原水爆禁止2001年世界大会
国際会議

原水爆禁止沖縄県協議会代表理事
(弁護士)
芳澤弘明


沖縄からの報告


議長並びに海外代表の皆さん。
国内代表の皆さん。
私は、米軍基地の島、核攻撃の拠点となっている沖縄について報告いたします。

はじめに

  報告の冒頭に私は、沖縄のたたかいを支援し、ともにたたかって下さっている海外の平和勢力、国内の平和民主勢力の代表の皆さんに対し、心から感謝の意を表し、連帯の御挨拶をおくるものです。

1、全国縦断平和キャラバンについて

  本年3月10日に、普天間基地の代替地の移転先になろうとしている沖縄本島北部・名護市を出発し、安保条約発効に日である4月28日まで続けられた全国縦断平和キャラバンは、全国の平和をのぞむ多くの人びとの協力・共同の力によって大成功裡に終結することができました。「ジュゴンと平和を守ろう」のスローガンをかかげたこの平和キャラバンは、沖縄の新基地建設の問題を全国にひろげ、全国各地の独自課題、とくに戦争方の具体的な発動阻止の課題と結合させ、全国的な基地反対の世論をもりあげることが最大の課題でした。およそ50日間におよぶとりくみによってその目標を達成することができました。
  この行動のなかで、私たち沖縄県民がどれだけはげまされたことか。かつての沖縄・小笠原返還運動、ベトナム侵略戦争反対闘争のあの当時の日々とかさね合わせて想起したとき、私自身、大きな感動をおぼえたことをお伝えするものです。

2、相つぐ米兵による犯罪と事件・事故について

  皆さん。1995年9月4日、街のなかでひとりの少女が3名のマリン兵におそわれ、レンタカーに押しこめられ暴行されるといういまわしい事件がおこりました。
  この事件を契機として、米軍基地の整理・縮小、日米地位協定の見直し、米軍の綱紀粛正と完全補償を要求するたたかいが、燎原の火のように発展し、アメリカ、フィリピンをはじめ、諸外国の平和勢力の大きな連帯が寄せられたことを、私は感謝をこめて想起します。
  あれから5年余が経過した現在なお、沖縄の事態は変わっておりません。
  去る6月29日午前2時すぎ、沖縄本島中部の北谷町美浜の駐車場で、嘉手納基地の空軍軍曹ティモシー・ウッドランドが20代の日本人女性を暴行するという事件が発生しました。
  日本の裁判所は逮捕状を発布しましたが、5日間もの間、その米兵は逮捕されませんでした。またしても、日米地位協定17条をたてに、米軍当局はこの容疑者の身柄引渡しを拒否したからです。
  この事件の翌日、訪米中の小泉首相は、ブッシュ大統領と会談しましたが、かれはこの事件についてひと言もふれませんでした。それどころか、小泉首相はロンドン滞在中に、「その問題で日米同盟をギクシャクさせるな」と発言し、沖縄県民の怒りをかいました。
  この米兵は7月19日に起訴されましたが、裁判所は「被告人は国外逃亡のおそれもあるし、目撃証言(米兵)と接触して証拠を煙滅するおそれがある」として保釈の請求を却下しました。
  暴行事件の起訴から2日とたたずに同じ嘉手納基地所属の空軍兵長が、民間車輌に放火するという事件を起こしました。「今年の米兵事件の頻発には、日米両政府をゆるがすほどに県民の反発を高めた重大事件の発覚後すぐに事件が続発するという大きな特徴がある」と新聞は論評しております。以下はその報道記事です。
  1月9日に金武町で起きた女子高生に対する強制わいせつ事件から5日後に、国頭村内で海兵隊員が飲食店の女性店主にけがを負わせ、交番で暴れて逮捕された。また、その翌15日と20日には、海兵隊員が北谷町北前の飲食店に火を放つ連続放火事件を起こした。また、この海兵隊員の犯行が県警の発表で明るみに出た2月15日の2日後には、在沖米陸軍の第一特殊部隊(グリーン・ベレー)所属のエリート兵士が、北谷町美浜で、信号待ちの県警のパトロールカーを壊し、警察官と憲兵に取り押さえられる大立ち回りを演じた。 このような事態をむかえ、防衛施設庁筋は「これほどまで悪い形で事件が続発したことは過去にもない。事態は極めて深刻だが、全面禁酒や外出許可禁止で兵士の行動を抑え込んでもその反動が怖い。打つ手に乏しく、政府もどうしていいか分らない状況だ」となげいているほどです。
  もはや、綱紀粛正でこのような犯罪はなくならないことは明らかです。殺りくと破かいをこととする米軍兵士に対して、「紳士になれ」といくら言ってもそれはむなしいことではないでしょうか。
  このような状況のなかで、県議会は、米軍犯罪に対する抗議と米海兵隊の削減を求める決議を全会一致で採択しました。
  ところがです、みなさん。在沖米軍の最高司令官であるアール・へイルストン米四軍調整官(中将)は、県民の代表である県知事や国会議員、県議会議員を「馬鹿」「腰抜け」呼ばわりしたのです。許せることでしょうか。 ちなみに、復帰後の米軍関係者による事件は、現在までに約5000件、その内殺人、強姦、強盗、放火などの凶悪犯は約540件にも達しています。その殆どは米海兵隊員によるものです。

3、不平等条約―日米地位協定は改定せよ。

  米軍が犯罪米兵の身柄引渡しを拒否する根拠は、日米地位協定17条5項Cにあります。
  かれらは言います。「日本に在留する民間米国人だけが犯罪を犯した場合には、国内法によって逮捕してもかまわない。しかし、軍人だけは別だ」と。
  そこには、世界の憲兵である米国軍隊と米国人は、崇高な使命をおびているのだ、という発想があるのです。そのことは、去る6月下旬、米海兵隊のジョーンズ総司令官が沖縄にやってきて、マスコミ各紙との懇談会の席上、県民が米軍基地の支援に貢献したとのべたあと、「県民は米軍がこの地域の平和と繁栄に大きな役割をはたしていることにほこりをもってほしい。持つべきだ。」と言ってのけたことにもあらわれています。
  地位協定の不平等性はこの17条だけにとどまりません。いまや保守派県知事でさえ、地位協定の見なおしではなく抜本的な改定を求めるにいたっております。
  この日米地位協定は、対米従属のシンボルです。私たちは、米国国民はもとより、米国政府との間においても、真に対等平等な友好関係をむすびたいと思っております。そうなったときはじめて、米国は「悪しき隣人」ではなく「良き隣人」となることができるでしょう。
  皆さん、そのために、アメリカの覇権主義とたたかいましょう。

4、米軍による新基地建設の強行をゆるすな

  沖縄が日本全土にしめる面積はわずか0.6パーセント。その沖縄に、日本に駐留する全米軍施設の75パーセントが集中しております。
  これらの米軍基地は侵略と核攻撃の足場です。地域住民にとっても危険このうえない存在です。その最たるものが市街地のどまんなかにある普天間基地です。
  日米両政府はSACO合意(日米行動特別委員会合意)によって、この普天間基地を本島北部の名護にうつし、普天間基地に倍する巨大な基地を新たに建設しようとしております。新基地の面積は75ヘクタールで、首里城の約15倍。滑走路は2000メートル。そこにC17グローブマスターV大型輸送機、V22オスプレイ・垂直離着陸兵員輸送機が配備されます。新基地建設は@アジアの平和の流れに逆行する暴挙であり、A基地の縮小・撤去を求める県民の願いをふみにじり、B県民投票や名護の市民投票の結果を無視して民主主義を根本から覆すだけでなく、Cジュゴンなど貴重な生物の生息地を奪い自然環境を破壊する暴挙です。特に、自然環境の保護の点では、米国防総省の文書でも、ジュゴンの保護が明記されております。
  ところで県や名護市基地受入れの条件としてつけた「15年間の期限」はアメリカとの交渉の議題さえなっていません。受入れの「条件」が実行されなければ、基地の受入れを撤回するのが常識ではないでしょうか。
  新基地建設の問題は、名護だけではありません。那覇軍港の浦添市への移設問題もあります。これまで革新統一の那覇と浦添の両市長が、稲嶺知事の推進計画に歯止めをかけていましたが、保守派の那覇市長、浦添市長の誕生で、浦添新軍港問題が急浮上しています。これは、那覇軍港の単なる「移設」ではなく、ガントリークレーンを備え、水深が15メートルで原子力空母の入港も可能な世界最大級の軍港になる予定です。LCAC(エルキャック=戦車やトラック、兵員などを乗せて上陸する上陸用船)、米第7艦隊の事前集積船の司令部もできます。新たな出撃拠点が建設されるのです。
  沖縄への新基地建設を認めるかどうかは、21世紀を迎えたアジアと日本の平和への行く末を左右する大きな問題を含んでいます。

むすび

  以上最近の沖縄の状況について報告しました。
  私たちは、前世紀において、核兵器廃絶、ベトナムで核戦争をゆるすな、被爆者援護・連帯をスローガンにかかげ、この世界大会を成功させてきました。
  いま、核保有国に対し、核兵器廃絶の国際公約の実行をせまるときです。
  沖縄は核攻撃の拠点基地です。核持ち込みの日米密約はいまなお生きています。
  この危険な沖縄の基地、日本の米軍基地を撤去させるたたかいと核兵器廃絶のたたかいをむすびつけて前進しましょう。


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