原水爆禁止2001年世界大会
国際会議

インドキリスト者平和会議・事務局長
ジョン・M・イッテイ


  冷戦と二極世界の秩序が崩壊し、世界の核の危険はある程度小さくなっています。しかし、それはヨーロッパでそうなのであって、この冷戦後の時期においては、南アジアで核戦争の恐怖が大きくなっています。

  こんにち、アジアの危険が冷戦期と比べさらに大きくなっているのには、いろいろな理由があります。第一に、関係諸国が所有している兵器が少ないことが、さらに大きな危険を作り出しているということです。アメリカとソ連が巨大な兵器庫を保持し蓄えた一方で、アジアの核保有国の貯蔵兵器は限られています。どの国も十分な量を保持できたと感じるまで、実効的な兵器削減条約を結ぼうとはしないでしょう。

  第二に、南アジア地域の競争は2つの組み合わせで構成されています。つまりインド対パキスタン、そして中国対インド、この三角関係です。これが、中国とパキスタンのインドに対抗する共同関係とあわせて、少しでも意味のある条約の可能性を妨げています。三者の間の相互作用が必要なため、核の危険を減少させる三者間の努力が困難になっています。インドとパキスタン、インドと中国のそれぞれの間に勢力争いのラインが存在すること、そして国境に軍隊が存在し活動していることが、状況をより悪くしている三番目の要因です。これら国々の国境では軍事的パトロールが頻繁に行われています。これと比べると、中央ヨーロッパでは「実際の勢力争いの線」はありませんでした。

  これらの地域では、指揮、統制、国境の監視を改善する一国の行為が核の危険を防ぐ上で不可欠です。信頼譲成措置を作り上げるための交渉が、この状況を救う手段です。しかし残念ながら、インドとパキスタンの間の首脳会議は何の明るい希望も見せずに終わりました。この状況のもとで、これら二国間の抗争はさらに激化せざるを得ません。亜大陸における核の脅威はますます大きなものとなるでしょう。

  全アジアがこうした状況に懸念しています。冷戦終結でほっとしたのはヨーロッパだけです。そして新たな時代はアジアにさらに大きな核の脅威をもたらすことでしょう。ですから、アジアの人々、国々はこの状況を認識し、アジアにおける核の危険を少なくするため世論をつくりだし、そのためのプログラムを提案しなければならないのです。


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