、スロバキア、スロベニア、スペイン、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、トルコ、ウクライナ、ウズベキスタン
核 軍 縮
文書番号:A/C.1.54/L.41
共同提案国:アルジェリア、バングラデシュ、ブータン、ブルネイ、ブルキナファソ、ブルンジ、カンボジア、コロンビア、コンゴ、コンゴ民主共和国、コートジボワール、コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、エチオピア、フィジー、ガーナ、グアテマラ、ギニア、インドネシア、イラン、イラク、ケニア、クウェート、ラオス、リビア、マレーシア、モンゴル、モザンビーク、ミャンマー、ナミビア、ネパール、ニカラグア、ニジェール、ナイジェリア、パナマ、パプアニューギニア、フィリピン、サモア、サウジアラビア、シエラレオネ、シンガポール、ソロモン諸島、スリランカ、スーダン、スワジランド、タイ、ウルグアイ、ベトナム、ザンビア
国連総会は、
核の脅威の段階的削減にかんする1994年12月15日の決議(49/75 E)および、核軍縮にかんする1995年12月12日の50/70
P、1996年12月10日の51/45 O、1997年12月9日の52/38 L、1998年12月4日の53/77
X決議を想起し、
核兵器の完全廃絶および核兵器のない世界の実現の目標にたいする国際社会の誓約を再確認し、
1972年の「細菌(生物)兵器及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約」と1993年の「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」がすでに、生物および化学兵器それぞれの完全禁止にかんする法体制を設立したことに留意し、かつ核兵器の開発、実験、製造、貯蔵、貸出し、移動、使用および使用による威嚇の禁止および核兵器の解体にかんする条約の達成とそのような国際条約の早期締結を決意し、
現在核兵器のない世界を実現する条件が存在することを認識し、
軍縮に焦点をあてた最初の特別総会であった「国連総会第10回特別総会」(訳注:SSDI)の最終文書の第50段落が、核兵器体制の質的改善と開発停止とともに、できるだけ早期の核兵器とその運搬手段の最終的かつ完全な廃絶にむかって、実現可能な場合にはいつでも合意にもとづいて期限を区切った包括的・段階的計画による核兵器の漸進的で均衡のとれた削減のために緊急交渉を呼びかけたことに留意し、
「核兵器の不拡散に関する条約」(核不拡散条約)締結国が、同条約が核不拡散と核軍縮のかなめであるとの確信を強調したこと、および、1995年の核不拡散条約再検討・延長締結国会議で採択された、同条約の再検討プロセスの強化に関する決定、核不拡散と軍縮の原則と目標に関する決定、核不拡散条約延長に関する決定および中東に関する決議の重要性を、締結国が再確認したことに注目し、
「国連総会第10回特別総会」の最終文書において、また国際社会によって、核軍縮に最優先課題が与えられたことを再確認し、
包括的核実験禁止条約および、核兵器またはその他の核爆発装置用分裂性物質の製造停止にかんするあらゆる条約案は、不拡散のための措置だけでなく軍縮措置を構成するものでなくてはならないと同時に、これらの措置は、核保有国による先制不使用の共同保証および非核保有国にたいする不使用かつ使用による威嚇の否定という適切な安全保障確証にかんする国際的協定、そして核兵器の使用を禁止する国際条約とともに、核兵器全廃につながるプログラムの不可欠な措置とされるべきであることを認識し、
ベラルーシ、カザフスタン、ロシア連邦、ウクライナ、アメリカ合衆国が締約国となっている、「戦略攻撃兵器の削減および制限にかんする条約(START
I)」の発効を歓迎し、
ロシアおよびアメリカによる、「戦略兵器のさらなる削減と制限にかんする条約(START
II)」の締結と、アメリカによる同条約の批准もまた歓迎し、START IおよびSTART
II締約国による完全履行と、すべての核兵器保有国による核軍縮のためのさらなる具体的措置を期待し、
さらに、START IIのプロセス完了の現状に関わらず、ロシア連邦とアメリカ合衆国がSTART
III交渉開始の共同宣言をおこなったことを歓迎し、
核保有国による核軍備制限のための一方的措置に高い評価をもって注目し、このような措置をさらに講ずるよう同諸国を激励し、
核軍縮にかんする二国間、数カ国間および多国間交渉の相互補完性を認識し、そしてこの点において二国間交渉は、多国間交渉にとってかわることはできないことを認識し、
軍縮会議および国連総会において、非核保有国にたいする核兵器の使用または使用による威嚇の禁止を保証する国際条約の成立にむけた努力、ならびに、軍縮会議において、このような国際条約の合意の早期達成にむけた多国間作業がおこなわれていることに注目し、
1996年7月8日の核兵器の威嚇または使用の適法性にかんする国際司法裁判所の勧告的意見を想起し、全判事が一致して「厳格かつ効果的な国際的管理の下でのあらゆる分野にわたる核軍縮につながるような交渉を誠実におこない、完了させる義務が存在する」ことを再確認したことを歓迎し、
1998年8月29日から9月3日、南アフリカのダーバンで開催された「第12回非同盟諸国・政府首脳会議」最終文書の第14段落その他の関連する勧告が、軍縮会議にたいし、核軍縮の段階的プログラムおよび期限を切った核兵器の将来における廃絶のための交渉を1998年内に開始するための小委員会を、優先事項として設立するよう呼びかけたことに留意し、
核兵器廃絶のための行動計画を呼びかけた「グループ21」のメンバーである軍縮会議の28カ国代表団の提案に留意し、この提案が重要なインプットとなり、同会議においてこの問題にかんする交渉に貢献するであろうとの確信を表明し、
「21カ国グループ」のメンバーである軍縮会議への26カ国代表団が、核軍縮小委員会の包括的任務を提案するというイニシアチブを発揮し、これには第一段階として、すべての国々に核兵器の完全廃絶を誓約させる普遍的で法的拘束力のある多国間合意のための交渉と、核兵器の全廃につながる段階的計画に必要とされる更なる諸措置にかんする合意のための交渉、そして核兵器その他の核爆発装置用核分裂物質の生産禁止にかんする条約についての交渉が、この件にかんする特別コーディネーターの報告とこの条約の範囲についての見解を考慮した上でふくまれていることを賞賛し、
1999年9月23日にニューヨークで開催された非同盟諸国運動外相・政府代表会議の最終コミュニケの第38段落から50段落を想起し、
「21カ国グループ」が提起した、核軍縮小委員会設立に関する決定と権限の草案に注目し、
1.最近の政治情勢の発展にかんがみ、現在、全ての核保有国にとって核兵器の全廃をめざした有効な軍縮措置をとる時機が熟していることを認識する。
2.また、核兵器の役割を重視することをやめ、これに従って核政策の見直しと修正をおこなう必要も認識する。
3.核兵器保有国に、即座に、核兵器とその運搬手段の質的向上、開発、製造、貯蔵を中止するよう強く要求する。
4.また、核保有国に、暫定措置として、自国核兵器の警戒態勢の解除と不活性化を即座におこなうよう強く要請する。
5.第一段階として、すべての国を核兵器全面廃絶につながるプロセスに参加させる、普遍的で法的拘束力をもつ多国間合意の締結を呼びかける。
6.核保有国にたいし、核の脅威を段階的に削減し、核兵器廃絶にむけた効果的な核軍縮措置を実施するよう、再度呼びかける。
7.核保有国にたいし、核兵器廃絶が達成されるまでは、核兵器先制不使用の共同誓約にかんする国際的かつ法的拘束力をもつ協定に合意するよう呼びかけるとともに、すべての国にたいし、非核保有国にたいする核兵器の使用および使用の威嚇をおこなわないという安全保障の約束にかんする国際的かつ法的拘束力をもつ協定の締結を呼びかける。
8.核保有国にたいし、核保有国の間で、核軍縮の有効な措置としての核兵器のさらなる大幅削減に関する数カ国間交渉を、適切な段階で開始するよう強く求める。
9. 1998年の軍縮会議において、核兵器およびその他の核爆発装置用分裂性物質の製造禁止条約にかんする小委員会が設置されたことを歓迎し、これについて普遍的かつ非差別的な協定が早期に締結されることを強く求め、非核保有国が核兵器の使用と威嚇を受けないことを保証するための効果的な国際的合意にかんする小委員会が1998年に設置されたことを歓迎し、この点についての努力が最優先課題として追求されるよう求める。
10.軍縮会議が1999年会期において国連総会の53/77 X決議が呼びかけたような核軍縮にかんする小委員会を設けることができなかったことに対して遺憾の意を表明する。
11.軍縮会議が、優先事項として核軍縮に関する小委員会を設立し、核軍縮の段階的計画と、核兵器禁止条約を含むかもしれない一連の法的措置を通じた核兵器の最終的な廃絶のために2000年の早いうちに交渉を開始するよう再び呼びかける。
12.核兵器廃絶の段階的計画の合意達成と、核兵器禁止条約を含むかもしれない一連の法的措置を通じた核兵器の最終的な廃絶を目的とする軍縮にかんする国際会議の早期開催を呼びかける。
13.国連事務総長にたいし、国連第55回総会において、本決議の実行状況にかんする報告を提出するよう要請する。
14.第55回総会の暫定議題に、「核軍縮」と題する議題を盛り込むよう決定する。
賛成 104カ国 アルジェリア、アンゴラ、アンティグア・バーブーダ、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、バルバドス、ベリーズ、ベニン、ブータン、ボリビア、ボツワナ、ブラジル、ブルネイ、ブルキナファソ、カンボジア、カメルーン、カーボベルデ、チャド、中国、コロンビア、コンゴ共和国、コスタリカ、コートジボワール、キューバ、北朝鮮、ジブチ、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、フィジー、ガーナ、グレナダ、グアテマラ、ギニア、ギニアビサウ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、インド、インドネシア、イラン、ジャマイカ、ヨルダン、ケニア、クウェート、ラオス、レバノン、リビア、マダガスカル、マレーシア、モルディヴ、マリ、マーシャル諸島共和国、モーリシャス、メキシコ、モンゴル、モロッコ、モザンビーク、ミャンマー、ナミビア、ネパール、ニカラグア、ナイジェリア、オマーン、パキスタン、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、カタール、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、サモア、サンマリノ、サウジアラビア、セネガル、シエラレオネ、シンガポール、ソロモン諸島、スリランカ、スーダン、スリナム、スワジランド、シリア、タイ、トーゴ、トリニダードトバゴ、チュニジア、アラブ首長国連邦、タンザニア、ウルグアイ、ベネズエラ、ベトナム、イエメン、ザンビア、ジンバブエ
反対 41カ国 アルバニア、アンドラ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、カナダ、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イスラエル、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、ミクロネシア連邦、モナコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、モルドバ、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、トルコ、イギリス、アメリカ合衆国
棄権 17カ国 アルゼンチン、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、チリ、グルジア、アイルランド、日本、カザフスタン、ニュージーランド、韓国、ロシア連邦、南アフリカ、スウェーデン、タジキスタン、ウクライナ、ウズベキスタン
第54回国連総会:核軍縮関連決議より
核兵器による威嚇または使用の適法性にかんする国際司法裁判所の勧告的意見の後追い
文書番号:A/C.1.54/L.43
共同提案国:アルジェリア、バングラデシュ、ボリビア、ブラジル、ブルネイ、カンボジア、コロンビア、コンゴ、コスタリカ、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、フィジー、ガーナ、ガイアナ、ホンジュラス、インド、インドネシア、イラン、イラク、ジャマイカ、ケニア、ラオス、レソト、マラウイ、マレーシア、メキシコ、モンゴル、ミャンマー、ナミビア、ネパール、ニジェール、ナイジェリア、パナマ、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、サモア、サンマリノ、サウジアラビア、シエラレオネ、シンガポール、ソロモン諸島、スリランカ、スーダン、スリナム、タイ、ウルグアイ、バヌアツ、ベトナム、ザンビア、ジンバブエ
国連総会は、
1994年12月15日の49/75K、1996年12月10日の52/45M、1997年12月9日の52/38O決議、ならびに1998年12月3日の53/77W決議を想起し、
核兵器のひき続く存在が、全人類に威嚇をおよぼし、またその使用は地球上の全生命に破滅的結果をもたらし、ならびに、核による破局にたいする唯一の防衛は、核兵器の完全廃絶とそれらが二度と製造されないという確実性にあることを認識し、
核兵器の全廃および核兵器のない世界の創造という目標にたいする国際社会の誓約を再確認し、
核不拡散条約第6条にたいする、締約国の厳粛な義務、とりわけ、核軍備競争の早期の停止および核軍備の縮小にかんする効果的な措置につき誠実に交渉をおこなう、という義務に留意し、
1995年核不拡散条約締約国再検討延長会議で採択された「軍縮のための原則および目的」、および、とりわけ核兵器の究極的廃絶を目標とする核兵器の地球的削減への体系的・前進的努力をおこなうという核兵器保有国が決定した目標を想起し、
1996年9月10日の50/245決議における包括的核実験禁止条約の採択もまた想起し、これまで同条約に調印し批准した国の数が増加していることにたいする満足の意を表明し、
南極条約およびトラテロルコ、ラロトンガ、バンコク、ペリンダバ条約が、全南半球およびこれらの条約の範囲内にある隣接地域を、徐々に非核地帯化していることを満足をもって認識し、
最大数の核兵器を保有する諸国の、二国間協定や取り決め、および一方的決定による、これら貯蔵兵器の削減の努力に留意し、ならびに、核兵器の大幅削減を加速するこのような努力を強めることを呼びかけ、
非核保有国にたいする核兵器による威嚇または使用の禁止を保証する、多国間により交渉され法的拘束力をもつ措置の必要性を認識し、
唯一の多国間軍縮交渉の場としての軍縮会議の中心的役割を再認識するとともに、1999年軍縮会議の会期中、軍縮交渉、とりわけ核軍縮の前進がみられなかったことを遺憾とし、
軍縮会議が、期限を区切った核兵器完全廃絶のための段階的プログラムにかんする交渉を開始する必要を強調し、
核兵器の開発、製造、実験、配備、貯蔵、威嚇もしくは使用にたいする法的拘束力をもつ禁止、ならびに、効果的な国際管理のもとでの核兵器の解体という目標を達成することを熱望し、
1996年7月8日に出された、核兵器による威嚇もしくは使用の適法性にかんする国際司法裁判所の勧告的意見を想起し、
53/77W決議の実行にかんする国連事務総長による覚書の関連部分に注目し、
1.「厳格かつ効果的な国際的管理のもとでのあらゆる分野にわたる核軍縮につながるような交渉を誠実におこない、完了させる義務が存在する」という国際司法裁判所の全員一致の結論を、再度強調する。
2.核兵器の開発、製造、実験、配備、貯蔵、移動、威嚇または使用を禁止し、核兵器の廃絶を規定する核兵器条約の早期締結につながる多国間交渉を、2000年内に開始することにより直ちにその義務を果たすことを、すべての国に再度呼びかける。
3.本決議および核軍縮の実行にかんして講じてきた努力および措置を、事務総長に報告するようすべての国に要請するとともに、寄せられた報告を第55回会期に国連総会に通告するよう要請する。
4.「核兵器による威嚇または使用の適法性にかんする国際司法裁判所の勧告的意見の後追い」と題する項目を、国連第55回会期の暫定議題に盛り込むよう決定する。
賛成 114カ国 アルジェリア、アンゴラ、アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、バルバドス、ベリーズ、ベニン、ブータン、ボリビア、ボツワナ、ブラジル、ブルネイ、ブルキナファソ、カンボジア、カメルーン、カーボベルデ、チャド、チリ、中国、コロンビア、コンゴ共和国、コスタリカ、コートジボワール、キューバ、北朝鮮、ジブチ、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、フィジー、ガーナ、グレナダ、グアテマラ、ギニア、ギニアビサウ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、インド、インドネシア、イラン、アイルランド、ジャマイカ、ヨルダン、ケニア、クウェート、ラオス、レバノン、リビア、マダガスカル、マレーシア、モルディヴ、マリ、マルタ、マーシャル諸島共和国、モーリシャス、メキシコ、モンゴル、モロッコ、モザンビーク、ミャンマー、ナミビア、ネパール、ニュージーランド、ニカラグア、ナイジェリア、オマーン、パキスタン、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、カタール、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、サモア、サンマリノ、サウジアラビア、セネガル、セイシェル、シエラレオネ、シンガポール、ソロモン諸島、南アフリカ、スリランカ、スーダン、スリナム、スワジランド、スウェーデン、シリア、タイ、トーゴ、トリニダードトバゴ、チュニジア、ウガンダ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、タンザニア、ウルグアイ、ベネズエラ、ベトナム、イエメン、ザンビア、ジンバブエ
反対 28カ国 アルバニア、アンドラ、ベルギー、ブルガリア、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イスラエル、イタリア、リトアニア、ルクセンブルグ、モナコ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア連邦、スロバキア、スロベニア、スペイン、トルコ、イギリス、アメリカ合衆国
棄権 22カ国 アルメニア、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カナダ、クロアチア、キプロス、フィンランド、グルジア、日本、カザフスタン、ラトビア、リヒテンシュタイン、ノルウェー、韓国、モルドバ、タジキスタン、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、トルクメニスタン、ウズベキスタン
第54回国連総会:核軍縮関連決議より
核兵器の究極的廃絶のための核軍縮
文書番号:A/C.1/54/L.9
共同提案国:ベルギー、クロアチア、モンゴル、オランダ、日本
国連総会は、
1994年12月15日の49/75H決議、1995年12月12日の50/70C決議、1996年12月10日の51/45G決議、1997年12月9日の52/38K決議、1998年12月4日の53/77U 決議を想起し、
世界の核兵器不拡散体制を強化する国際的な努力に挑戦した先ごろの核実験と地域的状況に留意し、
アメリカ合衆国とロシア連邦間で、STARTV(第三次戦略兵器削減交渉)を開始するにあたっておこなわれた前進に注目し、
核軍縮諸活動の透明性を強化する努力を、国際的な信頼と安全保障の構築に寄与するものとして歓迎し、
また、包括的核実験禁止条約の第14条に沿って1999年10月6日から8日にウィーンで召集された会議における、同条約の発効を促進するための国際的な努力を歓迎し、
「核不拡散と軍縮のための東京フォーラム」の報告に注目し、その報告に対する加盟国の見解にも留意し、
国際平和・安全保障の強化と核軍縮の促進は、互いに補い合い強化しあうものであることを認識し、
国際的な核不拡散体制のかなめであり核軍縮を追求するうえで不可欠な基礎としての核不拡散条約の決定的な重要性を再確認し、
また、核軍縮のさらなる進展が、国際的な核不拡散体制の強化に貢献し、世界の平和と安全保障を保証することになるとの確信を再確認し、
1.核不拡散条約の普遍性を達成することの重要性を再確認し、同条約の非締約国に対し、早期に無条件で加盟することをよびかける。
2.また、核不拡散条約のすべての締約国が、同条約の義務を履行することの重要性も再確認する。
3.核保有国が、核兵器を廃絶するという究極的目標を掲げて、核兵器を世界的に削減する系統的、漸進的な努力を確固として追求すること、および、すべての国家が、厳格で効果的な国際管理のもとで、全面完全軍縮を追求することをよびかける。
4.核兵器廃絶という究極的目標にむけて前進するために、以下の行動を追求することが重要であり、必要であることを強調する。
(a)包括的核実験禁止条約の早期発効のために、すべての国、特に発効のために批准が求められている国々が、同条約を早期に調印し批准すること、および発効までの核実験の禁止。
(b)軍縮会議(CD)において、核兵器またはその他の核爆発装置用分裂性物質の生産を禁止する非差別的で、多国間による、国際的にまた効果的に検証可能な条約の早期締結について、1995年の特別コーディネーターの報告とそれに盛り込まれた権限に基づく徹底した交渉をおこなうこと、および、その発効までの核兵器用分裂性物質の生産の一次停止。
(c)核軍縮と核不拡散のための、将来とることができる措置についての多国間による議論。
(d)戦略攻撃兵器のさらなる削減と制限に関する条約(START II)の早期発効と、ロシアとアメリカによるSTARTVに関する交渉の早期開始と終結、および、STARTV以降のプロセスの継続。
(e)核保有五カ国による、一方的および交渉を通じてのさらなる核兵器削減の努力。
5.核保有国に、核軍縮に向けた前進またはその努力について、国連加盟国に対し滞りなく情報を伝えるよう呼びかける。
6.現在おこなわれている核兵器解体のための努力を歓迎し、解体の結果生じた分裂性物質の安全で効果的な管理の重要性に留意し、防衛目的にはもはや必要でない分裂性物質を保有する国家に対し、実際可能な限り早く、そのような物質を国際原子力機関(IAEA)の安全保障措置の管理下に置くよう、ひきつづき努力することをよびかける。
7.すべての国々に、大量破壊兵器、なかんずく、核兵器の拡散を防止する努力を強めること、そして、必要ならば、これらの兵器の拡散につながるような、装置、原料、技術の輸出をしないとの各国の政策を確認し強化することをよびかける。
8.核不拡散を確実なものとするために、国際原子力機関(IAEA)と(諸)国のあいだで結ばれた、安全保障措置適用のための(諸)協定への追加モデル議定書の重要性を強調し、まだそうしていないすべての国々に、できる限り早期にIAEAとの間に追加議定書を締結することを奨励する。
9.核不拡散条約の2000年再検討会議が、同条約を基礎とする体制の維持と強化にとってきわめて重要であることを強調し、同条約締約国すべてに、1995年再検討延長会議で採択された決定と決議を再確認し、1995年以来の成果の再検討に基づいて、核不拡散と軍縮の最新の目的について合意に達するために、努力を強めることをよびかける。
10.核不拡散と核軍縮を促進する上において、市民社会の果たす建設的役割を激励する。
賛成 153カ国 アルバニア、アンドラ、アンゴラ、アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、バルバドス、ベラルーシ、ベルギー、ベリーズ、ベニン、ボリビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ボツワナ、ブラジル、ブルネイ、ブルガリア、ブルキナファソ、カンボジア、カメルーン、カナダ、カーボベルデ、チャド、チリ、コロンビア、コンゴ共和国、コスタリカ、コートジボワール、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、ジブチ、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、赤道ギニア、エリトリア、エストニア、エチオピア、フィジー、フィンランド、グルジア、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、グレナダ、グアテマラ、ギニア、ギニアビサウ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ハンガリー、アイスランド、インドネシア、イラン、アイルランド、イタリア、ジャマイカ、日本、ヨルダン、カザフスタン、ケニア、クウェート、ラオス、ラトビア、レバノン、リビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マダガスカル、マレーシア、モルディヴ、マリ、マルタ、マーシャル諸島共和国、メキシコ、ミクロネシア連邦、モナコ、モンゴル、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、ネパール、オランダ、ニュージーランド、ニカラグア、ナイジェリア、ノルウェー、オマーン、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、カタール、韓国、モルドバ、ルーマニア、セントクリストファー・ネビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、サモア、サンマリノ、サウジアラビア、セネガル、セイシェル、シエラレオーネ、シンガポール、スロバキア、スロベニア、ソロモン諸島、南アフリカ、スペイン、スリランカ、スーダン、スリナム、スワジランド、スウェーデン、シリア、タジキスタン、タイ、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、トーゴ、トリニダードトバゴ、チュニジア、トルコ、トルクメニスタン、ウガンダ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、イギリス、タンザニア、アメリカ合衆国、ウルグアイ、ウズベキスタン、ベネズエラ、ベトナム、イエメン、ザンビア、ジンバブエ
反対 0カ国
棄権 12カ国 アルジェリア、ブータン、中国、キューバ、北朝鮮、フランス、インド、イスラエル、モーリシャス、ミャンマー、パキスタン、ロシア連邦
第54回国連総会:核軍縮関連決議より
弾道弾迎撃ミサイル制限条約の
保持と順守
文書番号:A/C.1/54/L.1
共同提案国:ベラルーシ、中国、ロシア連邦
国連総会は、
軍備制限と軍縮および不拡散諸協定の遵守にかんする1995年12月12日の決議50/60と1997年12月9日の決議52/30を想起し、
世界平和と安全保障および戦略的安定維持のかなめ石としての、1972年5月26日のアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦との間の弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約の歴史的役割を認識し、また、とくに現在の国際情勢のもとでの、同条約の引き続く有効性と今日性を再確認し、
締約国による、弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約の全面的かつ厳密な遵守が最も重要であること強調し、
弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約の条項は、戦略兵器の制限に関するさらなる交渉にむけて有利な条件をつくるために寄与するものとして意図されていることを想起し、
弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約の締約国が、核兵器の不拡散に関する条約第6条のもとで負っている義務に留意し、
弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約の目的と条項の土台を掘り崩すいかなる措置の実行も、締約国の安全保障上の利害関係だけでなく、国際社会全体の安全保障上の利害関係にも影響をおよぼすことを憂慮し、
大量破壊兵器とそれらの運搬手段の拡散に関して広まっている懸念を想起し、
1.弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約が、世界の戦略的安定性と世界平和を維持する上で、また、戦略的兵器のさらなる削減の促進の上でのかなめ石となり続けるように、同条約の強化と、同条約の完全性と有効性の保持のためのひき続く努力を呼びかける。
2.また、弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約の全面的かつ厳粛な遵守を通じた、各締約国による同条約の保持と強化のための新たな努力を呼びかける。
3.弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約の締約国にたいし、同条約の義務にそって、弾道弾迎撃ミサイルシステムの配備を制限し、自国領土防衛用の弾道弾迎撃ミサイルの配備を自制し、そのような防衛用の基地を準備せず、同条約によって定められている弾道弾迎撃ミサイルシステムまたはそれらの構成部分を他国に移動させたり国の領土外に配備しないことを呼びかける。
4.同条約の目的と条項の土台を掘り崩すどのような措置の実行もまた、世界的な戦略的安定と世界平和と、戦略核兵器のさらなる削減の促進を損なうことであるとみなす。
5.すべての加盟国に、大量破壊兵器とそれらの運搬手段の拡散の防止を目的とする取り組みを支持するよう強く呼びかける。
6.台頭しつつある情勢に照らして、弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約の不可侵性と完全性の保護にむけた、国際社会によるさらなる努力を支持する。これは国際社会にとって最大の利益である。
7.「弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約の保持と遵守」と題する条項を第55回総会の暫定議題に含むことを決定する。
賛成 80カ国 アルジェリア、アンゴラ、アンティグア・バーブーダ、アルメニア、バングラデシュ、バルバドス、ベラルーシ、ベリーズ、ベニン、ブータン、ボリビア、ボツワナ、ブルネイ、ブルキナファソ、カンボジア、カメルーン、カーボベルデ、チャド、中国、コロンビア、コンゴ共和国、コートジボワール、キューバ、キプロス、北朝鮮、ドミニカ国、エクアドル、エジプト、赤道ギニア、エチオピア、フィジー、フランス、ガボン、グレナダ、ギニアビサウ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、インド、インドネシア、イラン、アイルランド、ジャマイカ、カザフスタン、ケニア、ラオス、レバノン、リビア、マダガスカル、マレーシア、メキシコ、モナコ、モンゴル、モザンビーク、ミャンマー、ナミビア、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、ロシア連邦、セントクリストファー・ネビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、セネガル、シンガポール、南アフリカ、スリランカ、スーダン、スリナム、スワジランド、シリア、タジキスタン、タイ、トーゴ、トルクメニスタン、ウガンダ、タンザニア、ベトナム、ザンビア、ジンバブエ
反対 4カ国 アルバニア、イスラエル、ミクロネシア連邦、アメリカ合衆国
棄権 68カ国 アンドラ、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、バハマ、バーレーン、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チリ、コスタリカ、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、ジブチ、ドミニカ共和国、エリトリア、エストニア、フィンランド、グルジア、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、グアテマラ、ギニア、ハンガリー、アイスランド、イタリア、日本、ヨルダン、クウェート、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、マーシャル諸島共和国、モーリシャス、モロッコ、オランダ、ニュージーランド、ナイジェリア、ノルウェー、パラグアイ、ペルー、ポーランド、ポルトガル、韓国、モルドバ、ルーマニア、サモア、サンマリノ、シエラレオーネ、スロバキア、スロベニア、ソロモン諸島、スペイン、スウェーデン、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、トリニダードトバゴ、トルコ、ウクライナ、イギリス、ウルグアイ、ウズベキスタン、ベネズエラ
ニュージーランド軍縮大使
クライブ・ウォレス・ピアソン
国連第54回総会第一委員会
1999年10月26日
議長、
私は文書番号L.18「核兵器のない世界へ:新たなる課題の必要」と題した決議案を提案することを名誉に思う。この提案を、ベニン、ボリビア、ボツワナ、ブラジル、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、チリ、コロンビア、コスタリカ、コートジボワール、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、フィジー、ガーナ、グレナダ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、アイルランド、ケニア、レソト、リベリア、マダガスカル、マレーシア、マリ、メキシコ、ニュージーランド、ニカラグア、ニジェール、ナイジェリア、パナマ、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、サモア、サンマリノ、シエラレオネ、ソロモン諸島、南アフリカ、スワジランド、スウェーデン、タイ、トーゴ、ウガンダ、ウルグアイ、ベネズエラ、ベトナム、ザンビア、ジンバブエ(訳注:共同提案国にはその後変動あり)を代表しておこないたい。
この決議案の目的は単純で明快である。核軍縮の課題にアプローチする道を再活性化させることである。その意図は、核兵器を完全に廃絶するために、現実的で実現可能なやり方で、国際社会をそのための協調した行動に断固として駆り立てることである。この重大で緊急な問題に取り組むことは、すべての国連加盟国の任務であり義務である。
この決議案は、前進のための方向性を概括したものである。当委員会に提出された他の核軍縮諸決議にとって代わることを意図したものではない。むしろ、その目的は、誓約の履行の速度を速めるという「明確な約束」を条件とする、包括的な前進の方向を提案することである。
この決議案は、われわれの目前にある課題を概観的に提起している。これはそのアプローチにおいて、主張されてきたように差別的なものではない。核兵器をもっとも多く保有する5大核保有国によって適切にとられるべき措置をよびかけている。NPTに加盟しておらず、核能力をもつ国々にたいし、核兵器のオプションを放棄し、無条件にかつ早期に、不拡散体制に加盟することをよびかけている。また、非核国にたいする、かなり多くの措置をとるようにとのよびかけも含んでいる。これらの点から、この決議案は、包括的なアプローチを提案している。
この決議の目標は、われわれすべてが集団的に参加し義務と責任を果たすべき措置を支持するなかで、国際社会全体の関与を得ることである。そして、重要なことに、この決議は軍縮分野で未達成のまま残っているかなり多くの課題を提起している。この点で、決議案は包括的でありかつ総合的である。
当決議案は、既存のメカニズムとアプローチを利用する必要性を強調している。それは、二国間、複数国間、多国間アプローチにバランスを与えるものであり、それらの各々は、核軍縮を達成するため、明確に追求されなければならない。それは、現在おこなわれている二国間のプロセスを多国間のものにしようとするのではない。しかし、このプロセスがさらに発展するにつれて、他の国々がその途上に参加する必要があることを認識するものである。
この新アジェンダ共同提案諸国は、核兵器廃絶のコンセンサスを形成しようとするなら、この決議案が提起するアプローチは、進むべき決定的に重要な方向をあたえるものであると確信する。
この決議案を提案するにあたりわれわれが抱いている最も大きな懸念は、核軍縮プロセスが行き詰まっているとは言わぬまでも、停滞しているという現実である。勢いを与える必要がある。冷戦の終結とともに期待された利益や希望はわれわれの手からすり抜けてしまったかのようだ。その結果われわれは、可能なあるいは必要な速さで核軍縮を達成できていない。
a)南アジアにおける核実験と、それに続く核抑止力開発の話し合いは、核の構造を変えてしまった。われわれの決議案は、NPTへの普遍的遵守の必要性とともに、この事態の進展についても言及している。
b)核抑止力の概念は拡大され、あるいは少なくともよりあいまいなものになっている。核兵器の保持は、生物・化学兵器による攻撃に対して使用する可能性のゆえに、再び正当化されている。
c)ミサイルの拡散、ミサイル防衛において、ほかにも推進の努力がおこなわれている。
自己満足が核の議題に忍び込んでいる。政治議題は、しばしば、軍縮についての国民の期待を導くのではなく、それに従ってきたのである。しかし、この自己満足は、政治的プロセス自体と同じく、市民社会の思考にも浸透していると感じる。
この現実の懸念と挫折感がまさに、新アジェンダプロセスの原動力となったのである。それは、NPTの諸規定、特に、核兵器の廃絶のために努力するという約束と引き換えに核兵器のオプションを放棄するという取り決めによって同意されたアプローチである。われわれはこれを非常に真剣に受け止めている。
NPTは核兵器の廃絶を追求するという義務を明記している。そして、この目的の達成のためすべての国々が協力することを呼びかけている。とすれば当然、非核保有国は、この義務を追求する権利と責任の両方をもっていることになる。
NPTが1995年に無期限に延長されたとき、その合意は、核兵器の無期限の保持を是認するものではなかった。その反対である。NPTはもうひとつの重要な区別をしている。それは、核軍縮の前進は、通常兵器の軍縮の前進を条件とするものではないということである。最後に、相互の義務に基づく条約においては本質的に、いかなる国家グループも一方的にその条約の義務の履行の速度を決定することはできないのである。
これらが、われわれが解決を求められている法的な問題である。次に、新アジェンダ決議が呼びかけている政治的な緊急課題について話したい。
アメリカとロシア連邦は、STARTプロセスの多国間化を断固として拒否している。われわれはそれに異議を唱えるものではないし、この決議は、この重要なイニシアチブの多国間化をよびかけるものでもない。われわれはそれを歓迎し支持する。しかし、われわれはこのプロセスが複数の国々が参加するものになり、ひいては、多国間の普遍的なものになることを望む。
われわれの決議案は、もうひとつの重要な点でバランスのとれたものである。決議案は、いくつかの核保有国が軍縮をすでに追求していることを認め、その努力を歓迎している。このなかで、最も重要なものは、国際原子力機関(IAEA)、アメリカ、ロシア連邦の三者間のイニシアチブである。このイニシアチブが将来広がり、拡大されることを期待する。われわれは、イギリスやフランスなどによる一方的な措置についても認識している。
しかし、別の政治的現実も想起したい。新たな千年紀において、核兵器はわれわれの社会にとって不可避な特徴であってはならない。50年間核兵器が使用されなかったという事実は、その兵器の持つ危険が弱まったということではない。その兵器を長く保持すればするほど、他国がその兵器を取得しようとする誘惑は大きくなるのである。
在庫兵器が老朽化し、設計寿命を超えるにつれ、核兵器はますます大きな負担となっていくだろう。そうすれば何がおこるだろうか。われわれはすでに、それらの技術的交替をめざす新たな競争を目の当たりにしているのではないだろうか。
ひとつのことを明らかにしたい。それは、われわれが好むと好まざるとにかかわらず、核兵器は目標と破壊が広範に及ぶという点において、まさに多国間的なものであるということである。
現在兵器庫に保管されている核兵器の破壊力は、理解をはるかに超えている。他国が指摘しているように、われわれから見れば、「兵器を必要とする標的というよりも、標的を追跡する兵器を持っている」かのようだ。
将来抑止力が維持できるようなより低いレベルとはどのようなレベルなのかをめぐる論議に加わることは、新アジェンダの考えていることではない。われわれの目標は、われわれの国際的な義務と一致するものだが、核兵器の完全な廃絶のために断固として努力することである。それ以上でも、それ以下でもない。
新アジェンダ決議案を前面に出すにあたり、われわれは、あまりにも長い間、行動の呼びかけを、時期尚早、非現実的、逆効果、達成不可能ということで、しごく簡単に退けてきたということを、自覚している。われわれは、完全が善の敵になるという典型的な状態に陥っていた。
われわれは新しい課題は必要ないという意見も聞いた。これは不誠実な議論だと思う。世間で通用している唯一の合意された課題でわれわれが知っているものは、NPTの「原則と目標」に規定されている要素である。われわれの決議案は、その課題をとり入れ、承認するものである。
しかし、新アジェンダのアプローチは、質的に異なる。それは現在実行可能な、そして将来に可能な、いくつかの実際的な措置の実施をよびかけているのである。それは、段階的で、漸進的なアプローチを提唱し、相互を強化するような措置を主張している。決議案は期限を設けようとしていない。
決議案は、軍縮は、実際的で、個別の、漸進的な措置を通じて最もよく達成されるものであるという、先週この委員会でなされた呼びかけを確認する。この決議案がおこなっている呼びかけは、現実的であり、達成可能であると確信する。
それゆえ、われわれは慎重なやりかたで議論をすすめようとしている。そうしてこそ必要な信頼、生産的関与と結果が生み出されるのである。それは、受け入れやすい行動計画ではないかもしれない。兵器を保有する国にとって軍縮がそうであることはめったにない。
最後に、今年の決議案で変更したところを強調したい。第一に、本文は、昨年以来起こった発展を考慮に入れて、新しくしてある。第二に、多くの改善が、序文と、実効項目に施されている。それは、内容においてわれわれとともに活動することを強く望んでいる国々とのあいだでこの一年間におこなわれた、建設的な対話を考慮したものである。
この決議案は、明確に、そして意図的に、NPT第6条の誓約に疑いを向けてはいない。これが唯一求めているのは、これらの義務の履行につながるプロセスを促進することである。この区別は非常に重要である。また、新アジェンダは、1995年のNPT再検討会議で採択された決定と決議の完全実施の必要性を認めている。
さらに、今年の決議案は、STARTプロセスに加え、現在実施されている軍縮措置を承認し、歓迎している。それはまた、アメリカとロシア政府によるABM条約の戦略的重要性についての共同の呼びかけを強化するものである。そして決議案は、NPTのすべての条文は、適切にも、締約国を常に拘束しているという現実に触れており、その責任を果たすよう取り組む緊急の重要性を明記している。
新アジェンダのアプローチの核心は、今年も再び新しい定式のもとで明確に述べられているが、それは、廃絶に至るプロセスを加速させるための「明確な約束」が必要であるという決意である。そしてわれわれは、この約束が、最高の政治的レベルで、明確に宣言されることを求めている。
すべての代表団にこの決議案を注意深く検討し、今年はわれわれとともに支持の立場をとることを要請する。そして、この決議案が触れていない問題ではなく、主張している内容から、この決議を評価していただきたい。
この決議案の共同提案国は、決議案の内容についていつでも対話に応じる用意がある。われわれは、これが革新的な、あるいは網羅的なアジェンダであると主張しているのではない。とういのも、実際にそうではないからだ。そしてまた、これが隠されたアジェンダではないということも明らかにしたい。対決的なものにするつもりもない。もしこの決議案を「更新された
(renewed)」アジェンダと呼ぶ代表団があれば、われわれは気持ちが楽になるだろう。
より重要なことは、決議案が、核兵器の完全な廃絶の方向にわれわれを進める新しい圧力の一環となるべきだとわれわれがみなしている一連の要素を、包括して要約していることである。廃絶へのプロセスが完全に行き詰まってはいないにしても、つまずいているとき、われわれが、(軍拡の)ゲームをやめることができなければ、それは無責任なことになるだろう。
当委員会で、われわれの前にはひとつの道があり、重要な時点を迂回することはできないという意見が出された。われわれはその見解に全く同感である。最近の出来事によって、われわれすべてが、この道にとどまり、同じ道を歩み続けることを確かなものにする必要性が高まっている。しかし、どんな旅をするさいにも、目的と、その目的地にいかに到達するか、どれが最上の道筋であるかを明確にしなければならない。新アジェンダは、まさにそれを目指しているのである。
「新アジェンダ連合」案の論議から
1999年11月9日
国連第一委員会において、決議L.18(新アジェンダ連合案)全体は、賛成90カ国、反対13カ国、棄権37カ国で採択された。
反対:ブルガリア、エストニア、フランス、ハンガリー、インド、イスラエル、モナコ、パキスタン、ポーランド、ルーマニア、ロシア連邦、イギリス、アメリカ合衆国
棄権:アンドラ、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、アゼルバイジャン、ベルギー、ブータン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カナダ、中国、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、グルジア、ドイツ、ギリシャ、アイスランド、イタリア、日本、カザフスタン、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、モーリシャス、ミャンマー、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、韓国、モルドバ共和国、スロバキア、スロベニア、スペイン、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、トルコ、ウクライナ、ウズベキスタン(今年トルコは、反対票でなく棄権票を投じた。ベラルーシは賛成。)
本決議案のNPTに言及した二つの段落についてそれぞれ個別の投票がおこなわれた。
実効項目第7項:賛成128、反対3(インド、パキスタン、イスラエル)、棄権3(ブータン、キューバ、ラトビア)
実効項目第18項:賛成128、反対0、棄権5(キューバ、インド、イスラエル、パキスタン、韓国)
票決前の発言:イギリス、アルゼンチン、フランス、キューバ、メキシコ
票決後の発言:中国、多くの欧州諸国を代表してベルギー、インド、アメリカ合衆国、日本、トルコ、アルジェリア、シリア、韓国、オーストラリア、ポーランド、モーリシャス、カナダ
イギリス: ほかの諸代表団と積極的に対話するという本決議提案諸国の意志を歓迎し発言を始めたい。しかしながら私は、われわれが再度今年の決議案に反対票を投じざるを得ないことを残念に思う。この決定の理由を簡単に説明したい。イギリスは、これまで核軍縮および不拡散条約第6条が課す義務にたいする自国の誓約を明らかにしてきた。この誓約は最近では、イギリスがその「戦略防衛見直し」において1988年に発表した措置により実質的に表現されている。これらの措置には、イギリスの核抑止の大幅な縮小と、先例のないほどの透明性に関する措置が含まれている。(核軍縮の)進展にむけたわれわれの誓約は、イギリスが1998年に包括的核実験禁止条約を批准したことによってさらに裏付けられた。
われわれも本決議案の提案諸国と同じく、より広範な核軍縮の遅々たる進展に苛立ちを感じている。われわれは二つの主要核保有国による核兵器削減にむけた二国間の取り組みが進展の速度を速めるよう働きかけを続けている。われわれは、包括的核実験禁止条約ができるだけ早期に発効することを切望しており、そのために国際的取り組みの先頭に立ってきた。核軍縮の次のステップとして国際的に合意済みである核分裂性物質カットオフ条約(核分裂性物質製造禁止条約)に関する交渉を早く開始したいと望んでいる。
本決議案には、1995年不拡散条約再検討延長会議で合意された原則と目標の核心をなすすべての措置にたいする支持が含まれていることを認識している。しかしながら、さらなる一連の措置を提案することによりこの国際的合意課題の範囲を超えることで、はたして本決議が、核軍縮にむけた前進に実質的に寄与することができるのか否かは疑問である。
昨年同様、本決議案にはイギリスが強く支持する措置が多く含まれている。しかし、本案にはたとえば運搬手段からの弾頭取り外しといったような、われわれが支持できない点も一部含まれている。この弾頭取り外しについてわれわれは、「戦略防衛見直し」のなかで詳細な検討を加えたが、現時点においては信頼できる最低限の抑止力維持という政策とは両立しないという結論に達した。核軍縮の大義を前進させる上で実質的貢献となるいかなる措置も支持するというわれわれの決意は、今後も変るものではない。
アルゼンチン: アルゼンチンは、軍縮および核不拡散を支持する国際社会の目標を共有している。残念なことに決議案L.18には、アルゼンチンが同意しない要素も含まれている。今後、本決議案がより多くの加盟国が受け入れられる条件を盛り込んだ案となることを願っている。この理由によりアルゼンチンは棄権する。
(サウジアラビアは、現在共同提案国が60を超えた決議案L.18の提案国に加わる意志を表明した。モザンビークもまた、この日提案国入りを表明した。)
フランス: 第一委員会は、「核兵器のない世界へ:新しい課題の必要性」と題する決議案を、二度目の採択にかけるため召集されている。本案を支持する諸国は、昨年の決議に加えられたいくつかの改善点と並んで、中間的アプローチを強く主張している。これら条項のなかには現実の基準を満たさないものがあると思う。本案には、昨年の委員会の冒頭で7カ国が提案したものと同じくらい、わが国の代表団が受け入れ難い重要な問題点がまだ数多く存在する。本決議のアプローチ全体は危険なもので、いくつかの提案のあいまいさには批判を加える必要があると感じる。問題はなぜ新しい課題が必要なのかということである。
フランスは、1995年NPT再検討延長会議が定めた行動計画を実行するよう、これまでも主張してきたしこれからも主張していくものであり、この1995年の課題を疑問に付すような内容を持つ新しい課題の訴えには同意できない。1995年に決定された課題は三点あった。一点は、CTBT(包括的核実験禁止条約)の実施、二点目は、FMCT(核分裂性物質カットオフ条約)の実施、そして三点目は、核兵器の全体的削減と、その後の廃絶にむけた体系的かつ漸進的な軍縮を進めることにたいする諸国の決意ならびに、厳格かつ効果的な国際的監視のもとでの全面完全軍縮にむけた諸国の決意である。
本決議案に賛成する諸国は、この行動計画が時代遅れになったと考えている。そうであるならば、そう述べ、実効項目第16項においてそう明確に主張することは彼らの自由である。しかし、ではなぜ、核軍縮の新しい課題が必要だと主張するのであろうか。何かの思惑を隠すためでないかぎり、この二つのあいだには明らかに矛盾が存在する。本決議案の中に列挙されている印象的な数々の提案のなかから、次の二点に絞って発言したい。
なぜ、政策と核問題の検討が必要なのか。国連憲章は、各国の正当な自衛権を承認している。この権利は、すべての国が平等に有し、どの国も現存する諸条約の枠組みのなかで、自国の安全保障に必要と感ずるものに従って規定できる普遍的なものである。防衛政策がその国以外の何者によっても恣意的に決定され得ないことは、この権利に由来している。本決議案を推進している諸国は、当然ながら自国の主権の維持を願っている。彼らは、自国に代わって国際社会がその国の防衛に何が必要かを決めることを受け入れられるのであろうか。答えは当然ながらノーであり、それはできないのである。フランスの政策は自国の安全保障と一致する可能なかぎりの最低限度という原則にもとづいていること、また、潜在的脅威の進展に合わせてつねに自国のドクトリンを保障し適合させていることを簡単につけ加えておきたい。
なぜ軍縮と核兵器不拡散に関する国際会議を開催する必要があるのか。この点について明確にしておきたい。核保有5カ国はつねに、こういった性質の国際会議を開催するという考えに反対してきた。われわれは、核兵器削減のプロセスがこのような枠組みでおこなわれればより効果的になるとは考えていない。核保有国が参加しない会議にはたして有効性などあるのだろうか。不拡散と核軍縮の話し合いにふさわしい場は、2000年NPT再検討会議である。たんに体裁を整えるだけのために本提案に賛成すれば、それは正しいことではない。
なぜ本決議案は、1995年NPT会議決定をあいまいに認識しているのであろうか。1995年会議で合意された行動計画を支持したまさにその同じ政府代表団が、今はこの決定を時代遅れだと考えていることをどう説明するのであろう。1995年会議からは4年たったが、同じ代表団が、第一回国連軍縮特別総会(SSDI)の最終文書はそれがほとんど神聖不可侵なものだからむやみに変更しない、と主張しているのである。この国際文書は1978年の作成以来時代遅れになっていないかのようである。この両義性は説明し難い。
最後に、本議案はなぜカットオフ条約に関してこのようにあいまいなのであろうか。カットオフ条約に関する1998年の決議は大多数の賛成で採択された。なぜこの分裂性物質製造禁止の課題に、ほかの条項、または、だれも書面でその形跡を見ることができない実施内容を加えるための口実が必要なのであろうか。本決議の実効項目第12項によれば、そうする一方でこうした国々は暫定委員会にたいして、交渉を遅滞なく終結するよう躊躇もせず訴えている。矛盾とまでいかないとしても、このあいまいさは説明し難い。あらゆる不確かさを排除する唯一の方法は、実効項目第12項の最初に、「軍縮会議にたいし、遅滞なく、どの他の項目とも結びつけることなく、暫定委員会を設立することを呼びかける」とした短い一節を挿入することである。この文の他の部分はそのままでよい。この挿入節を入れないことにより、提案諸国は欺まんの誘いで最もだまされやすい代表団をひきつけるという目的で、両義にとれる表現を使っているとわれわれは考える。
この決議案を支持する諸国はこの数年、軍縮アプローチ、とくに、建設的なあいまいさの政策を呼びかける核軍縮の最も熱心な提唱者となっており、あいまいな用語を非常に巧みにあやつっている。われわれは、核軍縮はこのようなあいまいなやり方で取り組むにはあまりにも重大な問題だと感じている。この問題は、可能な限り明確であるべきである。わが代表団はつねに率直にものを言うことを望む。われわれは、本決議案に反対票を投ずる。
(キューバは支持を示し、メキシコは、フランス発言にたいする発言をおこなった。以下は、票決後の発言である。)
中国: 中国は、人類を核戦争の脅威から解放し、核兵器のない世界を早期に実現するために、つねに核兵器の完全禁止と全面的廃棄の立場をとってきた。この目的にむけ中国は、核軍縮問題にかんする国際社会の憂慮と要求をすべて理解する。中国代表団は、核兵器の全面禁止と廃棄および核兵器のない世界という決議案L.18が掲げる原則と目的を支持する。
われわれはまた、決議案に含まれているいくつかの特定の措置も支持する。それらは、核保有国に核ドクトリンの見直しを呼びかけること、核兵器の先制使用と威嚇を禁止する国際的に法的拘束力のある措置が締結されること、および非核保有国にたいしそれが効果的に保証されること、NPTの普遍性強化、非核地帯の創設などである。ABM制限条約を維持しその弱体化もしくは否定を防ぐことと、地球規模の戦略的安定を損なう弾道弾ミサイル迎撃システム開発の阻止は、核軍縮と不拡散の進展に必要な条件である。その意味で、L.18はABM制限条約がひきつづき戦略安定のかなめ石であることを正しく指摘している。
だが一方、われわれは、核兵器の警戒態勢の解除、核弾頭を運搬手段から取り外すことの呼びかけ、核兵器と分裂性物質の備蓄量に透明性をもたせることなどの他の措置も決議案で提案されていることに注目した。中国は、これらの措置は、平和、安全、安定および信頼のある国際環境においてのみ実行できるものであり、核軍縮にかんする交渉と結びつけておこなわれるべきであると考える。現在の国際的状況のもとでは、まだ機は熟しておらず、そのような措置をとるに必要な条件は整っていない。
また、決議案が、すべての核保有国にたいし、核兵器の先制不使用および非核保有国にたいするその使用と威嚇をおこなわないことを誓約するよう求めていないことも指摘されるべきである。しかしながらこれらの要素は、核軍縮と不拡散には必須のものである。以上の観点から、中国代表団は決議に棄権した。
ベルギー: ドイツ、ベルギー、デンマーク、スペイン、フィンランド、ギリシャ、アイスランド、イタリア、リトアニア、ルクセンブルグ、ノルウェー、オランダ、ポルトガル、モルドバ共和国、スロバキア、およびチェコ共和国を代表し、L.18決議案に棄権した理由について説明する。われわれは、核兵器のない世界という最終的な目標を持つ核軍縮を実現するための同決議案に示された努力を歓迎し同意する。この目標は、核軍縮の漸進的過程をすみやかに追求することにより、よりよく達成できると考える。われわれは、包括的核実験禁止条約発効にむけた進展がないことと、ABM制限条約にかんする意見の相違が、このプロセスにとって深刻な障害となるのではないかと憂慮している。
われわれはまた同決議案に含まれるいくつかの要素に同意できる。核軍縮と不拡散の分野における多くの否定的な事態をわれわれも懸念している。また、核軍縮のプロセスを再活性化させるためには、新たなはずみが必要であると確信するが、この達成のために新しい手段または機関が必要だと考えているわけではない。この決議案の提案諸国が、昨年の採択文書への反対意見を考慮に入れるために真剣な努力を払われたことを理解しており、決議案にある多くの提案は支持できるものである。
とはいえ、われわれの見るところでは、いくつかの点において、われわれ自身が提起し意見も一致している、最終的な目標に到達するための最も適切な方法が反映されないままになっている。われわれは、不拡散体制のかなめ石であり、核軍縮に不可欠な基盤であるNPTをひきつづき最も重視する。核軍縮分野におけるあらゆる進展は、現在の過程、つまりNPT第6条と1995年の「原則と目標」で定義された目標を基礎にした過程を通してのみ達成できると固く信じる。この方向での努力はすでに相当の進展を作り出したものの、深刻な後退もあった。合意された「原則と目標」にもとづいてこの後退を乗り越え、新しい進展を達成させるため、再び努力を倍化させるべきだと確信する。NPTの普遍性はひき続きもっとも重要である。
昨年の南アジアにおける核実験のあと、この目標への取り組みは、NPTの最大の後退を経験した。ゆえに、これを乗り越えることが、より緊急な優先課題となるべきである。米ロ交渉は核軍縮過程に重要な結果をもたらしたが、この数年のあいだは、期待したほどの進展を見せていない。これらの取り組みを再活性化し、START
II発効を達成し、START III交渉を遅滞なく開始することが緊急に求められる。われわれは、米国議会のCTBT否決を遺憾に思い、クリントン大統領の条約批准への努力と核実験モラトリアムの遵守を続けるとの誓約を満足の意をもって歓迎する。すみやかなCTBT発効のための国際的努力は、一層の決意をもって継続されるべきである。
兵器および他の核爆発装置用分裂性物質の製造を禁止する、多国間の非差別的かつ国際的に効力を持つ検証可能な条約に関する交渉は、長いあいだの懸案事項となっている。われわれは軍縮会議にたいし、遅滞なくそして前提条件を課さずにこの条約の交渉を開始するよう求める。核軍縮は、何よりもまず国家の権限内の問題であるとはいえ、それはまた国際社会にとっての正当な関心事でもある。したがって、ドイツ、ベルギー、イタリア、ノルウェー、およびオランダが1999年2月に提案したとおり、われわれは、軍縮会議による、核軍縮にむけた情報および取り組みへの見解を交流する方策もしくは手段を研究するための小作業委員会の設置を支持する。核軍縮の分野で進展を得るためには、責任の共有と、既存の目標を継続し達成するための政治的意志が必要である。国の評価は決議もしくは宣言で判断されるのではなく、その行動とこれらの目標を達成することで判断が下されるのである。その意味で、最も緊急な目標は、来年のNPT再検討会議の成功であり、次回の軍縮会議の冒頭における核兵器および核爆発装置用の核分裂性物質製造禁止条約に関する交渉の開始である。われわれは、これらの目標をひきつづき建設的に追求するとともに、この決議案の提案国ならびに、核保有のいかんにかかわらずすべての国々と、共通の目標達成にむけて緊密に協力する構えである。
インド: わが国代表団は、投票後に立場を説明する発言の機会を得たいと申し入れた。この決議案の発端となったのは、1998年7月にダブリンで、8カ国が発表した共同宣言であるとわれわれは理解している。インドはその共同宣言を歓迎した。しかし、今回の決議案は、その共同宣言の域をはるかに超えたものであった。軍縮のための第10回国連特別総会〔第1回国連軍縮特別総会―訳注〕の最終文書は、いまだに国際社会全体が軍縮について採択した唯一の全会一致文書である。同最終文書には行動計画が含まれていたが、この計画は、まだ一部しか実施されていない。将来にむけたいかなる課題も、必然的に第1回軍縮特別総会で出された行動計画の実施を開始の前提条件としなければならない。その最も重要な要素である核軍縮において、国際社会がほとんど前進を達成できなかったことは明らかであろう。
問うべきなのは、既存の課題における最も重要な要素が達成されていないのに「新しい課題」が必要なのかという問題である。この決議案には、別の諸会議で採択された的外れな要素と定式化が含まれている。われわれは、実効項目第6項、7項および8項にあるような安全保障問題に関する規定的アプローチを拒否する。これらは、この決議とは無関係なだけでなく、そもそも現実から乖離している。インドは、もはや核保有のオプションを保持していない。このオプションはすでに実行されてしまったのである。また決議案は、「核保有能力を持ちながらNPTにまだ加盟していない3カ国」というような誤った概念にもとづいて提言をおこなっている。この概念は、分析的に無意味であり、現実に則していない。ここでの南アジア非核地帯への言及は、不条理に近いだけでなく、非核地帯のとりきめは関係地域の諸国間の自由な意志にもとづいておこなわれるべきであるという非核地帯創設における最も根本的な指針的原則に疑問を投げかけるものである。この原則は、今年の国連軍縮委員会の実質審議においてあらためて承認されている。われわれはほかの機会でも、現状では、南アジア非核地帯の提案は、東アジア、西ヨーロッパ、北アメリカの非核地帯化と同様ほとんど有効性がないことを述べてきた。
この決議案の内容は多岐にわたっているにもかかわらず、驚くべきことに核兵器の先制使用政策への言及がどこにも見られない。核兵器にもとづく安全保障政策を持つ唯一残った大陸間軍事同盟の核ドクトリンは、今年はじめにその核兵器先制使用政策を再確認した。同様にこの決議案は、次の千年紀になっても核兵器を残すことになる、特定諸国による核兵器の新鋭化と近代化の動きを無視している。進行中の弾道ミサイル防衛構築の動きは、軍縮の促進と国際的平和と安全の強化に貢献する国際情勢をさらに侵食するおそれがある。本決議案のいくつかの主要な段落は、多国間による軍縮努力の枠組み全体を危機におとしいれるこうした行為の重大性を強調するのではなく、既存の核保有国に受け入れられやすいよう書きかえられた。
同決議案はまた、数カ国の代表団が核軍縮と宇宙空間に関してとっているかたくなな態度のため軍縮会議が現在行き詰まっていることにも触れておらず、圧倒的多数の加盟諸国が、均衡のとれた包括的活動計画の一環としての実質的交渉の開始への支持を表明したことも無視している。
わが代表団のNPTにかんする見解はよく知られている。この決議案は、締約国の圧倒的多数を失望させた同条約を没落の運命から再生させようと試みている。われわれは、今年の第3回NPT再検討会議準備委員会をふくめ、長年にわたって、自称核保有5カ国に核軍縮と核兵器の全面廃絶への明白な姿勢をとらせようと、報われない努力をしてきた諸国に同情する。本決議案は、NPTが食い止められなかった多様な不拡散の発生源については沈黙している。これらの努力はすべて、それ自身はいかに価値があり精力的であろうとも、NPTに記された不公平かつ差別的な枠組みの義務によって制約されると考える。これまで主張してきたとおり、新たな課題は、NPTの古い枠内では成功しない。ゆえに必要なのは、古い枠組みを超え、すべてに公平で正当な安全保障の原則に立った、永続的な国際的安全保障制度を確立する体制に移行することである。
われわれは、この決議案に、共同提案国のひとつである南アフリカで1998年に開催された、非同盟運動第12回首脳会議の最終文書に盛り込まれた提案が含まれることを期待していたが、それは実現されなかった。この最終文書には、核兵器のない世界にむけた具体的提案、とりわけ段階的核兵器廃絶への合意に到達する目標を掲げた国際会議開催のよびかけが含まれていた。同様にわれわれは、核兵器を含む大量殺りく兵器の使用が、国際刑事裁判所の権限のもと人道にたいする罪として指定することを望んでいたがそれも果たされなかった。わが代表団は、核兵器の全面廃絶と核兵器のない世界にむけた取り組みの必要性という目標には賛同するものの、欠陥がありかつ差別的なNPTのアプローチにとらわれた行動の有効性に、依然として疑問を抱いている。それゆえ決議案全体にインドは反対票を投じた。
アメリカ合衆国: L.18決議の共同提案諸国の熱意に敬意を表しつつも、アメリカは数々の理由からこれに反対票を投じた。最大の理由は、この決議が根ざしている基本的前提、つまり核軍縮に新たな課題が必要だという点を支持できないことである。10月20日にホラム次期事務次長が一般討論で述べたように、われわれはすでに、完了せねばならない幅広い多国間軍備管理の課題を抱えている。
核軍縮に向かう現在の進展の度合がいかに遅々としたものであっても、冷戦の頂点にあった時期以来、われわれが核兵器削減において劇的な進歩を遂げてきたことは事実が証明している。軍縮は、それぞれ前例の上に立ち、かつ国際的安全保障環境の現実を考慮に入れた実際的な段階的措置を通じてこそ達成できることを記録が示している。苦痛に満ちた困難な仕事ではあるが、これが結果を生むのである。われわれはL.18決議が軍縮プロセスの再活性化に役立つとは思わない。それを実証する二つの理由を述べたい。
この決議は、核兵器保有国にたいし、自国の核兵器の迅速な全廃の達成を明確に約束し、加速された交渉プロセスに遅滞なく参加するよう求めている。すでに核不拡散条約において厳粛な約束がおこなわれており、アメリカはこれを真剣に受け止めているが、これが十分でないとするのなら、これに加えて新たな誓約をおこなっても何の役に立つだろうか。
決議はまた、核軍縮と不拡散に関する国際会議を開催し、その他の場でおこなわれている諸努力を補完することを呼びかけている。国際会議にはそれなりの意味があろうが、われわれはすでに、有効に活用できる以上の会議を開いている。新たな層の国際的討論の場を設けることは、核軍縮の進展を加速することにはならない。
アメリカは,現在の軍縮の課題がすでに満杯状態にあると思っている。実際、L.18決議にはその課題のほとんどが含まれている。また、軍縮会議において核分裂性物質製造禁止に関し真剣な交渉を開始すべき時も過ぎていると思う。国連総会はこの事業を承認しており、新たな課題ではなく、これこそが、核軍縮のプロセスを再活性化するために必要な具体的で実際的なステップのひとつである。ホラム氏が述べたように、新たな課題を作り出すのではなく、現在抱えている課題を再活性化するために新たな努力をおこなう必要がある。
日本: わが代表団は、核兵器のない世界という目標をともに目指しており、その目標達成にむけた幅広い一連の具体的措置を詳細に提起したL.18決議案の共同提案諸国の熱意に感謝する。この目標を達成するためには、現実的で具体的な措置を通じて一歩一歩進む以外に道はないというのがわが国政府の見解である。この点から見て、核保有国から協力を得ることが必要であり、これらの国々に対立的な態度をとることは必ずしも建設的とは言えない。日本はまた、核軍縮の速度は到底満足できるものではないと考えているが、欲求不満のあまりこのプロセスの近道をとろうとするのは生産的でない。
われわれは、今年の決議案が改善されていることを認める。その反面、なお核保有国の誓約にたいする一定の疑念を表している。注意深く真剣に検討をおこなった結果、日本は最終的にこの決議に棄権することを決定した。しかしながら私は、わが国が核兵器のない世界をつくるという目標とその必要性を全面的に分かち合っていることを再度強調したい。
私は加盟諸国、とくに核保有国に、核不拡散条約再検討会議から成功的な結果が生みだされるよう全力をあげて努力するよう求めたい。CTBT(包括的核実験禁止条約)批准の努力の強化、とくに、まだ批准をしていない3つの核保有国がこれをおこなうこととともに、米ロ間の核軍縮二国間交渉の進展は、会議の成功を確実とするのに役立つ環境を作り出すうえでの貢献となるだろう。また、NPT再検討会議において、1995年以来の実績の検討をもとに核不拡散と軍縮の最新の目標にかんする合意を達成するための取り組みを強めることが求められている。
トルコ: NPTとその他の国際条約の締約国として、トルコは核兵器のない世界を求める国際社会の切なる願いを共有してきた。わが国は、ひきつづき核保有国の側が全面完全軍縮の枠組みにおける核兵器廃絶という究極的目標を掲げて、系統的で漸進的な努力をおこなうことが、核兵器の地球規模の削減にとって肝要であることを確信している。昨年の決議案には、わが国の支持を難しくする要素と矛盾があったため、われわれは反対票を投じることを選択し、その理由を説明した。しかし今年は、表現と内容の両方で改善が見られたため、われわれの投票態度を棄権へと変更することが可能になった。
アルジェリアとシリアはいくつか保留点があるとしながらも、賛成票を投じた。
韓国: 韓国は、多くの機会に表明してきたように、核不拡散体制を強化し、究極的目標である核兵器のない世界の達成を目指す国際的努力を一貫して支持してきた。この点から、わが国の代表団は、この決議案の共同提案諸国による、核兵器のない世界のための新たな課題の設定を目指す誠実な努力を高く評価する。われわれはこの決議案のおもな趣旨を確かに理解しており、実効項目第7、8、9、12など決議案の中のいくつかの要素を支持する。これらの点は核不拡散体制の原則と目標を維持するうえでの重要な構成要素である。
こうした積極的な部分はあるが、核軍縮の措置はいかなるものであれ現実に根ざしたものでなければならないと考える。世界的安全保障環境において、実際的で段階的なアプローチとともに着実な前進を重ねることが、究極的目標である核兵器廃絶の道のりに具体的な成果をもたらすことができる。同時に、安全保障の強化と核不拡散と軍縮に関連する既存の多国間協定の遵守は、新たな条約をつくることと同じくらい重要である。ひと握りの国々がNPTの責務とIAEA(国際原子力機関)の安全保障取り決めへの不従順を続けていることは、国際社会にたいする重大な挑戦である。これらの懸念がこの決議案の中では適切に反映されていない。これらの理由から、わが代表団はこのL.18決議案に棄権した。
オーストラリア: オーストラリア代表団は、新アジェンダ決議が、非常に思慮深い考察を反映したものであることを認識しており、決議案の作成者もそれを意図したことは疑いない。新アジェンダ連合は幅広い支持を得るために粘り強く包括的な核軍縮にかんする決議案を作成した。その結果、核兵器の最終的な廃絶に関わる重要な未達成の課題に注意を喚起するという顕著な特長をもった決議案が生まれた。作成者たちは、核保有5カ国とともにNPTの枠外にある国々にも訴えをおこない、慎重で公平なやり方でこの仕事にあたるようつとめ、そのプロセスを通じて、国連の場のみならず各国において非常に多くの考察と論議を巻き起こしてきた。
個別に検討すると、核軍縮にかんする国際会議で達成できることについては大きな意見の保留があるものの、決議案にはオーストラリアが反対すべき点はほとんどない。この決議の諸側面は強い支持を受けるに値する。たとえば不拡散と軍縮の主要な目的、NPT遵守の重要性、NPTの普遍性になどについて適切な言及がなされている。同様に決議案は、諸国にたいし、CTBTに調印し、既存の優先課題を繰り返しながら分裂性物質製造禁止条約の交渉を開始するよう呼びかけている。
しかし、全体としてみたこの決議案、そしてそれが発するメッセージに関して懸念を抱いている。概して積極的なこの決議案の内容が、とくに前文の段落で述べられている前提によって薄められている。それは、核保有国が不拡散条約においておこなった、核軍縮に関して「誠実に交渉をおこなう」という約束に疑いを投げかけるものである。新たな課題を求めることで、この決議は、既存の不拡散体制が崩れつつあるとの考えを示している。このような主張はわれわれが受け入れたり役立つと考えるものではなく、まさにこの理由により、オーストラリアは再度、この決議を支持することができない。よって、われわれは棄権を表明したのである。
またこの決議案が、こめられた願望とは別に、核軍縮が進むべき道に説得力ある新たな洞察をあたえるものであるかどうかに疑問を持っている。この決議案は、馴染み深く、論理的にも一般に容認されている課題を列挙している。しかし核軍縮とは、複雑かつ順を追って進むプロセスであり、ひとつひとつの措置が、もたらすであろう安全保障上の利益に照らして評価されるものである。この決議案が、核軍縮はそういうものではないと示唆しているかのように受け取られれば、誤った認識を提供する危険をおかすことになる。オーストラリアは、核保有国も含めすべての国々の支持を得られるような実際的で現実的な核軍縮提案を支持する。新アジェンダ決議案の提唱者たちはまだこれを達成してはいないが、オーストラリアは、核保有国によるさらなる交渉を追求する提唱者らの願いを分かち合うものである。われわれは、核弾頭の着実で検証可能な削減を望む。これは、核保有国が交渉をおこない、それゆえ、とられる措置に信頼がおける場合のみ達成可能であるとわれわれは認識している。
核軍縮のおもな責任は当面核保有国の側にあるが、非核保有国は、たとえばCTBTの発効や分裂性物質生産禁止条約の交渉を促進するなど、核不拡散と軍縮の諸目標を強化する措置を迅速に進めることでおおきく貢献することができる。
ポーランド: 昨年と同じようにポーランドは反対票を投じた。これは決議の内容に不賛成だからではない。それどころか、決議のほとんどの条項に賛成であることをこの委員会の場ではっきり申し上げたい。ポーランドはこれまでも、現在も核軍縮の究極目標の達成に取り組んでいる。6ヵ月前、ポーランド政府は包括的核実験禁止条約批准書を国連に寄託した。同時にわれわれは、国際社会がこの究極目標をかちとるための措置を打ち出すにあたって現実的でなくてはならないと考える。ポーランドはつねに、この目的は一歩一歩達成させられるべきであるという見解をもっている。
20年という期間で見ると、1978年の第1回国連軍縮特別総会以来、核兵器のない世界にむけて大きな前進があったことは間違いない。近年その途上でいくぶん後退があったことは事実であるが、急速に変化する世界において、われわれがこのような後退に直面し、効果的にそれに対処せねばならないことはごく自然なことである。
われわれの見るところこの決議は、この究極的目標達成のプロセスを人為的に加速させようとしている。それを大道においてではなく、国際平和と安全保障の維持に特別な責任を持っている国連安保理事会常任理事国が不在のわき道でおこなおうとしているようである。われわれは、安保理常任理事国の参加なくしては、最良の新課題であっても、究極目標達成へのプロセスを加速することはできないと確信している。よって、この新課題への安保理常任理事国の参加を確保してはじめて、ポーランドは、これらの努力の有効性に確信を持つことができる。
モーリシャス: モーリシャスは、NPT未調印の国に調印を呼びかけている実効項目第9項を理由に棄権した。モーリシャスはCTBTに調印していない。その理由は、これが核兵器廃絶にむけた時間を区切った枠組みを提供できていないからである。
カナダ: カナダは昨年この決議に棄権し、今年も再度棄権の態度を維持することを決定した。両年とも、決定は慎重かつ非常に集中的で高レベルの検討の末になされたものである。私はこれから、この決定の基礎をなす考えの一部をお話ししたい。われわれの決定は、その大部分がこの決議の文面にたいする反応としてなされたものではない。今年の決議文は、昨年のものに比べ大幅にそれもよい方向に変化している。カナダ政府はまた、NPTを基礎にした核軍縮と核不拡散体制の深刻なひずみにたいする新アジェンダ連合の評価の多くを共有している。新アジェンダ決議は、ひきつづき非常に時宜にかなっており、この両方の局面においてさらなる進展が緊急に必要であることを的確に指摘している。
しかしながらわれわれの見解では、核軍縮と核不拡散体制が直面しているおおくの困難に取り組むための協調した行動には、可能な限り幅広い支持基盤が必要である。新アジェンダ決議の目標を達成するためには、核兵器保有国とそのパートナー・同盟諸国の参加が必要である。われわれの側としては、関連する諸会議において、志を同じくする国々とひき続き協力し、核不拡散・軍縮体制の主要な目的を前進させるより大きな支持を構築していく。
NATO加盟国としてカナダは、今年の投票において共通の立場をとる非核保有国のNATO加盟国の数が増えたことを喜ばしく思う。われわれは、ワシントン首脳会議で求められた、不拡散、軍備管理、軍縮の選択肢をNATOが考慮することを期待する。われわれはこのプロセスが、新アジェンダ決議が提起した重要な諸問題に取り組むための道のひとつであると考えている。10月22日、ボストンでアクスワージー外相が述べたように、カナダ政府は過去の10年ではなく、来るべき10年を反映する軍備管理・軍縮政策を持つことが、NATOにとって死活的に重要であると信じている。
新アジェンダ連合決議が提起した諸問題は、2000年4月〜5月のNPT再検討会議において再びわれわれの前に提起される。そこでは、1995年にこの条約が無期限延長されたさい約束された責任が、重要な公共の場で試験にかけられるのである。この委員会での一般演説で述べたように、カナダ政府は、来春の再検討会議が同条約を強化し、その目標達成のためのはずみを取り戻すものとなるよう努力をおこなう。
新アジェンダ連合、東京フォーラムおよび
核の危険を低減する他のイニシアチブ
NGO軍縮委員会(ニューヨーク)主催パネル討論会
(1999年10月22日、国連本部にて)
パネリスト:
神山 武(日本国際問題研究所研究調整部長)
ダラーク・マクフィオンバー(アイルランド政府軍縮局長)
ピアス・コーデン(米国務省軍備管理局国際安全保障課長)
アラン・ウェア(中堅国イニシアチブ)
ジャクリーン・カバソ(西部諸州法律基金理事長/アメリカ)
神山 武:「核不拡散・核軍縮にかんする東京フォーラム」は、1998年5月のインドとパキスタンの核実験のあと、広島平和研究所と日本国際問題研究所によって1998年8月に共同で設立された。フォーラムは、南アジアの核問題に焦点をあてるとともに、核の危険に全体にわたって包括的に対応するため、その地球的影響についても強調した。4回の集中的討論のあと、1999年7月25日、東京フォーラムは、「核の危険に直面して〜21世紀への行動計画」と題する報告〔以下「報告」と略―訳注〕を発表した。この報告はよく「目覚まし」電話と呼ばれているが、残念なことにこの電話は鳴り続けたままである。フォーラムの主な焦点は核兵器にあるが、化学・生物兵器など、そのほかの大量破壊兵器も無視してはいない。
「報告」にも述べられているとおり、「冷戦の終結後10年がたち、21世紀を目前にして、国際的な安全保障の仕組が崩れつつあり、核の危険はただならない早さで進行している」。核軍縮と核不拡散の土台である核不拡散条約(NPT)にもとづく国際核不拡散体制は二つの戦線から揺さぶられている。地球的レベルでは、現在の核保有国間の関係、とりわけ米ロ、米中関係の悪化が、地球的規模の軍縮と不拡散に好ましくない影響をあたえ、地域レベルでは核兵器拡散の危険が、南アジア、中東、北東アジアなどの地域で増大している。
核軍縮と不拡散をとりまく状況は、1996年の核兵器廃絶にかんするキャンベラ委員会の報告、さらにはヘンリー・L・スチムソンセンターや米科学アカデミーなどの著名な研究機関が報告を発表し、核兵器の廃絶ないし禁止を求めて以降、この数年で急速に悪化している。「東京フォーラムの報告書および提言は、最近の情勢がきわめて深刻であることを明らかにし、地域および国際安全保障の後退を阻止するため緊急の措置を提示することを目的としている」。必要なことは時代遅れの核ドクトリンでもなければ人為的な軍縮の期限でもなく、現実的で具体的な措置と行動である。
国際核不拡散体制の重要な論点は、核保有国と非核保有国とのあいだの義務のバランスである。核保有国は核軍縮の追求を義務づけられているのにたいし、非核保有国は不拡散の義務に従わなければならない。核保有国が核軍縮に積極的態度をとらないならば、潜在的核保有国に、自国の核兵器を放棄するようにとか、非核保有国に、核不拡散義務に従うようにといった要求は、全面的な説得力や威信、正当性に欠けることになる。他方、完全核軍縮という究極目標は、いっそうの核兵器拡散が阻止されなければ達成され得ない。「核保有国と非核保有国の両陣営の協調した行動が、核の危険を減じるためのパートナーシップを新たにする唯一の方法である」。
核兵器を検討するとき、主たる責任は、いまなお、主要国と問題地域の中心諸国の手にあると言えよう。とりわけ核保有国は核の危険を減らす主要な責任を負っている。新アジェンダ連合と非政府諸組織(NGO)が核軍縮や不拡散の分野で果たしてきた役割は評価されるべきである。「報告」が言うように、「中堅国とNGOの創造的連携は、今日どこを見ても欠けているリーダーシップをつくり出す助けとなりうる」。しかし、ここでも、関係諸国がそれぞれの側で犠牲を払い、模範的役割を果たす用意がなければ、いぜんとして民間からの協力を促すことはできないであろう。
戦略核兵器削減交渉(START)を通じた米ロ間の二カ国核兵器削減プロセスは、この両国がほかの核保有国にくらべていまなお膨大な核軍備を持っているのであるから、ひき続き核軍縮プロセス全体の主眼である。しかしながら、STARTプロセスの進展は、両国関係の悪化によって妨げられてきた。これはまた、核軍縮と不拡散をめざすあらゆる努力に否定的影響をもたらす。かくして、アメリカとロシアは両国の建設的関係を回復し、STARTプロセスを再活性化させるため緊急の行動をとるべきである。
東京フォーラムがおこなった重要な提言のひとつは、アメリカとロシアに「配備された戦略核弾頭数をさらに1,000発まで削減する」よう呼びかけていることである。この目標はSTARTプロセスのもとで締結される、法的拘束力をもった合意を通じ達成されることが望ましい。公式の交渉の進展があまりに遅いようであれば、両国は、並行的で検証可能な一方的措置を通じて、配備されている核兵器の解体による即時削減を考慮すべきである。核兵器の削減は、非戦略核兵器の分野にもできる限り速やかに広げられるべきである。
これの意味するところは、これ以外の核保有国である中国、フランス、イギリスは、米ロがそれぞれの核弾頭を1,000発以内に減らさないなら核削減交渉に参加しないであろうということである。これは、なぜ米ロが大幅削減を実行し、これによって核軍縮プロセス全体に寄与すべきなのかのもうひとつの理由である。中国、フランス、イギリスもNPT締約国であるから、NPT第6条のもと軍縮プロセスに加わる義務を負っているのであり、それぞれの核軍備を増強してはならない。
すべての核保有国の核ドクトリンと核軍備の規模の透明性もまた重要な問題である。中国の核ドクトリンと核戦力の透明度にかんしては、ほかの核保有国とくらべ、現在も見通される限りの将来においても多くのことがなされなければならない。さらに、核保有国の中で、なお何らかの大幅な核軍縮を追求すべき唯一の国である。疑問の余地ない大国として、中国には核の透明性と削減とを強める新たな姿勢をとることが強く求められている。
東京フォーラムは、提言をさらに「すべての核兵器国による核廃絶の一歩手前までの段階的削減」まで進めている。フォーラムはそうした措置が、「核廃絶論者も核抑止論者もともに認めることができ、すべての国が共通の安全保障上の利益を得ることができる目標である」と結論づけた。この目標を達成するために、核保有国は核軍縮について「報告」の中で勧告されていることを遂行することが呼びかけられている。
1998年5月におこなわれたインド、パキスタンの核実験と、つづいてインド政府が自国の核兵器政策にかんしておこなった宣言は、インド亜大陸の地域的安全保障の概観を変えただけでなく、国際核不拡散体制をも掘り崩した。南アジアの核問題解決の努力は、この地域で核戦争の危険を減少させるためにも、他地域への核拡散の連鎖反応を避けるためにも緊要である。
東京フォーラムは、「究極の目標は、インド、パキスタン両国を説得し、核兵器を放棄させ、NPTに非核兵器国として加盟させることにある」と確認した。しかしながら、両国がすでに核兵器を所有していることを考慮し、東京フォーラムは、両国の核兵器のさらなる増強を防ぎ、この地域における核戦争の危険を減少させる目的で、現実的な措置を勧告した。これらの措置の中には、南アジアの緊張を緩和し、安全保障情勢を改善することをねらいとした措置が含まれている。
われわれは、中国がこの地域の安全保障問題において重要な役割を果たしてきたことを忘れるべきではない。インドの核開発の背後にあるひとつの重要な動機は、中国との核の均衡を達成することにあった。そうしたものとして、インドと中国の双方が、ひんぱんな対話とそれぞれの核兵器および意図についての透明性の強化を含めた追加的な信頼再確認措置をとることは、両国の脅威認識をおおいに減少させ、この地域の核問題の解決を促進するであろう。
核拡散の脅威が増大している地域は南アジアだけではない。「中東と北東アジアでも同様に核拡散をとどめ、逆転させるための措置が緊急に必要」である。これら三つの地域では、一部の国が、地域的な安全保障情勢やそれらの国の脅威認識、民族対立などのため、核兵器の保有を強く求めている。核拡散の一つひとつのケースは、その地域により、あるいはそれぞれの国家によって異なるので、それぞれの情勢に合わせ「あつらえ」た解決策を熟慮することが必要である。
言うまでもないが、核不拡散を強化するためには世界的な努力が必要である。東京フォーラムは、とりわけ国際原子力機関(IAEA)が中心的役割を果たす核分裂性物質の検証と保障の拡大、核輸出規制の強化、それらの透明性の改善などを提言している。
同様に、ロシアの核兵器解体や核関連物質の管理、関連科学者のあつかいなどにかんしては、ロシアやそのほかの独立国家共同体(CIS)諸国の脅威削減プログラムをさらに促進することが重要である。したがって、核物質や技術、科学者、ひいては核兵器そのものが拡散者の疑惑のある者へと流出するのを防ぐために、脅威削減プログラムは継続され、強化されるべきである。
1996年に結ばれた包括的核実験禁止条約(CTBT)と、提案されている核分裂性物質製造禁止条約(FMCT)とは、多国間核軍縮・不拡散の課題にかんする二つの問題である。それぞれの措置が他方を補完している。つまり、CTBTが核兵器の開発と質的改良の防止を意図している一方、FMCTは核兵器用分裂性物質の量的増強を抑えることをねらいとしている。CTBTは、可能な限り早期に発効させるべきである。条約を批准していない主要国や、ましては調印さえしていない主要国は積極的措置をとるべきである。条約が発効するまで、核保有国やとりわけ潜在保有国は核実験のモラトリアムを続けなければならない。
軍縮会議(CD)は今年、FMCTについての小委員会を設けることができなかった。FMCTにかんする交渉が停滞しているひとつの理由は、CDの構成国が、現に貯蔵されている分裂性物質をどのようにあつかうかについて合意していないためである。この問題にかんしては、できるだけ早急な締結が必要であることと、現に貯蔵されている分裂性物質の問題をとりあげることの重要性を考慮し、東京フォーラムは分裂性物質の貯蔵問題を、正規のFMCT交渉と並行し、かつその外で議論することを提言している。
核軍縮と不拡散を再活性化するためには、これらの問題にかかわる多国間フォーラムを強め、改善する必要がある。もっとも議論を呼んでいる東京フォーラムの提言は、国連安全保障理事会常任理事国の拒否権、コンセンサスルールを含め、軍縮会議で交渉されるべき規則の改定、NPTの常設事務局と協議委員会設置などにかんする提言である。
報告が最初に発表されたあと、いくつかの重大かつ遺憾なできごとが起こった。ここでは、米国上院がCTBTの批准に失敗したことを、とくにあげておかなければならない。アメリカの拒絶は今後、核軍縮と不拡散に有害な影響をつくり出すかもしれない。情勢は深刻なものと受け止められるべきである。
東京フォーラムは、報告書採択でその使命を完遂した。フォーラムは、「国際社会が、拡散と核の危険の増大が突きつける挑戦に応えることを呼びかけ」ている。東京フォーラムの結論は、完全核廃絶の究極的目標への新たな取り組みの始まりにすぎない。国際社会、とりわけ核保有国やそのほかの大国、地域的な主要国にとって次のステップは、東京フォーラム報告でなされた現実的かつ具体的な提言を実行に移すことである。提案された視野と行動計画は、これらの否定的動向のためにその有効性を失うべきではない。
ダラーク・マクフィオンバー:このフォーラムで新アジェンダにかんする話をするのは2度目なので、「新」という単語は少々くたびれて聞こえるかもしれない。しかし、そうではないことをお約束したい。最近、国連の第一委員会である政府代表が、「われわれに必要なものは新アジェンダではなく、更新されたアジェンダではないか」と言っていた。そういう定義でもかまわないと思う。しかし、これは、新アジェンダの一体なにが新しいのかをめぐり多分に誤解が存在するのであろうことを示している。
新アジェンダの新味は、核軍縮の前進の道として概略図形式で打ち出された措置にあるのではない。これらの措置の大部分は新しいものではない。新しく、斬新とも言うべきものは、むしろこれらの措置がとられるべきとわれわれが提案する背景となっている状況である。この状況においてこそ「新」という言葉が妥当性を持つのである。実効項目の最初でわれわれが要求しているのは、新しくかつあいまいさのない、迅速かつ完全な核兵器廃絶へのコミットメント(公約)である。新しい点とは、核保有国がそのようなコミットメントをおこなったことはない、という事実である。彼らがおこなった核兵器の究極廃絶についてのNPT第6条のコミットメントは抱負を表わすものであり、他方、新しい、新規の迅速かつ完全な廃絶へのコミットメントは、それが明確になされるなら、現存するアジェンダへの新しいアプローチを求めるものとなる、ということだ。私は、ここに、「われわれには更新されたアジェンダが必要だ」と述べた政府代表の誤解の源があると思う。彼は新アジェンダの意味を理解していなかったのだろう。
このイニシアチブの源泉は、軍縮プロセスが停滞していることについて1990年代半ばまでに生じていた認識である。核保有国が1980年代から90年代の初頭におこなったように、削減のペースを力で進めることで、意図が必ずしもこれら兵器の早期廃絶ではなくとも、軍縮は進んだわけである。しかし、東京フォーラムの仲間が提案したように、いかにして核軍縮にたどり着けるかについて抜本的な再評価をおこなわないなら、いまやわれわれは、これら兵器がゆうに次の世紀にも持続するところまできている。新アジェンダ連合に参加する国の閣僚たちが、この取り組みの最初から述べているように、核兵器の保有が無期限の将来にわたって正当であるとする見通しのままで次の千年紀に入るなどということは受け入れ得ないことである。
われわれにとってはこれが問題の中心だ。現にある核兵器自体が合法的に保有されていることに疑問を呈しているのではない。しかしながら、第6条の約束は、これら兵器の禁止、世界的禁止に帰着するプロセスに入ることを要件としている。
われわれの言葉でいう協定的アプローチと段階的アプローチのあいだには、つねに軍縮議論上の対立があった。新アジェンダ連合は、最終的には多国間の機関が必要であるが、多国間の一機関あるいは複数の機関を直視する地点にたどりつくために取り組む必要のあるプロセスはすでに存在し、しかも受け入れられているプロセスであるかもしれないことを認めることによって、この溝に橋をかけることを試みた。これらは、CTBT、FMCT、消極的安全保障(NSA)などをめざす多国間による取り組みである。これらすべては、1995年のNPT会議自体の「原則と目標」に含まれている。そして二カ国間レベルでは、戦略核削減交渉(START)プロセス、イギリス、フランス、中国の核保有三カ国の同プロセスへの早期参加、インド、パキスタン、イスラエルによる自国の核能力の兵器化プログラム廃棄などが重要である。
そしてわれわれは、核抑止力に同意することなく戦略的安定を高めるための一連の暫定措置を提案した。それらは、偶発的ないしその他の核兵器使用を防止するうえで建設的なものである。われわれは、長期にわたって保有されれば、核兵器は意図的にであれ偶発的にであれ使われることになる、というキャンベラ委員会の認識を共有している。
このイニシアチブは、NPTおよびNPTの再検討プロセスを掘り崩していると非難されてきた。しかし、われわれはそれをはっきりと、力をこめて拒否する。われわれの決議案が、NPT再検討プロセスが果たす中心的役割を強調していることはきわめて明確である。
われわれは、とくに核軍縮のパラダイムが、核保有国の軍縮の活動から離れ、ますます「ならず者国家」への拡散の可能性の問題にむけられていることを憂慮し、核拡散対抗ドクトリンを憂慮しているのである。これは、核保有5カ国が核兵器廃絶の方向に動くよう求める国際社会のエネルギーを消耗させている。インド、パキスタン、イスラエルによる拡散にたいする一貫性を欠いた対応は、国際社会がNPTを通じて核兵器拒否の普遍的な基準を実現してきたことや、その拒否の結果として国際社会が可能な限り短期間に核兵器をすべて廃絶するという共通の目的に乗り出していることの信頼性をさらに掘り崩すものである。
われわれは、NPTがごく最近まで、むしろ少数の国しか加盟していない条約であったことを忘れるべきでない。ようやく、イスラエル、パキスタン、インドの核兵器能力を持つ3カ国を除く普遍的な条約になったのである。そして、1995年の無制限延長という大きな成果となり、いまや187の加盟国を有する事実となった。これは、責任のバランスについてのわれわれの理解からすれば、義務を果たすよう核保有国に要求する非核保有国の資格を強めるものである。
しかし、これは、とくに、安保理事会が多かれ少なかれ有効に対処してきた北朝鮮とイラクという二つの国にかかわる深刻な問題など、条約遵守の問題点を否定するものではない。現実には、「遵守」問題を処理する手段が用意されており、遵守問題は条約の規定に含まれているので、実際に対応はなされてきた。問題はあったが、これらの点に対応する方途もあったのである。
いまや、NPTには新たな普遍性あるいは擬似的普遍性といえるものが存在し、核兵器能力を持つ国を含め、国連に加盟するすべての非核保有国がNPTに加盟している。彼らは核保有国にたいし新たな資格を持っている。われわれがこのイニシアチブでめざしていることは、その重みを核保有国にたいし効果的に発揮することである。
新アジェンダ連合には、過去に核兵器オプションを検討したが、それを捨て、新アジェンダ連合に加わりNPTを支持する国々も含まれている。不拡散の境界がある世界において、この意義を過小評価すべきではない。だからわれわれは核保有国にたいし、いわゆる水平不拡散の境界へ焦点をあてることを排除はしないが、むしろ自分自身に焦点をあてるよう約束をとりつけなければならないのである。
最近の討論では、核軍縮の手段がつくられたその目的、すなわち核保有国自身による核兵器のさらなる拡散の停止を第一義的目的としてつくられた手段にかんし、一部の核保有国でその目的の展望が失われていることに焦点があてられている。CTBTがその例である。CTBTは、核保有国による核兵器のいっそうの質的開発を防ぐための国際社会の要求であった。それは、第一義的には、非核保有国にたいする不拡散の措置ではない。それは核保有国にむけられているものである。だから、NPTの正統なとらえ方が、核保有国が主要な標的であり役者でもあるプロセスの効果から、核保有国そのものを保護するものへと逆用さないよう、注意深くならなければならない。核保有国こそが、二国間であれ複数国間であれ、あるいはCTBTやNPTの場合のように多国間であれ、これらの措置を遂行する義務を負わなければならないのである。
われわれが今夕第一委員会に提案する新決議案のテキストは、昨年のものときわめて類似している。この一年間議論を重ねてきた多くの国々の懸念を考慮に入れてつくったものであり、われわれの目的について誤解を生まないような、そして、どの加盟国の利益であれ国家安全保障上の利益の侵害を防ぐものとなっている。
ピアス・コーデン:ご承知のことと思うが、この間CTBTにかんして、私個人にとっても、ワシントンの同僚の多くにとっても、あわただしく、困難で、がっかりするような時期であった。この数年間、私自身かなりの時間をCTBTに費やしてきた。
この数十年のあいだ国際安全保障をめぐる情勢がどうであったか降り返ってみることは重要だと思う。この場でわれわれが焦点をあてていることの多くは、この2年間の情勢である。1971年、私が職業的に軍縮にかかり始めた時期を見ると、いまとくらべ世界はより不安定でより不確かな時もあった。冷戦のあいだ、大気圏実験のあいだ、キューバミサイル危機の際などがまさにそうであった。当時私はワシントンの大学生であったが、キューバにおけるミサイルの存在を伝えるジョン・F・ケネディのラジオ演説をいまもありありと覚えている。1960年代後半から70年代にかけて、さらには80年代に至っても、大陸間弾道弾や戦略潜水艦発射弾道弾のMIRV(多弾頭個別誘導弾道弾)化、主要核大国が何千も核兵器を増やしたことなどによって、世界は今日にくらべてはるかに安全を欠いた、不安定な場所となっていた。
1980年代、当時承認されていた大量破壊兵器である化学兵器が中東紛争で使われたことも指摘したい。私は、二カ国間の軍縮と、多国間の軍縮との両方で達成された進展についても理解することが重要だと思う。NPTが無期限延長され、核兵器を取得することになっていたかもしれないブラジルやアルゼンチンのような重要な国々や、核爆発装置を取得したことを認めた国、すなわち南アフリカのNPT加盟があった。こうした進展は歓迎すべきものであり、安定に資するものであり、重要なことであった。
私は物理学者として出発したので、われわれがいかに現在の地点に到達したかを絵に描いたように理解できないか、ものごとをときどき図式的に考えることにしている。1945年を基点に、1999年までをグラフに描き、各国が最初にそれぞれの最初の核装置を爆発させた年、1945、1949、1952、1960、1964、1974、そして1998年を点としておく。そして貯蔵の増加具合を見ると、二つの大きな曲線が現われる。米ソ双方が5万発台という膨大な核能力に達したときである。そして、この下の方には、実際には同じグラフには書き入れることができないのだが、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタンがある。これらの国の核兵器数は1,000発以下である。核時代の初め、米ソの核弾頭の数は一路上昇したが、いまはきわめて急な角度で下降している。少なくともそれ以外の国々のうちフランスとイギリスでも、数は同じく下降している。だが中国については疑わしく、さらにきわめて当惑させることとして上昇している国が二つある。インドとバキスタンである。
アメリカは、兵器数をさらに下降させるため二カ国間プロセスに大きな強調点を置いているように見えよう。兵器数は一万発以下まで下がった。戦術核兵器や貯蔵核兵器も含まなければならないわけだから、私の言っていることはごくあいまいである。われわれもこの点を心配している。一発の核兵器が何をもたらすか、日本の友人をはじめ誰もがそのことをよく知っている。そしてこれら兵器数における量的・質的な不均衡は、核軍縮の取り組みを、けた違いに複雑で困難で長期的な課題にしている。われわれはこの問題を単純に割り切っておこなうことはできない。一歩一歩、一つひとつ、問題ごとに取り組まねばならない。
では、今日、われわれの前にあるものは何か。NPTの延長、化学兵器条約、生物兵器条約など軍備管理における偉大な成功にもかかわらず、情勢は困難だと思う。私の考えでは、経済開発、社会開発、民主主義の前進、民主主義の後退などの点で、根底にある世界的政治体制は、今日、南アジアにおいて最も困難な状況だが、われわれが軍縮プロセスで達成しようとしている具体的諸目標に必ずしも大きくかかわるような影響はない。しかし、こうした問題は、核、通常兵器、化学・生物兵器の軍縮分野で公式、あるいは非公式の努力を続けることを可能にする状況に非常に大きな影響をおよぼしている。
すでに言及した困難を例に引くとすれば、CTBTの発効がおそらく一番格好の例だろう。私の国も含め、多くの国々の議会にとって、1980年代以前の二国間の平衡状態から多極化世界への移行に対応することは困難になっている。ダラーク氏が引いたように、CTBTの真の目的を整理すると、私の見方からすればその目的には実際上、二つの面があり、縦型のプロセスと水平のプロセスの両方で拡散に影響をあたえることである。
しかし、よりやっかいなことに、冷戦中も進行していたことであろうが、ミサイル能力や化学・生物兵器の脅威が浮上しつつある。これらの開発の禁止を意図した多国間体制の存在にもかかわらずである。そして、国際社会がすでに合意した、分裂性物質製造禁止条約、生物・毒物兵器協定の議定書などの、次の措置について交渉を進めるうえでもわれわれは困難に直面している。
よって情勢は入り組んでいる。しかしわれわれは、CTBTについてクリントン大統領も言ったように、基本的な目標と、われわれすべてが遂行することに合意した段階的プロセスを推進するうえで立ちふさがる迂回路を放置すべきでないと思う。
この会議のタイトルとされている二つの具体的問題である新アジェンダ連合と東京フォーラムの報告について若干話したい。私は、国際社会、とりわけこの決議案を出した新アジェンダ連合の外相たちが、現在の到達点と進展の方途とに我慢できず、懸念をもっていることは理解できることだ。ダラーク氏は遠慮して口には出さなかったが、新しいアジェンダに焦点をあてるよりは、われわれがすべて合意したアジェンダにたいする努力を新たにすることで、現情勢に対応すべきであると論じたのは私の上司のジョン・ホラムである。しかし、これが実際アメリカ合衆国がこの決議案にとっている態度である。
私の政府が、同意の立場をとらなかった、根底にある前提のいくつかについては、ダラーク氏の言うとおりだ。われわれは、現在の決議案がNPTをあつかうやり方に異議を持っている。とくに、不拡散条約の第6条にたいするアメリカのコミットメントを疑問視しているように見えることに危惧を持っている。しかし、アメリカにかんする限り、第6条へのコミットメントは、究極的核軍縮を進めるためわれわれが必要としているものである。
われわれはまた、この決議案の、1970年のNPT発効までさかのぼる現行の取り決めをあつかう部分でのNPTの描かれ方に懸念を抱いている。それは、NATO同盟国とアメリカの取り決めにかんしてである。われわれにとってこの問題はきわめて深刻であり、よって、われわれはこの決議を支持できない。われわれは反対する。この決議にはまた、われわれの知る限り、NATOがその全体的な抑止戦略の一部として現在核兵器に依存していることにかんして、最近ワシントンの首脳会議で確認された合意を問題にしているようにみえる部分がある。だから、われわれは、それらの取決めに対する変更の追求を支持する立場にはない。もちろん、時とともに全体のプロセスが動き、最後には核兵器がなくなり、そして、究極的には抑止力も持たなくなる方向に向かうことを認めつつも、である。しかし、当面のあいだは、それはわれわれが受け入れることができる問題ではない。
私は、ロシアのアプローチにおいて穏やかならない変化がおこってることにだれもが気づいていると思う。これはその根底にある、同じく穏やかならず、対応を必要とする社会的変化にもとづいている。ロシア連邦は、自国の防衛戦略において戦術核兵器への依存と、場合によっては核兵器の第一撃使用への依存度を高めることを発表した。
東京フォーラム報告にかかわる二、三の問題についても述べておきたい。たとえタイミングや順序について不一致があるにせよ、具体的行動をとることの重要性にかんしては、私の前に二人の発言者が提起した点を強調するものである。交渉された合意があり、その実施を追求しているときそれを最後までやりきることが最も重要である。
CTBTが格好の例である。私はアメリカがこの点でかかえている問題点を認めている。私は、ここにおられるCTBT交渉の中心となった政府代表団や各国から来た何人かの人々とともに交渉に参加した。調印から3年たったいまもなお、条約の発効に必要な44カ国のうち18カ国が批准していない。そこには10年も20年も30年も一貫してCTBTを要求してきた非同盟運動の参加国や非核兵器国、NPTの参加国も含まれている。その中には、たぶん明日にでもとりかかるさ、と言う国々もある。これは正しくない。われわれすべてがひとつになれば、こうした政府は、自分たちがおこなっていることを真剣に受け止めるざるをえなくなる。44カ国中18カ国も批准すべき国があるか、それとも8ないし10カ国なのかのあいだには大きな違いがある。このうちの8、9、10カ国がすぐに批准できないのか私には理解できない。核保有国でさえも、たとえば中国がそうだ。この条約を批准して中国は何を失うことになると言うのだろう。
44カ国が批准するまで条約は発効しないのである。だとすればなぜ中国は批准しないのか。中国代表団に尋ねてみてはどうだろう。
分裂性物質製造のモラトリアムについても同じことが言える。自分たちがどれだけ貯蔵しているかを認識し、もはや核分裂性物質を製造していないのだから、ここではアメリカは善玉である。ベクトルは正しい方向、すなわち下方に向いているのである。分裂性物質の製造についてモラトリアムを実現できないものかどうか見てみようではないか。これは、他の人々がすでに述べたように、きわめて具体的な措置である。
同じことがジュネーブ軍縮会議(CD)にも言える。CDに真剣に取り組もうではないか。われわれは最近、軍縮会議の構成国を66カ国に増やす措置をとった。われわれの代表団はマクフィオンバイア氏の代表団を歓迎して軍縮会議に受け入れた。しかし、この機関とその前身の組識に27年間かかわってきた私としては、こう言わなければならない。各国が、コンセンサスがある問題について、テーブルにつき、分裂性物質製造禁止条約の交渉で真剣な取り組み開始できないというのは、きわめてみっともないことである。
東京フォーラムの報告にかんして言えば、この研究には推奨すべき点がたくさんある。たいへん包括的な報告だ。キャンベラ委員会の更新ということでは、この報告にはこの2年間に事態がいかに急速に変化したかが反映されている。このフォーラムの勧告にかんしては、他の地域で、各国が具体的になにをすべきかを言う立場に私はない。しかしひとつの具体的勧告について私は関心をもって注目した。それは、インドと中国が、500 kmから3,500 kmの射程をもつミサイルにかんして、中距離核戦力条約(INF条約)に存在している自制を採用すべきだというものである。
少なくとも現時点では、私の政府にはまだ支持できない勧告が多数ある。NPTに常設事務局をつくるという勧告には疑問がある。われわれは、旧ソ連に数十億ドルの資金を提供している脅威削減プロセスにたいするG7諸国による大幅な支援強化を歓迎する。二カ国間プロセスにかんしては、量的な削減幅についてわれわれが議論したい一連の勧告もある。たとえば、いま、どちらの側も1,000発まで弾頭数を減らし得るのかとか、警戒態勢にかんする勧告のいくつか、また、新アジェンダ連合とのあいだにある別の問題などである。
軍縮会議(CD)にかんしては、問題はあるが、私はCDのコンセンサスのルールを捨てることについては若干異議がある。しかし、東京フォーラム報告の作成者たちがおこなった努力には敬意を表する。まだ報告を読んでいないなら一読をお勧めする。それが更新されたものであれ新しいものと説明されているものであれ、さまざまなコメンテーターがそれらの問題でかんして述べた意見を考慮すれば、われわれのアジェンダを進めるために、それは重要な出発点である。
アラン・ウェア: まず、ウェールズの炭坑で使用されるこのカンテラの紹介から始めたい。これは、昨夜ニューヨークに届けられたもので、闇に光明を見出すための国際的取り組みの一端として、戦争から平和へ、軍備から軍縮への転換を呼びかけながら、平和の火をともして何千マイルも世界中をめぐってきた。中堅国イニシアチブは、各国政府、とくにわれわれが「中堅」国の影響力を持つ政府とともに、核保有国が核軍縮の方向に動くようはたらきかけをおこっているが、この火は、そうした中堅国イニシアチブの活動をよく表わしたシンボルである。
核兵器の廃絶にむけた「新しいアジェンダ(課題)」を採用した諸国政府の活動の一部を概説されたダラーク・マクフィオンバイア氏につづいて発言できることをうれしく思う。私たちは、この「新しい課題」を呼びかけた諸政府と緊密に共同できること、また、世界中のたくさんの市民団体や非政府組織の協力を得ていることを光栄に思う。また、これら、軍縮の課題が意味するものにかんして、ピアス・コーデン氏につづいて発言できる機会をえられたことをうれしく思う。
ピアス・コーデン氏が概括した図式を見れば、事は妥当な方向に動いているとして、安心した気持ちになるかもしれない。核兵器の数は減少しており、軍縮のための新しいあるいは改訂された課題など必要ない。われわれは、現在進行中の、核保有国が先導する軌道をただ従っていけばよいのだ、と。
私もそれが真実であって欲しいと思う。アメリカが包括的核実験禁止条約の批准に失敗したのも、ちょっとした不都合ないし軍縮に向かう途中の回り道にすぎないものであればよいと思う。しかし、残念ながら、マクフィオンバイア氏が述べられたとおり、中心的な核保有国が推進しているのは、本当に軍縮の課題ではなくて、むしろ不拡散の課題でしかないという点に同意せざるを得ない。数的削減は実際上限られたものである。主要核保有国は、核兵器ゼロをめざして努力する約束などいっさいしておらず、数百発程度への核兵器の削減さえも約束していない。同時に、これらの国は核兵器の先制攻撃政策を維持している。依然として、核兵器の研究、設計、実験を続けている。国連総会での交渉の呼びかけにせよ、不拡散条約再検討過程にせよ、ジュネーブ軍縮会議での核軍縮交渉を始めるための小委員会設置の呼びかけにせよ、核軍縮交渉には反対している。
昨年の討論会で、私は、まるで核保有国は、故障したポンコツ車に乗って、ハンドルもなく、最終目的地にどうたどりつくかの計画もないまま旅しているようなものだ、と述べた。昨年は、少々寛容すぎたのかもしれない。宇宙の軍事化にかんする討論を聞いてから私は、主要核保有国は、新兵器システムを構築するまでの時間稼ぎをしているのではないか、と考えるようになった。私はこれに非常な危惧を抱いている。新しい、あるいは新たにされた核軍縮の課題が絶対的に必要だと感じるのである。なぜ私たちはこれを問題にすべきなのだろうか。
国際司法裁判所の公聴会において、エジプト代表が、古いアラブの予言かことわざを引用したことを思い出す。二頭の象があらそうとき、ふみつぶされるのは草のなかのアリだ、というものだった。核兵器が使用されれば、犠牲になるのは罪のない人々だ。核兵器は無差別兵器である。核兵器の殺傷力は民間人、生き物、環境を破壊する。したがって、みんながこの問題にかかわる責任がある。国際司法裁判所の判決のまとめで、ベジャウィ裁判長は、核軍縮の努力は、核を持つものだけでなくすべての者の責任である、と述べた。
では、今なぜ中堅国なのか? 私が若いころ好きだった映画のひとつに、ピーター・セラーズの映画があった。それは、狂気の核戦略を煽ることを描いたストレンジラブ博士の映画ではなく、それにたいする解毒剤としてつくられた「吠えたネズミ」という題の映画であった。小国が、核保有国を交渉の場に集め、核軍縮交渉をおこなわせる、という夢のような作品である。すばらしく楽観的で、おそらくまったく非現実的なテーマである。だが、ものごとを非現実的とする考え方は、実際には誤った見方である。月に行くのは非現実的だと思われていたが実現した。だから私は、この映画を将来起こることの予言のようなものとしてとらえていた。実際、いまひと握りの中堅国が、核保有国に、不拡散の役割だけを追求するのでなく核軍縮を達成するための誓約をさせようと、力をこめて働きかけている。
中堅国イニシアチブというのは、中堅諸国が核保有国と関わりをもち、核保有国の努力を支援するよう呼びかけるために集まった非政府組織(NGO)の集団である。私たちは、軍縮をめざす良い提案が多く出されているが、これらの提案は、核保有国を聞く気にさせるメッセンジャーを必要としていると考えた。NGOにとって、核保有国の政策決定者に聞く耳を持たせるのは至難の業である。不可能ではないが難しい。もし私たちと同じようなことを呼びかけている政府と共同できれば、私たちの活動はより効果的になる。そのような国家は、核保有国にたいして影響力を持つ国家である必要があるが、核保有国に計画を操られないためには、ある程度の独立性を有する必要がある。また、核保有国の圧力に屈しないだけの力を持つ必要もある。
これは困難な仕事だが、私たちは、結束したある一群の国家、つまりブラジル、エジプト、アイルランド、メキシコ、ニュージーランド、スウェーデン、南アフリカが、この種の国家にたいへん近い集団だと考えている。これらの国は、核保有国からは独立した計画を維持しながら、核保有国と関わりを持つのに必要な緊密さも有している。だからこそ、中堅国イニシアチブは、新アジェンダ連合に大きな支援を送っているのである。
中堅国イニシアチブは何に取り組んでいるのだろうか?もちろん中堅国イニシアチブのみでなく他の団体や個人も取り組んでいるのだが。中堅国イニシアチブは、この一団となった諸国家による声明「新アジェンダ」のアプローチを含め、核軍縮のために、なぜこのような新しい課題、あるいは刷新された課題が必要なのかを説いた本を発行した。私たちは、多くの国、とりわけ、まだ新アジェンダを支持していないが、支持を得るのが重要な国の首都に代表を送ってきた。これには、核保有国の同盟国であるオーストラリア、日本、NATO諸国が含まれる。マクフィオンバー氏がふれたとおり、同決議案で得た成功のひとつは、多くの核保有国の同盟諸国に関心を示させ、また彼らが反対しなかったことである。今年私たちが期待しているのは、これらの諸国がこの決議案を支持することである。
加えて、中堅国イニシアチブは、国連決議を支持する草の根の組織を活性化させ、国会議員を、個人、あるいは「核軍縮のための国会議員ネットワーク」という「地球規模の行動のための国会議員連合(PGA)」との関係でつくられつつある新しいグループの一員として活発化させた。
われわれ、中堅国イニシアチブの軍縮プログラムは、新アジェンダのものと近いが、同じではない。その違いはわずかである。相違点のひとつは、中堅国イニシアチブは、核軍縮の最終目標について、核兵器の完全廃絶に必要な点についてためらわずに議論することである。そして中堅国イニシアチブは、核兵器禁止条約を支持してきた。この条約にかんしては別の国連決議案が出されている。すべての面において核軍縮につながる交渉を誠実に追求し、完結させる責任があるとした国際司法裁判所の決定を後追いしている国連決議がそれである。核軍縮にすべての面で取り組むのであれば、それをすべて結びつける合意された何らかの形の条約が必要となる。新アジェンダは、それにたいへん近いものだ。同決議案は合意について述べており、私たちは、新アジェンダ連合のアプローチに反対はしないが、われわれには、非政府組織として、最終目標とは何か。それが核兵器禁止条約であることについて、もう少し公然と率直に話題にする自由があると思う。
先ほど私は、核保有国は、故障したポンコツ車に乗って、ハンドルもなく最終目的地に行くまでの計画もなしに旅しているようだとの比喩を用いた。新アジェンダ計画はハンドルを提供するものだ。核兵器禁止条約は、目的地までの地図であり、政府と市民社会の共同は、目的地に到着するためのエンジンと燃料になるだろう。私たちはみな、この目標達成のために共同する必要があると思う。現在、コスタリカの提案で国連で配布されている核兵器禁止条約のモデル案は、この目標がたんなる理想でなく、実際的で到達可能なものだということを示している。核兵器禁止条約モデル案は、国連文書として、あるいは「安全保障と生存」と題された私たちが作成した本で誰でも入手できる。いまや核保有国にとって、核軍縮の道から外れ、不拡散という途方もないリスクをつくり出すわき道に逸れていることに言い訳の余地はない。キャンベラ委員会が述べたように、核保有国がそのような道をたどり、核兵器を無期限に保有する限り、核兵器使用の可能性を防止する方法は何もない。
私は、私たちが核軍縮を達成できると確信している。そのための道理と理由的根拠が私たちにはあると信じている。国際司法裁判所は、核兵器の威嚇もしくは使用は違法であり、核軍縮の過程を完結させる責務があると述べているのだから、法は私たちに味方している。実質的措置も提示されている。必要なのは政治的意思だけだ。だからこそ、私たちは諸国政府の支援を受けて共同し、核保有国がその責務を誠意を持って果たすよう、そしてどこかの時点で考慮するといった誓約ではなく、核軍縮を達成するという誓約をもって21世紀を迎えられるよう、核保有国に働きかけるべきなのである。
ジャクリーン・カバソ: 私の発言の主題は東京フォーラムであり、その枠で話すつもりだが、話を進めるにしたがって、コーデン氏の発言にいくらか反論せざるを得ない。ご紹介いただいたとおり、私は、1998年8月、東京フォーラムの第一部の前日に東京で開かれた「いまこそ核兵器廃絶を、緊急行動市民会議」の発言者をつとめた。同フォーラムにむけた準備の中で、いくつか興味深いNGOの活動や、準備に参加しなかったNGOからの貢献もあった。私の東京フォーラム報告にたいする批評をする上で役立つので、まずはその紹介から始めたい。
8月25日、市民会議の数日前に、東京フォーラムを歓迎しながらもかなり鋭い問題提起をいくつかおこなった手紙が、国際NGOから日本の外務大臣あてに送られた。この手紙には、ほとんどが廃絶2000ネットワークと協力関係にある、日本を含む世界の約68の非政府組織が署名していた。その特徴的な点を読み上げたい。
「世界中でNGOとして核軍縮に取り組む私たちは、この重要なイニシアチブを心から歓迎し、感謝する。…日本政府は、人類は核兵器のない世界へのはっきりした方向づけをおこなわないまま次世紀に突入しようという時勢やたいへん危険な見地に挑戦し、変化をもたらすため、決定的な指導力を発揮するべきである。
そのような核兵器のない世界を望むうえで、われわれは、率直に、日本の過去における核軍縮政策の弱さを指摘せざるを得ない。われわれは、日本の市民の強い反核の意識と日本の官僚が見せる核軍縮交渉と議論における消極的な政策とのあまりに鋭い断絶に衝撃を受けている。最も衝撃的な例は、日本政府が国際司法裁判所における核兵器の使用または使用の威嚇の適法性にかんする広島・長崎市長の証言に賛同しなかったことである。これらの証言は、1996年7月8日に出された歴史的な勧告的意見に重大な貢献を果たすものだった。
アメリカの核の傘に庇護を求めるという日本の政策は、核軍縮支持の日本の立場を脆弱にする以上に、偽善へと変えるものである。日本が、自国の安全保障のために核の傘が必要との考えをとり入れるなら、確かにインドのような他の諸国も同じ目的で核軍備を保有することになろう。
この歴史的に重大なときを迎えるにあたり、日本は、戦争で唯一核爆撃によって犠牲を強いられ破壊を被った国として、人類にたいする特別な責任を負っている。ゆえに、私たちは、日本がこの問題において大胆な指導力を発揮し、以下の措置を来たる会議でとられるよう要請する。
1)日本は、核兵器が安全保障をもたらすという誤った考え方から完全に脱するべきである。日本は、核の傘から抜け出し、日本と朝鮮半島を含む北東アジア非核地帯の設置を開始しなければならない。そうすることで、日本は消極的安全保障を周辺の核保有諸国から得られるであろう。
2)日本は、1998年6月9日に核廃絶に向けた共同の決意を表明した「新アジェンダ連合」8カ国への支持を表明するべきである。また日本は、核軍縮のための地球規模での取り組みを率いるため、同じような考えを持つ諸国やNGOと、これより強力な連合を創立することもできるだろう。
3)日本は、核兵器の早期の廃絶にむけて無条件の誓約を核保有国に求め、核兵器を地球規模で禁止する条約につながる交渉をただちに開始するよう求めることを決める緊急行動についての会議を推進するために指導力を発揮するべきである。」
これが、日本のNGOと国際NGOによる当初の提案であった。会議そのもので私は、日本人でない唯一の参加者という興味深い体験をした。私は、地球規模の核廃絶にNGOと市民が果たす役割と日本とアメリカが核廃絶に果たす役割にかんするパネルディスカッションの特別報告者だった。日本のNGO会議としてはじめて、日本の外務省からの代表参加を得た。森野泰成氏が、個人的見解としながら、日本の核政策についていくつかコメントしたが、とくに、すべて日本人である参加者にあたえた影響という意味で、最も興味深いものだった。核政策を説明する中で彼はこう述べた。「NPTの維持が前提だ。インドとパキスタンの実験は、NPTを大きく脅かすものだ。核保有国は5つしかないが、これが世界平和に大きく貢献している。核兵器を持とうとする国がさらに増えれば、この状況はさらに不安定になる。日本は、自国の国家安全保障をアメリカの核抑止力に頼っている。核の傘から抜けることが、このNGOフォーラムのみなさんの意見のようだが、日本の安全保障は真にそれで守られるのだろうか。私たちはそれに確信が持てない。私たちは、日本国民の安寧に責任がある。抑止力は重要な要素だ。」
パネリストの間でもいくつかやりとりがあった。森野氏は、「カバソさんは、たいへん率直なメッセージをあたえてくれた。それにもとづいて、私たちは日本の安全保障について話をしている。日本は、基本的にアメリカの安全保障政策を支持している。アメリカの核軍備は、きわめて多量の核兵器を抱えている。アメリカの立場は、アメリカが数を減らすには、ロシアが減らさなければならないというものだ。私たちは、両者に進展が見られることを希望している。アメリカとロシアが減らせば、他の核保有国も同調するだろう」と述べた。
そして、参加者からの質問に答え、森野氏はこう述べた。「核兵器が倫理的に正しいかそうでないかを言うことは難しい」。日本の参加者にとって、これがたいへん衝撃的な発言であったことは想像に固くないだろう。日本のNGOの多くは、明らかに政府の核政策を知らなかったのだ。とくに被爆者はショックを受けていた。そして森野氏はこう言った。「私は、日本政府が現状において核兵器の製造中止と不使用を支持できるかどうか確信が持てない。先制攻撃は核抑止戦略の一部であり得るし、私たちは先制攻撃政策を支持する必要がある」。
その場には、広範な日本のNGO団体が出席していた。私は、今日の発言を準備するにあたり、日本の主要な反核団体である日本YMCAの会長が歓迎のあいさつを述べたことを思い起こした。こういうことが他のところでも起こって欲しいと思う。
私は、NGOには、政府から分離し、距離を置いたはっきりした主体性を維持することが非常に重要だと確信する。NGOと関係を持つことには、多くの利点があると思う。NGOとしての私たちは、いかなる国の政府とも提携していない。私たちは、官僚的な縄張りに制約されない。私たちの視点は、当面の「現実」に制限されない。私たちは、他の国や政党と妥協する必要もない。実際、いくらかの団体はこのことを時折忘れるようだが、私たちは、そういう立場にはない。私たちには、自分たちが本当に信じることを発言し、本当に欲することを要求する自由がある。私は、マハトマガンジーが述べたように、「権力に真実を語る」ことがNGOの役割であり責任だと確信している。政府に彼らの行動の責任をとらせるのは私たちの責務である。
日本のNGOに話す中で、私はこう述べた。「野球の比喩を使えば、いまこそ日本が『本塁に向かって進む』ときだ。日本は、核兵器が地域的安全保障を提供するという考えを放棄し、日本と朝鮮半島を含む北東アジア非核地帯の創設に着手すべきだ。日本は、先の8カ国によるイニシアチブを支持するべきであり、むしろ同じような考えを持つ国家やNGOと協力して、核軍縮のための地球規模の取り組みの先頭に立つ、より強力な連合に取り組むよう求められている。そして日本は、来たる『緊急行動にかんする会議』を、核保有国に早期に核兵器を廃絶すると明白に誓約させ、核兵器禁止条約に即時につながる交渉を開始させるための圧力をかける場として利用するべきだ。
これらの目標を実現するために、日本のNGOが果たすべき役割は重要だ。NGOは、政府官僚との対話の機会を最大限に増やし、その声を『緊急行動にかんする会議』の一連の計画に反映させなければならない」。そして、私は、彼らに呼びかけた。「あなたがたはどれだけ大声で叫ぶことができるか」。彼らが叫び返した声はきわめて大きいものだった。
午後の部で私はこう述べた。アメリカ人として、「私は自分の政府に次のように話している。私たちは、国際社会とみずからの子どもたちにたいし、8カ国イニシアチブから投げかけた挑戦を受けなければならない責務を負っている。アメリカには、将来の核兵器政策について正直な議論をこれ以上回避する余裕はない。議員たちも、徹底的に審議され正当とされたものでもない政治的なとり引きを額面通りに受け入れることで、みずからの責任を逃れることはできない」。われわれは、最近のCTBTの採決でも、これが現実のものとして起こったことを目のあたりにした。
「南アジアの危機における最も重要で効果的な対応は、世界で最初かつ最大の核保有国であるアメリカが、これ以上遅滞することなく、NPTにもとづく法的責務である地球規模での核廃絶交渉を開始することだ。これには、まさに意図的あるいは偶発的な核発射のきわめて現実的な危険を減らすための緊急措置が伴わなければならない。核兵器を「一触即発」の警戒態勢から解除し、配備から外すべきだ。核弾頭は運搬手段から分離されるべきだ。そして上院議会によるCTBTの批准は、核兵器備蓄管理計画の条件にあわせてでなく、核軍縮と結びつけておこなうべきだ。そもそも備蓄管理計画は、地下核実験禁止によって核軍縮が起こらないようにすることを意図したものなのだ。そうしてはじめて、アメリカは、インドとパキスタンにたいして核兵器を警戒態勢においたり配備したりしないよう説得することができるのである。アメリカ政府は、「核兵器はアメリカの国家安全保障政策のかなめ石」と言いながら、他国には、核兵器は国の安全を低下させるなどと決めつけることはできない。
東京フォーラムの第一部の翌日、私は奇妙な体験をした。日本外務省の森野氏から、政策説明を受ける機会をあたえられ、何人かの日本の仲間とともに外務省を訪れた。彼らは、私とともに入ることを許されなかった。一名のみ通訳のために入れただけだったので、私が記録係となり、日本のNGOたちに報告しなければならなくなったが、これはこれで面白いとも思った。ほんの二つの点だけ述べると、森野氏はたいへん一般的な言い方で、何が起こったのかを簡潔に説明してくれた。彼は、会議の名称が「核不拡散・核軍縮のための緊急行動会議」から「核不拡散・核軍縮にかんする東京フォーラム」に変更されたと教えてくれることから始めたが、それは、どういう結論になるかを知るうえでたいへん重要な手がかりをあたえてくれるものであった。それから、彼は、出席者が誰かを教えてくれた。18人の著名な外交官と日本政府が選んだ16カ国からの学者、それにNGOからの会議組織者2名である。
私は、会議の名前が変更された理由を尋ねた。彼は、「核不拡散と軍縮のための緊急行動会議」は外国人には理解し難しく、「それで変更されたのだ」と言った。私は、次の会議が市民やNGOに公開されているのかを尋ねた。それは、日本のNGOの要求のひとつでもあった。彼は「いや、出席者に自由な討論を促すことが重要だ」と言った。出席者は、NGOであっても公職についた経歴をもつ者だ、とのことだった。彼らは、政府に近い元外交官であり、元軍将校だった。私は、「最終報告には何が盛りこまれるのか」と聞いた。彼は、最終報告には、いくつかのできるだけ具体的な提言がもりこまれるだろう、と言った。私は、最初の会議で提出される文書はあるか、と聞いた。彼はイエスと言った。「コピーをもらえるか」、「ダメ」。「最終報告を受けとるのは誰か」、「世界に提供される」。
出席者リストを見ると、公認核保有5カ国すべてに加え、インド人とパキスタン人がいたが、イスラエル人はいなかった。それでも、エジプト人の出席者はいた。それで、私は、イスラエルからの参加者がないのはなぜかと尋ねた。森野氏は、「地域的に焦点をあてたくない」と言った。次に私は尋ねた。「なぜエジプトの参加者がいるのか」。彼は「世界各地からの参加が欲しかったからだ」と言った。
NGO会議の主催者と参加者は、会議の後でいくつかの提言をおこなった。主要な部分を読み上げたい。「日本政府が提案した『核不拡散と軍縮のための緊急行動会議』は、出席者が不拡散体制の維持に主要な関心をむけるフォーラムでなく、核兵器廃絶への明確な道を示すことに関心の大部分を向けるフォーラムとされるべきである」。
残念ながら、最終報告書は、日本のNGOが提起したどの問題も顧みないものであった。おそらく、東京フォーラム報告で一番がっかりする点は、独特の立場、歴史、地理的条件にもとづいた日本の核兵器廃絶を進める役割もしくは潜在的な役割についてもまったくふれられていないことだ。フォーラム報告は、多くの問題にふれた長い報告である。二、三分で批評できるようなものではないので主な欠点のみとりあげてみよう。
まず、同報告は日本のNGOの意見を無視した。不拡散を誇張する一方、不拡散の目的を達成するうえでの軍縮の第一義的な重要性を過小評価した。インド、パキスタン、イスラエル、中国、ロシアは名指しで強く批判しながら、アメリカ、イギリス、フランスはあまりに軽く見逃している。日本がアメリカの核の傘から抜け出して指導力を発揮する潜在的可能性にさえ言及していない。東京フォーラムは、冷戦以降、世界の核保有国の国家安全保障政策において核兵器が中心的役割を果たすとの再確認がなされており、それに付随して核兵器の基盤づくりに投資がおこなわれていることさえ見逃している。こうした動きを、他の核兵器保有国は真似をし、非核国は詳細に研究している。
数的な問題だけではない。今日、核武装したアメリカのトライデント原潜は、冷戦時と変わらぬ頻度で世界の海を巡察し、世界中の目標を瞬時に攻撃できる構えをとっている。現在、8〜11隻のオハイオ級潜水艦が巡航しており、それぞれが、発射台1台につき24基のミサイル、合計192基の核弾頭搭載ミサイルを積載している。24基のミサイルは、すべて1分以内に発射可能だ。どの瞬間をとっても1500〜2100発のアメリカのトライデント核弾頭が配備されているのだ。そして、トライデント核弾頭の性能向上または交換のため、われわれが把握しているだけでも4つの計画が存在している。
冷戦の終結以来、アメリカは、リビア、北朝鮮、イラクにたいし核兵器を使用すると秘密裏に威嚇してきた。今年、アメリカは冷戦時の平均以上に、核兵器の開発、実験、生産に支出する予定だ。そして1997年12月、クリントン大統領は、大統領決定指令60号に署名し、核兵器が、予見し得る将来にわたってアメリカの国家安全保障政策のかなめ石であることを確認し、大量報復の脅迫を再確認し、また伝えられるところでは生物・化学兵器の使用を抑止するための核兵器使用を企図している。これが、ダラーク氏がふれた拡散対抗計画である。
この1997年の大統領決定指令は、1995年に核不拡散条約が無期限延長されたさいの基礎にたいする拒絶を意味している。なぜならそれは、第6条の両方の規定、つまり軍備競争停止の要件と核兵器廃絶を誠実に交渉するという要件の両方を侵害しているからである。そして、詳細にふれている時間はないが、アメリカの兵器体系を向上させる計画については、CTBT批准をめぐる上院議会の討論の中で、とりわけ研究所の所長などの証言によって、この2週間のあいだにすっかり世界に明らかにされた。
東京フォーラムは、NPT体制が崩れつつあることに懸念を表明し、核戦力の撤去もしくは削減を含む同条約の中心的な取り引きの再確認を呼びかけている。また、包括的核実験禁止条約の主要国による早期の批准を呼びかけているが、核兵器貯蔵備蓄計画を通してアメリカや他の諸国で現在進行中の核兵器の能力向上についてはふれられてもいない。これらの計画は、人々に知ってもらうことがたいへん重要なので強調したいのだが、地下核実験をハイテク研究所内実験とスーパーコンピューターで置き換え、CTBTの結果として核軍縮が進むことのないよう、また強固かつ迅速な再生産計画により、いかなる核戦力の削減も全面的に回復できるようにするものである。
結論として、東京フォーラムは、核抑止ドクトリンに根本的に挑戦することができなかった。私が個人的に困惑したのは、1996年のキャンベラ委員会の報告について、古くなったと数度にわたってふれていることである。しかし、私はキャンベラ委員会報告を正しいものと確信している。同報告は、「いかなる国によるものであれ、核保有は他の諸国たいする核兵器取得への不断の刺激剤になる」と記し、抑止についても述べている。そこにはこうある。「核兵器について唯一残された明白な軍事利用の方法とは、他国による核使用を抑止することである。この用途は、核兵器が存在しつづけることを意味している。しかし、この用途は核兵器が廃絶されれば完全に消え去るものである」。
〔質疑応答―略〕
1999年国連軍縮週間
1999年10月
原水爆禁止日本協議会
人類はまもなく新しい世紀を迎えようとしています。私たちはこの機会に、人類が核兵器廃絶への決断をもって21世紀を迎えることができるよう、世界のすべての国の政府に行動を強められるよう呼びかけます。
1990年代はじめ、米ソの軍事ブロック対立が終わったとき、世界の人びとは、人類を核兵器による絶滅の脅威から解放する好機が訪れたと期待を高めました。次の世紀に核兵器を残さないために、かつて核戦略に関わった政治家、軍人、科学者など、世界の広範な人びとが核兵器廃絶を呼びかけ、世界の平和団体、NGOがそのための行動を広げました。国連総会など国際政治の舞台でも、いまでは核兵器廃絶が圧倒的多数の政府の声となり、核兵器のない未来を望む世界の人びとを励ましています。
しかし、それにもかかわらず、世界にはいまなお3万発を越える核兵器が残されています。一部の核保有国が核軍事力の圧倒的優位と核兵器開発を追求するなかで、すでに合意された戦略核削減や包括的核実験禁止条約の発効など核軍縮の諸措置さえも実施が危ういものとされ、他方で、先のインド、パキスタンの核実験にも見られるように他の国々の核保有への衝動が強まっています。そもそも特定の国の核兵器保有を許し、他の国の新たな核保有を禁ずるという「管理」体制は、諸国家の平等を基礎とした近代的な国際秩序と相容れず、いまやそうした体制では核拡散が防止できないだけではなく、核兵器使用の危険さえ防ぎ得ないでしょう。「戦争の惨害から将来の世代を救う」(国連憲章前文)ことを使命とする国連と加盟各国政府、とりわけ核保有国政府は、この悪循環を断ち切り、次の時代に核兵器による絶滅の脅威を残さないようにする直接の責任をもっています。
私たちは、広島・長崎の被爆者と日本の原水爆禁止運動の名で、すべての国の政府に核兵器の惨禍を想起し、核兵器全面禁止廃絶の具体的措置に着手することを要請するものです。
1.人類の直面する緊急・死活の課題として核兵器廃絶の誓約を新たにし、その具体的表明として現在開催中の第54回国連総会において核兵器全面禁止・廃絶およびそれに通じる諸措置をかかげる政府の動きに合流し、諸決議を支持すること。また、核兵器全面