原水爆禁止2001年世界大会
広島(8月6日)

核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
広島修道大学教授
岡本 三夫


  2週間ほど前にアウシュビッツなど3つの強制収容所に行ってきました。どこから来たかとたずねられ広島からだと言いますと、そのポーランド人は、一瞬身をすくめて、身の毛がよだつというのか、鳥肌が立つというのか、そんなジェスチャーをされました。あのアウシュビッツを見ている人たちでさえも、広島・長崎の悲劇をユダヤ人ホロコースト以上の残虐な歴史のお手本として見ていると思います。私はアメリカに長く住んでおりましたし、現在も家族がアメリカに住んでおりますから、アメリカが好きな人間ですけれども、そのアメリカが過去において起こした過ちは、一度は必ず法廷に出さなければならない問題ではないかと常日頃から考えています。

  私は、平和学を20数年間教えてきました。平和学が開講されている大学は、少しずつ増え、首都圏では早稲田大学、中央大学など、関西では立命館大学、関西学院大学、龍谷大学など、全国では約40の大学で平和学が教えられています。平和学関連講座はさらに多くて、日本には800くらいの大学がありますが、そのうち160くらいの大学で開講されています。今年の4月からは、東京大学でも平和学が開講されるようになり、関係者の一人としてはたいへんうれしく、よろこんでいます。

  大学における平和学は、平和教育の役目ももっています。外国では、平和学はピーススタディーズあるいはピースリサーチなどとよばれ、平和教育ピースエデュケーションとは区別されていますが、私は平和教育的な内容をもたない平和学は平和学の名に値しないと思っています。

  平和学には個性があり、国、地域、また時代によっても、さまざまな特徴を持っています。広島の大学における平和学の特徴、あるいは日本における平和学の特徴といっても過言ではないと思いますが、何と言っても核兵器廃絶を中心に置くものでなければならないと私は思っています。私は実践なき理論は空虚であると思っていますから、被爆者の方々、市民の方々からいろいろ教えをあおぎながら、さまざまな反核平和運動にもとりくんでいますが、今年の3月、多くの市民の方々、被爆者の方々、平和運動に関わっている方々といっしょに、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会というのを発足させることに協力しました。

  私は原水禁、原水協がいつかはひとつになって、強力な平和のメッセージを世界に伝えることができるようにと強く願っており、こういう大きな集会で話をするのは、日本では2回目であり、1回目は1976年だったと思いますが、原水協と原水禁が協力してこの広島で集会を開いたときに参加して以来のことだと思います。核兵器廃絶をめざすヒロシマの会は、個人の資格で原水協の方にも原水禁の方にも、また両方に属さないさまざまな平和運動の方々にも参加していただいておりますけれども、いつの日かこれが大きなうねりとなって、日本の平和運動とくに核兵器廃絶をめざす世界の人たちといっしょになって、広島から、あるいは長崎から、大きな平和のメッセージを世界に送り、第3次核兵器開発競争時代に突入しつつあるこの動きを絶対にいっしょに阻止し、そして核兵器が一発もない地球を実現させるため、みなさんと協力していくことをお約束します。


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