原水爆禁止2001年世界大会
国際会議

イギリス
核軍縮キャンペーン(CND)
緑の党欧州議会議員
ジーン・ランバート


  2001年原水爆禁止世界大会にご招待いただきありがとうございます。イギリスならびに欧州議会の反核平和活動家たちにかわってごあいさつを申し上げます。

  アメリカが広島と長崎に原爆を投下して56年がたちました。悲しいことに、私たちはまだ、核兵器禁止の国際交渉を行う国連委員会の設置すら果たせていません。核兵器廃絶のための「明確な」約束をうたった昨年の国連声明にもかかわらず、ほとんど進歩がありません。

  兵器を制限する条約では一定の前進がみられていますが、いまだに世界には核兵器があふれています。アメリカのトライデントミサイル搭載潜水艦(アメリカは18隻、イギリスは4隻保有)のいずれも、世界を何度も破壊できるだけの殺傷力を持っています。核軍事同盟であるNATOは、核兵器「先制使用」方針をまだ放棄していません。アメリカは「小型核兵器」の開発を積極的に進めており、アメリカの担当官らは、それらが「使用されるだろう」と言い、またアメリカ政府は現在、どれだけ短期間でネバダ核実験地をまた使えるようになるか研究中です。

  これらすべての中でも、とりわけアメリカは、いま世界中の国々や国民の反対を無視して、弾道弾ミサイル「防衛」システムを押しつけようとしています。公表されている目的は「全範囲にわたる支配」というもので、宇宙の軍事化や「宇宙戦争」につながるものです。他の国々やNATOなどの同盟は、地球のこちら側と欧州の双方で戦域ミサイル防衛(TMD)や地域的ミサイル防衛を開発することで、アメリカと共同しています。

  弾道ミサイル防衛が新たな軍拡競争を引き起こし、地球の安全に深刻な影響を与えていることは、誰の目にも明らかです。

  弾道ミサイル防衛を押し出すことで、アメリカはごう慢にも1972年の弾道弾迎撃ミサイル制限(ABM)条約に違反しているのです。この条約は、このあとに続くすべての軍縮条約の土台であり、私たちがその土台をとり外してしまったら、その上に立つ全構造を危険に陥れることはわかりきっています。宇宙条約と核不拡散条約もまた危険にさらされています。ブッシュ政権は包括的核実験禁止条約を批准しないことを明らかにしています。

  アメリカは弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を、冷戦時代の時代遅れの遺物だと見ています。しかしロシアは同条約の再交渉はおこなわないこと、核兵器削減交渉でこれ以上は進まないことを明らかにしています。最近おこなわれた主要8か国首脳会議が仲立ちした、米ロ間の一見そのように見える「新たな取り引き」が意味するものはまだ明らかではありません。最近ロシアと中国の間で調印された「友好関係に関する合意」の持つ意味を懸念しているのは、おそらくイギリスの平和運動だけではないだろうと思います。私たちはまた、インドとパキスタンという新たな核保有国に送られている信号にも深い懸念をいだいています。国際的な合意がこのように公然と侮蔑されているのを間のあたりにすれば、核不拡散条約(NPT)に調印しようなどと納得するはずはありません。

  おまけに、この弾道ミサイル防衛(BMD)構想全体には、最終的に何千億ドルもの費用がかかるでしょう。ブッシュは議会に、ミサイル防衛の研究と実験のために、2002年度予算に80億ドルを越える出費を組み込むよう求めています。しかし一方で、大統領は、アメリカに気候変動対策にかける費用があるかどうか心配だと言い、先ごろ決まったアフリカ向けの医療援助は、画期的と見なすべき成果となっているのです。世界で最も富む主要7か国がこのために出すお金は10億ドルちょっとだけだというのにです。さらにこの費用がどれだけのものか、清潔な飲料水が利用できない人が15億人を越える世界という状況のなかで考えてみてください。汚染されていない飲み水のためのシステムを一から開発する必要はありません。そのような技術はすでにあるし、その効果も証明済みなのです。そしてそれは弾道ミサイル防衛よりずっと世界の安全に役立つのです。この構想で利益を得るのは大体においてアメリカの巨大軍需産業だけでしょう。

  私たちは、みな共同して行動し、この新たな脅威に「ノー」と言わなければなりません。欧州議会はこのほど「アメリカのミサイル防衛構想計画は、欧州と世界の安全を脅かすものである」と宣言しました。そして加盟国に、この問題について徹底的な国民的討論を開始するよう呼びかけています。ドイツとフランスの政府は、アメリカの提案を拒否しましたが、残念なことにイギリス政府はまだです。実際、イギリス政府は、イギリスの情報収集基地を参加させることで、その構想を支持するかも知れません。そうなれば、私たちは、標的にされる可能性があり、エスカレートする軍拡の仲間とみなされることでしょう。

  友人のみなさん。私たちはいまこそ共同して核兵器にノー、宇宙兵器にノーと言わなければなりません。この狂気は止められなければなりません。みなさんにお会いし、核のない世界と平和な宇宙を守ってともに活動するため、友情のあいさつを申し上げる機会に恵まれたことをうれしく思っています。

ジーン・ランバート欧州議員事務所
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