原水爆禁止2003年世界大会
国際会議

インド
核軍縮平和連合(CNDP) 全国調整委員
イリーナ・セン



  核軍縮と平和のための連合(CNDP)からのあいさつを送ります。

  私たちの連合は、人類の六分の一にあたる、10億の人口をもつ広大なインド全国の200以上の組織から構成されています。CNDPは1998年5月インドとパキスタンがおこなった核爆発実験への国民の対応として生まれました。

  南アジア亜大陸の核武装化に対する幅広い抗議を結集しようと、世界平和行進がおこなわれました。核実験の一周年にあたる1999年5月11日にインド核実験場ポカランを出発し、8月6日のヒロシマ・デーに、ブッダが平和についての教えを説いたサールナートで結集しました。人々の広範なさまざまな平和のイニシアチブが2000年のCNDP結成に結実したのです。

  今日、世界はかつてなく暴力的になり、緊張を高めています。私が住む地域では、核能力をもつインド、パキスタン、中国の3か国が、争いあってきた長い国境をめぐって対立しています。その一方、インドでは人口の3分の1以上が、大人も子どもも、慢性的な飢餓と栄養失調で苦しんでいます。

  他方、アメリカ政府率いる世界の帝国主義体制が、国連の規範と国際世論を乱暴に踏みにじり、イラクに強権政策を押し付けています。一方、イスラエルにあっては、大量破壊兵器が実際に存在しているにもかかわらず、彼らは何の制裁も受けず、パレスチナ人民にたいする人権抑圧も罰せられないままです。アフリカ大陸に住む人々の大半は、自分たちではどうすることもできない多くの問題をめぐる絶望的な混乱状態のなかで暮らしています。

  世界帝国主義体制と軍事化をすすめる圧力団体のつながりは、今日、かつてなく明確に、あくどくなっています。この体制全体が、アメリカの政府と行政に率いられており、国内の平和と健全性を求める声に反して、幾つかの国では政府がこれを支えています。冷戦の終結は、米軍の削減にも、核兵器備蓄管理計画の停止にもつながりませんでした。1963年、アメリカには、1300の戦略爆撃機と、105の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射装置がありました。1988年、ICBM8サ装置の数は、1050まで増加しました。軍拡派と削減派との力のバランスに変化があったとはいえ、1990年代は軍拡派の力が増しました。1994年の核態勢見直し(NPR)と、1997年の大統領決定指令の両方が、冷戦後の時代においては、新しい世界秩序において生じている脅威が効果的に対処されない限り、軍備削減はないとしています。ポーランドやハンガリーといった、ソ連の連合国であった東欧諸国や、チェコスロバキアを構成していた諸共和国が、先を争ってNATOに加盟しようとしていることが、帝国主義的な野望を強化するうえでアメリカに行動の自由を与え、ハーバード大学の政治学教授であるサミュエル・ハンティントンがつくりあげた「文明の衝突」が、これに学問的な勢いを与えました。この理論は、中東のイスラム諸国や、極東の儒教の新興工業国によるアメリカ支配への新たな挑戦の可能性を強調しています。この理論は、WTOを通して実現されているアメリカ主導の資本にくみする世界規模の貿易政策の強化という文脈で理解されなければなりません。

  私が暮らす南アジアでは、こうした情勢の展開が、軍事的圧力団体の強硬化、インドとパキスタンの両方における市民社会における強硬原理主義者の影響の増大といった形であらわれています。インとトパキスタンの核武装化はこの脈絡で理解されるものであり、同様に、この間南アジアで起こっている宗教間の暴力と争いもそうです。背景には、インド、パキスタンのWTO体制参加、両政府による軍事化と核計画に関する透明性や情報の欠如により、数百万の人びとの生活が経済的にも社会的にも悪化していることがあります。インドの私たちは、いまだ、1998年インドとパキスタンがおこなった核爆発の信頼できる正確な核出力を知りません。この、さもすればぞっとするような情況のなかで、1998年以降の前向きの動きは、南アジアで平和運動が強化されていることであり、これが、インドとパキスタンにおける労働者の運動、人権、環境、女性の権利の運動と意識的に、また中心部分で結びついて進められていることです。

  先月、18歳になる私の娘が平和キャンプの一環としてパキスタンに行き、パキスタンの若者と10日間を過ごしましたが、彼らは、そこで「ENOUGH(もう沢山だ)」といううまいタイトルのドキュメンタリー映画を作成しました。彼らは別れ際、抱き合って泣いたそうです。戦争、核の脅威、飢餓と窮乏はもうたくさんです。今、子どもたちと一緒に「平和?、Shalom(シャローム)、Saram(サラム)、Shanti(シャンティ)」のために行動しようではありませんか。


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