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原水爆禁止二〇〇〇年世界大会国際会議宣言

  「核兵器のない世界」へ—いますべての力と行動を 


 二一世紀の幕開けを目前にして、「核兵器のない世界」にむけた世論と運動が、かつてなく大きな力を発揮しようとしている。核兵器の脅威から解放されたあたらしい時代をきずくために、世界のすベての人びとに、ともに行動することをよびかける。

(1)広島、長崎で一瞬にして数十万人が殺され、傷つけられたあの日から五五年。「二〇世紀の過ちを二一世紀に繰り返すな」という被爆者の叫びは、核兵器の開発・生産・実験の被害者の声とこだまし、世界の声となっている。核兵器廃絶の実現へ、私たちはいま重要なときをむかえている。
 国連総会では、近年、核兵器廃絶をもとめる諸決議が、くりかえし圧倒的多数の賛成で採択されている。昨年の総会では、非同盟諸国提案の決議にくわえ、核保有国にすみやかな核兵器廃絶の誓約をもとめた新アジェンダ連合提案の決議に一〇〇カ国以上が賛成した。これに反対したのは、中国以外の核保有国など一三カ国だけだった。
 ことしの春に開かれた核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議では、「核兵器の完全廃絶を達成するという核兵器国の明確な約束」をうたった最終文書に、すべての核保有国もふくめ一致して賛成した。少数の大国が核兵器を独占することを認め、その他の国々の核兵器保有は禁止するという矛盾をもったNPT体制の内部からも、「核兵器の全面廃絶は義務であり、優先課題であって、究極目標ではない」という声がひろがっている。
 また、アナン国連事務総長がよびかけ、世界の一〇〇〇をこえるNGOが参加したミレニアム・フォーラムでも、「すべての核兵器の廃絶と禁止」をふくむ最終宣言が一致して採択された。
 核兵器の登場以前につくられた憲章をもつ国連は、一九四六年の総会第一号決議において、「原子兵器の各国の軍備からの廃絶」を一致して確認した。この戦後の国際社会の原点は、核大国の横暴によってふみにじられてきた。しかしいま、世界の諸国民の運動を原動力として、あたらしい状況がきりひらかれつつある。
 東アジアをはじめとする各地での平和へのうごきも、諸国民に希望をあたえるあたらしい状況をうみだしている。初の南北朝鮮首脳会談は、朝鮮半島の平和へのあらたなうごきとして、世界の人びとからひろく歓迎された。国際関係の諸問題を自主的な話し合いによって解決することこそ、二一世紀への大道であり、それは核兵器による威嚇や脅威とは両立するものではない。
 核兵器廃絶を要求する声を世界のすみずみにまでひろげ、世界諸国民、反核平和運動、各国政府および国連が連携・協力し、すみやかに核兵器のない世界をかちとるために全力をあげよう。

(2)いまなお核保有国は三万発以上の核兵器を持ち、地球と人類に重大な脅威をあたえている。とりわけアメリカは、核兵器の改良やあらたな核兵器の開発計画をすすめ、未臨界核実験を強行、核戦力の絶対的な優位を確保している。アメリカの現役核兵器だけでも、その爆発威力は広島型原爆の十数万発分になる。さらに、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を米上院が否決したばかりか、非核保有国も対象とする先制核攻撃戦略の体制を強化している。
 アメリカは、米本土ミサイル防衛(NMD)計画および戦域ミサイル防衛(TMD)計画に固執し、あらたな核軍拡にふみだそうとしている。これは、アメリカにたいするミサイル攻撃を無力化することによって、先制攻撃戦略を自由に展開できることをねらったものである。世界の反核勢力はもとより、核保有国やNATO加盟国からも強い反発をうけ、米国内でも反対の声がひろがって、ますます矛盾と孤立を深めている。
 地球と人類の未来にとって、核兵器廃絶は緊急かつ中心的な課題である。核保有国は、さきのNPT再検討会議の最終文書で合意した核兵器廃絶の「明確な約束」をすみやかに実行し、核兵器をなくす根本的な決断にふみきるベきである。
 アメリカがNATO諸国や日本などの同盟国を動員して展開する干渉主義に反対し、独立・主権の尊重、内政不干渉、紛争の平和的解決など、国連憲章にさだめられた世界平和のルールをまもり確立することは、核兵器廃絶とともに、二一世紀の世界平和のために不可欠である。
 軍事的にも経済的にも覇権主義の横暴をゆるさず、平等、民主主義および正義の実現をもとめよう。軍事費の削減、飢餓・貧困・環境破壊の克服、福祉・生活の向上、経済・社会の自主的・民主的発展をめざす運動などとの共同をひろげよう。

(3)唯一の被爆国であり、「戦争放棄」と「戦力の不保持」を憲法でうたう日本が、核兵器廃絶と世界平和をめぐるあらたな流れに逆行する姿勢をとっていることに、強い懸念がひろがっている。
 日本は、アメリカ軍の戦争行為に日本が全面的に協力するという日米ガイドライン関連法=戦争法を制定し、沖縄サミットでは、朝鮮半島の平和のうごきに消極的態度をみせた。さらに沖縄など米軍基地体制強化を促進して日米軍事同盟をいっそう強化しようとしている。こうした状況にたいして、基地縮小・撤去をもとめる沖縄県民のたたかいは、国際的な支持・連帯をうけながら、あらたな展開をとげようとしている。
 最近、この日米軍事同盟の関連とりきめのなかに日米「核密約」が存在していることが日本の国会であきらかにされた。この密約によって、アメリカの核艦船・軍用機の日本立ち入りは自由とされてきた。いまも日本はアジア・太平洋地域にたいする核攻撃基地となる危険な事態にある。日本に核のもちこみはないとの政府の説明はまったくの虚偽であることが証明されたが、日本政府は真相をあきらかにしようともせず、「非核三原則」は完全に空文化されている。
 日本の非核化をもとめる運動は、外国艦船に証明書提出を義務づける「神戸方式」など貴重な実績をもっており、国民を長年にわたってだましてきた政府の態度にたいし、あらたなたたかいがひろがっている。日米安保条約を廃棄して非同盟・中立の日本をめざし、アメリカのいいなりでなしに、非核平和へ外交路線の転換をもとめる運動の前進は、核兵器をなくし、アジアと世界の平和を実現するために、大きな貢献となるものである。

(4)いまこそ核兵器廃絶を実現するために、つぎのような諸行動に共同して草の根からとりくもう。

 ○核保有国をはじめ各国政府と国連に、核兵器廃絶のための国際協議をただちに開始するよう要求しよう。NPT再検討会議での「核兵器廃絶の明確な約束」をすみやかに実行するよう核保有国政府にもとめ、すべての国の政府に核兵器廃絶を二一世紀の初頭に達成すべき最重要・優先課題の一つと宣言することをもとめよう。そのための最初の共同行動として、秋の国連ミレニアム・サミットおよびミレニアム総会に世論と運動を大きく結集しよう。

 ○すべての核保有国による、核兵器先制使用政策の放棄、NMD、TMD計画の中止、さらに未臨界実験をふくむあらゆる核実験の禁止をもとめよう。また、非核兵器地帯の拡大と実行、外国の領土・領海、公海に配備されているすべての核兵器の撤去、外国艦船、軍用機の立ち入りに際しての非核証明書の提出、国や自治体、港湾、空港などの非核化などをもとめる運動をいっそう前進させよう。これらの運動を核兵器廃絶の流れと結合し、核兵器固執勢力を大きく包囲しよう。

 ○広島、長崎の被爆者をはじめ、世界のヒバクシャの被害の実態の調査、解明、普及を促進しよう。長崎原爆松谷訴訟の全面勝利を成果とし、被爆者、核兵器被害者への補償を実現しよう。原子力開発と核兵器生産の関係を懸念し、プルトニウムや劣化ウランなどの核物質と核エネルギーの軍事利用に反対するとともに、兵器用核物質の生産・移転の禁止をもとめよう。昨年のJCO臨界事故のような核燃料サイクルにともなう被害を根絶するたたかいに連帯しよう。

 広島・長崎の惨禍を原点とした原水爆禁止運動、「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」署名などの長年にわたるとりくみは、核兵器廃絶を世界の声とし、核兵器固執勢力を追いつめる今日のあらたな変化をうみだした。思想、信条、国家、民族、世代の違いをこえ、核戦争阻止、核兵器廃絶、被爆者援護・連帯を共通の課題として団結し、前進しよう。これこそが核兵器をなくす根本的な力である。
 世界の人びとによびかける。世界は変わりうる—それは私たちのゆるぎない確信であり、この確信はいま、ますます深まっている。すべての力と行動を結集し、核兵器のない二一世紀をすみやかに実現するために、さらに大きな流れを創りだそう。そして、二一世紀最初の原水爆禁止二〇〇一年世界大会には、ことし以上の世界の大きな変化を実現して、全世界から結集しよう。

 二〇〇〇年八月四日
原水爆禁止二〇〇〇年世界大会国際会議
 

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