原水爆禁止2000年世界大会
国際会議

国連NGO軍縮委員会(ニューヨーク)
会長
バーノン・C・ニコルズ

核兵器のない21世紀へ―行動と共同を!
国際的な課題と機会

原水爆禁止2000年世界大会
国際会議

国連NGO軍縮委員会(ニューヨーク)
会長
バーノン・C・ニコルズ

核兵器のない21世紀へ―行動と共同を!
国際的な課題と機会

親愛な友人のみなさん、献身的な平和活動家のみなさん、この原水爆禁止世界大会で再びお会いでき光栄です。私は、世界の平和運動の発想や行動が、20世紀後半における人類の生存に多大な貢献をしたと思っています。

私たちは、一般の人々の考えに大きな影響を与えてきました。どの国に住んでいようと、ほとんどの人々は、核兵器はなくなればいいと考えています。広島・長崎の写真や被爆者の迫力ある証言は、この成果を達成するうえで、大きな役割を果たしました。また、有名な陸軍・海軍の将軍たちが反核運動の味方になったことに見られるように、私たちは、各国政府の指導者にも影響を与えてきました。ジョン・F・ケネディ大統領は、かつて「平和とは、毎日、毎週、毎月続く、少しずつ人々の意見を変え、ゆっくりと古い壁をくずし、新しいしくみを静かに築いていく、一つの過程である。いかに劇的でないものであるにせよ、この平和の追求は、続けられなければならない」と言いました。

核の脅威の影が私たちを不気味に覆い続けていることを、私たちは知っています。私たちは、努力をやめることはできません。ここにおられる皆さんとおなじく、私にも、愛し、その将来を気にかけている子どもや孫や、若者があります。このような個人的なつながりを越えて、私たちの責任感のある人なら誰もが、核の危険にさらされている人類と地球の運命を気にかけています。ですから、私は訴えます。私たちが求め、実現しなければならない核のない世紀を達成するために、努力を強めましょう。日本の反核運動の活動が、明るく輝く手本として私たちを導いてくれます。この世界大会は、常に私たちを励ましています。2000年には、世界大会はかつてないほど強い影響力を持つことになると私は確信します。

私の仕事の大半は、国際的なものです。ニューヨークの国連本部でNGO軍縮委員会の委員長をつとめ、同時に「核時代平和基金」の国連への主要代表もつとめています。NGO軍縮委員会は、国際的な問題、とくに国連の場における軍縮問題を扱った「ディスアーマメント・タイムス」を発行しています。ここにも5月の特別号「軍縮の基本ガイド」を何部か持ってきましたが、これはより広く活用してもらうためにブックレットとして再版されることになっています。私たちは国連で、特定の軍縮テーマに関するパネル討論を主催していますが、主要な一連のパネル討論は、10月の軍縮週間中、国連軍縮局との協力で開催されます。今秋の討論では「宇宙空間」、「弾道ミサイル防衛」、「核抑止」などをとりあげる予定です。私たちは、今年5月のNPT再検討会議へ参加したNGOの資格認定など、平和・軍縮NGOと国連とをつなぐの役割を果たしています。また、世界中の平和・軍縮NGOと幅広いネットワークを作って活動しています。

NPT再検討会議など、最近、核軍縮においていくつかささやかな成果があがっています。NPT再検討会議では、核兵器保有国が、核兵器廃絶をはっきりと約束しました。また、コフィ・アナン国連事務総長は、核の危険についての国際会議開催を大胆に提案しています。私たちは、各国政府に、この提案を受入れさせるように活動しなければなりません。しかしながら、依然として解決が困難な問題のほとんどが残ったままであり、またいくつか新しい脅威も生まれています。その第一は、最近の3回の実験で2回が失敗に終ったにもかかわらず続けられているアメリカによる本土ミサイル防衛(NMD)の追求です。アメリカの私たちは、大統領選挙が核軍縮の進展をさまたげていると認識しています。

しかし、これに手をこまねいて待っていることはできません。大統領選挙は、核問題を提起し、人々を啓発し、選挙後の行動を準備する時期です。先進国では、経済的な繁栄が、多くの人に、核の脅威を見えにくくしていおり、その一方、発展途上国では、人々は日々の生存のたたかいに追われ、それ以外の問題を考えている余裕があまりありません。このように、核軍縮にたいする障害は山ほどあることは明白です。

新しい千年紀とともに、いくつかのチャンスが訪れるでしょう。最大のチャンスとは、心理的なものかもしれません。1999年から2000年へと暦が変わりました。人々は、それによって新しい突破口が開けることを期待し、古い態度を捨てて前に進もうとする傾向にあります。私たちは、核抑止を、冷戦に結びついた「古い考え方」の一つとして、過去の遺物にしなければなりません。核抑止は、現実とはかけはなれた間違った考え方です。信頼醸成こそ、私たちが国際関係において進むべき方向です。

 国連で5月に開催されたNGOミレニアム・フォーラムは、「行動のための宣言と課題:21世紀に向けた国連の強化」という強力な文書を作り上げました。この文書は、国連総会冒頭の9月6?8日に開催される国家元首が参加する国連ミレニアム・サミットに提出されることになっています。この文書の「平和・安全保障・軍縮」に関する部分では、「広島・長崎の原爆被害者たちは、われわれに20世紀の過ちを21世紀にくりかえすなと、心から訴えてきた」と述べています。また、この宣言は、国連にたいし、世界的な軍縮の提案を起草し、それを第4回国連軍縮特別総会で議論するように求めています。世界における武器による暴力は、核兵器廃絶を含む、特別の行動によって減らされるべきです。また、同宣言は、各国政府にたいし次のことを要求しています。「(1)すべての核兵器を廃絶し、禁止するという核不拡散条約の義務を速やかに遂完し…2001年初頭までに、アナン事務総長が提案した核の危険をなくすための会議を開催すべきである。政府は新たな核兵器を研究・開発している研究機関の閉鎖、核兵器の警戒態勢解除、外国からの核兵器撤去などをただちに約束すべきである」「(2)フォーラムの参加者は、どの国であれ、本土防衛ミサイル(NMD)の一方的配備は危険な不安定効果を生み、恒久的に高いレベルの核兵器を保持したり、現存するレベルを引き上げる圧力をつくりだすものと考える。アジア、その他の地域における戦域防衛ミサイル配備は、深刻な地域的不安定を引き起こすであろう。世界的なミサイル発射警戒システムのために、また長距離地対地ミサイルや長距離爆撃機の製造中止方法の見直し会議がすすむように、そうした計画は放棄されるべきである」、「(3)非核地帯のネットワークを、核保有国領土以外のすべての地域を含むところまで拡大し、このネットワークを、艦船が核兵器を積載していないことを証明しないならば、入港を拒否する海事措置によって補完する。市民社会は、核兵器を統制するこれらの措置のすべてを精力的に促進すべきである」。今、各国の市民がすべきなのは、自国政府にたいし、速やかにこれらの要求を支持するよう圧力をかけていくことです。

  国際的な行動は、私たちが求めている中心目標の一つの側面です。先ほど、私はさる5月のNPT再検討会議の成功にふれ、この会議で核保有国が核兵器廃絶を明確に誓約するように説得されたと言いました。この合意を取り付けるまでには、おおくの国やNGOによる長く困難な活動が必要でした。残念ながら、誓約を行った核保有国のいくつかがこの誓約をその言葉が意味する以下のものに解釈しようとしていることを示すような発言がすでにおこなわれています。ジュネーブでの軍縮会議(CD)と、ニューヨークでの軍縮委員会での核保有国の行動は、NPT会議での合意後に期待されたような進展を反映していません。このことは、核保有国がその誓約を速やかに遂行するよう再度私たちが迫るべきであることを意味します。また、私たちは、核兵器保有国ではない自国の政府にも、核兵器保有国に同様の圧力をかけるよう求めていかなければなりません。NPT再検討会議では、新アジェンダ連合(NAC)7カ国と、これを支持するNGO組織である中堅国イニシアシブ(MPI)が、核兵器保有国の核兵器廃絶合意を取り付けるうえで、決定的に重要な役割を果たしました。私たちは、自国の政府に新アジェンダ連合を支持し、できれば加盟するように要求する必要があります。軍縮会議における交渉や、国連総会の第一委員会で今秋おこなわれる総会に提案する軍縮決議案の検討にたいしても、影響力をあたえることが重要です。こうした国際会議は、核兵器廃絶、核実験・核兵器開発の禁止、先制使用の放棄、非核保有国にたいする核兵器不使用合意などの目標のために、私たちが活動しなければならない舞台です。

  国連が、効果的にメッセージを普及するために、著名人をスポークスマンとして利用しているのをご存知でしょうか。この手法を初めに取入れたのはユニセフでした。国連軍縮局は、NGO軍縮委員会のある役員の援助で、アメリカの俳優マイケル・ダグラスをスポークスマンに任命しました。私は、被爆者のみなさんも、同じような戦略を採れるのではないかと思います。私は、被爆者の方々が、生きている限り、被爆体験を語りつづけたいと、どれほど強く願っているか語るのを聞きました。今年も多くの被爆者が亡くなりました。私たちは、被爆者のたたかいに共感する映画やテレビの関係者に依頼して、被爆者と共同で、一般大衆、とくに若者たちに強くアピールするような形で、被爆の体験を紹介してもらうことができるのではないでしょうか。映画やテレビ関係者の一部は無料奉仕で働いてもらえるでしょうが、いずれにしても費用がかかります。それで、少し説明させてください。
 私は個人的には、被爆者自身が体験を語る映画は、それだけで極めて心を動かされるものだと思います。それは、私は古い世代の人間で、原爆が投下された時のことをまだ記憶していますし、すでに平和運動にとりくんでいるからです。しかし、私たちは、当時生まれていなかった人や平和運動に参加したことのない、幅広い大衆にアピールしなければなりません。私は、被爆者のメッセージを、このような大多数の大衆を最も引き付けるような形で伝えるためには、映画やテレビ関係者の技能が必要だと思います。また、これは被爆者の尊厳や存在価値を全く損なわれないようなやり方でおこなえると思います。私は日本に出発する直前に、マイケル・ダグラスを説得した人から、このような企画があれば、必要なアレンジをしたいという申し出を受けました。私はみなさんがこのアイデアを真剣に検討され、これが実現することを希望しています。

  トリニティー核実験と核時代の幕開けの記念日である7月16日、ワシントンDCで、すべての核実験、その被害者および核実験で今なお苦しんでいる人々のための記念の夕べがおこなわれました。これを主催したのはアメリカの核廃絶キャンペーンと宥和会の一部の「40日間人民非暴力キャンペーン」です。「核時代を想い起こす祈り」が読み上げられました(版権、アトミック・ミラー)。ここに、その一部をご紹介して発言を終ります。

  「われわれは核時代の夜明け以降に誕生したひとりの子どもに思いをはせ、生きとし生けるものの奇蹟と神聖さを思う。われわれは「リトル・ボーイ」と「ファットマン」という、1945年8月6日と9日、日本の広島と長崎を破壊した原爆を想い起こす。今日、われわれは、われわれのなかに潜み、原爆でその姿を明らかにした、すさまじい破壊力と暴力を想い起こす。われわれは自らの心を覗き込み、その深い井戸から美、創造力、人類の精神的な伝統の水を汲んで、平和の文化と健康を育てるのだ。今日、われわれは、自らのたどった核の歴史を想い出し、それを繰り返さないことを心に誓う」。



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